スマホ向け証券会社として話題のLINE証券が、2022年1月にCFD取引サービス「LINE CFD(いちかぶチャレンジコース)」の提供を開始しました。
今回の記事ではそもそもCFDとはなにかやLINE CFDで取引するメリットはもちろん、取り扱い銘柄についても解説していきます。LINE CFDが気になっているという方は参考にしてみてください。
CFDとは
CFDとは「Contract for Difference」の頭文字をとったもので、日本語では「差金決済取引」と言います。
差金決済取引は現物での取引をせずに差額だけのやり取りを行う取引方法のことで、利益が出れば利益分のみを、損失が出れば損失分のみを決済します。
FXもCFDの中の1つであり、このように通貨や株式などの原資産から派生した商品の取引を行うことをデリバティブ取引といいます。
また、CFDには店頭CFD取引と証券CFD取引という2種類があるため、2つの違いについて解説していきます。
店頭CFD取引
店頭CFD取引とは投資家と証券会社の間で直接取引を行う取引方法です。
まず投資家は証券会社に証拠金を入れ、注文内容を指示します。
そうすると証券会社が投資家の代わりに注文内容と同程度の注文を取引所や提携金融機関などに発注してくれます。
その後、反対の取引を行うことで取引が完了するという流れになっています。
また店頭CFDでは、証拠金を担保にすることで証拠金以上の額で取引ができる「レバレッジ取引」が可能です。
店頭CFD取引では手数料無料が多い一方で、取引価格は証券会社の提示した価格であることなどデメリットもあります。
証券CFD取引
証券CFD取引とは東京金融取引所の提供している「くりっく株365」を介した取引方法で、複数のマーケットメイカーから提示された価格の中で最も投資家に有利な価格で取引できるのが特徴です。また、店頭CFD取引と同様、証拠金を担保にすることで証拠金以上の額で取引ができる「レバレッジ取引」が可能です。
レバレッジ取引では多額の利益を得る可能性がある半面、証拠金を超える多額の損失が出てしまう可能性もあるため注意しましょう。
CFD取引の取引の種類
CFDでは買い取引や売り取引、さらにレバレッジ取引という3種類の取引方法があります。
ここではそれぞれの取引方法について詳しく解説していきます。
買い取引
買い取引は最も一般的な取引方法で、自分の欲しい銘柄を選定し、市場の価格が上昇することで利益を得ることができます。
例えば1株300円の株を100株で取引をスタートし、価格が310円のときに売却した場合、1,000円の利益を得られるのが買い取引です。
売り取引
CFDでは買い取引だけではなく、売り取引をすることも可能です。
売り取引は市場の価格が下落することで利益を得ることができます。
例えば1株300円の株を100株売却し、価格が290円のときに買い戻した場合、1,000円の利益を得られるのが売り取引です。
レバレッジ取引
レバレッジ取引とは証拠金を担保に証拠金以上の額で取引が行える取引方法です。
レバレッジとはてこの原理を意味し、少ない資金で大きな金額の取引ができることからそう呼ばれています。
例えば日本のFXでは最大25倍のレバレッジを掛けることができ、取引額に対して4%以上の証拠金があれば取引ができるようになります。
つまり、30万円の証拠金を差し入れた場合、最大750万円分の取引をすることが可能です。
しかし、レバレッジ取引で損失が出た際に損失の額が一定の水準に達した場合、強制的に決済が行われるロスカットというものが存在するので注意が必要です。
また、レバレッジは買い取引と売り取引のどちらでも掛けることができますが、利益が大きくなりやすい反面、損失も大きくなってしまう可能性を覚えておきましょう。LINE CFDの概要
ここからはLINE CFDのレバレッジや手数料、ロスカット水準、取引時間について解説していきます。
レバレッジ
LINE CFDのレバレッジは以下の通りになっています。
LINE CFDのレバレッジ
- 指数CFD:レバレッジ10倍
- 株式CFD:レバレッジ5倍
- バラエティCFD:レバレッジ5倍
- 商品CFD:レバレッジ20倍
手数料
LINE CFDの取引手数料は無料です。
しかし、LINE CFDでは売値と買値の間にスプレッドが生じるため、その差額が実質的なコストになります。スプレッドは市場の流動性や価格変動、取引時間、銘柄などによって変動するため、取引の際には必ず確認するようにしましょう。
