投資信託をやめたほうがいい人・やったほうがいい人
(画像=Thaweekiat/stock.adobe.com)

投資信託は、投資家から資金を集め、運用のプロであるファンドマネージャーが株や債券といった投資商品の中から銘柄を選んで運用してくれる金融商品です。

少額からでも投資可能なので、投資初心者にもおすすめしたい金融商品ですが、対象の銘柄が多いため、「何を選べばいいのかわからない」という人も多いかもしれません。

この記事では、投資信託の選び方のポイントや、実際に多くの投資家が利用している楽天証券とSBI証券を中心に人気の商品と実際の投資信託の購入方法について解説していきます。

長期投資したいのか、リターンを狙いたいのかといった投資スタイルによってもおすすめする投資信託は違うので、タイプ別のおすすめ投資信託も紹介します。

  1. おすすめの証券会社1位は?【ランキング】
    1. 楽天証券
    2. SBI証券
  2. 楽天証券でおすすめの投資信託
    1. 1位:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
    2. 2位:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
    3. 3位:楽天・全米株式インデックス・ファンド
    4. 4位:eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
    5. 5位:eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
  3. SBI証券でおすすめの投資信託
    1. SBI証券 積立設定金額トップ5
    2. 1位:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
    3. 2位:One-たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>
    4. 3位:SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
    5. 4位:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
    6. 5位:SBI・V・全米株式インデックス・ファンド
  4. 「タイプ別」投資信託おすすめファンド
    1. 長期的な資産形成をしたい人向け
    2. 堅実に投資したい人向け
    3. 積極的に投資したい人向け
    4. おまかせ派の人向け
  5. 投資信託のメリット
    1. 少額から投資できる
    2. リスクを抑える分散投資が可能
    3. 実際の運用を専門家に任せられる
  6. 投資信託のデメリット
    1. 価格変動のリスク
    2. 信用リスク
    3. 金利変動リスク
    4. 為替変動リスク
  7. 投資信託の選び方のポイント
    1. 基本は分散投資
    2. 手数料などコスト面も重視
    3. 今後も成長する可能性の高い国・地域に投資
  8. 投資信託の始め方
    1. 楽天証券での投資信託の購入方法
    2. SBI証券での投資信託の購入方法
  9. おすすめの投資信託でよくある質問
    1. 中長期の運用でおすすめの投資信託は?
    2. 積立設定をしている銘柄の傾向は?

おすすめの証券会社1位は?【ランキング】

投資を開始するには、証券口座の開設をすることから始まります。投資初心者だと「そもそもどの証券会社を選べばよいかわからない」となることも多いのではないでしょうか。

そこで、金融情報メディア「NET MONEY」が2022年6月に実施した証券口座の利用状況に関する調査結果を紹介します。

証券口座を保有している20歳~69歳の男女1,000人を対象に調査を行った結果、投資目的で実際に口座開設した証券口座の1位は楽天証券(41.4%)、2位はSBI証券(29.7%)でした。

楽天証券とSBI証券は、メインで利用している証券口座、口座開設を検討した会社でも1位と2位になっており、幅広い年齢層の投資家に人気の証券会社です。

実際に現在利用している証券会社を選んだ理由として、「手数料の安さ(39.8%)」、「取扱商品の多さ(8.4%)」をあわせると、取引サービスに関する評価で約半数を占めています。(その他の上位評価は「会社の知名度や信頼性(18.2%)」、「アプリやツールの使いやすさ(10.6%)など)

どちらの証券会社も手数料などのコストが抑えられ、取扱商品が豊富なので、今後さまざまな投資に挑戦したいといった場合でも対応できます。

証券口座は1つに絞る必要はないので、楽天証券とSBI証券のどちらの証券口座も開設して、使いやすさで決めるというのも1つの方法です。

ここからは、楽天証券とSBI証券の詳細について紹介していきます。

楽天証券

楽天証券
(画像=楽天証券HP)

まず、楽天証券について紹介していきます。楽天証券はこれから投資を始めたい人におすすめの証券会社で、特に楽天経済圏を利用している人に向いています。

楽天証券では、投資信託やつみたてNISA、米国株などを豊富に取り扱っていますが、現在の楽天証券のサービスでは単元未満株の取引ができないので、個別株の単元未満株取引をしたい人にはおすすめできません。ただし、株式分割などにより単元未満株が発生した場合には買取請求することができます。(1件当たり330円の手数料がかかります)

楽天証券のサービス概要

投資信託 2650本
米国個別株 4289本
米国ETF 359本
単元未満株 △(買取請求のみ可能)
NISA
つみたてNISA 181本
iDeCo
ポイント 楽天ポイント
クレジットカード積立 楽天カード
連携金融機関 楽天銀行(マネーブリッジ)
その他 SPU(スーパーポイントアップ)
日経テレコン21(楽天証券版)

楽天証券の国内株取引手数料(税込)

約定代金 ~5万円 ~50万円 ~100万円
超割コース 55円 275円 535円
いちにち定額コース 0円 0円 0円

楽天証券の国内株取引手数料は、このようになっています。初期設定は、取引ごとに手数料を払う超割コースになっていますが、初心者で1日の取引金額が小さければ定額コースに変更することをおすすめします。

また、楽天証券を利用する場合、楽天カードと楽天銀行の口座を用意することをおすすめします。楽天カードでのクレカ積立と楽天銀行との連携(マネーブリッジ)などを利用して、SPU(スーパーポイントアップ)の対象となれば、楽天ポイントそのものの付与率が上がるため、楽天証券での証券取引以外でも有利になります。

