【目次】
①️日本エコシステム IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 日本エコシステム株式会社
- コード
- 9249
- 市場
- 市場第二部
- 業種
- サービス業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 松島 穣 / 1973年生
- 会社住所
- 愛知県一宮市本町二丁目2番11号 JES一宮ビル
- 設立年
- 1998年
- 社員数
- 137人(2021年7月31日現在)
- 事業内容
- ・公共サービス事業
公営競技場におけるトータリゼータシステムの設計・製造・販売・機器設置・メンテナンス・公営競技場の運営、並びに一般事業者も含めた空調衛生設備等のファシリティに関わる事業
・環境事業
排水浄化効率を促進する製剤の研究開発・製造・販売、産業用太陽光発電設備の設計・施工・保守
・交通インフラ事業
高速道路の構造物点検・電気通信設備保守・交通管制等のエンジニアリング、維持修繕・事故災害復旧・雪氷対策・交通規制等のメンテナンス
・その他
システム保守業務、AI技術を活用したICTソリューションの提供に関わる事業、不動産の仲介、売買、賃貸等不動産に関わる事業 - URL
- https://www.jp-eco.co.jp/
- 資本金
- 88,888,000円 (2021年9月8日現在)
- 上場時発行済み株数
- 2,670,000株
- 公開株数
- 670,000株
- 連結会社
- 5社
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/09/17→2,060~2,120円に決定
- ブックビルディング期間:2021/09/22 - 09/29
- 公開価格決定:2021/09/30→2,120円に決定
- 申込期間:2021/10/01 - 10/06
- 上場日:2021/10/08→初値2,200円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:みずほ証券
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:野村證券
- 引受証券:東海東京証券
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:極東証券
- 引受証券:安藤証券
- 大株主
- 松福(株) 51.89%
- オクヤホールディングス(株) 30.66%
- 松島穣 9.58%
- 松島啓晃 1.79%
- 中村成一 1.37%
- 内田敦 1.37%
- 奥村泰典 0.94%
- 稲生篤彦 0.47%
- JES社員持株会 0.42%
- 亀山直人 0.28%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/09 単体実績
4,377,959 468,040 372,583 1,012,112 - 2019/09 連結実績
6,149,550 474,992 236,176 1,299,986 - 2020/09 連結実績
6,122,590 419,788 226,313 1,529,517 - 2021/06 第3四半期連結実績
4,817,424 550,778 378,561 1,915,805 - ロックアップ情報
- 松島穣、松福株式会社、オクヤホールディングス株式会社、松島啓晃は、上場後180日目の2022年4月5日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 14億2040万0000円(670,000株×2,120円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 120,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 日本エコシステム株式会社<9249>は公営競技場のオッズシステム設計・運営などのトータリゼータシステムなどを展開する公共サービス事業、環境事業、高速道路の点検などの交通インフラ事業を主な事業として取り組む、本社を愛知県一宮市に置く企業である。
■沿革
同社は1998年11月に省エネ効果のある照明器具の安定器の交換等を目的に有限会社エコシステムとして設立された(2001年7月に日本エコシステム株式会社に組織・商号変更)。
その後、道路保全に関わる事業、公営競技に関わる事業、AIに関わる事業、排水浄化処理剤の製造・販売に関わる事業などを事業譲受により取り込み現在に至っている。■事業内容詳細
同社グループ(以下、同社)は同社及び連結子会社の計8社で構成されており、公共サービス事業・環境事業・交通インフラ事業・その他の4事業を展開している。各事業における主な内容は下記である。
上記のうち公共サービス事業が売上の半数以上を占める事業であり、次いで交通インフラ事業の売上が大きい状態である。
●公共サービス事業について
公共サービス事業は、公営競技場におけるトータリゼータシステムの設計・製造・販売・機器設置や一般事業者も含めた空調衛生設備等のファシリティに関わる事業、並びにトータリゼータシステム(下記の注を参照)のメンテナンスに関わる事業やAIによる競輪予想サービス・警備・清掃等の運営業務に関わる事業を手掛けている。●インフラ事業について
インフラ事業では高速道路の構造物点検、道路照明灯保守、道路維持修繕工事、事故・災害復旧工事などを手掛けている。
■部門別損益
2020年9月期 売上高61億円(対前年同期比▲0.4%減)、営業利益4.1億円(同▲14%減)
・公共サービス事業 売上高32億円(同▲3.0%減)、セグメント利益2.1億円(同31%増)
・環境事業 売上高5.6億円(同14%増)、セグメント利益0.5億円(同▲28%減)
