未成年でお金を借りる方法8選!18歳未満で親に頼らず借りられる

「病気や怪我で働きたくても働けない…」
「求職活動を続けているが就業先がなかなか見つからない…」
「無職なので、どこからもお金を借りられない、親にも頼れない」

生活保護は収入や仕送り、年金などを含めても世帯月収が10万円を下回るのであれば、基本的に受給が可能です。実際に2023年3月時点で生活保護を受給している人は約203万人にも及びます。

「資産、能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する者に対し、困窮の程度に応じた保護を実施する」というのが厚生労働省が定めた生活保護という制度の趣旨です。

参照:生活保護制度の概要等について

今回は、生活保護を受給するための条件について解説します。編集部が都内福祉事務所の担当者に行った取材をもとに、生活保護の趣旨やもらえる金額、期間など、リアルな情報をお伝えします。

生活保護をスムーズに受けるための対策や注意点も解説しますので、生活を立て直すための第一歩に役立ててください。

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  1. 生活保護を実際に利用している人はいる?
  2. 生活保護とはどのような制度?
    1. いくらもらえるのか
    2. 保護の種類と内容は?
    3. 身辺調査や審査は厳しい?
    4. 即日でお金を受け取れる?
  3. 生活保護を受けるための条件
    1. 収入が最低生活費に満たないこと
    2. 就労不可であること
    3. 資産を保有していないこと
    4. 身内から経済的な援助が受けられないこと
  4. 生活保護の申請から受給までの流れ
    1. 居住地の福祉事務所窓口で申し込む
    2. 家庭訪問等の調査を受ける
    3. 審査結果の連絡を受ける
    4. 保護費を受給する
  5. 生活保護をスムーズに受け取るための対策
    1. 診断書などで働けないことを証明する
    2. ハローワークで求職活動していることを伝える
    3. 親族はいるけど頼れないことを伝える
  6. 生活保護の注意点
    1. 不正受給がバレると費用の返還や徴収を求められる
    2. 働けると判断されると受けられない
    3. 保護費をローン返済にあてることはできない
    4. 住宅ローン返済中の場合は、売却して生活費に充てる必要がある
    5. 福祉事務所の家庭訪問時は留守にしない
    6. 受給が決定したら毎月の収入を報告しなければならない
    7. 受給が決定したら福祉事務所のケースワーカーによる訪問調査を受けなければならない
  7. 生活保護の申請で落ちてしまったら?
    1. 生活保護に再申請する
    2. 再申請するときの対策は?
    3. そのほかに受けられる国の制度は?
  8. 生活保護を受けられた方の体験談をお聞かせください。
  9. 生活保護に関するよくある質問

生活保護を実際に利用している人はいる?

2023年3月時点で生活保護を受給している人は約203万人で、世帯数で見ると約165万世帯が生活保護を利用しています。

毎月新たに生活保護を受給開始している世帯数は、約2万世帯です。

生活保護を受給している人のうち半数以上は65歳以上の高齢者であり、次いで40~60代や19歳以下の利用が多くなっています。

下記表は、生活保護受給者数を年齢階級別にまとめたものです。

生活保護受給者数
年齢階級 受給者数 比率
65歳以上 1,054,581人 52.0%
60~64歳 160,321人 7.9%
50~59歳 274,385人 13.5%
40~49歳 193,747人 9.6%
30~39歳 95,709人 4.7%
20~29歳 53,509人 2.6%
19歳以下 194,469人 9.6%

このように、生活保護制度を使用してお金を借りる人は多くいます。

生活保護は誰もが受給できる権利があるため、貯金が底をついて今日明日の生活もままならないのであれば、ためらわずに申請しましょう。

生活保護とはどのような制度?

生活保護

生活保護とは、生活に困窮している世帯が健康で文化的な最低限度の生活を送れるように支援する制度です。

生活困窮者の生活を保護するとともに、自立の助長を目的としています。

国民は生活保護を受給できる権利があるため、条件を満たしていれば誰でも申請できます。

生活保護の申請は国民の権利です。

ただ、生活保護の財源は税金であり、1年間に約3.7兆円もの資金が生活保護費に充てられています。

生活保護を申請した際は不正受給を防止する目的で身辺調査が徹底的におこなわれるため、条件を満たしていない人や調査に応じない場合は生活保護を受給できません。

<都内福祉事務所取材「生活保護とはどんな制度?」>

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生活保護は、国民の最低限度の生活を保障するための制度です。

いくらもらえるのか

生活保護でもらえる金額は地域によっても異なりますが、東京の場合、単身世帯で12~13万程度です。生活保護の申請にとおると、厚生労働省の定める最低生活費を上限に不足する分を支給してもらえます。

最低生活費とは、一世帯が最低限の生活を送るために必要な1ヵ月分のお金のことです。

具体的な金額は世帯の人数や居住している地域、子どもの人数や障害の有無などで異なります。

生活保護受給者数
世帯 居住地 年齢 子ども 障害の有無 生活保護費
単身 東京都新宿区 40歳 なし なし 130,120円
3人世帯 神奈川県鎌倉市 夫婦:30歳
子ども:4歳
1人 なし 209,990円
高齢者夫婦 埼玉県さいたま市 65歳 なし なし 173,920円
単身 大阪府東大阪市 30歳 なし あり(1級) 141,230円

給料や年金、仕送りなどを得ている人は、最低生活費との差額分のみ生活保護費として受け取れます。

たとえば東京都に在住している40歳の独身男性の場合、最低生活費は約13万円ですが、毎月8万円の収入を得ているのであれば残りの5万円のみ支給してもらえるということです。

生活保護に受給期限はないため、保護が不要となるまで生活保護費が支給されます。

<都内福祉事務所取材「生活保護でもらえる金額は12~13万円程度」>

アイコン

東京23区内ですと、家賃としての支給額上限が5万3700円です。そして、生活費は単身世帯(1人暮らし)の方ですと 大体7万から8万ぐらいになります。ですから家賃と生活費とあわせて大体、12、3万というのが一般的です。

生活保護の金額は、受給者一人一人の収入状況や世帯状況にあわせ調整されます。例えば年金収入が5万円ある場合は差し引き7、8万円になる、また家族がいれば、1人あたり4万円前後加算される、という仕組みです。

地域によっても金額は変わります。東京23区、いわゆる大都市圏は基準の金額が1番高く、町村になると、低くなります。

こちらの金額は国の制度設計に基づくものです。「最低限度の生活の保障」という制度の趣旨に即した金額となります。

保護の種類と内容は?