例えば、マネーブリッジを設定したうえで、当月3万円以上のポイント投資を投資信託で行えば、+0.5倍のSPU対象になります。(ポイント投資は1ポイントでも利用すればSPUの対象)

出典:楽天証券

マネーブリッジは、楽天証券と楽天銀行の口座連携サービスですが、手数料がかかるなどのマイナス要素はないため、設定しておくと便利です。

マネーブリッジの設定をすると、楽天証券で取引する際に自動入金が可能なので、わざわざ入金処理をする手間が省けます。また、楽天銀行側の金利が優遇されるといったメリットもあります。

また、楽天証券では日経テレコン21(楽天証券版)を利用することができます。口座を保有しているだけで利用できるサービスなので、取引で楽天証券を利用しなくても口座を開設するメリットがあります。

SBI証券

SBI証券
(画像=SBI証券HP)

SBI証券も投資初心者におすすめの証券会社です。幅広いサービスがそろっているので、どこの口座を開設しようか迷っているのであれば、とりあえずSBI証券を選んでみてもよいでしょう。

SBI証券も投資信託やつみたてNISA、米国株を豊富に取り扱っているため、どの金融商品の投資を始めるにしてもおすすめできます。SBI証券では単元未満株の取引も可能で、S株という名称で取り扱っています。

SBI証券のサービス概要

投資信託 2658本
米国個別株 5587本
米国ETF 342本
単元未満株
NISA
つみたてNISA 183本
iDeCo
ポイント Tポイント、Pontaポイント、dポイントのいずれかを選択可能
クレジットカード積立 三井住友カード、タカシマヤカード、東急カード
連携金融機関 住信SBIネット銀行(ハイブリッド預金)
その他 住信SBIネット銀行と連携して、外貨決済での米国ETF自動買付が自動化可能

SBI証券の国内株取引手数料(税込)

約定代金 ~5万円 ~50万円 ~100万円
スタンダードプラン 55円 275円 535円
アクティブプラン 0円 0円 0円

SBI証券の国内株取引手数料も楽天証券同様、アクティブプラン(定額コース)へ変更することをおすすめします。1日の約定代金が100万円までは手数料が0円です。

アクティブプランでは、約定代金が100万円までは無料、200万円までは1,238円、300万円までは1,691円と他の主要ネット証券会社(楽天証券、auカブコム証券、松井証券、マネックス証券の定額コース)よりも低い手数料で取引可能です。

SBI証券で取引するときにおすすめなのは、住信SBIネット銀行との連携です。住信SBIネット銀行側でハイブリッド預金口座にお金を入れておけば、SBI証券の買付余力に即時反映されます。

出典:住信SBIネット銀行

住信SBIネット銀行と連携するメリットは、ハイブリッド預金だけではありません。住信SBIネット銀行では、米ドルの定期積立だと1米ドル当たり4銭と為替コストをかなり抑えることができます。

また、2022年6月3日より住信SBIネット銀行からSBI証券への米ドル定期自動入金が可能になりました。これによって、住信SBIネット銀行での米ドル定期積立から、SBI証券への自動入金、SBI証券での米国株式または米国ETFの定期積立までの流れが完全に自動化できるようになりました。

これから米国株へ投資してみたいという人には、コストを抑えた投資が可能ですのでおすすめです。(SBI証券では円貨決済の場合、通常1米ドル当たり25銭の為替コストがかかります)

楽天証券でおすすめの投資信託

ここからは楽天証券のおすすめ投資信託を紹介します。

楽天証券のNISA積立金額トップ5は、以下のとおりです。(集計期間:2022年7月9日~7月15日)

すべて海外株式(主に米国株)を中心に組み入れている投資信託です。為替ヘッジがないため、為替レートが円安に動くと保有資産の価値が相対的に上がります。

楽天証券 NISA積立金額トップ5

順位 ファンド名 委託会社 ファンド分類
1位 eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 三菱UFJ国際 海外株式
2位 eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 三菱UFJ国際 海外株式
3位 楽天・全米株式インデックス・ファンド 楽天 海外株式
4位 eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) 三菱UFJ国際 海外株式
5位 eMAXIS Slim先進国株式インデックス 三菱UFJ国際 海外株式

2022年7月9日~7月15日

1位:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) ファンド概要

名称 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
ファンド分類 海外株式
基準価額 19,083 円
純資産 13497.86 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.0968%
信託財産留保額 なし
リターン(年率) 11.29%
為替ヘッジ なし

米国インデックスのS&P500に連動する商品です。販売手数料、信託財産留保額はなく、信託報酬が年0.0968%と投資信託の中でかなり安い水準です。

S&P500は米国でも人気のインデックスで、米国を代表する約500の企業で構成されています。米国市場の時価総額の約80%をカバーしていますので、米国市場は今後成長すると予想するのであればおすすめの商品です。

eMAXIS Slim シリーズのファンドが人気ですが、このファンドは純資産が増えるほど信託報酬が低くなり、コストを抑えることができるのでおすすめです。

2位:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) ファンド概要

名称 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
ファンド分類 海外株式
基準価額 16,714 円
純資産 6002.39 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.1144%
信託財産留保額 なし
リターン(年率) 4.83%
為替ヘッジ なし

オールカントリーはMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスというインデックスに連携する商品です。

日本を含む先進国と新興国も投資対象としています。全世界へ分散投資ができますが、約60%を米国が占めているため、米国の影響が大きい商品です。

3位:楽天・全米株式インデックス・ファンド

楽天・全米株式インデックス・ファンド ファンド概要

名称 楽天・全米株式インデックス・ファンド
ファンド分類 海外株式
基準価額 19,633 円
純資産 6288.61 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.162%
信託財産留保額 なし
リターン(年率) 7.5%
為替ヘッジ なし