・交通インフラ事業 売上高18億円(同▲3.8%減)、セグメント利益5.4億円(同▲12%減)
・その他事業 売上高5.5億円(同16%増)、セグメント利益0.8億円(同▲9.4%減)
2020年9月期の売上高は公共サービス事業が全体売上の52%を占める状態である。一方でセグメント利益は交通インフラ事業が5.4億円であり、公共サービス事業2.1億円を上回る。ただし各事業のセグメント利益が減益となる中で、公共サービス事業は増益を果たした。
各事業とも売上高5億円以上はあるものの、利益面では公共サービス事業と交通インフラ事業が同社を支える状態である。
■業績推移
2018年9月期 売上高44億円、経常利益4.7億円、当期純利益3.7億円
2019年9月期 売上高61億円、経常利益4.7億円、当期純利益2.4億円
2020年9月期 売上高61億円、経常利益4.2億円、当期純利益2.3億円
2021年9月期(予想) 売上高68億円、経常利益7.4億円、当期純利益5.1億円
※2019年9月期より連結決算
2020年9月期まで2期続けて売上高61億円、経常利益4.5億円前後で横ばいの推移が続いた。
2021年9月期は売上高68億円、経常利益7.4億円と増収増益の予想である。交通インフラ事業の増収を背景に大幅な増益が見込まれている。2021年9月期Q3(累計)は売上高48億円、経常利益5.5億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務内容
2020年9月期末時点で資産合計61億円、純資産合計15億円に対し自己資本比率25%である。借入金36億円に対し現預金7.0億円を有している。
資産科目のうち、建物及び構築物16億円、機械装置及び運搬具13億円などの有形固定資産35億円を計上。流動資産22億円より多い状態にある。
キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローが2019年9月期2.5億円、2020年3月期5.5億円となっている。2019年9月期は未払消費税等の減少▲3.1億円(2020年9月期は1.4億円)の計上などにより、営業活動によるキャッシュ・フローが2020年9月期に比べ大幅に少なくなっている。
■資金使途
IPOにより15億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・交通インフラ事業における点検・工事車両の取得、事業所の新増設を中心とする設備資金 5.9億円
・子会社のシステム開発資金のための投融資資金 3.0億円
・環境事業における排水処理に関わる研究開発資金 2.0億円
・技術者及び管理部門の人材の採用費及び既存社員の教育費 0.5億円
・その他(M&Aに関する調査0.5億円、残額は採用増による人件費2.9億円に充当)
調達資金は交通インフラ事業の設備資金、子会社のシステム開発資金、新規採用などの人件費中心に充当される。
尚、公募のみが行われ売出は行われない。
■株主構成
筆頭株主の松福株式会社(株式シェア52%)、第2位株主のオクヤHD株式会社(同31%)は役員等により総株主等の議席権の過半数が所有されている会社である。松島社長は第3位株主(同9.6%)。役員の関連会社及び松島社長で株式シェアの9割以上が保有されており、安定的な株主構成である。
個人中心の株主構成であり金融機関やファンドの株主参入はない。
■まとめ
愛知県一宮市に本社を置く、公営競技場のオッズシステム設計・運営などのトータリゼータシステムなどを展開する公共サービス事業、環境事業、高速道路の点検などの交通インフラ事業を主な事業として取り組む企業のIPO案件である。
複数の事業を展開しているが、公営競技場におけるトータリゼータシステムなどを展開する公共サービス事業と、高速道路などの修繕などを手掛けるインフラ事業が主力事業である。
業績は2020年9月期まで2期続けて売上高61億円、経常利益4.5億円前後で横ばいの推移となったが、2021年9月期は売上高68億円、経常利益7.4億円の増収増益予想であり、順調な進捗を見せている。
IPOによる調達資金を活用するなどして2022年9月期以降も継続的な成長を果たすことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 近当社は、公共サービス事業 公営競技場におけるトータリゼータシステムの設計・製造・販売・機器設置・メンテナンス・公営競技場の運営、並びに一般事業者も含めた空調衛生設備等のファシリティに関わる事業 ・環境事業 排水浄化効率を促進する製剤の研究開発・製造・販売、産業用太陽光発電設備の設計・施工・保守 ・交通インフラ事業 高速道路の構造物点検・電気通信設備保守・交通管制等のエンジニアリング、維持修繕・事故災害復旧・雪氷対策・交通規制等のメンテナンス ・その他 システム保守業務、AI技術を活用したICTソリューションの提供に関わる事業、不動産の仲介、売買、賃貸等不動産に関わる事業を展開しています。
上場市場は東証2部。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額57億円、2021年9月期の業績予想ベースのPERは11.05倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が16億円と東証2部銘柄としては小粒なため需給はタイトだが、成長性の観点から買いが大きく入ることはないと推測し、初値は前場に付くと考える。
セカンダリー市場においては、当社は9月決算であり、11月中旬には決算と同時に来期の業績予想が出て来るので、業績予想が出るまで投資を待っても良いかもしれないが、公開価格のPERが11倍とかなり低いので、株価が公開価格を大きく割込むようなことがあれば、仕込んでおいて、決算直後にイグジットするという戦略もあるかもしれない。