生活保護の種類と内容は、下表のとおりです。医療については、かかった全額が給付されます。 また、出産やお葬式でも、数十万円の扶助が加算されるのがわかるでしょう。

生活保護の種類と内容
保護の種類 内容 金額
生活扶助 食費や光熱費、被服費など 年齢と世帯人数により異なる
住宅扶助 家賃や地代、住宅維持費など 例:単身世帯
38,000円~53,700円
教育扶助 義務教育を受けるために必要な
学級費、教材費、給食費、通学費など
2,600~5,100円
医療扶助 病気や怪我をした際に支払う
治療費や手術費、薬の費用など
診療に必要な最小限度の実費
介護扶助 介護サービスの利用に
かかった費用
介護サービスを受けるために必要な最小限度の実費
出産扶助 出産の際に必要な費用 上限311,000円
生業扶助 就職するための技能を習得する費用、就職の支度に必要な費用、子どもの高校の授業料など 上限47,000円等
葬祭扶助 お葬式、火葬、埋葬などの費用 上限212,000円

生活保護費は、主に生活扶助や住宅扶助から算出され、必要に応じてほかの扶助も加算されます。

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生活保護費=生活扶助①(食費など)+生活扶助②(光熱費など)+住宅扶助*+必要な扶助

※持ち家などがあって住居にお金がかからない場合、住宅扶助は支給されません。

たとえば生活保護受給後に出産をした場合は、出産扶助が加算されます。

生活保護費は毎月1回、決められた日に銀行口座への振り込みで支給されますが、医療扶助や介護扶助は直接専門機関へ支払われます。

つまり生活保護受給後に病院での治療や介護サービスを受ける場合は、窓口でお金を一銭も支払う必要がないということです。

身辺調査や審査は厳しい?

生活保護の身辺調査や審査が厳しいということはありません。資産や収入がなく、生活が苦しい人であれば誰でも受給できます

実際、生活保護を申請した人に対して9割ほどの世帯が新たに生活保護を受給開始しています。

年月日 申請数 保護開始世帯数
2023年2月 19,321件 17,300世帯
2032年3月 24,493件 22,190世帯

ただし、生活保護の申請をしたあとは、不正受給を防ぐ目的で身辺調査が徹底的におこなわれます

身辺調査では、主に次のことが調べられます。

身辺調査で調べられること
  • 本当に資産がないのか
  • 働ける状態ではないのか
  • 助けてくれる親族はいないのかなど

身辺調査の結果、本当に資産がないことや働ける状態でないことが明らかになれば、生活保護の受給が認められます。

<都内福祉事務所取材「生活保護の審査・身辺調査について」>

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生活保護の受給についてご相談があった際に、ご本人様の収入や預貯金といった資産状況をヒアリングします。収入が1万、2万程度でも、「貯金が100万、200万あります」となると、「まずはそちらを活用してください」という話になり、申請しても却下となるケースがあります。

収入状況について、雇用契約書や給与明細などの書類で確認します。

最終的に生活保護の開始が決まる際、決定通知書を手渡し・または送付いたします。却下となった場合も書面での確認が可能です。

支給の可否や金額について納得いただけるよう、決定通知書には、収入と預貯金の比較を載せています。

即日でお金を受け取れる?

生活保護は、即日でお金を受け取れません。申請から受給開始まで10日~14日かかります

生活保護の申請をしたあとは面談や家庭訪問をとおして、資産や生活状況、支援してもらえる親族の有無を徹底的に調査されるためです。

保護の実施機関は、保護の開始の申請があったときは、保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、申請者に対して書面をもって、これを通知しなければならない。

第三項の通知は、申請のあった日から十四日以内にしなければならない。

ただし、親族の調査や収入状況などの調査に時間がかかる場合は、要否の通知が届くまでに14日以上かかります。

とはいえ、生活保護の実施機関は、申請から30日以内に受給可能かどうかを申請者に通知する必要があります。

つまり、生活保護は申請から遅くとも1ヵ月あれば受給できるということです。

生活保護の支給開始までどうしても待てない場合、実施機関によっては保護の即日開始、または一時金の支給などに対応してもらえる可能性があります。

急ぎの場合は最寄りの福祉事務所にて生活保護の申請をするとともに、1日でも早く支給してほしい旨を相談しましょう。

<都内福祉事務所取材>

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申込時にいただいた資料の精度にもよりますが、生活保護を申請いただいてから、受給開始まで10日前後ぐらいはかかります。

基本的に、保護の申請をなさる、相談に来られる方は、生活に困っている方なので、 14日以内という期限はありますが、できるだけ早く手続きを進めます。

生活保護を受けるための条件

生活保護を受けるための条件は、次のとおりです。

生活保護を受けるための条件
  • 収入が最低生活費に満たないこと
  • 就労不可であること
  • 資産を保有していないこと
  • 身内から経済的な援助を受けられないこと

生活保護は条件を満たす人であれば、日本に永住権がある外国人も申請が認められます

また生活保護の受給に際し、年齢制限もありません。

生活保護を受けるための条件について、詳しく解説します。

<都内福祉事務所取材「生活保護の条件は収入・預貯金状況が基準を下回るかどうか」>

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働ける・働けない、今実際に働いている・働いていないにかかわらず、収入・預貯金状況が基準を下回るようであれば、 生活保護を受けることができます。