この商品は米国ETFでは有名な「VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケット)」と同様のインデックスに連動する商品です。

このインデックスは、NY証券取引所とナスダックで取り扱われている約4000銘柄を対象としており、米国市場をほぼカバーできます。

1位で紹介したS&P500インデックスよりもさらにリスクを下げたインデックスといえます。

eMAXIS Slimシリーズと比べると、わずかですが信託報酬手数料が高く、保有コストが余計にかかります。

4位:eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)

eMAXISSlim全世界株式(除く日本) ファンド概要

名称 eMAXISSlim全世界株式(除く日本)
ファンド分類 海外株式
基準価額 16,858 円
純資産 1563.66 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.1144%
信託財産留保額 なし
リターン(年率) 5.12%
為替ヘッジ なし

この商品は2位で紹介したオールカントリーから日本を除外したものです。オールカントリーでは日本が占める割合が約6%であったため、その分他の国の投資割合が増えています。

5位:eMAXIS Slim 先進国株式インデックス

eMAXIS Slim 先進国株式インデックス ファンド概要

名称 eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
ファンド分類 海外株式
基準価額 19,820 円
純資産 3470.05 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.1023%
信託財産留保額 なし
リターン(年率) 7.1%
為替ヘッジ なし

この商品は、日本を除く先進国の株式へ投資をします。4位の全世界株式(除く日本)も同様ですが、日本株は別に運用していて、日本株の保有比率を高めたくない人は日本を除く投資信託を購入するのも国をうまく分散する1つの方法といえます。

SBI証券でおすすめの投資信託

ここからはSBI証券のおすすめ投資信託を紹介します。

SBI証券の積立設定金額トップ5です。(集計期間:2022年7月11日~7月17日)

楽天証券と同じ商品もあります。また、集計タイミングの問題ですが、上位に債券の投資信託が入っています。

SBI証券 積立設定金額トップ5

順位 ファンド名 委託会社 ファンド分類
1位 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 三菱UFJ国際 海外株式
2位 One-たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり> アセットマネジメントOne 海外債券
3位 SBI・V・S&P500インデックス・ファンド SBIアセットマネジメント 海外株式
4位 eMAXIS Slim  米国株式(S&P500) 三菱UFJ国際 海外株式
5位 SBI・V・全米株式インデックス・ファンド SBIアセットマネジメント 海外株式

2022年7月11日~7月17日

1位:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) ファンド概要

名称 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
ファンド分類 海外株式
基準価額 16,714 円
純資産 6002.39 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.1144%
信託財産留保額 なし
リターン(年率) 5.07%
為替ヘッジ なし

楽天証券でも上位にランキングされているeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)がSBI証券でも人気です。

2位:One-たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>

One-たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり> ファンド概要

名称 One-たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>
ファンド分類 海外債券
基準価額 9,115円
純資産 104.92 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.22%
信託財産留保額 なし
リターン(年率) -11.75%
為替ヘッジ あり

海外債券を組み入れた投資信託商品です。為替ヘッジを行っており、コストが若干高くなっています。(為替ヘッジを行っても円高の影響を完全に排除できるわけではありません)

3位:SBI・V・S&P500インデックス・ファンド

SBI・V・S&P500インデックス・ファンド ファンド概要

名称 SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
ファンド分類 海外株式
基準価額 17,476円
純資産 6,193.48 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.0938%程度
信託財産留保額 なし
リターン(年率) 11.14%
為替ヘッジ なし

この週の積立設定金額では3位ですが、販売金額や販売件数では1位になることも多いSBI証券の人気商品です。

連動するインデックスはS&P500なので、eMAXIS Slim シリーズのS&P500と同様ですが、信託報酬は0.0938%とさらに低くなっています。

SBI証券でS&P500に連動する投資信託を購入するのであれば、こちらの商品を検討するのもよいでしょう。

4位:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)ファンド概要

名称 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
ファンド分類 海外株式
基準価額 19,083円
純資産 13,497.86 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.0968%以内
信託財産留保額 なし
リターン(年率) 11.29%
為替ヘッジ なし

楽天証券で1位になった商品です。SBI証券で3位の商品と同様にS&P500に連動しています。

3位のSBIのS&P500と比べると、信託報酬手数料はこちらのほうが若干高いですが、純資産額は大きいです。ただし、純資産額に関してもどちらも十分な基準ですので、好みで決めて問題はないといえます。

5位:SBI・V・全米株式インデックス・ファンド

SBI・V・全米株式インデックス・ファンド ファンド概要

名称 SBI・V・全米株式インデックス・ファンド
ファンド分類 海外株式
基準価額 11,129円
純資産 904.57 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.0938%程度
信託財産留保額 なし
リターン(年率) 6.61%
為替ヘッジ なし

こちらの商品は、楽天証券で3位になっている楽天・全米株式インデックス・ファンドのSBI証券版です。連動するインデックスはCRSP USトータル・マーケット・インデックスで、米国ETFのVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)と同様です。

「タイプ別」投資信託おすすめファンド

楽天証券とSBI証券の積立設定金額ランキングを紹介しましたが、投資のスタイルや年代などによってもおすすめの投資信託は異なります。ここではいくつかのタイプ別におすすめの投資信託商品を紹介します。

