WACUL IPOのスケジュール
WACULのIPOスケジュールは以下の通りだ。
仮条件決定 | 2021/01/29→900~1,050円に決定 |
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ブックビルディング期間 | 2021/02/02-02/08 |
公開価格決定 | 2021/02/09 |
申込期間 | 2021/02/10 - 02/16 |
上場日 | 2021/02/19 |
WACULのブックビルディング概要と初値予想
WACULのブックビルディングの概要が次の通りだ。
仮条件 | 900~1,050円に決定 |
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公募価格 | 1,050円 |
当選口数 | - |
初値予想金額(※) | 1,700円 ~ 2,500円→※初値4,645円 |
ブックビルディング期間 | 2021/02/02-02/08 |
狙い目証券会社 | SBI証券、SMBC日興証券 |
WACUL IPOの幹事証券会社
WACULのIPOの幹事証券が以下の通りだ。
今回のIPOには、SBI証券、SMBC日興証券、楽天証券、マネックス証券などのネット証券で抽選に参加することができる。
証券会社 | 割当率 | 前受金 | |
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主幹事 | みずほ証券 | 80.02% | 必要 |
引受 | SMBC日興証券 | 5.44% | 必要 |
SBI証券 | 5.44% | 必要 | |
大和証券 | 2.62% | 必要 | |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 2.62% | 必要 | |
楽天証券 | 1.86% | 必要 | |
いちよし証券 | 1.00% | 不要 | |
マネックス証券 | 1.00% | 必要 |
WACUL業績情報(単位:1千円)
売上高 | 経常利益 | 当期利益 | |
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2018年2月期 | 254,703 | ▲215,360 | ▲216,117 |
2019年2月期 | 370,952 | ▲67,456 | ▲69,746 |
2020年2月期 | 485,984 | ▲141,715 | ▲142,004 |
2021/2月期(予想) | 710,000 | 50,000 | 40,000 |
2022年2月期(計画) | 1,100,000 | 230,000 | 190,000 |
同社は2010年9月に設立された。2020年9月期までは着実な増収が続く一方で、赤字が継続した。
2021年2月期(今期)は売上5億円の大台を突破し黒字化する予想である。2021年2月期Q3(累計)は売上高5.0億円、経常利益0.4億円であり、黒字化しており進捗は順調である。
2022年2月期は売上高10億円、経常利益2億円の大台到達を計画している。
WACULビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社WACUL<4173>は自社開発のツール「AIアナリスト」を活用した、デジタルマーケティングサービスの提供を主に行う企業である。
AIアナリストについて
AIアナリストは顧客がGoogleアナリティクスから得られる自社Webサイトのアクセス解析データ等をクラウド上で連携して、PDCAサイクルをサポートする同社開発のデジタルマーケティングプラットフォームである。
AIアナリストの登録サイト数は着実に増加しており、2020年8月末時点では33,000サイトを超えている。尚、AIアナリストは基本的な機能を無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能は料金を課金するフリーミアモデルで提供されている。同社はユーザーに対し無料で基本機能を解放する代わりに、そのユーザーのデータを獲得している。
事業内容詳細
同社は下記の2事業を展開している。
・プロダクト事業
・インキュベーション事業
プロダクト事業
プロダクト事業は同社に蓄積された知見をもとにテクノロジーを活用して自動化されたツールであるAIアナリストを顧客に提供している。
同事業ではレポーティング、データ分析及び改善方針の提案と改善幅予測、また実行された施策の成果検証を行う「AIアナリスト」、「AIアナリスト」の改善方針に従い実行を支援する「AIアナリストSEO」、Webサイトにおける問い合わせや購買などのゴールまでを考慮したWeb広告の運用を代行する「AIアナリストAD」などのソリューションを展開している。
プロダクト事業のソリューションは一定期間の利用を前提としたリカーリングレベニュー方式(継続収益方式)を採用しているため、解約されない限り継続的に収益の計上が可能である。
インキュベーション事業
インキュベーション事業は、最先端のデータ分析に基づいたデジタルマーケティングを推進する企業に対し、コンサルティングサービスを提供している。
またAIやマーケティングを専門とする大学教授などを顧問に迎えるなど、先端テクノロジーの導入と知見の磨き上げに力を入れており、それらの活動で得られた知見をAIアナリストシリーズの機能拡張などに活かしている。
同社サービスの特徴
同社では単にサイト訪問者を増やすのではなく、コンバージョン(購買や資料請求)を増やすためのサービスを提供している。既存のオペレーションの単なるデジタル化に留まらない「構造的なデジタル変革」を実現するためのDXサービスを提供している。
