【目次】
①️アピリッツIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社アピリッツ
- コード
- 4174
- 市場
- JASDAQスタンダード
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長執行役員CEO 和田 順児 /1975年生
- 会社住所
- 東京都渋谷区神宮前六丁目27番8号
- 設立年
- 2000年
- 社員数
- 412人(2020年12月31日現在)
- 事業内容
- 各種Webサービスシステムの受託開発それに伴うコンサルティング・アクセス解析・インフラ構築・保守・監視事業、及びオンラインゲームにかかる企画・開発・運営、人材派遣事業の運営
- URL
- https://appirits.com/
- 資本金
- 448,180,000円 (2021年1月20日現在)
- 上場時発行済み株数
- 1,261,100株
- 公開株数
- 240,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/02/03→1,120~1,180円に決定
- ブックビルディング期間:2021/02/05 - 02/12
- 公開価格決定:2021/02/15
- 申込期間:2021/02/16 - 02/19
- 上場日:2021/02/25
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:みずほ証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:極東証券
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:いちよし証券
- 引受証券:東洋証券
- 引受証券:エース証券
- 大株主
- (株)エイ・ティー・ジー・シー 42.67%
- クリプトメリア(株) 9.87%
- 魚谷幸一 8.61%
- 和田順児 7.31%
- 藤田晋 3.00%
- (株)HBD 3.00%
- 笠谷真也 2.51%
- 三浦印刷(株) 2.33%
- 佐藤輝英 1.80%
- 三原順 1.79%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/01 単体実績
2,438,333 190,496 127,553 1,283,340 - 2019/01 単体実績
2,902,354 114,732 58,361 1,341,702 - 2020/01 単体実績
3,579,528 143,188 66,568 1,408,270 - 2020/10 第3四半期単体実績
2,879,208 150,164 86,097 1,494,367 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2021年5月25日まで
または、上場後180日目の2021年8月23日までは普通株式の売却ができず(例外あり) - 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 2億8320万0000円(240,000株×1,180円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 214,200株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社アピリッツ<4174>はECサイトやWebシステムの企画開発を行うWebソリューション事業及び、自社や他社のゲーム開発を行うオンラインゲーム事業を手掛ける企業である。
事業内容詳細
同社は下記2事業を展開している。
・Webソリューション事業
・オンラインゲーム事業
Webソリューション事業
Webソリューション事業では、顧客企業のECサイトやWebシステムの企画・開発・保守に加え、Webマーケティングやセキュリティ対策まで一貫して対応している。またECサイトやWebシステムの構築において、有用な各種ASPサービスも提供している。
顧客の戦略・分析を行いサービス設計から関与し、顧客サービスの理解を深めた後に企画・設計に入る。開発・制作に加え運用・検証を行うことで、単なる開発ではなく顧客サービスやユーザー体験まで変えるDX(デジタルトランスオートメーション)サービスを提供している。
これらの結果、2021年1月期の継続顧客率78%(売上高ベース)となり約8割の顧客が継続顧客として維持されている。オンラインゲーム事業
オンラインゲーム事業では、同社名で提供するゲームの企画・開発・運営を行う「自社ゲーム開発」、パートナー企業名で提供されるゲームの企画・開発・運営を請け負う「パートナーゲーム開発」、ゲーム開発企業に同社の人材を派遣する「人材派遣」を展開している。
自社ゲーム開発において開発したゲームエンジンを活用して、パートナーゲーム開発のコストを低減した効率的な開発が行われている。自社・他社請負・人材派遣の3サービスにより、ボラティリティの高いゲーム事業において安定的な収益確保と横展開を継続中である。