長期的な資産形成をしたい人向け

長期保有を前提に考えたい商品です。世界経済が成長している点に注目します。また、米国市場は今後も成長を続けると考えると、長期的なリターンが期待できます。

eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)

eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー) ファンド概要

名称 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
ファンド分類 海外株式
基準価額 16,714 円
純資産 6002.39 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.1144%
信託財産留保額 なし
リターン(年率) 5.07%
為替ヘッジ なし

楽天証券、SBI証券どちらのランキングにも登場した人気商品ですが、長期の資産形成にもおすすめの商品です。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は日本を含む全世界に投資することで国や地域を分散させてリスクを減らします。そのうちの約60%を米国市場が占めているため、リスク分散させつつも米国の成長を期待できます。

直近のリターンでは、S&P500のインデックスに連動する商品に劣っていますが、今後も米国が他の国よりも高い成長を続けることができる保証はないため、新興国を含め多くの国に分散させるほうが長期投資の王道といえます。

出典:目論見書より抜粋

また、eMAXIS Slimシリーズは信託報酬も低く、この商品も0.1144%と低水準ですので、コストを抑えつつリターンを求めることができます。楽天証券やSBI証券を含め多くの証券会社で購入でき、つみたてNISAも利用できるので、長期の資産形成を考えるのに適している商品といえます。

SBI・V・S&P500インデックス・ファンド

名称 SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
ファンド分類 海外株式
基準価額 17,476円
純資産 6,193.48 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.0938%程度
信託財産留保額 なし
リターン(年率) 11.14%
為替ヘッジ なし

S&P500は米国の主要な約500銘柄で構成されています。銘柄数は500銘柄ですが、米国市場の時価総額の約80%をカバーしています。

主な構成銘柄には、日本でも有名なGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック(現メタ)、アップル)などがあり、この10年で大きく成長してきました。

S&P500構成銘柄の上位10社
企業 割合
アップル 6.52%
マイクロソフト 5.96%
アマゾン 2.88%
グーグル(クラスA) 2.03%
グーグル(クラスC) 1.87%
テスラ 1.75%
バークシャー・ハサウェイ・インク(クラスB) 1.53%
ユナイテッドヘルス・グループ・インク 1.49%
ジョンソン&ジョンソン 1.45%
エヌビディア 1.18%

2022年6月30日現在
※グーグルは議決権の有無により株式が分かれるため、2つ載せています。

S&P500は定期的に銘柄の入れ替えを行っているため、このインデックスに選別される企業は優れた企業だけとなります。

S&P500は米国のみを対象としているため、全世界のインデックスと比較すれば分散が弱いと感じるかもしれません。ただし、米国以外の国の株式市場が不調にならない保証はありませんし、少なくともこの10年でみても長期でみるほど全世界に分散させるよりも米国市場に投資するほうがリターンが大きかったことは事実です。

S&P500連動ETF(VOO:青色線)とオールカントリー連動ETF(VT:桃色線)の比較
TraidingViewにて作成

SBI-SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは、信託報酬手数料が0.0938%とeMAXIS SlimシリーズのS&P500よりも低いので、コストを抑えつつ、長期的にリターンも狙いたいという人にはおすすめの商品です。

堅実に投資したい人向け

堅実に投資したい人には高配当株式に連動する投資信託はいかがでしょうか。紹介する投資信託では分配金はでませんが、分配金再投資されているため、堅実に成長していきます。

SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド

SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド ファンド概要

名称 SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド
ファンド分類 海外株式
基準価額 12,688円
純資産 1,311.9 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.1238%程度
信託財産留保額 なし
リターン(年率) 23.93%
為替ヘッジ なし

この投資信託は、FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスというインデックスに連動する商品です。このインデックスは米国ETFのVYM(バンガード 米国高配当株式ETF(VYM))が連動しているインデックスと同じです。

このインデックスは約400銘柄の高い配当利回りの銘柄で構成されています。下の表は構成銘柄の上位5社ですが、日本で生活していても聞き覚えのある企業ばかりです。

企業 割合
ジョンソン&ジョンソン 3.48%
エクソンモービル 2.69%
プロクター&ギャンブル(P&G) 2.56%
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー 2.45%
ファイザー 2.21%

2022年6月30日現在

組入れ銘柄のセクター構成として、ヘルスケアセクターや生活必需品セクターなどのディフェンシブ銘柄の割合が比較的多いため、株式市場の下落時にも強い商品といえます。

楽天・全世界株式インデックス・ファンド

楽天・全世界株式インデックス・ファンド ファンド概要

名称 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
ファンド分類 海外株式
基準価額 16,271 円
純資産 1934.12 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.202%
信託財産留保額 なし
リターン(年率) 3.85
為替ヘッジ なし

楽天・全世界株式インデックス・ファンドは、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスというインデックスに連動しており、日本を含む先進国と新興国の株式約8000銘柄へ分散投資しています。

信託報酬手数料が0.202%と、ここまで紹介してきた商品よりもやや高めなので、コストとリターンのバランスで検討しましょう。

積極的に投資したい人向け

もっと積極的に投資したい人は、新興国への投資や、アクティブファンドの投資も検討しましょう。

楽天・全米株式インデックス・ファンド

楽天・全世界株式インデックス・ファンド ファンド概要

為替ヘッジ
名称 楽天・全米株式インデックス・ファンド
ファンド分類 海外株式
基準価額 19,633 円
純資産 6288.61 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.162%
信託財産留保額 なし
リターン(年率) 7.5%
なし

楽天証券の3位で紹介した商品で、米国株式を組み入れた投資信託です。構成銘柄は約4000銘柄と米国市場のほぼ全体をカバーしていますので、米国市場全体の成長を享受できます。

年金積立Jグロース (つみたてJグロース)

