クレジットカードにはさまざまな特典がありますが、その中でも頼りになるのが付帯保険です。多くの場合、国内外の旅行時の補償がメインとなっていますが、日常生活でのアクシデントに対応している保険もあります。

今回は、クレジットカードの付帯保険について特徴から選び方まで詳しく解説していきます。

クレジットカードの付帯保険の特徴

(画像=PIXTA)
 

はじめにクレジットカードに付帯している保険の特徴を解説します。

保険料も加入手続きも不要

一般的に保険への加入には、申し込み手続きが必要です。普通の保険は「任意加入」といって、加入者の意思で申し込みを行うため、自分で保険会社に連絡をして申し込みに必要な個人情報を提出し、契約を結びます。しかしクレジットカードの付帯保険には、そういった手続きが一切必要ありません。クレジットカードの保有者になれば自動的に保険に加入したことになります。

クレジットカードの付帯保険は、カード会員への優待サービスとして提供されています。そのため保険料の支払いを必要としないことも大きな特徴です。

付帯保険の内容はカードによって異なる

付帯保険は、クレジットカードサービスの一つのため、補償内容はカードによって異なります。同じブランドでもゴールドやプラチナなど、会費が高額でステイタスの高いカードほど補償内容も厚くなる傾向です。

年会費無料の場合でも付帯保険がつくものもある

年会費無料のクレジットカードにも付帯保険が付いていることが多い傾向です。例えば旅行保険などが付帯していない場合でも、お買い物安心保険や盗難・紛失に備える保険は付いていたりします。中には旅行中のアクシデントにまでしっかりと対応してくれるカードもあります。

クレジットカードの付帯保険の仕組み

クレジットカードに付帯する保険は、カード会社と保険会社が提携することで提供される補償サービスです。クレジットカードの付帯保険には「自動付帯」「利用付帯」の2種類があります。例えば旅行保険の場合、「自動付帯」のクレジットカードであれば、何もしなくても自動で旅行中の補償が受けられる状態です。

一方で「利用付帯」のクレジットカードの場合は、旅行代金の支払いをそのクレジットカードで行わなければならないなど、一定の条件を満たしていることが必要になります。保険が付いていても、利用付帯か自動付帯かはクレジットカードによって異なるため、規約をしっかりと確認しておきましょう。

クレジットカードの付帯保険の主な内容一覧

以下は、一般的に見られるクレジットカード付帯保険の主な内容です。

保険名称 補償内容
国内・海外旅行傷害保険 傷害死亡・後遺障害 ・傷害死亡補償
旅行中の事故が原因で亡くなった場合の補償。上限で定められた一定金額を受け取ることができる
・後遺障害
旅行中の事故によるケガが原因で後遺障害が残った場合の補償。後遺障害の程度に応じた金額が支払われる
傷害・疾病治療費用 ・傷害治療費用
旅行中のケガの治療に支払った治療費用を補償。ケガの原因となった事故から一定期間内の費用が対象
・疾病治療費用
旅行中の病気治療費を補償。医師による治療のほか、通院費や治療に必要な物品の購入費用も対象となる場合もある
救援者費用 ・旅行中にケガや病気で入院した際に親族などが現地に向かうための費用を補償。交通費と宿泊費が対象
・事故により遭難した際の捜索救助費用も対象となるケースもある
・入院の日数は、カード会社によって異なる
賠償責任 ・旅行中にアクシデントによって他人にケガをさせたり他人の物を破損したりして法律上の賠償責任を負った場合、相手方への賠償金や弁護士費用などを対象に補償される
携行品損害 ・旅行中に携行品が盗難に遭ったり火災などで損害を被ったりした場合に補償対象となる
航空機遅延費用等 ・航空機の遅延や預け荷物の到着遅延・紛失などのために生じた費用について補償
盗難・紛失保険 ・クレジットカードの盗難や紛失により第三者に不正利用された場合の補償。基本的な補償としてほぼすべてのクレジットカードに付帯している
ショッピング保険 ・クレジットカードで購入した商品の破損や盗難について補償
・クレジットカードによって補償内容が異なるため、補償範囲の確認が必要
オンライン不正保険 ・オンラインプロテクションとも呼ばれ、オンラインでのカード利用で身に覚えのない第三者によるクレジットカード不正使用の被害を補償
・近年は、多くの場合、基本的な保険として付帯されている傾向
ゴルフ保険 ・ゴルフ中の自身のケガや対人の賠償事故、用品の破損などを補償
・オプションで選べる場合が多い
シートベルト保険 ・シートベルト着用中の事故による死亡や後遺障害を補償
自転車保険 ・自転車に乗っている際、事故に遭ったり事故を起こしてしまったりした際の損害や賠償を補償
個人賠償責任保険 ・日常生活において、他人にケガを負わせた場合や物品を破損し、賠償責任が生じた際に補償が受けられる

