さまざまな経済ニュースで米国株について言及されることが増えています。背景の一つに、日本の主要なネット証券が最低取引手数料を撤廃したことがあります。この記事では、こうした動きの詳細を解説したうえで、米国株を始めるために必要な準備を紹介します。
証券会社で米国株取引手数料値下げ競争勃発
かつて米国株を取引する際の最低手数料は5ドルに設定されていました。こうした手数料は、少額の取引では大きな負担になってしまいます。
しかし2019年7月、マネックス証券を皮切りに楽天証券とSBI証券が米国株取引の最低手数料を撤廃すると発表しました。DMM.com証券を加えた4つの証券会社では、それぞれ細かい規定が異なるものの、一定金額までの取引手数料は無料になりました。
この結果、1注文当たりの取引額は急速に下落し、小口化しました。低額取引が無料になることで、米国株を低コストで購入できるようになり、毎日1株ずつ購入するなど時間分散をして、欲しい米国株を増やすことも可能になっています。
米国株式市場の魅力
米国株を代表する指数であるNYダウ平均と、日経平均の変化率を1994年以降で比較すると、ITバブル崩壊、リーマンショックなどを経験しながらも復活する米国株の力強さが目立ちます。そんな米国株の魅力の一部を紹介しましょう。
・株主還元に積極的
年1~2回の配当が多い日本株と異なり、米国では四半期ごと(年4回)に配当金を支払う企業が多くなっています。株主還元を重視する傾向が強く、配当金を毎年増額する連続増配を行う企業も多数存在します。米国企業の中には、半世紀を超えて増配を続けている企業もあります。
・1株から購入できる
日本株には単元株制度があるため、基本的に各銘柄は100株単位でしか購入できません。しかし、米国株はすべての上場株式・ETFを1株単位で購入できるため、少ない資金でも投資を始められるというメリットがあります。
米国株式を買うために必要な準備とは
楽天証券、SBI証券、マネックス証券、DMM.com証券などのネット証券を使えば、日本株とほとんど同じ感覚で簡単に米国株を購入できます。これらの証券会社に口座を持っていない人は、口座開設(アカウント登録)から始めましょう。
外貨(米ドル)決済の場合は、入金した資金を事前に為替振替しておく必要があります。円決済の場合は、約定後、国内受渡日時点で自動的に日本円から米ドルに為替振替されます。注文方法は、証券会社によって異なります。利用する証券会社の説明をよく確認して取引を始めましょう。
米国株取引におすすめの証券会社
外国株は日本株とは違い、証券会社によって扱っている国や銘柄数が異ります。米国株を売買できる証券会社でも、例えばマネックス証券とDMM.com証券では取扱銘柄数が3倍以上違います。
口座を開設するタイミングで買いたい銘柄が決まっている場合は、事前に調べて、扱っている証券会社を選ぶ必要があります。購入したい銘柄が決まっていない場合は、なるべく取扱銘柄の多い証券会社を選ぶのも1つの選択肢でしょう。
また、米国のネット証券で売買するという手段もあります。買い付け手数料が安く、証券会社によっては、一律で約5ドルというケースもあります。
日本のネット証券の場合、買い付け価格によるものの、手数料の上限は22ドルなので、一見米国の証券会社のほうが有利に思うかもしれません。しかし、米国現地のネット証券には手数料のメリットを補ってあまりある2つの大きなデメリットが存在します。1つは譲渡益の繰越控除ができないこと、もう1つは特定口座が使えないことです。
米国現地のネット証券の確定申告は簡単ではありません。よほどのこだわりがなければ、日本のネット証券を選ぶことをおすすめします。
米国株を購入できる代表的な証券会社がこちらです。
証券会社 | 米国株 取扱数 |
手数料 | 公式サイト |
---|---|---|---|
1位
個別銘柄もETFも取引手数料0円 |
1265銘柄 | 無料 | |
口座開設数国内No.1 | 4,008銘柄 | 約定金額の 0.495%(税込) |
|
米国株取引で 最大30,000円 キャッシュバック |
4,507銘柄 | 約定金額の 0.495%(税込) |
|
米国ETFなら 買付手数料実質無料 |
3,678銘柄 | 約定金額の 0.495%(税込) |
証券会社 | 米国株 取扱数 |
最低手数料 |
---|---|---|
1位
個別銘柄もETFも 取引手数料0円 |
920銘柄 | 無料 |