年金積立 Jグロース ファンド概要

為替ヘッジ
名称 年金積立 Jグロース
ファンド分類 国内株式
基準価額 33,434 円
純資産 516.97 億円
販売手数料 2.2%
信託報酬(税込み/年) 0.902%
信託財産留保額 なし
リターン(年率) -3.20%
なし

年金積立Jグロースはこれまで紹介した投資信託と異なり、ファンドマネージャーが銘柄を選定しているアクティブファンドです。

TOPIXを上回る投資成果を目指しており、今後の成長が期待できる企業、自己資本利益率が高い企業、株主への利益還元が期待できる企業を厳選しています。

アクティブファンドなので信託報酬手数料は高めで、購入時にも購入手数料がかかります。そのため、コストはこれまで紹介したインデックスファンドよりも高くなります。

選別方針や、選別された銘柄に共感できる人は投資を検討してみましょう。

eMAXIS Slim 新興国株式インデックス

eMAXIS Slim 新興国株式インデックス ファンド概要

名称 eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
ファンド分類 海外株式
基準価額 12,571 円
純資産 879.67 億円
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.187%
信託財産留保額 なし
リターン(年率) -7.46%
為替ヘッジ なし

eMAXIS Slimシリーズの投資信託で、新興国の株式を組み入れた商品です。MSCIエマージング・マーケット・インデックスというインデックスに連動しています。

中国、台湾、韓国で約60%を占めていますので、この地域の企業が今後成長すると予想するのであれば、投資商品として魅力的です。

出典:目論見書より抜粋

eMAXIS Slim 新興国株式インデックスは、投資のメインとして投資するよりも、サブの投資としてリスク分散とリターンを狙うサテライト投資の役割がよいでしょう。

おまかせ派の人向け

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楽天・資産づくりファンド ファンド概要

名称 楽天・資産づくりファンド
ファンド分類 バランス
基準価額 ファンドにより異なる
純資産 ファンドにより異なる
販売手数料 なし
信託報酬(税込み/年) 0.4915%
信託財産留保額 なし
リターン(年率) ファンドにより異なる
為替ヘッジ あり

この5つのファンドは株式だけでなく、債券や不動産(リート:REIT)も資産に組み入れられています。資産の配分が異なっており、リターンを大きく狙うファンドほど外国株式の組入れ比率などが高く、債券比率が低くなります。

出典:目論見書より抜粋

株式だけでなく、債券や不動産など、資産の分散は、株式で国や地域を分散するよりもリスクを軽減できるため、できるだけリスクを抑えた投資をしたい人にはおすすめです。

信託報酬手数料は0.4915%と他のインデックスファンドよりも高いですが、リバランスも自動で行ってくれるので、中長期でリスク分散しながらリターンを期待できる投資信託です。

投資信託のメリット

ここまで具体的な投資信託の商品を紹介してきましたが、金融商品は投資信託以外にもたくさんあるため、投資初心者の中には「何に投資をしたらよいかわからない」「本当に投資信託はおすすめなの?」といった不安もあるかもしれません。

投資信託は初心者にこそおすすめできる金融商品なので、資産運用として投資信託を選ぶメリットを解説していきます。

少額から投資できる

株式投資は原則100株から購入するため、株価が1,000円だとしても1000円×100株で10万円の資金が必要です。一方、投資信託は最低100円から購入できる証券会社も増えているため、投資初心者でも気軽に始めることができます。

株式を購入するときに基準となる値段は「株価」ですが、投資信託の場合は「基準価額」といいます。

出典:SBI証券

例えば、こちらの銘柄では基準価額は1万6,934円です。この基準価額は1万口分の金額です。基準価額は純資産を口数で割った値に1万をかけて算出します。投資信託は1万口単位で購入するわけではないため、少額から購入が可能というわけです。

投資信託の基準価額は設定日(運用を開始した日)を1万円としてスタートします。どんな投資信託でも1口1円で開始します。同じインデックスに連動していても商品によって基準価額が違うのはそのためです。つまり、同じインデックスに連動していても、単純に基準価額が高い商品がよいというわけではないということは覚えておきましょう。

リスクを抑える分散投資が可能

どのような金融資産に投資するにしても、分散投資を行いリスクを抑えることが重要です。投資信託は1つの商品で分散投資ができることがメリットです。

個人で複数の資産を購入するのは、知識と資金の両方が必要なので、現実的にはかなり難しいです。投資信託は投資家から資金を集めて運用のプロが分散投資を行うため、簡単にリスクを分散できます。

投資信託の組入れの中で銘柄を分散できるだけでなく、先進国と新興国といった国の分散や、債券や金などの資産の分散など、投資信託の銘柄によって分散方法はさまざまなので、自分の投資目的にあわせて商品を選びましょう。

実際の運用を専門家に任せられる

投資信託は運用のプロが分散投資をしてくれるので、個人で深い商品知識を覚える必要がありません。

また、株式投資は一般の投資家にもなじみがありますが、債券や金、コモディティーのような商品、新興国への投資など、そもそも買い方がわかりにくい金融商品もたくさんあります。このような資産を購入したいときにも投資信託はおすすめです。

投資信託のデメリット

投資信託のデメリットとして、元本保証されていないということが挙げられます。投資信託は、株式は債券などの金融商品に投資しているため、投資商品の株価の変動は投資信託の基準価額にも影響します。