収入が最低生活費に満たないこと

生活保護を受けるための条件として、世帯収入が最低生活費に満たないことがあげられます。

最低生活費とは、日本国憲法の第25条で保障される「健康で文化的な最低限度の生活」を送るために必要な費用のことです。

具体的には、家賃のほか 食費、光熱費など生活に必要な費用を合計した最低の合計金額を指します。

参照:【生保基準】最低生活費の算出方法(R4.4 )

現時点で働いている人や親からの仕送りがある人、年金受給者も、毎月の収入が最低生活費に満たないのであれば生活保護の申請が可能です。

たとえば東京都23区在住、40歳独身男性の最低生活費は130,120円であるため、月収が13万円に満たない場合は生活保護を受給できます。

40歳独身男性の最低生活費は、一番低い場合で100,940円です*。

※住宅扶助も含む

つまり世帯月収が10万円、世帯年収が120万円を下回っている家庭は、生活保護の受給対象となり得ます。

一方で、世帯主に収入がなくても配偶者や子供が収入を得ている場合、または失業保険などを受給している場合は、合算した金額が最低生活費を上回るのであれば生活保護を受給できません

具体的な最低生活費は家族構成や居住地域などで異なるため、詳しい金額を知りたい人は最寄りの福祉事務所で聞いてみましょう。

就労不可であること

生活保護を受けるための条件として、就労不可であることがあげられます。

たとえば病気や障害、うつ病などによって仕事ができないと判断されれば、生活保護を受給できます。

現時点で働いている人も、病気や障害などによって最低生活費以上の収入を得られないのであれば申請が可能です。

とはいえ、生活保護の申請時に診断書など医療機関の見解を提出する必要はありません。

診断書がないと、うつ病やパニック障害などは証明しにくいですが、日記などを提出すれば考慮してもらえる場合があります。

ただし生活保護の申請後、福祉事務所からの検診命令によって、指定された医療機関への受診を案内されることがあります。

医療機関への受診は公費負担ではありますが、福祉事務所の指示に従わなければ生活保護を受給できません。

参照:相談室日誌 連載509 診断書必要と申請を拒否 生活保護窓口にSW配置を(岐阜)

生活保護を申請した後には、医療機関へ受診しなければならない場合があることを念頭に置きましょう。

就業先がない人も生活保護を申請できる

求職活動を続けていても就業先がなく、生活が困窮しているのであれば、生活保護を申請できます。

参照:生活保護についてのよくある質問|仙台市

実際に働く意思があり、特定の雇用主が雇い入れの意思を表明していない場合は、保護の要件を満たすとされるためです。

就業先がなく生活が苦しい場合は、最寄りの福祉事務所で相談してみましょう。

ただし働ける状況である人は、生活保護を受給しながら求職活動を続ける必要があります

<都内福祉事務所取材「相談者に合わせて、経済・就活・通院など、支援の形が変わる」>

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生活保護は、相談者に合わせて、経済・就活・通院など、支援の形が変わります。

働ける人の場合、その後の就労の支援という形で、お仕事探しをフォローする、というケースもあります。

民間の事業者に委託という形で就労の支援を行う自治体もあります。また、就労支援について、ハローワークに相談する場合もあります。

資産を保有していないこと

資産を保有していないことも、生活保護を受けるための条件となります。

生活困窮者が生活保護を申請するにあたって、まずは資産になるものを生活で活用することが法律によって義務付けられているためです。

第四条 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。

つまり下記のものを持っている人は、資産を保有しているとみなされるため、売却して生活で活用するよう求められます。

資産とみなされるもの
  • 最低生活費以上の預貯金
  • 使っていない土地や別荘
  • 金銭的価値が高い宝飾品
  • 自動車
  • 終身保険や養老保険など貯蓄性がある生命保険
  • 株など

自動車は原則として資産とみなされるため、生活保護の申請をした際は売却を求められます。

ただし足が悪く通院に必要な場合や公共交通機関がない場所に住んでいる人など、生活で車が必要だと判断された場合は所有が認められます

住居に関しては、住宅ローンを完済しているのであれば手放す必要はありません。

エアコンやパソコン、テレビなどは生活必需品としてみなされるため、所有したまま保護費を受給できます。

また125cc以下のオートバイや原付も、日常生活用品として認められます。

ただし生活必需品であっても、売ることで多くの金額を得られると判断された場合は、売却しなければなりません。

たとえば複数台のパソコンを所有している人は、1台を残してあとは売却するよう命じられる場合があるため注意しましょう。

身内から経済的な援助が受けられないこと

身内から経済的な援助を受けられないことも生活保護を受けるための条件です。

生活保護法第4条2項によって、身内からの援助は生活保護よりも優先されることが決められているためです。

民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。

たとえば、同居できる身内がいる・親から仕送りしてもらえる、といった場合は、生活保護の受給が認められません。

生活保護の申請をすると申請者に聞き込みがおこなわれたあと、実際に戸籍も取り寄せて親族がいないか確認されます。

その後、親族に援助する意思があるかどうかを確認する扶養照会がおこなわれます。

扶養照会の対象は、3親等以内の直系血族です。

3親等以内の直系血族
親等 血族関係
1親等 親、子ども
2親等 祖父、祖母、孫、兄弟姉妹
3親等 曽祖父、曾祖母、ひ孫、甥、姪、叔父、叔母

親族に援助する意思があるかどうかは、書面によって確認されます。

親族全員が扶養できないと回答した場合や返送がない場合は、身内から経済的な援助を受けられないとして生活保護の受給が認められます

仮に親族が資産を多く所有しており扶養能力があったとしても、援助を断られた場合は生活保護の対象です。

ただ、親族からの虐待など特別な事情がある場合は扶養照会を回避できます。

親族に居住地が知られたくないなど特別な事情がある場合は、調査をおこなわないように申し入れましょう。

<都内福祉事務所取材「親族への連絡は関係性を考慮して控える場合も」>

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そもそも、申請者のご親族の方が高齢である、生活保護を受けられている、介護施設に入所されてる、といった状況では、申請者を扶養できる可能性は低いです。

