アクシージアIPOレポート

【目次】
①️アクシージアIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(2/8追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(2/8追加)

会社名
株式会社アクシージア
コード
4936
市場
マザーズ
業種
化学
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 段 卓 / 1966年生
会社住所
東京都新宿区西新宿六丁目3番1号
設立年
2011年
社員数
75人(2020年12月31日現在)
事業内容
化粧品及びサプリメント製造・販売事業
URL
https://axxzia.co.jp/
資本金
98,000,000円 (2021年1月15日現在)
上場時発行済み株数
25,800,000株
公開株数
6,600,000株
連結会社
2社
スケジュール
仮条件決定:2021/02/01→1,360~1,450円に決定
ブックビルディング期間:2021/02/02 - 02/08
公開価格決定:2021/02/09→1,450円に決定
申込期間:2021/02/10 - 02/16
上場日:2021/02/18→初値2,051円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:大和証券
引受証券:野村證券
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券: 楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:丸三証券
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
大株主
段卓 24.84%
王暁維(通称名 天野 暁維) 24.84%
(株)イーグルファイナンス 12.94%
創維科技實業有限公司 12.94%
段世純 10.35%
武君 7.44%
雑賀俊行 5.17%
吉田雅弘 0.19%
張輝 0.19%
福井康人 0.19%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/07 単体実績 
2,196,417 884,336 602,181 650,978
2019/07 連結実績 
3,448,507 1,383,096 903,876 1,552,165
2020/07 連結実績 
4,290,404 1,030,348 717,371 2,264,086
2020/10 第1四半期連結実績 
1,225,648 309,181 209,476 2,483,533
ロックアップ情報
段卓、王暁維(通称名 天野暁維)、段世純、武君、雑賀俊行、株式会社イーグルファイナンス、創維科技實業有限公司は上場後180日目の2021年8月16日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
95億7000万0000円(6,600,000株×1,450円)
潜在株数(ストックオプション)
390,000株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社アクシージア<4936>は化粧品及び美容サプリメントの製造・販売を行い、主に中国でEC販売を手掛ける企業である。
アクシージア
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

事業内容詳細

同社は中国のエステサロンなど幅広い美容施設向けに、専用スキンケア製品を展開している。また主に中国のリテール市場向けに下記製品シリーズを販売している。

・年齢に応じたエイジングケアとして、食生活、運動など「糖化ケア」を意識したトータルな美容ライフ提案をコンセプトとするスキンケア及び美容ドリンクを融合させたエイジングケアシリーズ
・ニッチでありながら悩みの多い目元ケアに特化したスキンケアシリーズ

「AGドリンク」を中心とした「エイジングケア」製品、ビューティーアイズエッセンスシートを中心とした「目元ケア」製品など、特定のテーマ性を持ったニッチ市場の開拓に注力している。
アクシージア
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

地域・チャンネル別売上構成

2020年7月期の地域別売上構成は中国86%、日本11%、その他地域3.2%である。そのうち中国Eコマースは68%であり、主に中国のEC市場向けに同社製品は販売されている。尚、中国においてサロン売上も構成比18%と一定の比率がある。

また国内はドラッグストア・免税店などのリテール販売(構成比5.4%)が中心である。
 
アクシージア
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

中国のECサイトにおける会員数の推移

同社は中国アリババグループが運営する中国最大の小売ECサイトTmall Global経由での販売を、主力販売チャネルに位置付けている。

Tmall Globalでのサプリ旗艦店の会員数及び化粧品旗艦店の会員数は、下記のように右肩上がりで増加中である。
アクシージア
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

また2020年7月期Q4及び2021年7月期Q1でのリピート売上高は約4割であり、安定的な売上を計上する体制を整えつつある。

今後もTmall Global旗艦店でマス広告を展開しつつ、口コミサイトの活用などボトムアップアプローチも行い、マスとボトムアップの両面から販売促進や広告宣伝活動に継続的な投資を行う計画である。
 

製造について

同社は製品の製造は株式会社シーエスラボ(未上場)を主力委託先としている。株式会社シーエスラボへの外注費割合は全外注費合計の76%に達している。

また静岡県小山町に工場用地を先行取得しており(既支払額2.1億円)、今回のIPOによる調達資金を活用し自社工場の建設を予定している。総投資額22億円の予定で、2021年8月に建設に着手し、2023年2月に完成予定である。
 