ここでは投資信託の基準価額が減少する要因となる4つの主なリスクについて解説していきます。

価格変動のリスク

対象の投資信託銘柄が組み入れている株式や債券などの価格が変動して、保有資産に影響を及ぼすリスクのことです。

原則として、投資はハイリスクハイリターンなので、リターンが大きい商品のほうが価格変動のリスクは大きくなります。例えば、債券よりも株式、先進国よりも新興国への投資のほうが価格変動のリスクは高いといえます。

金融商品の価格(株価や基準価額など)は、国内外の政治や経済情勢、企業の業績など、ファンダメンタルズの影響を受けます。

信用リスク

信用リスクは国や企業など、有価証券の発行体が財務状況の悪化などにより運用に損失が生じるリスクです。

具体的には、倒産や債務不履行(利息や元本などがきめられた条件で支払えなくなること)によって、損失を被る可能性があります。

信用リスクは「信用できない危険度」であるため、信用リスクが低いほど信用度が高いということになります。

金利変動リスク

金利の変動が債券価格に影響を及ぼす可能性のことです。金利が上昇すると債券価格は下落し、金利が上昇すると債券価格は下落します。

金利が上昇すると債券価格が下落するのは、新たに発行される債券の表面利率が高くなるため、発行済みの債券は人気が下がるためです。

金利変動による債券価格の変動は、債券を組入れている投資信託の基準価額に影響します。

為替変動リスク

為替レートの変動により、保有資産に影響を及ぼすリスクのことです。外国通貨建ての商品に投資している投資信託では、円安になれば相対的に価値が上がります。

下の表は、為替レートが1米ドル=100円のタイミングで100米ドル分(円ベースでの基準価額は1万円とする)の資産を購入したと仮定したものです。前提として為替レート以外は変化がないものとします。

仮に為替レートが円安(1米ドル=110円)になると、ドルベースの資産は100ドルで変わりませんが、円ベースで換算すると1万1,000円になるため、相対的に資産価値が上がります。

為替レートの変動による基準価額の変化

  円高 購入時 円安
為替レート 1米ドル=90円 1米ドル=100円 1米ドル=110円
ドルベースの資産価値 100ドル 100ドル 100ドル
円ベースの資産価値(基準価額) 9,000円 1万円 1万1,000円

投資信託の商品では、為替変動リスクを減らすために「為替ヘッジあり」という商品も存在します。「為替ヘッジあり」の商品は為替リスクは減らすことができますが、ヘッジコストがかかります。

今後の為替レートの予想やヘッジコストを抑えたいのかといった投資判断により選ぶ商品を選択しましょう。

投資信託の選び方のポイント

投資信託は運用のプロであるファンドマネージャーが銘柄を選別、運用するので安心できる商品だと思うかもしれません。

実際には投資信託の銘柄でも手数料などのコストや、最終的なリターンは大きく異なるため、どの銘柄を選ぶかは重要なポイントです。

ここでは銘柄を購入した後に後悔しないために、投資信託の選び方や買い方を解説していきます。

基本は分散投資

投資でリスクを減らす基本は分散投資をすることです。投資信託へ投資する場合も分散投資をすることでリスクを減らすことが重要です。

具体的に「分散投資する」とは、次の3つを分散させることです。

分散させること

  • 資産
  • 国や地域
  • 時間

資産の分散は、株式だけに投資をするのではなく、債券や金など複数の資産へ分散(資産配分)することです。

例えば株式25%、債券25%、預貯金50%というように資産配分(アセットアロケーション)を決めることは、ポートフォリオを決めることよりも重要です。(ポートフォリオは株式投資の中でA企業とB企業の株を購入するといった具体的な金融商品の組み合わせです)

一般的に株式が値上がりするときには債権が値下がりするので、株式市場の下落に備えて債券も保有しておくなど、動きが異なる商品を複数保有することでリスクを軽減するわけです。

投資信託では、株式に連動する投資信託だけでなく、債券に連動する商品や不動産(REIT)に連動する商品もあります。このような商品を組み合わせて異なる資産を保有するようにしましょう。

また、1つの銘柄で複数の資産を組み入れている投資信託もあります。「バランス」という文言が商品名に入っていることも多いですが、商品ごとに組入れの構成比が違うので、確認が必要です。1つの商品で資産の分散投資までできるメリットがあり、タイプ別のおすすめ商品で紹介した「楽天・資産づくりファンド」もこのような商品です。

国や地域の分散は、日本国内に投資するだけでなく、海外にも投資することです。国内や海外、先進国と新興国などさまざまな分け方があります。

1つの国だけでなく、複数の国に分散投資することがリスク軽減になることはイメージしやすいでしょう。もし特定の国の政治や経済の状況が悪化しても、他の国でカバーすることができるからです。

さらに、2022年7月現在では米ドル/円の為替相場は1ドル=140円を突破する勢いです。海外資産は円安になったときに相対的に資産価値が上がるため、為替相場の観点からも複数の国へ分散投資することが重要です。

最後に、時間の分散です。投資信託は長期投資を前提に考えるようにして、時間の分散もするようにします。

具体的には「ドルコスト平均法」を利用して購入するのがおすすめです。「ドルコスト平均法」とは、例えば「毎月」のように一定期間ごとに同じ購入額で買い付けていく購入方法です。

定期的に同じ金額だけ購入すると、基準価額(投資信託の値段)が高ければ少ない口数を買い付け、安ければ多くの口数を買い付けるので、長期的に見ると1口当たりの購入価格が平準化され、価格変動のリスクを抑えることができます。

ただし、ドルコスト平均法は上がり続ける相場や下がり続ける相場など、一方方向だけに強く動く相場には向きません。上がり続ける場合は一括で購入、下がり続ける場合は投資タイミングを遅らせるほうが有利です。ドルコスト平均法が長期投資に適しているのはそのためです。