また、虐待やDVを受けている場合、親族に居場所が知られてしまうリスクがあるので、扶養照会などの連絡は差し控えます

生活保護の申請から受給までの流れ

生活保護の申請から受給までの流れは、次のとおりです。

生活保護の申請から受給までの流れ
  • STEP1:居住地の福祉事務所窓口で申し込む
  • STEP2:家庭訪問等の調査を受ける
  • STEP3:審査結果の連絡を受ける
  • STEP4:保護費を受給する

生活保護の申請をしたあとは役所による審査があり、下記のような書類の提出を求められる場合があります。

生活保護の申請後に必要な書類
  • 預金通帳
  • 給与明細
  • 年金・障害者手帳
  • アパート契約書
  • 公共料金の領収書
  • 健康保険証など

よりスムーズに審査を進めるためにも、必要書類は予め用意しておきましょう。

また生活保護費を受け取る際は、認印も必要です。

参照:生活保護 Q&A

<都内福祉事務所取材「まずは福祉事務所に相談を」>

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生活保護を希望されるときはまず、管轄の福祉事務所の窓口でご相談ください。そのまますぐ申請することも可能です。もちろん電話で相談いただいても構いません。

実際申請する場合、申請書類を書いていただき、通帳のコピー・住居の賃貸契約書など、収入や預貯金についての状況がわかる「挙証資料」を提出していただきます。

そこで、収入、預貯金の金額を確認して、基準の生活費に満たないようであれば、保護が決定されます。

支給開始前には、ご本人様のお家に訪問させていただきます。そこで、これまでどのような生活をしてきたのか、「生育歴」等について詳しくお話を聞く、という流れです。

居住地の福祉事務所窓口で申し込む

生活保護の受給を希望する人は、居住地の福祉事務所窓口にて申し込みしましょう。

多くの場合、福祉事務所は市役所内に設置されています。

最寄りの福祉事務所がどこにあるのかわからない場合は、厚生労働省の公式サイトから確認してください。

→最寄りの福祉事務所を探す

住んでいる地域に福祉事務所がないのであれば、町村役場にて申請が可能です。

参照:Q.3 生活保護の申請をしてから、受給できるかどうかがわかるまでどのくらい の日数がか

決まった住居がない人や住民票のある場所と異なる地域に住んでいる人は、現在住んでいる場所の最寄りの福祉事務所にて生活保護を申請できます。

ネットカフェを転々としている人や路上生活をしている人など、現時点で住所がない人は、申請する役所を現住所として申し込みしましょう

病気や障害などの事情があり、直接福祉事務所に来所できない場合は、電話で相談が可能です。

電話相談後、ケースワーカーが自宅や医療機関に訪問し、申請の意思が確認できれば申し込みを進めてもらえます。

ほかにも、生活保護はFAXや郵送でも申請できます。

地方自治体の公式サイトにある申請書を印刷し、必要事項を記入した上で申し込みましょう。

ただ、FAXや郵送で生活保護の申請をした場合は、後日福祉事務所への来所を求められる可能性があります。

なお、インターネットで生活保護の申請はできません。

<都内福祉事務所取材「申請は基本的に窓口に足を運んで行う」」>

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生活保護の申請は、基本的に管轄の福祉事務所に足を運んでいただき、ご相談いただきます。 しかし例えば、ご高齢の方で、足が悪くて福祉事務所まで来ることができないといった場合は、相談員が申請書を持って訪問し、お家で書いてもらう、ということも行っております。

また、ファックスで申請書類をお送りいただく、というケースもございます。

家庭訪問等の調査を受ける

生活保護の申請をしたあとは、ケースワーカーによる家庭訪問等の調査を受けます

家庭訪問の目的は、主に生活状況の確認です。

自力で生活できるかどうか、金銭的に価値が高い資産を隠し持っていないかどうかを調査されます。

いつもの生活リズムや健康状態、家計のやりくり状況などを聞かれた場合は、正直に答えましょう。

家庭訪問は、生活保護の申請から1週間以内に実施されます。

参照:訪問調査

ただ、家庭訪問をいつ実施するのかは事前に教えてもらえません

留守が続けば居住地の確認ができないことから生活保護の審査に通らない可能性があるため、生活保護を申請したあと1週間以内は、なるべく自宅で過ごすようにしましょう。

なお、生活保護の申請をしたあとは、家庭訪問とは別に下記の調査もおこなわれます。

生活保護を申請したあとに実施される調査
  • 預貯金の有無
  • 生命保険の加入状況
  • 扶養義務者の有無
  • 国民健康保険の加入状況
  • 児童手当の受給状況
  • 不動産の保有状況

上記の調査を経て、生活保護を受給できるかどうかが判断されます。

審査結果の連絡を受ける

家庭訪問がおこなわれたあとは、原則として生活保護の申請から14日以内に電話または郵送で審査結果の連絡を受けます

生活保護を受けられる場合は保護開始決定通知書を、受けられない場合は保護却下決定通知書を、福祉事務所の窓口または郵送で受け取ります。

保護却下決定通知書には保護を受けられない理由が書かれているため、再度申請を希望する際は参考にしましょう。

参照:生活保護のご案内 | 八尾市

<都内福祉事務所取材「審査結果は電話連絡、初回保護費は手渡し」>

アイコン

足立区では、審査結果は電話で「生活保護が決まりました」という風にお伝えします。そして、初回のお金を窓口に取りに来ていただきます。お電話で日程をあわせ、来ていただく、という流れです。