ロスカット水準
LINE CFDでは証拠金維持率が100%未満になった場合、ロスカットが発動します。
ロスカットが発動するとその時点で保有しているすべての建玉が強制決済されるので、資金には余裕を持っておくと良いでしょう。ロスカットがあるとはいえ、損失を繰り返すと元本は目減りしていくので注意が必要です。
また、証拠金維持率が100%を下回ってからロスカットが行われるまで時間差が生じる場合があるため、相場変動によっては損失の額が証拠金の額を上回ってしまう可能性もあります。
取引時間
LINE CFDで取引できる主な商品の取引時間について順番に解説していきます。
主な商品の取引時間
- 指数CFD
- 日経225
- 米国株先物
- ETF
- 株式CFD
- バラエティーCFD
指数CFD
日経225
LINE CFDの日経225の取引時間は以下の通りです。
取引時間
- 標準時間(月~金) 8:30~翌日6:50
- 米国夏時間(月~金) 8:30~翌日5:50
米国株先物
LINE CFDの米国株先物の取引時間は以下の通りです。
取引時間
- 標準時間(月~金) 8:00~翌日6:05
- 米国夏時間(月~金) 7:00~翌日5:05
ETF
LINE CFDのETFの取引時間は以下の通りです。
取引時間
- 標準時間(月~金) 23:30~翌日5:50
- 米国夏時間(月~金) 22:30~翌日4:50
株式CFD
LINE CFDの株式CFDの取引時間は以下の通りです。
取引時間
- 国内株(月~金)9:00~11:30、12:30~14:50
- 米国株(月~金)
- 標準時間 23:30~翌日5:50
- 米国夏時間 22:30~翌日4:50
バラエティーCFD
LINE CFDのバラエティーCFDの取引時間は以下の通りです。
取引時間
- 米国VI先物(月~金)
- 標準時間 8:00~翌日6:05
- 米国夏時間 7:00~翌日5:05
- その他ETF(月~金)
- 標準時間 23:30~翌日5:50
- 米国夏時間 22:30~翌日4:50
LINE証券が扱っているCFD銘柄
米国株
LINE CFDで取引できる米国株の銘柄を各分野の中からいくつか紹介していきます。
また、最低必要証拠金の目安も紹介するので、取引を始める際の参考にしてみてください。
テクノロジー
テクノロジー分野で取扱いのある代表的な銘柄は以下の通りです。
テクノロジー分野の代表的な銘柄
取扱い銘柄 | 最低必要証拠金目安 |
---|---|
アップル | 約441円 |
メタ | 約455円 |
アマゾン | 約355円 |
グローバル
グローバル分野で取り扱いのある代表的な銘柄は以下の通りです。
グローバル分野の代表的な銘柄
取扱い銘柄 | 最低必要証拠金目安 |
---|---|
ナイキ | 約298円 |
ディズニー | 約314円 |
スターバックス | 約235円 |
イノベーティブ
イノベーティブ分野で取り扱いのある代表的な銘柄は以下の通りです。
イノベーティブ分野の代表的な銘柄
取扱い銘柄 | 最低必要証拠金目安 |
---|---|
テスラ | 約774円 |
ビヨンドミート | 約69円 |
ブロック | 約193円 |
トレンド
トレンド分野で取り扱いのある代表的な銘柄は以下の通りです。
トレンド分野の代表的な銘柄
取扱い銘柄 | 最低必要証拠金目安 |
---|---|
ネットフリックス | 約627円 |
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ | 約225円 |
ドキュサイン | 約163円 |
テーマETF
テーマETFで取り扱いのある代表的な銘柄は以下の通りです。
テーマETFの代表的な銘柄
取扱い銘柄 | 最低必要証拠金目安 |
---|---|
クリーンエネルギー ETF | 約31円 |
バイオテック ETF | 約170円 |
半導体指数 ETF | 約517円 |
世界各国の株価指数
世界各国の株価指数で取り扱いのある代表的な銘柄は以下の通りです。
世界各国の株価指数の代表的な銘柄
取扱い銘柄 | 最低必要証拠金目安 |
---|---|
米国NQ100 ETF | 約419円 |
米国30 ETF | 約441円 |
中国株 ETF | 約70円 |
商品
商品で取り扱いのある代表的な銘柄は以下の通りです。
商品の代表的な銘柄
取扱い銘柄 | 最低必要証拠金目安 |
