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消費者金融系、流通系、信販系のクレジットカードは、一般的に審査が比較的甘いと言われていますが、果たしてそれは本当なのでしょうか?
クレジットカードの審査において、ブラックリストに載った記録がある場合、どのような影響が及ぶのでしょうか?
この記事では、クレジットカード業界で30年以上の経験をもつ消費生活ジャーナリスト、岩田昭男さんに取材し、「クレジットカードの審査の真相」を探ります。
岩田さんが自身のクレジットヒストリーを確認した経験や、スーパーホワイトの人がクレジットカードに申し込むコツなども紹介しています。
クレジットカードの審査に通る自信がない人はぜひ参考にしてください。
クレジットカードの「5つの種類」とは?
審査の甘いクレジットカードを選ぶ際に重視すべきポイントは「カードの分類」です。
クレジットカードは、発行会社の種類によって、主に「消費者金融系」「流通系」「信販系」「交通系」「銀行系」の5つに分類されます。
審査の難易度は、消費者金融系が最も低く、銀行系が最も高いとされています。
果たしてこの「通説」は本当なのでしょうか?
また、本当だとしたらなぜ消費者金融系や流通系、信販系は審査が甘いのでしょうか?
クレジットカードの専門家である岩田さんに尋ねてみました。
消費者金融系の審査は甘い?
―― 消費者金融系や流通系、信販系のクレジットカードの審査は比較的柔軟という意見がありますが、これは実際のところどうなのでしょうか?
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実際、正しい認識だと思います。なぜかというと、クレジットカード事業に後発で参入したからではないかと思います。ハードルを下げて、ユーザーを幅広く獲得するためですね。
―― なぜ、消費者金融はクレジットカード事業に参入したのでしょうか?
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イメージアップと、収益獲得のためではないかと思います。
―― 審査基準にも特徴はあるのでしょうか?
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消費者金融は貸出に対する返済能力を評価します。通常、カード会社は「買い物ができるかどうか」を審査するのに対し、消費者金融系は「お金を返せるかどうか」を審査しています。お金を借りて返さない人は、より切迫していることが多いです。それに対して、物を買ってもお金を返さない人は、ある程度の余裕を持っているケースが多いです。したがって、消費者金融はよりシビアな状況にある人々を対象にしているので、「懐が深い」とも言えます。
▼岩田さんに聞いた!消費者金融系カード
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流通系や信販系の審査が甘いのはなぜ?
―― 流通系と信販系のクレジットカード審査について教えていただけますか?
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なぜ流通系は審査が甘いのかというと、流通系の会社の本業はスーパーなど比較的、顧客単価が低い業態なわけですよね。より広く顧客を集めたいので、相対的に審査は甘くなるというわけです。
信販系の場合、会社のメインの収益源となるのは分割払いやリボルビング払いをする人々なので、そうした人々の審査が行われます。これは消費者金融に近い評価方法であるため、審査が甘くなりやすいと言えます。
―― 流通系と信販系ではどちらの審査が厳しいと思いますか?
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難しい質問ですが、強いて言うなら信販系の方が厳しいのではないでしょうか。流通系は商品をより多く買ってもらうために、審査を緩めるという戦略があります。これは、広範囲にわたって多くの人々にカードを使わせるという意図があります。
信販系は特定の人を集めたいのに対し、流通系は多くの人を集めることを目指しています。これから考えると、流通系の方が審査のハードルは低いかもしれません。
▼岩田さんに聞いた!審査が通りやすい流通系・信販系カード
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クレジットカードの審査に落ちやすい人とは?
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―― クレジットカードの審査に落ちやすくなる注意点はありますか?
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まず、一度に多くのクレジットカードに申し込むのはよくないと言えるでしょう。5枚、10枚などクレジットカードを一度に大量に申し込むと、カード会社は懸念を抱きます。
クレジットカードの申し込みが行われると、その情報はCICに蓄積され、全てのカード会社や銀行に共有されます。例えば10日間にわたって1枚ずつ申し込んだとしても、それが一連の行動として記録されます。この情報から、申込者がキャッシング目的である可能性を疑い、その人の信用情報をさらに詳しく調査するようになります。つまり、大量のカード申し込みは、自身の信用情報にマイナスの影響を与えかねない行動となります。
―― CICの情報はご覧になったことありますか?
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自分の情報については見たことがありますよ。その情報を見て、必要に応じて自分の行動を改めることが大切です。
―― 岩田さんご自身のクレジットヒストリーを確認した際、何か特に気になった点はありましたか?