手数料などコスト面も重視

投資信託は株式投資と異なり、保有しているだけでコストがかかります。そのため、効率よく資産運用するうえで手数料などのコストを抑えることは重要です。投資信託にかかるコストは「目論見書」に記載されていますので、必ず確認してください。

投資信託の手数料には以下の3種類があります。

投資信託の手数料

  • 販売手数料
  • 信託報酬手数料
  • 信託財産留保額

販売手数料は、購入するときにかかる手数料です。現在は販売手数料がかからない(ノーロード)商品のほうが多いです。

つみたてNISA対象の投資信託は、ノーロードであることも条件の1つとなっていますので、つみたてNISA対象の商品は販売手数料がかかりません。

信託報酬手数料は、投資信託の維持にかかる手数料で、投資信託を購入する際に一番注目すべきコストです。投資信託は保有期間中コストがかかると説明しましたが、投資信託はファンドマネージャーなどのプロが運用しているため、その分コストがかかっています。それが信託報酬手数料です。

投資信託にはインデックスファンドとアクティブファンドがありますが、一般的には特定の株価指数に連動させるインデックスファンドのほうが信託報酬手数料が低くなります。アクティブファンドはファンドマネージャーが分析や銘柄の選別などを行う必要があるため、信託報酬手数料が高い傾向があります。

信託報酬手数料は、低いものでは約0.1%程度、高いものだと2%以上かかる銘柄もあります。仮に100万円分の資産を保有しているとして、0.1%であれば1,000円ですが、2%だと年間2万円もコストがかかるので、保有コストを小さくすることが重要だということがわかります。

投資信託は、ハイリターンを狙う金融商品ではありません。信託報酬手数料が高いと絶対にダメだということではありませんが、最終的なリターンに大きく影響することは理解して投資する必要があります。

信託財産留保額は、投資信託を売却するときにかかる手数料です。厳密には売却にかかるコストを残された投資家だけに負担させないようにするためのコストです。信託財産留保額がゼロの銘柄もありますので、コストを抑えて投資したい場合は確認しておきましょう。

信託財産留保額がゼロであることは、つみたてNISA対象となる条件ではありませんが、信託財産留保額がゼロではない銘柄でもかなり低めに設定されています。

今後も成長する可能性の高い国・地域に投資

投資信託でリターンを狙うには、今後成長が期待できる銘柄へ投資しなくてはいけません。コストが低くても、基準価額自体が下がったり、横ばいではリターンが期待できません。そのため、成長ができる国というのも重要なポイントの1つとなります。

投資信託では、新興国への投資を中心に組み入れているファンドがあり、商品名に「新興国」や「エマージング」といった文言が入った銘柄が多いです。新興国は先進国よりも今後の経済成長が大きいと考えられているので、大きいリターンを狙いたいのであれば、新興国への投資を検討してみましょう。

一般的に、新興国は東南アジアや中東、中南米などの市場を指しますが、通貨の暴落やインフレ懸念など、先進国よりも投資リスクが高くなります。政治や経済の動向に注意しておく必要があります。

リスクとリターンのバランスを考えると、米国市場への投資もおすすめです。

経済の規模は人口が大きく影響します。日本の人口は今後減少していくことが予想されますが、米国を含む中南米は少なくとも2050年頃までは人口が増加していくと考えられています。

下のチャートは約30年間のNYダウ平均(桃色線)とS&P500指数(青色線)の推移です。NYダウ平均は米国の代表的な30銘柄で構成されている有名なインデックスです。(日本の株式市場だと日経平均株価のようなインデックスです)

この30年間でも2001年のアメリカ同時多発テロ、2008年のリーマンショック、2020年の新型コロナウイルスなど、短期では大きく下げた場面はありますが、最終的にはそれ以上に成長しており、30年間で約10倍ほど成長しています。日本がバブル期の日経平均株価を超えられない状況を考えると素晴らしい成長です。

TraidingViewにて作成

米国ではGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック(現メタ)、アップル)といった巨大企業が次々と現れてきており、その時代の経済をけん引しています。今後もこのような企業が現れて、さらに米国市場全体が成長していく可能性は十分にあると考えられます。

投資信託の始め方

証券会社の口座を開設してあれば、実際に投資信託へ投資するのはとても簡単です。ここでは楽天証券とSBI証券の2つの証券会社について、実際に投資信託の購入方法を説明します。

楽天証券での投資信託の購入方法

楽天証券での一般的な投資信託の購入方法は次の3ステップです。

ステップ1:投信スーパーサーチ画面へ移動する

楽天証券にログイン後、投資信託タブから投信スーパーサーチで投資信託を検索します。

出典:楽天証券

ステップ2:投信スーパーサーチ画面で投資信託の個別銘柄を選択する

投信スーパーサーチ画面では、さまざまな条件で抽出することができます。下の図はつみたてNISAの対象を抽出しています。選択された181件の投資信託から管理費や純資産といった項目で並び変えて対象を選びます。

楽天証券の投信スーパーサーチでは、他にも株式や債券といった資産のタイプ、投資先の国といった条件で抽出することができます。

出典:楽天証券

ステップ3:投資信託の銘柄詳細から購入する

個別銘柄の詳細画面から購入へ進みます。「スポット購入」「積立注文」「つみたてNISA注文」があります。(つみたてNISAはつみたてNISA口座が必要です)