クレジットカードの付帯保険は、上記以外にもカード会社やカードの種類によって補償内容はさまざまです。例えば女性専用カードの場合には、女性特有の病気に対しての補償が付加されているもの、その他子育て支援や家族の賠償までカバーする保険など、クレジットカードの利用者層に合わせたサービスが提供されています。

上述したように紛失・盗難、オンライン上での不正利用を対象とした付帯保険が基本となってきています。ただし補償を受けられる条件が定められているため、規約をしっかりと確認しておくことが大切です。

クレジットカードの付帯保険の使い方

クレジットカードの付帯保険は、選ぶカードによって内容が大きく異なります。活用方法もクレジットカード会社によって変わってくるため、使う可能性がある場合には前もって利用の流れや請求方法などを確認しておくのがおすすめです。例えば旅行傷害保険でも国内と海外では使い方・万一の場合の請求方法が変わります。

付帯保険の使い方の一例を見ていきましょう。ここでは、海外旅行傷害保険の使い方を参考例とします。

・海外旅行中の病気やケガ
現地の病院で診察・治療を受けた場合、一度代金を立て替えて支払っておき、帰国後に保険金の請求手続きを行います。このとき領収書・診断書などが必要となるので、忘れずに受け取るようにしてください。立て替え費用に不安がある場合には、クレジットカード会社のサポート窓口に相談することで医療費のキャッシュレスサービス、現地アシスタントサービスなどを受けられるものもあります。

・救援者保険
現地の医療施設に入院し救援者が必要な場合には、クレジットカード会社のサポート窓口に連絡し手配を依頼します。救援者の渡航・宿泊手配が行われますが、保険金は契約者の帰国後の手続きにより支払われます。

・携行品損害
携行品の破損や盗難については、帰国後の保険金請求手続きが必要です。盗難被害に遭った場合は、現地の警察への届け出をして、被害届の受理や詳細に関して記載された証明となる書類を受け取ります。手続きに際に必要となるので、必ず警察に連絡するようにしなければなりません。

同様の保険が付帯したクレジットカードを複数持っていた場合についても確認しておきましょう。この場合、それぞれのカードの保険が全部適応され、保険金が重ねて支払われるわけではないので注意が必要です。

例えば死亡・後遺障害保険の場合は、保有するクレジットカードのうち、最も高額な補償金額を限度として各クレジットカードから按分して支払われます。これは、異なる会社のクレジットカードであった場合でも同じです。

疾病・傷害保険の場合には、実際の損害額を限度とし、保有するクレジットカードの保険金を合算したうえで按分(あんぶん)して支払われます。旅行傷害保険については保険会社で同種の保険に入っていた場合にも、合算・按分しての支払いとなるため、加入済みの保険内容を確認しておくことが必要です。

クレジットカードの付帯保険の正しい選び方

クレジットカードを選ぶ際に付帯保険にあまり注意していない人も多いのではないでしょうか。保険は、いざというときに役に立ち助けてくれるものです。ここでは、クレジットカードを付帯保険の観点から選ぶ方法を解説します。

自分のライフスタイルに合ったものを選ぶ

これまで紹介してきたようにクレジットカードの付帯保険には、さまざまな種類があります。そのため旅行が趣味の人とあまり出かけない人では、保険を重視するポイントも異なります。例えば同じ旅行好きでも海外が多い人と国内のみの移動という人では、自分に合った補償内容であるかを判断しなければなりません。

比較的多いのは、海外旅行傷害が付帯していても、国内旅行の補償がないというケースです。せっかくクレジットカードで旅行費用を支払っても補償が付いていないのでは、少し損した気持ちになるかもしれません。また旅行にたまにしか行かない人には、旅行に関する補償の充実よりも日常生活での個人賠償などのほうが重要です。

自分のライフスタイルと保険が合っているかをよく確認して選ぶようにしましょう。

クレジットカードの付帯保険まとめ

クレジットカードの付帯保険を「おまけ」のように考える人もいますが、いざというときに頼りにできるサービスです。特に海外では、治療費が高額になることが多いため、手持ちの旅行保険だけでは少し不安な場合もあります。クレジットカードの付帯保険からも合算されて支払われることが分かっていれば万が一の際でも安心でしょう。

また保険に関連してクレジットカード会社では、サポート体制も整備しています。「わざわざ保険に入るまでもないけれどこんな補償があるといいな」と思うときには、クレジットカードの付帯保険を調べてみるといいかもしれません。