保護費の支給について、最初は今後の受給について流れの説明などありますので、来所いただき手渡し、という形になります。その際、決定通知書もあわせてお渡しします。

2回目以降は銀行振込となりますが、その手続きもそこで行います。タイミングによっては、その翌月から口座に振り込むことが可能です。

保護費を受給する

生活保護の受給が決まった場合は、福祉事務所へ来所し保護費を受給します。

最初の支給は手渡しで、2回目以降は銀行口座への振り込みで受給することになります。

支給日は自治体によって異なりますが、毎月3日や5日に保護費が振り込まれる自治体が多い傾向です。

<都内福祉事務所取材「生活保護はいつまで受けられる?期限は?」>

アイコン

生活保護の受給に期限はありません。収入が基準の生活費を下回る状況が続くようであれば 、受け続けることになります。

収入が最低生活費 を上回るようになれば、そこで停止となります。

生活保護をスムーズに受け取るための対策

生活保護をよりスムーズに受け取るためには、次のような対策を講じましょう。生活保護を1日でも早く受給したいなら、健康状態の調査や扶養照会がスムーズに終わるよう対策することが大切です。

生活保護をスムーズに受け取るための対策
  • 診断書などで働けないことを証明する
  • 親族はいるけど頼れないことを伝える

具体的にどのように対策すればいいのか、詳しく解説します。

診断書などで働けないことを証明する

生活保護をよりスムーズに受け取るために、診断書や障害者手帳などを準備しておきましょう

申請要件ではありませんが、就労不可であることを証明するのに有効です。

実際、診断書や障害者手帳があることで、生活保護の申請がスムーズに進んだ人もいます。

診断書がついて障害者手帳をもつようになってからかなり物事がスムーズに進むようになりました

ハローワークで求職活動していることを伝える

生活保護をよりスムーズに受け取るため、ハローワークで求職活動していることを伝えましょう。求職活動は、働く意思の証明となります。

ただし役所は、主にハローワークの利用状況から求職活動の実績を確認します。

ハローワークを利用していない場合は仕事探しを積極的におこなっていないと判断される可能性があるため注意しましょう。

参照:生活保護 条件(基準)

親族はいるけど頼れないことを伝える

生活保護をスムーズに受け取るためには、親族はいるけど頼れないことを伝えましょう

生活保護の申請をしたあとは、身内から経済的な支援が受けられないかを調べるために扶養照会がおこなわれます。

しかし、下記に該当する場合は扶養照会を控えてもらえます

扶養照会をしなくてもよい場合
  • 10年程度親族と連絡をとっていない場合
  • 親族からDVや虐待を受けていた場合
  • 親族に借金を重ねていた場合
  • 相続で対立した場合
  • 絶縁されている場合
  • 親族が70歳以上の高齢者である場合

家族に居場所を知られると危険な場合や、明らかに経済的な援助を受けられない場合は、扶養照会をおこないません。

自分が住んでいるところを家族や親族に知られたくない場合は、その旨を正直に担当者へ伝えましょう

ただし親族との関係が悪くないのであれば、扶養照会は必ず実施されます。

虚偽の申告をしてまで扶養照会を回避しようとすると、生活保護の受給を断られる可能性があるため注意しましょう。

生活保護の注意点

生活保護の申請時、および受給が決定した場合は、次の点に注意しましょう。

不正受給がバレると費用の返還や徴収を求められる

生活保護の不正受給がバレると、費用の徴収や返還を求められます

第六十三条 被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。

第七十八条 不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の額の全部又は一部を、その者から徴収するほか、その徴収する額に百分の四十を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。

たとえば資産があるにもかかわらず申告していなかった人の場合、生活が困窮しているのであれば保護内容の変更や停止処分となります。保護を受けなくても生活ができると判断されれば、生活保護は廃止です。

受給者が隠し持っていた資産額が少ない場合、または今すぐ売却できない場合は、翌月以降の保護費が減額されます。

金銭的に価値が高いものを隠し持っていた場合は、一括での返還を求められる可能性があるため注意が必要です。

一方、収入があるにもかかわらず申告していないことがバレた場合は、生活状況にかかわらず直ちに不正受給分の全額、または40%分を支払わなければなりません。

返還、および徴収に1年以上応じなかった場合は提訴され、場合によっては給与や財産などを差し押さえられる可能性があります。

また悪質な場合、告訴に進むこともあります。

下記は、十分な収入があったにもかかわらず数年間に渡って多額の保護費を不正受給した人が、詐欺罪として告訴されたケースの一例です。

生活保護を受給していた女性(65歳)が、収入を得ていたにも関わらず、その収入について須磨福祉事務所に報告を行わず、2021年3月までに380万円余りの生活保護費を不正に受給していました。 この行為は刑法による詐欺罪に該当するものであるため、厳重な処罰を求めて兵庫県須磨警察署に告訴状を提出しました。

不正受給は必ずバレるため、資産を隠し持ったり収入申告を怠ったりしてはいけません。

<都内福祉事務所取材「悪質な不正受給が発覚した場合、刑事告発・告訴の対象となる」>

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不正受給で得た生活保護費は返還してもらいます。悪質な状況であれば、刑事告発・告訴まで進むケースがございます。