出典:楽天証券

スポット購入の場合、目論見書の閲覧についてポップアップが表示されるので、そのまま目論見書を閲覧して購入画面へ進みます。

スポット購入では基本的に買付金額を設定して、目論見書確認のチェックを入れるだけです。設定後確認ボタンを押すと、注文確認画面へ遷移するので注文を確定させます。

楽天証券の投資信託は、最低購入金額が100円なので投資初心者でも手軽に始められます。

出典:楽天証券
出典:楽天証券

積立注文では、以下の設定を行います。(基本はスポット注文と同じです)

積立注文の設定

  1. 引落口座と積立指定日を選択
  2. 積立金額を入力
  3. 分配金コースを選択
  4. 口座の選択
出典:楽天証券

引き落とし口座を選択すると、積立指定日以降の選択肢を選ぶことができます。積立金額は日付の指定はできますが、曜日指定などはできません。日付は月内のいずれか1日のみ選択できます。

出典:楽天証券

すべて選択したら、目論見書確認画面へ移動します。目論見書を確認したら「同意して次へ」ボタンを押すと確認画面へ移動するので、積立注文設定を確定させます。

出典:楽天証券

SBI証券での投資信託の購入方法

ここでは、SBI証券での投資信託の購入方法を説明します。

ステップ1:投資信託パワーサーチ画面へ移動する

SBI証券にログイン後、投信タブの「銘柄検索・取扱一覧」ボタンから投資信託パワーサーチ画面へ移動します。

出典:SBI証券

ステップ2:投資信託パワーサーチで投資信託の個別銘柄を選択する

SBI証券の投資信託パワーサーチでは、レーティング、株式や債券などの資産の分類、投資先の地域、買付手数料、信託報酬手数料などの条件で抽出ができます。

ここではつみたてNISA対象の中から、信託報酬手数料が最も低い銘柄を選びます。手数料等費用タブを選択して、信託報酬の昇順で並び変えました。

出典:SBI証券

ステップ3:投資信託の銘柄詳細から購入する

SBI証券の投資信託は「金額買付」「口数買付」「積立買付」「つみたてNISA買付」から選択できます。

出典:SBI証券

「金額買付」と「口数買付」は金額と口数を設定するだけで注文できます。初めて購入する投資信託は目論見書確認画面に移動しますので、目論見書を確認してから「同意して次へ」ボタンで購入画面に進みます。

下の図は「金額買付」の注文画面です。SBI証券の投資信託も最低購入金額は100円です。

出典:SBI証券

SBI証券の積立買付では「毎日」「毎週」「毎月」「複数日」「隔月」から選ぶことができます。「毎週」の場合、曜日を指定することができます。「複数日」は同月で何度でも日付を指定でき、「隔月」の場合、偶数月か奇数月でを選択してそのうち1日日付を指定できます。(1日、30日、31日は指定できません)

出典:SBI証券

おすすめの投資信託でよくある質問

最後に投資初心者からよく質問される内容について回答します。

中長期の運用でおすすめの投資信託は?

中長期で選択すべき投資信託のポイントの1つは、信託報酬手数料が低い投資信託を選ぶことです。保有コストが低いほど、資産運用の効率がよくなります。

もう1つのポイントは、今後の成長が期待できる銘柄を選ぶことです。今後の成長という意味では、国内株式市場より海外株式市場のほうが期待できる確率が高いです。特に米国市場は経済の規模と市場の制度が整っているという点からも期待できます。

以上のような点から、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は初めて購入する投資信託商品としてもおすすめできます。

積立設定をしている銘柄の傾向は?

この記事でも説明した楽天証券、SBI証券の積立ランキングを見ると、海外の株式を組み入れている投資信託が人気なことがわかります。特に、S&P500、全米、オールカントリーの3種類のインデックスに連動する商品はどちらの証券会社でも上位に入っています。

これらの結果から、投資家の多くが今後の米国市場に期待を持っていることと、コストが低いインデックスファンドを好んでいると予想できます。

楽天証券では年代別や性別で投資信託のランキングを確認できます。上の3つの投資信託はどの年代、どの性別でも人気ですが、男性の30代~50代のランキングでは、10位以内に「iFreeレバレッジ NASDAQ100」などのレバレッジ型の商品がランクインしています。

楽天証券 30代男性積立ランキング(設定金額)

順位 ファンド名
1位 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
2位 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
3位 楽天・全米株式インデックス・ファンド
4位 eMAXIS Slim 国内債券インデックス
5位 eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
6位 eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
7位 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
8位 iFreeレバレッジ NASDAQ100
9位 楽天レバレッジNASDAQ-100
10位 eMAXISSlim新興国株式インデックス

集計期間:2022年7月9日~7月15日

レバレッジ型の商品は、特定のインデックスの動きの2倍や3倍の動きをする商品です。例えば「iFreeレバレッジ NASDAQ100」はNASDAQ100指数の2倍の動きをします。ナスダックのレバレッジ商品は「レバナス」とも呼ばれており人気の商品です。

レバレッジ型の商品は相場が予想どおりに動けば大きな利益が出ますが、損失も大きくなる分リスクも大きくなるので、きちんとリスク管理しておかないと非常に危険です。

下のチャートは1年間のナスダック100指数のチャートですが、2022年以降は大きく下落しています。当然ですが、このインデックスに連動する商品は軒並み下落しています。

TraidingViewにて作成

「iFreeレバレッジ NASDAQ100」が20代ではランクインせず、男性の30代から登場するのはある程度資金に余裕があり、投資経験を積んだ人が設定しているのではないかと考えられます。

注意が必要なのは、レバレッジ型の商品は長期投資向きの商品ではないということです。特に投資初心者は、このような商品は投資するとしても積立設定するのではなく、スポットで投資するようにしましょう。