現代では、クレジットカードがないと、生活の多くの場面で不便を強いられます。なぜなら多くのサービスがクレジットカードに紐づけされており、他の決済方法が難しい場合があるからです。しかしクレジットカードをめぐる犯罪や事件のニュースを目にすると、「クレジットカード利用に対して不安を抱いてしまう」という人もいるのではないでしょうか。

この記事では、クレジットカードを安全に利用するために知っておきたい情報や対策をまとめて解説していきます。

クレジットカード利用の安全性を保つ方法

(画像=PIXTA)
 

クレジットカード利用で最も大切なのは、安全性です。利用に際して安全性を高めるには、不審な点にすぐに気づけるようにしておくことです。

以下の3つを常にチェックして、不正利用がないかを監視するように心がけましょう。

利用日と金額

クレジットカードの良い点は、利用明細が明らかにされることです。利用があればすぐにメールで知らせてくれるサービスが浸透しており、サイトで利用明細を見ることもできます。利用明細は、必ず確認し、まず利用日と金額の記載が正しいかを見るようにしましょう。利用日と決済日がずれているケースもあるため、金額の付け合わせをして確認を取るようにします。

家族の利用有無

家族カードを発行している場合は、その利用も本会員と同じく明細に記載されます。見覚えのない利用履歴があったときは、家族にカードの利用がなかったかについて確認しておきましょう。混乱を招かないよう一緒にカード明細をチェックする習慣をつけておくと良いかもしれません。

店舗と支払先名

明細を見ると店舗と支払先名が異なる場合もあるため、注意が必要です。なかには、店舗が所属するグループ名や決済を行う事業者名、略称・屋号などで記載されているケースもあります。いずれにしても日付・金額・支払先を一緒に見ることで、自分が利用したかどうかおよその見当をつけることが可能です。

クレジットカードの安全を脅かす被害一覧

クレジットカードに絡む犯罪は多様化しています。クレジットカードの安全を脅かす主な被害を6つ見ていきましょう。

なりすまし

クレジットカードやその情報を使ってカードの所有者になりすまし、不正利用するケースです。盗難や紛失によってクレジットカードそのものを奪われたり、スキミングなどの手口で情報を抜き取られたりすることで被害が発生します。

フィッシング詐欺

偽のメール経由で詐欺サイトにアクセスさせてクレジットカードの情報を盗む犯罪です。金融機関やクレジットカード会社、配送業者、大手通販業者などを装い「ID・パスワードの有効期限が近付いている」「本人確認の必要がある」といった内容でカード情報を入力させます。詐欺サイトに誘導され、会員登録の名目で同様に情報を盗まれるなど被害内容はさまざまです。

スキミング

「スキマー」と呼ばれる装置でカードの情報を盗み取る犯罪です。短時間のうちに磁気データを読み取られてしまうため、所有者は気づかないことが多く、犯人は偽造カードにコピーして正式なクレジットカードとして使用します。ゴルフ場やジムなどの更衣室でロッカーが荒らされ被害が多発した例があります。

オンラインショッピング詐欺

偽のショッピングサイトを立ち上げ、顧客が商品を購入する際にクレジットカード情報を盗む手口です。当然商品は届かず、クレジットカードの請求が来てから詐欺被害に気づきます。「日本語表記が怪しいサイトではクレジットカード決済を行わない」「ショッピングモールなど個別の店舗に情報が渡されない仕組みを提供しているところを利用する」などの注意が必要です。

出会い系サイト詐欺

「異性と話せる」「相談に乗るだけでポイントがもらえる」といった話にのせられて会員登録を行い、クレジットカード決済してしまうケースです。高額な登録料を取られたり、クレジットカード情報が二次流出したりするリスクもあります。なかなか口に出しづらく、立証が難しいこともあって被害が拡大してしまう傾向です。

オンラインショッピングからの情報漏えい

オンラインショップ事業者のサイトが攻撃を受け、不正アクセスによって顧客情報が流出してしまう被害です。個人情報を扱う事業者もセキュリティ対策を強化していますが、年々手口が巧妙になり情報漏えいの被害はなかなか防げません。利用した支払先が大手企業でもクレジットカードを使っている以上は、「絶対に安全」という保証はありません。

クレジットカードの安全性に異常があったときの対処法

先に紹介したような被害は、誰の身にも起こり得ることです。クレジットカードの利用履歴で異常に気づいたときの対処法を解説します。

カード会社への連絡

不審な利用が見つかったら、真っ先に行うのがカード会社への連絡です。できるかぎり迅速に行動しクレジットカードの利用を停止してもらいましょう。早ければ早いほど被害を小さく抑えることができます。カード会社では、カード保有者から連絡を受けると即時にカードの利用を停止し、不正利用の有無の調査を行って状況を把握して、不正利用が確認された場合は補償手続きが開始されます。