なぜ不正受給がわかってしまううのかというと、生活保護を受けられてる方の税の申告状況を確認して、実態と一致しているかどうかを調査するからです。

実態については、毎年、住民税を調査し、 保護受給者の報告と、税金の情報とで差があれば、調査を行い、不正受給をしていた場合そこでわかります。

働けると判断されると受けられない

生活に困窮している場合でも、働けると判断されると生活保護を受けられません

たとえば次に該当する人は、働けると判断される可能性があります。

働けると判断される人
  • 病気や障害がなく健康な人
  • 65歳未満の人
  • 求職活動をしていない人など

生活保護の申請時に働けると判断された場合は、ハローワークで求職活動することを求められます。

ただ、国民には働かない自由が保障されており、役所が強制的に就労を促す場合でも拒否することができます

第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

生活保護は病気や障害がある人だけでなく、就労先が見つからない人も含め、生活が苦しい人であれば誰もが利用できる制度です。

中軽度の障害や傷病を持つ人、低学歴や無資格の人、人間関係が苦手な人なども受給対象となります。

生活が困窮しているのであれば、現時点で働けない状態であること、また就業先が見つからない旨を強く主張しましょう。

とはいえ、心身が健康であり人間関係も問題なく、ただ仕事をしたくない場合は生活保護を受給できません。

保護費をローン返済にあてることはできない

生活保護を受給する際は、保護費をローン返済に充てることはできません

生活保護費は最低限の生活をするために支給されるお金であり、ローンの返済に充てることは生活保護の趣旨に反するためです。

カードローンなどで借金をしているからといって、生活保護の受給が認められないわけではありません。

しかし、カードローンなどを利用している人が生活保護を申請した際、通常は自己破産などの債務整理を勧められます。

つまり借金がある人は、生活保護を申請しても断られる可能性が高いということです。

ただし、どうしても生活保護を受給したいからといって、借金があることを隠すことはやめましょう。

過去には保護費を受給したあと、多額の借金が発覚したことによって、不正受給とみなされたケースもあるためです。

参照:地方自治法施行令第160条について適切な事務処理│大田区

正直に話せば解決方法が見つかることもあるため、借金があって生活が苦しい場合は、最寄りの福祉事務所にて相談することからはじめてみましょう。

住宅ローン返済中の場合は、売却して生活費に充てる必要がある

生活保護を申請する際、住宅ローン返済中の場合は、自宅を売却して生活費に充てる必要があります
「最低限度の生活を保障する」という生活保護制度の趣旨に反するため、保護費をローン返済にあてることはできません。

問14 ローン付住宅を保有している者から保護の申請があったが、どのように取り扱うべきか。

答 ローンにより取得した住宅で、ローン完済前のものを保有している者を保護した場合には、結果として生活に充てるべき保護費からローンの返済を行うこととなるので、原則として保護の適用は行うべきではない。

そのため、住宅ローン返済中の人が生活保護の申請をすると、不動産を処分した上で再度申請するよう指導されます

もし住宅ローンを完済しているのであれば、生活保護を受けることは可能ですし、住居の売却は求められません。

また、事業や農業などで利用する土地を所有している場合も同様に、土地を手放さずに生活保護を受給できます。

とはいえ、家や土地の処分価値が著しく高いと判断された場合には、売却を求められる可能性があるため注意しましょう。

<都内福祉事務所取材「ローン返済中は生活保護は受けられない、完済すれば受けられる」>

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住宅ローン返済中の方は、生活保護の受給ができない場合があります。住宅ローンがあっても、ローン残高が小さいなど、状況によっては対象になる場合もあります。ローンが完済していれば、 生活保護の対象となる場合があります。持ち家は資産価値によって、活用していただく場合があります。

高齢者の方の持ち家につきましては、「リバースモーゲージ」 という制度をご活用いただくことも可能です。

リバースモゲージとは:自宅を担保にした融資制度のこと。自宅を所有しているが現金収入が少ないという高齢者が、住居を手放すことなく毎月の生活費を借りられる。

福祉事務所の家庭訪問時は留守にしない

生活保護を申請したあと、福祉事務所によって実施される家庭訪問時は留守にしてはいけません

留守にしていると、生活状況を確認できないことから審査が進まないためです。

一般的に家庭訪問は、抜き打ちで実施されます(※)

※編集部が電話調査で確認しました。

しかし留守が続くと、仕事をしていることや居住地を偽って申告したことを疑われる可能性があり、生活保護の受給を断られてしまいます。

家庭訪問は生活保護の申請から1週間以内におこなわれるため、家庭訪問が実施されるまではなるべく自宅で過ごしましょう。

どうしても買い物などに行かなければならない場合は、ケースワーカーの勤務時間外に外出することをおすすめします。

家庭訪問を担当するケースワーカーの勤務時間は9時頃から17時頃までが多いため、18時以降に外出すれば問題ありません。

なお、就労している人が生活保護を申請する場合は、申請時に仕事のスケジュールを伝えておくと訪問日時を考慮してもらえる場合があります。

受給が決定したら毎月の収入を報告しなければならない

生活保護の受給が決定したら、毎月の収入を報告する必要があります。

生活保護を受給している間は、世帯員全員の収入申告をおこなう義務があるためです。

収入申告は、主にケースワーカーの訪問時におこないます。

ただし、収入に変動があった場合は、ただちに申告しなければなりません。

収入に変動があった場合に申告しなければならない旨は、生活保護法第61条によって義務付けられています。

第六十一条 被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。

たとえば次に該当する場合は、ただちに申告しなければなりません。

ただちに収入申告をしなければならないケース
  • 就労先が決まった場合
  • 仕事が変わった場合
  • 以前よりも収入が増えた、または減った場合
  • 子どもが就職した場合
  • 子どもが給与を得た場合
  • 年金や手当などをもらい始めた場合
  • 仕送りなどをもらい始めた場合
  • 生命保険などの給付金を受け取った場合など

収入申告を怠ったことが発覚すれば不正受給とみなされるため、収入に変動があった場合は、すみやかに担当のケースワーカーへ伝えましょう。

また次に該当する場合も、すぐにケースワーカーへ伝える必要があります。

ケースワーカーへ申告しなければならないとき
  • 家族が増えたときや減ったとき
  • 入院したときや退院したとき
  • 現在住んでいる家をかわろうとするとき
  • 家賃や地代がかわるとき
  • 勤め先の健康保険が使えるようになったときなど

参照:生活保護について│山陽小野田市

受給が決定したら福祉事務所のケースワーカーによる訪問調査を受けなければならない

生活保護の受給が決定したら、福祉事務所のケースワーカーによる訪問調査を受けなければなりません。

訪問調査の主な目的は、受給者が生活で困っていることがないかを把握し、自立できるよう援助することです。

ケースワーカーは就労可能な人にはハローワークにつなげる支援をおこない、現時点で就労できない人にはワークショップなどを通して生活習慣などを改善できるよう援助します。

実際に就労支援を受けたことで障害があることがわかり、福祉サービスを受けられるようになった事例もあります。

参照:就労支援事業│ユニバーサル就労ネットワークちば

訪問調査は少なくとも年に2回おこなわれることになっていますが、不在が続き長く訪問調査がおこなわれなかった場合は、生活保護を打ち切られる可能性もあります

もし留守の間にケースワーカーが訪ねてきた場合はポストに不在票が入るため、すぐに担当のケースワーカーへ電話をかけて、次の訪問日時を相談しましょう。

<都内福祉事務所取材「受給中、月に1回は訪問を受ける」>

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原則として、毎月、訪問時に、収入申告をしていただく形となります。しかし例えば、高齢でまったく仕事をしていない方で、生活に問題のない場合、訪問は 数ヵ月に一度です。

支給の要件になるわけでないですが、ご本人確認のうえ、ご親族の方に、お手紙で関係性について聞く場合があります。ご親族が管轄の地域内にいらっしゃれば、直接、お伺いすることもありますが、遠方に住んでらっしゃるケースが多いです。

親族への連絡は、全員に行うわけではありません。受給者本人と、ご親族との関係性を考慮して、ということになります。

生活保護の申請で落ちてしまったら?