尚、自社ゲームについては5タイトルを提供しているが3タイトルは他社が開発した後に同社がゲームタイトルの取得を行った。2020年1月期の部門別損益
2020年1月期 売上高36億円(対前年同期比23%増)、営業利益1.4億円(同25%増)
・Webソリューション事業 売上高14億円(同12%増)、セグメント利益5.0億円(同27%増)
・オンラインゲーム事業 売上高22億円(同32%増)、セグメント利益0.6億円(同▲26%減)
オンラインゲーム事業の内訳は、自社ゲーム開発12億円・受託開発7.0億円・人材派遣2.7億円であり自社ゲーム開発の比率が最多である。
Webソリューション事業とオンラインゲーム事業のいずれも増収を果たしたものの、オンラインゲーム事業は減益となった。Webソリューション事業はオンラインゲーム事業に比べ売上規模は小さいながら、利益額ではオンラインゲーム事業を大きく上回る状態である。
業績推移
2018年1月期 売上高24億円、経常利益1.9億円、当期純利益1.3億円
2019年1月期 売上高29億円、経常利益1.1億円、当期純利益0.6億円
2020年1月期 売上高36億円、経常利益1.4億円、当期純利益0.7億円
2021年1月期(予想) 売上高38億円、経常利益1.9億円、当期純利益1.1億円
着実な増収を続けているが、2018年1月期が利益水準ではピークとなっている。
2021年1月期は2018年1月期並の利益水準に回復の見込みであり、当期純利益も1億円の大台回復を予想する。2021年1月期Q3(累計)は売上高29億円、経常利益1.5億円であり、通期予想達成に向け進捗は順調である。
尚、2020年1月期決算での公開申請であり、期超え決算でのIPOとなっている。
財務状況
2020年1月期末時点で資産合計19億円に対し、純資産合計14億円、自己資本比率73%である。借入金1.0億円に対し、現預金10億円を保有しており、財務内容に対し特段の懸念事項はない。
尚、資産の部における最大の勘定科目は現預金となっている。
資金使途
IPOにより2.2億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・エンジニア労務費投資 1.0億円
・採用に係る求人費投資 1.0億円
・広告宣伝費投資 0.2億円
エンジニア採用(Webソリューション事業中心)及びエンジニアの労務費等の人材投資に調達資金の大半が充当される。
株主構成
筆頭株主(株式シェア43%)の株式会社エイ・ティー・ジー・シー(ATGC)は未上場会社であるが、ATGCの親会社は株式会社UDS(未上場、ATGCの株式の47%を保有)。株式会社USDは公安指定の自動車教習所を運営している。
魚谷取締役が第3位株主(同8.6%、うち3.8%は潜在株式)であり、和田社長は第4位株主(同7.3%、うち4.2%が潜在株式)。第5位株主(同3.0%)としてサイバーエージェント<4751>社長の藤田晋氏が株主参入している。
まとめ
ECサイトやWebシステムの企画開発を行うWebソリューション事業及び、自社や他社のゲーム開発を行うオンラインゲーム事業を手掛ける企業のIPO案件である。
売上規模はオンラインゲーム事業が大きいが、利益計上はWebソリューション事業が中心となっている。2018年1月期に利益水準は一旦ピークを迎えたが、着実な増収を重ねており2021年1月期は2018年1月期並みの利益水準に回復の予想である。
Webソリューション事業とオンラインゲーム事業でバランスを取りながら継続的な成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。尚、未上場会社が筆頭株主であるため筆頭株主の動向はIPO後も注意が必要と考える。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、各種 Web サービスシステムの受託開発それに伴うコンサルティング・アクセス解析・インフラ構築・保守・監視事業、及びオンラインゲームにかかる企画・開発・運営、人材派遣事業を展開している。上場市場はJASDAQスタンダード。
株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が約15億円、業績予想ベースのPERが14.1倍、今期末予想の純資産でPBRが1倍となっている。 事業としては、さほど目新しさはないが、資金吸収額が3億円と超小粒となることから上場当日の需給はかなりタイトになる。上場当日の株価動向は、おそらく買い気配のまま大引けとなりそうだ。2020年に3億円未満でIPOした銘柄の平均初値騰落率は平均で5倍となっていることから、当社の初値も同じように高くなる可能性があるが、JASDAQ上場分だけ割り引かれることは念頭に入れておくべきだろう。
セカンダリー市場においては、当社は1月決算であることから、3月中旬には決算発表があり、来期の業績予想が開示される。上場後に高値を付けた後に調整を経て、ちょうど底打ちのタイミングでの決算発表となることから、来期の業績予想が大きく伸長すれば、株価反転のきっかけになるかもしれない。