(画像=PIXTA)

「Venus(ヴィーナス)」は銀行に代わる存在として注目されるDeFi(ディーファイ/分散型金融)の一つです。2020年から2021年にかけて、DeFiは世界的に注目を集めました。Venus上のトークンである「Venus(XVS)」は、投資対象として要注目の仮想通貨です。Venus(XVS)の特徴や過去の価格推移、今後の見通しについて詳しく解説します。Venusの概要を知りたい方やVenus(XVS)への投資を検討している方はぜひ参考にしてください。

  1. Venus(XVS)とは?
    1. VenusはDeFiの一つ
    2. XVSの単位や時価総額
  2. Venus(XVS)の価格推移
    1. これまでの価格推移
    2. 2021年以降の価格推移
  3. Venus(XVS)の今後の見通しは?
    1. イーサリアムのスケーラビリティ問題
    2. 他のDeFi関連銘柄の値動き
    3. 取引所への上場
  4. Venusの特徴
    1. 仮想通貨を貸し出せる
    2. 仮想通貨を借りることも可能
    3. ステーブルコインの発行が可能
    4. バイナンススマートチェーン上に構築
  5. Venus(XVS)の購入方法
  6. Venus(XVS)の取扱取引所
  7. Venus(XVS)の今後まとめ

Venus(XVS)とは?

まず、VenusとVenus(XVS)について基本情報を解説していきます。

VenusはDeFiの一つ

Venusの正式名称は「Venus Protocol(ヴィーナス・プロトコル)」ですが、略してVenus(ヴィーナス)と呼ばれることが一般的です。Venusは、バイナンススマートチェーン(BSC)というブロックチェーン上に構築されたDeFiの一つです。DeFiとは、ブロックチェーン技術を用いた金融仲介プラットフォームのことを指します。

これまで、金融仲介は銀行や証券会社、証券取引所、生命保険会社など、中央管理者としての企業が担ってきました。これに対してDeFiには、中央管理者である企業が存在しません。契約を自動実行するスマートコントラクト機能によって、中央管理者がいなくても自動で金融仲介が可能となるからです。DeFiでは、取引記録が正しいかどうかをユーザー同士が互いに精査し承認しあいます。

中央管理者としての企業を介さないメリットは、時間的・金銭的コストを大幅に削減できることです。既存のシステムとは一線を画す、画期的な金融仲介のあり方といえるでしょう。

Venusは通貨の貸し借りを行っていることから、よく「銀行」に例えられます。Venusを通じて仮想通貨を貸して利息を得たり、逆にVenusを通じて必要な資金を調達したりできます。

XVSの単位や時価総額

Venus上で機能するトークンはVenusと呼ばれ、ティッカーシンボル(銘柄識別のためのコード)と単位はXVSです。

仮想通貨のデータサイトであるCoin Market Capによると、2021年10月28日時点のVenusの時価総額は350億2252万4799円です。

Venus(XVS)の価格推移

続いて、Venus(XVS)の過去の価格推移を見ていきましょう。

これまでの価格推移

Venus(XVS)は2020年のローンチ直後、わずか360円でした。そこから価格が下がり、360円を下回る時期もありました。10月に入り400円を超えるも、再び360円を切る状況が続きます。11月には500円を超えましたが、12月に再び360円を切るなど、2020年は振るわない状況でした。

2020年12月31日時点のVenus(XVS)の価格は、362円です。Venus(XVS)の価格が大きく高騰したのは2021年に入ってからでした。

2021年以降の価格推移

2021年1月1日のVenus(XVS)の価格は376円でした。ところが、1月中に急上昇を始め、1月24日には953円と約2.5倍になります。さらに、1月31日には1000円を突破しました。Venus(XVS)はそのまま勢いに乗り、2月に価格が高騰します。

2月19日には9888円となり、直後に下落して3月25日には4051円となるも、再び上昇して4月15日に1万107円となります。その後、一時下落して4月24日には6568円となり、再び上昇して4月29日には1万2671円に達し、5月9日に1万5065円と最高値をつけました。

年初の価格と比較すると、約40倍です。仮に年初に100万円をVenus(XVS)に投資していたら、半年弱で4000万円もの資産を築いていたことになります。

しかし5月に、テスラ社およびスペースXのCEOであるイーロン・マスク氏が、ビットコインのエネルギー消費量が多いことに対して否定的なツイートをしました。マスク氏は、ビットコインによるテスラ車の購入を停止する考えも示しました。その影響で、ビットコインをはじめ多くの仮想通貨が一気に下落へと転じたのです。

Venusも例にもれず急落し、最高値から約2週間後の5月23日には2781円となり、最高値の5分の1以下になりました。そこからさらに下落し、7月20日には1591円に。8月以降はじわじわ上昇し、9月6日に4507円に達しますが、再び下落し、3000円台を推移しています。

2021年10月28日現在のVenusの価格は3,076円。2021年前半に一度価格が急上昇して下落した局面なので、今が買い時といえるかもしれません。

Venus(XVS)の今後の見通しは?