口座開設数国内No.1 | 4,008銘柄 | 約定金額の 0.495%(税込) |
米国株取引で 最大30,000円 キャッシュバック |
4,097銘柄 | 約定金額の 0.495%(税込) |
買付手数料実質無料 | 3,678銘柄 | 約定金額の 0.495%(税込) |
DMM.com証券の米国株式手数料
≪1取引当たりの手数料≫
0円
DMM.com証券は米国株の売買手数料が無料です。ただし、為替手数料は1ドル当たり25銭かかるので注意が必要です。口座開設(アカウント登録)費や口座管理・維持費なども無料なので、取引にかかる費用が少ないことがメリットです。
通常証券会社の取引ツールは1種類のことが多いですが、DMM.com証券では、初心者向けと上級者向けが用意されています。また、スマートフォンアプリとパソコンブラウザ版・パソコンインストール版が用意されている点も魅力です。
米国株の取引手数料完全無料
楽天証券の米国株式手数料
≪1取引当たりの手数料≫
2.22ドル以下:0円
2.22ドル超~4444.45ドル未満:約定代金の0.495%
4444.45ドル以上:22ドル
楽天証券では、ETF・ADR含めて3500以上の米国株を取り扱っています。米国ETF・ADR委託手数料は米国株式と同じですが、指定の米国ETFの買付手数料については無料で取引できます。2020年3月からは、スマートフォンアプリ「iSPEED」でも米国株が取引できるようになりました。
さらに、楽天証券で株取引をすると取引手数料の1%の楽天ポイントが付与されるというメリットがあります。
米国ETFの取扱が豊富!買付手数料も安い
SBI証券の米国株式手数料
≪1取引当たりの手数料≫
約定代金の0.495%
※手数料下限0ドル、上限22ドル
※最低手数料0米ドルが適用される取引は、約定代金が2.02米ドル以下の場合
SBI証券では1取引2.02米ドル以下の場合、手数料が無料です。米国をはじめとした、中国、韓国、ロシア、シンガポールなどの外国株を幅広く取り扱っている点が強みです。
また住信SBIネット銀行の口座を使うことで、為替手数料がお得になるというメリットもあります。外貨預金口座から入金することで、通常は片道25銭かかるところ、片道4銭まで安くなります。
口座開設数国内証券会社No.1、米国株以外にも外国株取扱多数
マネックス証券の米国株式手数料
≪1取引当たりの手数料≫
約定代金の0.495%
※最低手数料0ドル(無料)、最大22ドル
売却時には国内取引手数料のほかに、現地取引費用がかかります。売却時の約定代金が1ドルにつき、0.0000051米ドル(小数点以下第3位切上げ、最低0.01米ドル ※2020年2月13日現地約定分より適用)です。また、買付時の為替スプレッドは0銭(為替変動などを考慮して定期的な見直しあり)です。
マネックス証券では、米国株が4000以上、中国株が2500以上と、他の証券会社よりも外国株の取り扱い銘柄数が多いという特徴があります。
米国株の取扱銘柄数5,000超、米国株デビューキャンペーンも充実
2つある米国の株式市場
日本の東京証券取引所には、東証第一部、東証第二部、東証JASDAQ、東証マザーズという4つの個人投資家向けの市場が開かれています。ほかに、福証、名証、札証という地方証券もあり、株式の取引が行われています。
一方のアメリカでは、以下の2つの株式市場で取引が行われています。
・ニューヨーク証券取引所(NYSE)
ニューヨーク市のウォール街にあるニューヨーク証券取引所は、世界最大の証券取引所で「ビッグ・ボード(Big Board)」とも呼ばれています。東京証券取引所の合計時価総額が約597兆円(2020年5月末時点)であるのに対し、ニューヨーク証券取引所の上場企業の時価総額の合計は約2250兆円(2018年5月末時点)にものぼります。
上場している企業には、世界的に人気がある飲料メーカーのコカ・コーラをはじめ、大手投資銀行のゴールドマン・サックス、アメリカ最大級のスーパー、ウォルマート・ストアズなど大企業が名を連ねています。日本企業のソニー、トヨタ、三菱UFJフィナンシャル・グループは米国預託証券(ADR)を発行する方式で上場しています。
・ナスダック(NASDAQ)
ナスダックとは、アメリカ合衆国の新興企業向けの株式市場のことです。新興企業向けの株式市場としては世界最大の規模を誇ります。