---|---|
金 | 約1,189円 |
銀 | 約1,250円 |
原油・先物 | 約617円 |
日本株
日本株で取り扱いのある代表的な銘柄は以下の通りです。
日本株の代表的な銘柄
取扱い銘柄 | 最低必要証拠金目安 |
---|---|
ソフトバンク | 約305円 |
任天堂 | 約11,406円 |
メルカリ | 約454円 |
LINE CFDのメリット
ここではLINE CFDを選ぶメリットについて解説していくので、LINE CFDを始める際の参考にしてください。
LINE情報に紐づけるため登録が簡単
LINE CFDを始めるにはまずLINE証券の口座開設が必要になりますが、普段使っているLINEアプリからでも登録ができるため、気軽に始めることができます。
また、LINEの情報を紐づけるため、個人情報の入力など面倒な作業が少ないのも嬉しいポイントです。
専用のアプリをダウンロードしなくても取引できる
LINE CFDは専用のアプリをダウンロードしなくても、普段使っているLINEのアプリから取引をすることができます。
LINE CDFを使ってみたら思っていたものと違ったという場合でも、わざわざアプリを消したりしなくていいので、気軽にCFDを始められます。
また、取引画面はスマホ向けに直観的でシンプルなデザインになっているので、スマホ一台でCFDを始めたいという方におすすめです。
熟練者向けにはマルチチャートにも対応している
LINE CFDはLINEアプリからも取引できますが、専用のアプリ「LINE CFD アプリ」を使えばマルチチャートやスピード注文にも対応しています。
初心者が使いやすいのはもちろん、既に取引の経験がある方でもスマホ1台でいつもと変わらない取引が可能です。
アプリを用意 3分で口座申請が完了する
LINE CFDを始めるために必要なLINE証券の口座申請は最短3分で申し込みが完了します。
また、スマホ一台で完結するため手間がかかりません。
既にLINE証券の口座を持っている場合には、CFD口座の追加をするだけなので最短1分で申請が可能です。
審査も最短2営業日で終わるため、始めたいと思ってから実際に始めるまで時間が掛からないのもメリットです。
米国株CFDを0.1株から取引できる
LINE CFDにはいちかぶチャレンジコースという米国株を0.1株単位で取引できる仕組みがあります。(一部銘柄は対象外)
他社のCFDでは最低証拠金が4,000円必要な取引の場合でも、LINE CFDであれば400円から取引が可能です。
CFDはレバレッジを使って少額からでも取引できますが、LINE CFDならさらにその10分の1から取引が始められます。
初めての取引なので大きな金額は差し入れたくないという方でも安心して使うことができます。
日本初のAI価格予想通知を利用できる
LINE CFDではAIが売買タイミングを予想する「AI価格予想通知」という機能があります。
銘柄の過去の値動きやニュース、決済情報をもとにAIが値動きを予想してLINEでお知らせをしてくれます。
また、公式アカウントからは経済指標や急変動のお知らせが届くので、重要な取引のタイミングを逃すことが少なくなります。
LINE CFDのデメリット
LINE CFDにはメリットだけではなく、もちろんデメリットもあります。
ここではLINE CFDのデメリットについて解説するので、LINE CFDを始めようか迷っている方は参考にしてみてください。
CFD口座のみの開設はできない
LINE CFDの口座開設をするためには、LINE証券の口座が必要です。
そのため、LINE証券の口座を持っていない方はまずLINE証券の口座を開設してから、LINE CFDの口座を開設する流れになります。
CFDだけがやりたいという方の場合は審査を2回受ける必要があるなど、手間が増えてしまうためデメリットと言えるでしょう。
電話での問い合わせができない
LINE CFDは電話での問い合わせ窓口がありません。問題が起きた際には公式のヘルプを確認するか、AIチャットに問い合わせることで問題を解決する必要があります。
そのため、インターネットが苦手で電話でのサポートの方が安心だという方にはデメリットになってしまいます。
また、公式のヘルプやAIチャットで問題が解決しない場合には問い合わせフォームが用意されていますが、回答には2~3営業日掛かる場合があるなど迅速な対応を受けるのは難しいでしょう。