近年は、電話だけでなくアプリからカードの利用停止ができるサービスも提供されています。

クレジットカードの再発行

利用停止となったクレジットカードは、その後使えなくなります。新規のクレジットカードが発行され、カード番号も変更となるため、登録しているサービスがあれば変更手続きをしなければなりません。公共料金の支払いやサブスクリプションなど変更が必要な先に連絡をしておきましょう。

警察への届け出

カード会社の調査で不正利用が確定された場合は、警察に被害届を提出します。補償を受けるためには、被害届を出している必要があるため、忘れないようにしましょう。届け出を行うと警察から受理番号が発行されるため、カード会社にも伝えます。

クレジットカード選びの際にできる安全対策

クレジットカード利用の安全対策は、カードを作る段階から行うことが可能です。安全対策としてのクレジットカード選びについて解説します。

不正利用時の補償サービスを比較してカードを選ぶ

クレジットカードの持ち主がどんなに気をつけて利用していても、オンラインでのサービスが増加してキャッシュレス決済が浸透している現代社会で被害を完全に防ぐことは困難です。身に覚えのないカード利用があった際の補償サービスが充実しているクレジットカードを選んでおけば、万が一の場合も安心でしょう。

今は多くのクレジットカードに不正利用時の補償が付帯していますが、補償内容や条件はカード会社によって異なります。「クレジットカード選び」というと、ポイント還元率の高さや特典などに目を奪われがちです。しかしいざというときの補償サービスを比較して選ぶことも忘れないようにしましょう。

セキュリティ面を重視してカードを選ぶ

クレジットカードのセキュリティ対策も日々進化しています。カードのセキュリティには、主に以下のようなものがあります。

・ナンバーレス
クレジットカード本体に番号が記載されておらず、盗み見などの被害を防止することができます。

・3Dセキュア
インターネット上でのクレジットカード決済に際して、なりすましを防止する本人認証サービスです。本人しか知らないキーワードなどを用いて本人確認を強化できます。

・モニタリング
クレジットカード会社のシステムにより異常な利用を検知。海外での利用や高額な利用など通常と異なる利用状況があった場合、いち早く感知することが期待できます。

・ワンタイムパスワード
メールやアプリ、ワンタイムパスワードカードなどで一定時間しか使えないパスワードを発行します。通常のクレジットカード情報のみでは利用できません。

・タッチ決済
「コンタクトレス決済」とも呼ばれています。非接触で決済が行われるため、カード番号や暗証番号の流出の機会を減少させることが可能です。

・利用通知
ほぼリアルタイムでプッシュ通知が送られるサービスです。例えばカードが手元にあるのに決済が行われている場合は、即座に気づくことができます。

セキュリティ対策は、各カード会社によって提供しているサービスが異なります。利用のしやすさにも関係してくるため、自分の使い方に合う対策を施しているクレジットカードを探してみましょう。

クレジットカード不正利用の際に補償を受けるための基礎知識

クレジットカードが不正利用された際に補償を受けるには条件があります。万が一に備えて知識を深めておきましょう。

補償の仕組み

クレジットカードが不正利用された場合の補償は、紛失・盗難保険によって行われます。現在は、多くのクレジットカードにこうした保険が自動的に付帯されています。不正利用でクレジットカードの持ち主に対し多額の利用料金が請求される場合、「チャージバック」という仕組みによって同意のない支払いを取り消すことができます。

「チャージバック」とは、クレジットカードの保有者である消費者を守るための制度です。クレジットカードの保有者が請求された金額についてクレジットカード会社に異議申し立てを行う形で支払いが免除されます。

補償されないケース

不正利用が判明しても、すべてのケースで補償されるわけではありません。例えばクレジットカードの保有者側に何らかの落ち度があった場合は、補償の対象外となります。不正利用が補償されない一般的なケースは、以下のとおりです。

・不正利用の発生が補償適用期間外だった場合
クレジットカード会社では、不正利用の通知から起算して補償適用期間を定めています。対象となる期間以前の被害については、補償を受けられません。

・カード裏面のサインをしていなかった場合
クレジットカードの利用規約に裏面のサインを所有者が行うことを定めています。サインがなかった場合には、規約違反となるため補償の対象外です。

・カードを知人に貸与していた場合
クレジットカードは、契約した所有者以外の利用が禁止されています。カード規約に違反する行為となるため、補償されません。

・家族による不正利用
知人に貸与していた場合と同様にカード規約違反となるため補償の対象外です。

・暗証番号を自ら入力・記載した場合
暗証番号の管理は保有者の責任となるため、データの盗難といったケース以外では補償されません。安易に暗証番号を漏らすのは禁物です。

・車内などにクレジットカードを放置していた場合
クレジットカードの管理の甘さは「故意または重大な過失」と見なされます。車上荒らしの盗難被害でも補償対象外となるため注意が必要です。

まとめ

クレジットカードの安全性は、自分の大切な財産に直結する重要な条件です。クレジットカード選びや管理に注意し、万が一に備えて不正利用に関する知識を深めておくことも大切です。自分が所有しているクレジットカードの規約にもしっかりと目を通しておきましょう。