ナスダックの上場企業には、GAFAと呼ばれるアルファベット(GOOG)、アップル(AAPL)、フェイスブック(FB)、アマゾン(AMZN)などの超人気企業を筆頭に成長力があるIT企業が多くなっています。企業名の後ろに記載しているアルファベットは、日本株でいう「証券コード」と同じ役割をする「ティッカーシンボル」といいます。
ナスダックにも三井物産、任天堂、日産自動車といった日本企業が上場しています。
米国株を売買するときに注意すること
国内株も輸出企業の場合は為替によって決算が悪化し、株価が下落するというリスクがありますが直接的ではありません。しかし、米国株は米ドル建で投資するため、日本円に換算すると直接的に米ドルの為替変動リスクを負うことになります。
円が米ドルに対して円安になれば、株式利益だけでなく為替差益を得ることもできますが、逆に円高になれば為替差損となってしまいます。そのリスクを軽減するには、米ドル建の外貨決済で運用することがおすすめです。円高のときに米ドルにしておいたり、売却代金を別の米国株式に投資したり、円安になった段階でまとめて円に交換したりすることでリスクを抑えることができます。
米国株は国内株に比べ、米国現地の手数料と国内の委託手数料が二重にかかるうえ、円からの購入となれば円から米ドルに換えるときの為替手数料もかかります。税金面でも、米国株は現地でかかる税金と国内でかかる税金で二重課税となるので注意が必要です。
米国株の最低取引手数料が撤廃されたこの機会に、特性とリスクをしっかりと理解して資産運用してみてはいかがでしょうか。
DMM株が向いている人・向いていない人
DMM株が向いている人
DMM株が向いている人は手数料を安く抑えたい初心者の方です。米国株の手数料が0円になっており、24時間電話サポート対応があるため、初心者の方には心強い会社です。
DMM株が向いていない人
DMM株が向いていない人は積立NISAを考えている方です。DMM株は積立NISA口座に対応していないので、利用を考えている方は他の証券会社と合わせての利用がおすすめです。
DMM株の評価ポイント
手数料が安い
DMM株の手数料は業界最安値水準です。 現物の国内株式は55円(税込)から取引をすることができますし、国内株の信用取引・米国株式については0円から取引することができます。 また、口座開設(アカウント登録)費や口座管理維持費用・入金手数料・出金手数料なども無料なので安心して利用することができます。s
米国株手数料0円
DMM株では米国株の取引手数料が0円になっています。そのため、成長著しい米国企業への投資を始めやすいというメリットがあります。
取引するたびにポイントが貯まる
DMM株は、取引するたびにポイントが貯まります。取引手数料の1%がDMM 株ポイントとして貯まり、貯まったポイントは、1pt=1円として証券口座に入金することが可能です。 例えば、取引手数料として10,000円使った場合、100ポイント貯まります。 このポイントを証券口座に入金して株式取引をすることはもちろんですが、そのまま出金することもできます。
SBI証券が向いている人・向いていない人
SBI証券が向いている人
SBI証券が向いている人は投資を始めて間もない投資初心者の方です。取引手数料が安く、取扱い銘柄が豊富なため上級者として成長するまでしっかりと使い続けることができます。
SBI証券が向いていない人
SBI証券が向いていない人は新規上場株式を購入したい方です。SBI証券の利用者が非常に多いため他の証券会社よりIPO抽選の当選確率が低くなってしまいます。
SBI証券の評価ポイント
手数料が安い
手数料が他のネット証券会社と比べてもダントツで安く、1日定額制で0円である。上場企業の9割が100万円以下で購入できるので、ほとんど全ての銘柄を手数料を気にすることなく、購入することができます。
IPO銘柄に強い
SBI証券の主幹事数は大手総合証券とも遜色なく、楽天証券も含めてほとんどのネット証券の主幹事数は0社であることと比較すると圧倒的に強いと言えるでしょう。SBI証券の引受幹事数はすべての証券会社の中で最も多く、IPOを狙うならまずSBI証券を利用することをおすすめします。
豊富な商品群
SBI証券はネット証券会社の中で最も多い9ヵ国の外国株式を取り扱っています。 また、SBI証券では2500本以上の投資信託を取り扱っており、ネット証券会社でも最大規模の取り扱い数を誇ります。
マネックス証券が向いている人・向いていない人