生活保護の申請で落ちてしまった場合は、再申請ができます。

クビになってしまった、働けなくなってしまったなど、状況によっては受給が認められる可能性があります

ほかの公的な融資制度、または国から給付金を受けられないか確認してみましょう。

生活保護以外の公的融資制度を検討するのも1つの手です。

生活保護を申請したものの、受給が認められなかったときの対処法を解説します。

受給が認められなかったときの対処法
  • 生活保護に再申請する
  • ほかの公的融資を検討する

生活保護に再申請する

生活保護の申請で落ちてしまった場合でも、再申請できます

生活保護法「再審査請求」第六十六条では、審査結果に不服がある場合、「厚生労働大臣に対して再審査請求をすることができる」と規定しています。

参照:・生活保護法(◆昭和25年05月04日法律第144号)

保護の申請は自分の住んでいる地域の福祉事務所にておこなう必要があります。

ほかの地域で相談しても、自分の居住する地域の福祉事務所で申請するよう求められるため、地域を変えて申請することはできません。

なお生活保護の受給が認められた際も、保護内容に不服がある場合は審査請求が可能です。

たとえば生活保護を受給する際に価値がほとんどない資産の処分を求められた場合、納得できないのであれば審査請求をすることで処分の取り消しや執行停止を申請することが可能です。

審査請求をしても処分の取り消しなどが認められなかった場合は、裁判で争う、という選択肢もあります。

ただ、裁判を起こすとなると手間もかかる上に費用もかさむため、審査請求を断られた場合は生活保護に詳しいNPO法人や弁護士などに一度相談してみましょう。

なお、審査請求は処分があったことを知ってから60日以内にする必要があります。

<都内福祉事務所取材「生活保護の再受給、再申請は可能、管轄の福祉事務所で行う」>

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生活保護を受けていたけれどお仕事を始められて、「生活保護が停止となった後にまたご病気になり、仕事を辞めることになってしまった」という場合など、改めて申請いただくことは可能です。

再申請するときの対策は?

生活保護を再申請するときは、次のような対策が必要です。

生活保護を再申請するときの対策
  • 生活保護を断られた原因を突き止め改善する
  • NPO法人などに相談する

生活保護を再申請するときは、なぜ保護を受けられなかったのか原因を突き止め、改善することが大切です。

たとえば就労可能であることを理由に生活保護を断られた場合は、現時点で仕事ができないことを証明しなければなりません。

病気や障害がある場合は診断書を書いてもらう、仕事先がないことを証明するためには求職活動の回数を増やすなど、対策を講じた上で再申請しましょう。

生活保護の申請で落ちてしまった理由は、保護却下決定通知書に記載されています。

ただ、生活保護を断られた場合は、再申請しても断られる可能性が高いといえます。

再申請する際は生活保護に詳しいNPO法人などで相談し、申請時についてきてもらったりアドバイスをもらったりしてもよいでしょう。

ケースワーカーの知識不足によって不当に断られている可能性もあるため、役所の対応に納得できない場合は、専門家に相談することをおすすめします。

そのほかに受けられる国の制度は?

生活保護の申請で落ちてしまった場合は、そのほかに受けられる国の制度がないか確認してみましょう

国からお金を借りる、または給付金を受けられる制度は次のとおりです。

上記の制度を利用する際は、土地や不動産など所有している資産を処分する必要がありません

社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度は、無職の人を含む住民税非課税世帯や高齢者世帯、障害者世帯が生活に必要なお金を借りられます。

たとえば、次のような目的でお金が必要なのであれば、生活福祉資金貸付制度を検討しましょう。

生活福祉資金貸付制度を利用できる場面
  • 就職や転職を目的とした技能習得にお金が必要な場合
  • 公共料金などの滞納金を支払うための費用が必要な場合
  • 子どもの教育費は必要な場合
  • 介護サービスを利用する際にお金が必要な場合など

参照:生活福祉資金貸付条件等一覧│厚生労働省

母子家庭、または父子家庭で生活が苦しいのであれば、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度を利用できます。

病気や障害によって仕事や生活に支障がある人は、障害年金を受け取れる可能性があります。

視力が悪い人や足に障害がある人など、仕事や生活に支障がある場合は相談してみましょう。

自身の病気や障害が障害年金の受給対象であるかどうかは、日本年金機構の障害等級表で確認できるため参考にしてください。

離職や廃業によって住居を失った人、または失う可能性がある人は、住居確保給付金を受け取れます。

住居確保給付金を受給できる期間は、最長9ヵ月です。

すでに住居を失っている場合は一定期間、宿泊場所や衣食を提供してもらえます。

このような国の制度は通常、生活保護を申請する前に利用できないか確認されます

生活保護よりも国の制度を優先的に利用することが、義務付けられているためです。

年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用してください。

つまり国の制度を利用できると判断された場合は、生活保護を申請できない可能性が高いということです。

生活保護の申請を断られた場合は、国の制度を利用できないか確認してみましょう。

<都内福祉事務所取材「生活保護以外の制度の案内をしてもらえることも」>

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生活保護の受給前の制度として「住居確保給付金」という家賃を支援する制度があります。