業績推移

2018年7月期 売上高22億円、経常利益8.8億円、当期純利益6.0億円
2019年7月期 売上高34億円、経常利益14億円、当期純利益9.0億円
2020年7月期 売上高43億円、経常利益10億円、当期純利益7.2億円
2021年7月期(予想) 売上高52億円、経常利益13億円、当期純利益8.8億円
※2019年7月期から連結決算

着実に増収を続けている。2020年7月期は減益となったが、売上高経常利益率24%と高い利益率は維持されている。

2021年7月期は増収増益を予想しており、売上高は50億円の大台突破の予想である。経常利益は増益の予想であるが、2019年7月期の14億円には若干届かない。2021年7月期Q1は売上高12億円、経常利益3.1億円でスタートした。

尚、2020年7月期は新型コロナウイルス問題の影響から日本国内ではインバウンド需要が低迷したものの、中国Eコマース販売には影響が見られず、中国Eコマース市場の活況を背景に増収を続けている。
 

財務状況

2020年7月期末時点で資産合計29億円に対し、純資産合計23億円、自己資本比率78%である。借入金1.4億円に対し現預金9.2億円を有しており、財務内容に対し特段の懸念事項はない。

資産の部における最大の科目は現預金9.2億円であり、次いで製品8.4億円となっている。また工場用地として有形固定資産で土地2.4億円を保有している。
 

資金使途

IPOにより42億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。

・新工場建設のための設備投資資金 20億円
・直営店の新規出店のための設備投資資金 1.0億円
・製品上市のための研究開発資金 0.3億円
・事業拡大に伴う増加運転資金 2.7億円

調達資金の約半数は新工場建設のための設備投資資金に充当される。

また公募株数3,000,000株に対し、売出株数3,600,000株であり、公募株数に比べ若干売出株数の多いIPOとなっている。売出は段社長及び王副社長の保有株中心に行われる。
 

株主構成

筆頭株主は段社長であり株式シェアの25%を保有している。第2位株主は王副社長であり段社長と同率の株式シェア25%を保有する。尚、王副社長は段社長の配偶者。両名と資産管理会社である株式会社イーグルファイナンス(株式シェア13%)、創維科技實業有限公司(同13%)及び親族の所有株式を含めると、段社長と王副社長の関係先で株式シェアの87%が保有されている。

個人中心の株主構成であり投資ファンドや金融機関などの株主参入はない。
 

まとめ

国内に本社を置きながら中国ECサイト中心に化粧品やサプリメントの販売を行う企業のIPO案件である。

新型コロナウイルス問題の影響で世界経済が落ち込む中でも中国のEC市場は成長が続いており、同社の製品も販売を伸ばしている。またECサイト経由のみならず、現地のエステサロンでの取り扱いもなされており、ブランド価値が維持されている。

現状は委託先での製造が殆どであるが、IPOによる調達資金を活用して自社工場の立ち上げを行う計画である。中国のEC市場の成長が続く間に、更なる製品開発に加えて自社工場の立ち上げを行い品質及び利益率の向上を行うことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。

また化粧品は景気変動に販売額が影響されるため、今後の中国の景気動向にも留意が必要と考える。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、化粧品および健康補助食品の製造・販売事業を展開している。中国向けが売上高の8割以上を占めており、中でも中国のネット流通大手のモールの旗艦店での売れ行きが好調となっている。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が374億円、業績予想ベースのPERは42.3倍となっている。

中国市場の成長を考慮すると公開価格に割高感はないが、資金吸収額が110億円と大きい為、初値は午前中に付くと推測する。もし、初値が相場の地合いで前場の早い時間に付くようなことがあれば、絶好の買い場となるかもしれない。

セカンダリー市場においては、公募・売出し株の売りが一巡した後は、ロックアップもあって、既存の株主の売りが出ることはなく、業績に連動して株価が動く展開を予想する。次の四半期決算発表は3月中旬となるが、好調な中国経済に後押しされて通期の業績予想の進捗率が高くなるか、業績予想の上方修正となれば、株価に見直し買いが入り大きく動くきっかけになるかもしれない。