また大企業から中小企業まで企業の規模を問わずサービスを提供している。ECサイトなどWeb上で購買の完結するビジネスだけでなく、Webで問い合わせを受けた後に営業人員が商談を行い契約に導くビジネスなど、顧客の業種・業態を問わずサービスを提供している。
※DX→企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位を確立すること。
財務状況
2020年2月期末時点で資産合計5.0億円に対し、純資産合計2.9億円、自己資本比率57%である。
借入金1.5億円に対し現預金3.7億円を有しており、財務内容に対し特段の懸念事項はない。尚、資産の部のうち最大の勘定科目は現預金となっている。
資金使途
IPOにより1.7億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・機能開発投資 AIアナリストの強化など0.8億円
・人材投資 人件費、業務委託費及び採用費等 0.6億円
・マーケティング投資 顧客基盤拡大のため 0.3億円
AIアナリストの機能強化などの機能開発投資及び人件費などの人材投資の両者に、調達資金の殆どが充当される。
株主構成
筆頭株主は大手VCのジャフコが運営するファンドであり株式シェア34%を有している。
大淵社長は第2位株主であり株式シェア20%(うち3.9%が潜在株式)。垣内取締役が第3位株主(株式シェア14%)である。第4位株主として株式会社リコー(同4.3%)が株主参入している。
ジャフコ以外にも多数のVCが株主参入しており、VC比率は41%である。尚、VCはIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。
まとめ
自社開発のデジタルマーケティングツール「AIアナリスト」を活用した、デジタルマーケティングサービスの提供を主に行う企業のIPO案件である。
企業の各サービスのDX化が注目される中で、同社では単にWebマーケティングに留まらない、リアルマーケティングも包括する形でデジタルマーケティングサービスを提供している。これにより中小企業から大企業まで幅広くサービス提供がなされている。
着実な増収は続いたものの、2020年2月期までは赤字が継続した。2021年2月期からの黒字を予想しており、2021年2月期Q3(累計)は黒字化するなど順調に進捗している。
企業の各サービスのDX化が注目されており、同社のサービスに対するニーズも高まっている。IPO後はどのようなスピード感で成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、デジタルマーケティングの PDCA プラットフォーム「AI アナリスト・シリーズ」の提供、「DX コンサルティング」の提供、企業・学術機関との共同研究等により顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを推進している。
株価のバリュエーションは公開価格時価総額が72億円、業績予想ベースのPERは190.4倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が8億円程度と小さい為、需給で初値はかなり高騰すると考えられるが、VCが発行済株式の37%を保有しており、ロックアップ解除となる公開価格の1.5倍を上回る株価水準では、大口の売りが出るリスクも考慮する必要がある。
セカンダリー市場においては、最大手VCのジャフコの動向を大量保有報告書で見ながら投資のタイミングを図るべき。4月中旬の決算発表で開示される来期の業績予想で大幅な増収増益となれば、上場後の調整からの反転のきっかけとなる可能性がある。また、当社にとって重要なKPIとなる「AIアナリスト」の導入社数の伸びが維持できていれば、押し目買いも有効と考えられる。
WACUL 会社情報
会社名 |
---|
株式会社WACUL |
コード |
4173 |
市場 |
マザーズ |
業種 |
情報・通信業 |
売買単位 |
100株 |
代表者名 |
代表取締役社長 大淵 亮平 /1987年生 |
会社住所 |
東京都千代田区神田小川町 3-26-8-2F |
設立年 |
2010年 |
社員数 |
49人(2020年12月31日現在) |
事業内容 |
デジタルマーケティングのPDCAプラットフォーム「AIアナリスト・シリーズ」の提供、「DXコンサルティング」の提供、企業・学術機関との共同研究等により顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを推進 |
URL |
https://wacul.co.jp/ |
資本金 |
426,000,000円 (2021年1月15日現在) |
上場時発行済み株数 |
公開株数 |
698,600株 |
連結会社 |
なし |
大株主
ジャフコSV4共有投資事業有限責任組合 | 34.34% |
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大淵亮平 | 20.33% |
垣内勇威 | 13.89% |
(株)リコー | 4.34% |
竹本祐也 | 4.14% |
鈴木達哉 | 3.95% |
梅田裕真 | 3.95% |
中島克彦 | 2.37% |
(株)マイナビ | 2.05% |
電通デジタル投資事業有限責任組合 | 1.97% |
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2021年5月19日まで または、上場後180日目の2021年8月17日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格) |
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7億3353万0000円(698,600株×1,050円) |
潜在株数(ストックオプション) |
808,500株 |