続いて、Venus(XVS)の今後の見通しについて見ていきましょう。

イーサリアムのスケーラビリティ問題

Venus(XVS)の価格が2021年に大きく高騰した理由として、イーサリアムが抱えるスケーラビリティ問題が影響した可能性があります。

契約を自動実行するスマートコントラクト機能を有するイーサリアムは、「ブロックチェーン開発の王様」とも呼ばれており、多くのブロックチェーン技術を活用したサービスで利用されています。しかしユーザーが増えたことで、イーサリアムは「スケーラビリティ問題」に直面しています。

スケーラビリティ問題とは、ユーザーが増えることで、手数料(ガス代)が高騰したり、処理の遅延が発生したりする現象のことです。イーサリアムでは、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)というコンセンサスアルゴリズムを採用しています。PoWでは取引の承認のため、膨大な量の計算をこなさなければならず、スケーラビリティ問題が発生しやすくなります。レンディングプラットフォームにしろDEXにしろ、DeFiの多くは、イーサリアムブロックチェーン上で構築されています。そのため、イーサリアムのスケーラビリティ問題によって懸念が広がりました。

その結果、イーサリアムブロックチェーンではなく、バイナンススマートチェーン上に構築されたVenus(XVS)への注目度が高まったと考えられます。なお、イーサリアムはこのスケーラビリティ問題を解決するためにも、PoSへの移行を目指していますが、まだ途上です。

他のDeFi関連銘柄の値動き

Venus(XVS)の今後の価格推移を予測する上で、DeFi関連銘柄の値動きを知ることも欠かせません。特に同じくバイナンススマートチェーン上に構築されたDeFiである「PancakeSwap(パンケーキスワップ)」の仮想通貨「CAKE」は、2021年にVenus(XVS)と似た値動きを見せています。

他のDeFi関連銘柄に注目することで、価格上昇や下落を予想する手掛かりが得られるかもしれません。

取引所への上場

Venus(XVS)は、2021年10月現在、日本国内の仮想通貨取引所では取り扱いがありません。しかし、DeFiが世の中に普及していくに従い、Venusの知名度が上がれば、Venus(XVS)が日本国内の仮想通貨取引所に上場する可能性があります。

一般的に、仮想通貨が取引所に新規上場すると価格が上がる傾向があります。新規上場のニュースがメディアで報じられることで知名度が高まったり、仮想通貨取引所が新規上場にあたりキャンペーンを実施したりするからです。

今後、Venus(XVS)が日本国内の仮想通貨取引所に上場すれば、価格が急上昇する可能性があります。今のうちにVenus(XVS)に投資しておけば、上場のタイミングで大きなリターンを狙えるかもしれません。

Venusの特徴

続いて、仮想通貨Venus(XVS)がガバナンストークンになっているDeFiのVenusの特徴を紹介していきましょう。

仮想通貨を貸し出せる

Venusでは、仮想通貨を貸し出してリターンを得ることが可能です。仮想通貨を貸し出すことは、「レンディング」とも呼ばれます。

ただ、仮想通貨を貸し出してリターンを得るレンディング機能は、従来の仮想通貨取引所にもあります。日本国内でも、コインチェックやビットポイント、GMOコインなど、多くの仮想通貨取引所がレンディングサービスを提供しています。

従来の仮想通貨取引所とVenusの違いは、通常のレンディングのリターンに加えて、トークンであるVenus(XVS)を報酬として得られることです。つまり、同じ金額を貸し出したとしても、利回りが高くなりやすいということです。

仮想通貨投資には、中長期で保有して値上がりしたタイミングで売却する投資手法と、短期的な値動きを利用してリターンを得る投資手法がありますが、前者の場合、一定期間は仮想通貨を保有した状態が続きます。中長期的な成長を期待して保有している仮想通貨があるなら、Venusで貸し出すことで、リターンを少しずつ積み上げていくことが可能となります。