マネックス証券が向いている人
マネックス証券が向いている人は米国株投資を積極的にしたい方です。マネックス証券は証券会社の中で、米国株の取扱銘柄数5,000超なので、米国株に投資する方は開設するべき口座です。
マネックス証券が向いていない人
マネックス証券が向いていない人は海外投資を幅広く試してみたい方です。SBI証券では米国や中国以外にも9ヶ国を取り扱っているのに対し、マネックス証券は米国株と中国株のみで、他社に比べて外国株式の取扱が少なくなっています。
マネックス証券の評価ポイント
米国株の取扱銘柄が多い
マネックス証券は米国株の取扱銘柄数5,000超を誇っています。 米国株投資に向いている証券会社であり、米国株投資向けのアプリが優秀である。米国株投資を考えている人は必ず開設すべき口座である。
IPOに強い
IPOの取り扱い数が多く、IPOにチャレンジしたい方にも適した証券会社でしょう。マネックス証券の2019年におけるIPO取り扱い数は45社です。2019年全体のIPOは86社であったため、半数以上はマネックス証券から申し込みが可能であったことがわかります。
手数料キャッシュバック
外国株取引口座を開設して初入金後に20日間の米国株の売買手数料を上限3万円まで全額キャッシュバックしてくれる「米国株取引 デビュー応援」サービスを実施中のようです。
楽天証券が向いている人・向いていない人
楽天証券が向いている人
楽天証券が向いている人は投資初心者の方です。手数料が安く、楽天ポイントを使って投資もでき、初心者でもわかりやすいツールを提供しています。
楽天証券が向いていない人
楽天証券が向いていない人は投資について対面で相談したい方です。楽天証券はネット証券であるため、実店舗を構えていません。そのため、対面で人に相談することができません。
楽天証券の評価ポイント
楽天ポイントが貯まる
楽天銀行の口座を開設し、楽天証券の出入金口座として連携すると、取引件数や金額によってポイントが付与されます。
貯まったポイントは、「楽天ポイント」として楽天市場や楽天トラベルなど、楽天グループの各サービスで使用できます。
手数料が安い
「超割コース」では5万円までの約定代金であれば50円(税抜)、10万円までは90円(税抜)と、楽天証券では業界最低水準の手数料が設定されています。
また、投資初心者におすすめなのが「いちにち定額コース」。1日の取引金額が合計100万円までであれば手数料は無料のため、国内株式の99%近くが手数料無料で取引できるのが大きな魅力でしょう。
投資信託が豊富
楽天証券は投資信託の取り扱いが豊富です。取り扱い本数は2,700本以上と、ネット証券において業界最多水準です。買付手数料はすべて無料であるため、取引コストをおさえた投資ができます。
米国株に関するQ&A
米国株式市場の魅力とは?
米国株式市場は株主還元に積極的で1株から購入できるのが魅力。
米国株を買うにはどうしたらいい?
米国株を取り扱っている証券会社で口座を開くと、米国株の購入が可能。
米国株取引におすすめの証券会社は?
手数料が安く、米国株の取扱いが多いDMM株、SBI証券、マネックス証券、楽天証券などがおすすめ。
実際に米国株投資を始めてみる
米国株の取扱銘柄数5,000超、米国株デビュープログラムも充実
>>マネックス証券の詳細はこちら
口座開設数国内証券会社No.1、米国株以外にも外国株取扱多数
>>SBI証券の詳細はこちら
米国ETFの取扱が豊富!買付手数料も安い
>>楽天証券の詳細はこちら
米国株の取引手数料完全無料
>>DMM.com証券の詳細はこちら
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個人投資家 Q.これから株式投資を始めるとしたら、どんな銘柄に投資するのがいいでしょうか。
コロナ以前と以後では、相場の常識がガラッと変わったと思いますね。人々の生活様式が一変し、ニューノーマルにはまる銘柄はどんどん株価が上がる一方で、はまらない銘柄はとことんダメになりそうな気がします。これから始めるのであれば、やはりコロナが追い風になるような銘柄を狙うべきでしょう。 ただし、ワクチンが開発されて世界中に普及する量が確保できる、あるいはできることが判明した時点で、また相場の流れは変わりそうです。それまでは全体相場の流れを見つつ、ニューノーマルに絡んだ銘柄の上昇波に乗るのが良いと思います。
有限亭玉介さんのインタビュー記事はこちら