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特別な感想はありませんが、うっかりした遅延が記録に残ることが気になりましたね。
―― 私は10年ほど前に携帯料金の支払いが遅れてしまったことがあるのですが、その一件は、まだ記録されているでしょうか?
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10年以上前のことというのであればもう残っていないと思いますよ。そういった遅延はおおよそ2年間記録されます。もし、3ヵ月以上遅延しているというのであればブラックリストに載り、記録は5年間残ります。
―― 過去にブラックリストに載った場合、5年以上経ったらその記録はもう他の企業には見えないのでしょうか?それとも、一度ブラックリストに載ったら一生残るのでしょうか?
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基本的にクレジットヒストリーにはブラックリストに載ったことは5年間しか残らないので他社には見えませんが、何かしらの推測はつくことがあります。
ブラックリストに載る人、というのはカード会社の審査担当からするとなんとなくわかったりするものなんですよ。
もちろん、延滞を一度でもしたらその延滞をしたカード会社には一生記録が残るので、注意が必要ですね。
クレジットカードを持てない人が「作るべきカード」
―― クレジットカードを作れない人が決済手段を手に入れるための方法について教えていただけますか?
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デビットカードはクレジットカードが持てない人のための選択肢で、銀行預金に直接つながっています。米国の例ですが、カード会社が預金状況を見て、時機を見てクレジットカードの発行を検討するといいますね。
―― つまり、デビットカードを使って信用をコツコツ貯めていると、クレジットカード作成のインビテーションが届くことがあるということですか?
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そういうことです。デビットカードの利用実績が信用情報として蓄積され、「この人ならクレジットカードの返済もできそうだ」と認めてもらいやすくなるわけですね。
クレカの利用実績がないスーパーホワイトが取るべき手段
―― スーパーホワイトという概念について教えていただけますか?
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スーパーホワイトは主にアメリカで使われている概念で、クレジットカードを利用した経験がない人を指します。例えば、日本からアメリカに留学した学生はアメリカでの信用情報がゼロからスタートするので、新たに銀行口座を開設し、デビットカードで買い物をしクレジットヒストリーを積み上げます。数年後、銀行はそのヒストリーを基にクレジットカードの発行を検討するのです。
―― なるほど、それなら銀行で口座を開設し、デビットカードでクレジットヒストリーを作り、銀行系のクレジットカードにステップアップするのが良いのでしょうか?
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はい、それが一般的な流れですね。ただし、必ずしも銀行系のクレジットカードがベストとは限りません。各人の状況によって選ぶカードは変わります。オリコやビューカードなど、他のカード会社も視野に入れて選ぶことが大切です。
昨日、とある芸能人のYouTubeの動画撮影に参加しました。その中で「どんなクレジットカードを持っているか?」について話をしていたら、お二人とも偶然なんですがJCB CARD Wを持たれていたんですよね。一人は何十年もいろいろなカードを試した結果で、もう一人は偶然に選んだそうです。
―― 興味深いですね。岩田さんは、最初にどのクレジットカードを作るべきだと思いますか?
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クレジットカードはある種、ステータスを表すものでもあるので、私はステータス性も大切ではないかなと思っています。
先ほどのお二人は芸能人であり、「会社」という後ろ盾がないので、ある程度の知名度があるJCBのカードを選ばれたのではないかなと思います。
―― デビットカードなどでクレジットヒストリーを積み上げた後は、個人の好みによりカードを選べば良いという理解で良いでしょうか?
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はい、基本的にはそのとおりです。ただし、最初のカード選びは、銀行系のカードを選択するのがおすすめかもしれません。社交場などで見せる機会があると、周囲に良い印象を与えることができます。
―― クレジットカードには利便性だけでなく、ブランドイメージという側面もあるべきということですね。特に肩書に不安のある人は、この点を重視するといいかもしれませんね。ありがとうございました。
早稲田大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。主力はクレジットカード&電子マネーの研究で、すでに30年間に渡って業界の定点観測をしている。主な著書としては、「Suica一人勝ちの秘密」(中経出版・現カドカワ)「信用格差社会」(東洋経済新報社)「信用偏差値」(文春新書)「クレジットカード・サバイバル戦争」(ダイヤモンド社)「ドコモが銀行になる日」(PHP)「キャッシュレス覇権戦争」(NHK出版)、また、クレジットカードのムックも50冊以上監修しキャッシュレスの生き字引として情報発信を続けている
公式サイト:岩田昭男の上級カード道場
Youtube:岩田昭男のキャッシュレス道場