日本国内の仮想通貨取引所でビットコインやイーサリアムに投資している方も、Venusの利用を検討してみると面白いかもしれません。

仮想通貨を借りることも可能

Venusでは、預け入れている仮想通貨を担保として、仮想通貨を借りることも可能です。仮想通貨を借りた分、利息を負担する必要はありますが、たとえば借りた仮想通貨を「イールドファーミング」に回すことで、より大きなリターンの獲得を目指せます。

イールドファーミングとは、仮想通貨を貸し出して流動性を提供する見返りとして、一定の金利を得られる仕組みのことです。イールドファーミングによって、資産形成の効率アップをねらえます。

ステーブルコインの発行が可能

Venusでは、「VAI」というステーブルコインを発行できます。

仮想通貨は法定通貨と比較して値動きが激しいことから、決済手段としての実用性に乏しく、定着しにくいというデメリットがありました。このデメリットを解決するため、安定した価格を実現するインターネット上の通貨として登場したのがステーブルコインです。

価格を安定させる方法にはいくつかの種類がありますが、VAIの場合、価格が米ドルと同期するよう設計されています。VAIによってVenusの利便性が高まることで、Venus(XVS)の投資対象としての価値も上昇する可能性があります。

バイナンススマートチェーン上に構築

Venusは、バイナンススマートチェーン上に構築されたDeFiです。

バイナンススマートチェーンは、中国の大手仮想通貨取引所である「Binance(バイナンス)」が2020年秋にリリースした独自のブロックチェーンです。スマートコントラクト機能やステーキング機能が実装されており、イーサリアム仮想マシンとの互換性も備えています。

今後、バイナンススマートチェーンを活用した開発が進むにつれ、バイナンススマートチェーン上のDeFiであるVenusへの注目度も上がる可能性があります。

Venus(XVS)の購入方法

Venus(XVS)は、2021年10月現在、日本国内の仮想通貨取引所では取り扱いがありません。Venus(XVS)を購入するには、海外の仮想通貨取引所を利用する必要があります。

Venus(XVS)を購入する手順は次の通りです。

1.まず、国内の仮想通貨取引所で口座開設し、ビットコインを購入する。
2.海外の仮想通貨取引所で口座開設する。
3.海外の仮想通貨取引所へとビットコインを送金する。
4.海外の仮想通貨取引所で、ビットコイン建てでVenus(XVS)を購入する。

ただし、海外の仮想通貨取引所は必ずしも安全とは限りません。2018年に、金融庁は認可を受けずに運営する無登録の暗号資産交換業者に対して警告を発しています。

仮想通貨取引所に対する規制なので、海外の仮想通貨取引所を利用したからといって法律違反になるわけではありませんが、トラブルに巻き込まれないよう注意しつつ、自己責任で投資しましょう。

Venus(XVS)の取扱取引所

2021年10月現在、Venus(XVS)を取り扱っている海外の仮想通貨取引所はいくつかありますが、代表的なのは最大級の規模を誇る中国の仮想通貨取引所「Binance(バイナンス)」です。2021年10月現在、BinanceはCoin Market Capでも取引高1位を誇ります。

Binance は100種類以上の仮想通貨を取り扱っており、ビットコインやイーサリアムなど主要な仮想通貨以外にも、多くのアルトコインや草コインを取り扱っています。Venus(XVS)をはじめ、将来の成長可能性を秘めた仮想通貨を積極的に発掘して投資したい投資家にとって、メリットが大きいといえるでしょう。

また、Binanceの公式ホームページは日本語にも対応しており、本人確認書類等が必要ですが、日本国内にいても口座開設できます。一時は日本居住者向けのサービスを停止していましたが、2020年にサービス提供を再開しています。

ただし、Binanceは金融庁の認可を取得したわけではないため、その点は押さえておきましょう。

Venus(XVS)の今後まとめ

DeFiは2020年から2021年にかけて各所で話題となりました。今後、時間をかけて少しずつDeFiが世の中に浸透していくと考えられます。いずれは、銀行や証券会社、生命保険会社などが存在しない世の中が来るかもしれません。DeFiは未来を大きく変える可能性を秘めています。

DeFiの一つであるVenusは、投資対象として要注目です。他のDeFi関連銘柄とも比較検討しながら、投資のタイミングを見極めましょう。