住居確保給付金とは、例えば、仕事を離職したときなど、次の仕事を探すまでの間、 家がなくならないようにするために家賃を支援する制度です。

預貯金が一定額以下で、失業手当で少しだけお金が入ってくるといった状況の方を対象に、一定期間支給をいたします。

まずはご相談いただき、ご自身の今置かれてる状況をお伝えいただければ、生活保護しか手がないのか、あるいはその手前で他の何らかの制度が使えるのかなど、ご案内できるかと思います。

ただし、収入も預貯金もなくて、困窮されてる方の場合やはり、生活保護以外で適切な制度というのがなく、最終的には、生活保護のご案内になる場合が多いです。

生活保護を受けられた方の体験談をお聞かせください。

都内福祉事務所の担当者に、実際にあった生活保護の体験談をお聞きしました。

<都内福祉事務所取材「年齢問わず、精神疾患などで働けず受給」>

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最近ですと、 年齢層を問わず、精神疾患をお持ちでうつ病を発症してしまって、仕事ができなくなってしまい、生活保護を受けられた、という方は多いです。また、コロナ禍で、急に仕事がなくなってしまった、という方もいらっしゃいました。

生活保護に関するよくある質問

趣味で集めていたものも資産とみなされる?売らなければならない?
趣味で集めていたものが金銭的に価値があるものとみなされた場合は、生活保護を受給する際に売却を求められます。

生活保護を受給する条件として、資産価値が高いものは売却して生活費に充てることが定められているためです。

たとえば自動車整備を趣味とする人が自動車を所有している場合は、売却を求められます。

またゲーム機やゲームソフトが大量にある場合や複数台のパソコンがある場合は、一部を売却するよう求められることがあるでしょう。

ブランドもののバッグや宝飾品なども、場合によっては売却を求められます。

一方、資産価値が低く、売却するより生活に役立てたほうがいいと判断された場合は所有が認められます。

趣味で集めていたものを売却しなければならないかどうかは、金銭的な価値の有無で判断されることを念頭に置きましょう。

<都内福祉事務所取材「車・バイク・宝石・生命保険などは、売却対象の資産となる」>

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生活保護の審査において、例えば、車やバイク、 あとは生命保険のような貯蓄性のある保険や、宝石など貴金属は資産とみなされ「資産売却するなどして活用してください」という話をご案内をする場合があります。
資産申告と言いまして、申請のタイミングで「こういうもの持ってます、持ってません」という形で、調査を行います。また、資産申告は受給中も定期的にしていただく必要があります。

自動車を持っていても、生活保護を受給できますか?
生活保護を受給する際は、原則として自動車を売却しなければなりません。

自動車は資産となることから、処分して生活維持のために活用しなければならないためです。

しかし、次に該当する場合に限り、自動車の所有が認められます。
自動車の所有が認められる場合
  • 仕事で自動車を使用する場合
  • 障害を持っている人が通院や通勤で使用する場合
  • 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住、または勤務している場合


上記に該当しない場合は、原則として自動車の売却を求められるため、自動車を手放したくない場合は国の貸付制度や給付金制度を利用できないか確認してみましょう。
無料低額宿泊所はただで住める?
無料低額宿泊所は施設によって料金が異なるため、必ずただで住めるわけではありません。

ただ、生活保護の受給が決まれば、保護費に宿泊料分が加算されます。

生活保護の受給が決まれば、貯金などから宿泊料を支払う必要はないため、実質的な損失はありません。

無料低額宿泊所のなかには食事や入所者への相談対応、就労指導等のサービスを提供する施設もあります。

現時点で住む場所がない人でも、施設のサービスなどを活用することによって、生活を立て直せる可能性があります。

居住地がなく生活が困窮している人は生活保護の申請をするとともに、無料低額宿泊所を利用したい旨を併せて伝えましょう。
現在の家賃が住宅扶助を上回っている場合でも保護を受けられますか?
現在の家賃が住宅扶助の上限を上回っている場合でも、条件を満たしていれば生活保護を受給できます。

ただ家賃が高くても、住宅扶助を超えるお金は支給されません。

引き続き現在居住している住居に住み続けるのであれば、住宅扶助で不足する分は生活扶助から補う必要があります。

とはいえ、生活扶助は最低限の生活を送るためのお金です。

生活扶助を家賃に充てる場合は、より生活が苦しくなる可能性があるでしょう。

現在の家賃が高い場合は、住宅扶助の上限内で暮らせる家へ転居することをおすすめします。

場合によっては、ケースワーカーから住宅扶助の上限内で暮らせる家へ転居することを求められる可能性があるため注意しましょう。
生活保護費の一部を貯金しても大丈夫ですか?
生活保護費の一部を貯金しても大丈夫です。

ただし仕事をして得た給与や親族からの仕送りなどを貯蓄する場合は、ケースワーカーに申告しなければなりません。

収入申告をしなければ不正受給となり、保護費の返還や徴収を求められるため注意しましょう。
経済的能力がない家族と同居する場合、個人的に保護を受けられますか?
生活保護の受給は世帯単位でおこなわれるため、経済的能力がない家族と同居する場合、個人的に保護は受けられません。

どうしても個人で生活保護を受けたいのであれば、別の住宅に引っ越したり生計は別であることを証明したりする必要があります。

ただ、場合によっては個人的に保護を受けることが可能です。

たとえば介護が必要な親を見る必要があり、仕事をやめて世話をすることになったため世帯全体の生活が苦しくなった場合は、親のみ生活保護を受けられる可能性があります。

個人的に保護を受けなければ世帯全体が要保護世帯となってしまう場合に限り、個人的に保護を受けられる可能性があるため、まずは福祉事務所にて相談してみましょう。
生活保護を受けるデメリットは?
特にデメリットはありません。しかし受けられてる方の中には、生活保護を受けるのが恥ずかしいとか、 職場に知られたくないという方はいらっしゃいます。 勤務先の方に実際に働いているかという確認までは、やりません。雇用契約書や給与明細などの書類で確認します。