CFD取引をするうえで覚えておくべき用語
ここではCFD取引を始める前に、覚えておきたい用語を解説します。
証拠金
CFDは差金決済であるため、現物の受け渡しはありません。
しかし、一定の金額を口座に入れておく必要があります。
この口座に担保として入れておく現金を証拠金といいます。
レバレッジを掛ける際にはこの証拠金に対して倍率が掛かるため、仮に10万円を入金し、5倍のレバレッジを掛けると50万円分までの取引が可能になります。
証拠金維持率
証拠金維持率とは必要証拠金に対する純資産の割合のことで、以下の計算式によって算出されます。
純資産÷必要証拠金×100=証拠金維持率
例えば30万円を入金し、5倍のレバレッジを掛けて100円の株式を1万株分ポジションとして保有した場合以下の計算式になります
純資産(30万円)÷必要証拠金(100円×1万株×20%)×100=証拠金維持率(150%)
証拠金維持率を把握しておくことで、後述のロスカットのリスク状況を確認できるため、証拠金維持率には常に注意を払いましょう。
ロスカット
ロスカットとは相場の変動などによって証拠金維持率が一定の水準を下回った際に、ポジションとして保有している株や通貨などの資産を強制的に決済する制度です。
レバレッジを掛けた取引の場合、少ない資金で大きな利益を出せる一方で、相場の変動によっては元本以上の大きな損失が生じてしまう可能性があります。
ロスカットはそうした事態を防ぐために設けられている制度です。
ロスカットの水準は証券会社などによって違い、LINE CFDでは証拠金維持率が100%未満になった場合にロスカットが執行されます。
マージンコール
マージンコールは証拠金が不足している際に金融機関から投資家に行う通告のことです。
マージンコールを受けた投資家は期日までに証拠金を追加するか、保有しているポジションを手放す必要があります。
追加で証拠金を差し入れた場合にはそのままポジションを維持することができますが、追加の入金を行わないまま相場が下がり続けた場合にはロスカットが発動するので注意しましょう。
マージンコールを発生させないためには、資金に余裕のある取引をすることが大切です。
ポジション
ポジションとは新規注文を出してから約定し、まだ決済のされていない建玉のことをいいます。
買ったまま未決済のものをロングポジション(買い建玉)売ったまま未決済のものをショートポジション(売り建玉)といいます。
投資家は相場が上昇すると予測した際にはロングポジションを保有し、相場が下落すると予想した際にはショートポジションを保有します。
その後、保有していたポジションを手放す際にはポジションを解消するといいます。
スプレッド
CFDで提示される売値と買値の間には価格の差があり、その差のことをスプレッドといいます。
また、売値と買値の差が小さいことをスプレッドが狭い、売値と買値の差が大きいことをスプレッドが広いと言います。スプレッドはサービスの提供会社や取引する金融商品によって異なり、原則固定されています。
しかし、相場の変動が大きいときにはスプレッドが広がる可能性もあるので注意が必要です。
スプレッドは取引をする際の実質的なコストとなるため、CFD取引をする際には各業者のスプレッドを確認しておくと良いでしょう。
ロット
CFDにおけるロットとは売買単位のことで、最小取引単位のことでもあります。
ロットは市場によって異なりますが、例えば株式市場を例に挙げた場合は最小取引単位は100株であることが多く、1ロット=100株とされることが多いです。
ロットの他にも「枚」や「レッグ」といった呼び方をする場合もあります。
LINE CFDは初心者からベテランまで幅広く利用できる
LINE CFDは普段使っているLINEアプリから登録や取引が可能で、CFDを始めてみたいという方でも気軽に始めやすい仕組みができています。
米国株を0.1株単位から取引できるため、CFDを始めてみたいけどリスクが怖いという方でもお試しで取引に挑戦が可能です。
また、取引に慣れたベテランでも専用のアプリを使用することで高機能なマルチチャートを使うことができるので、初心者からベテランまで幅広く利用できるのが大きなメリットです。
レバレッジのリスクや用語の意味を理解した上で、LINE CFDを上手に活用すると良いでしょう。
LINE CFDに関するQ&A
ここからはLINE CFDに関するよくある質問について解説していきます。
- LINE CFDのメリットは?
- LINE CFDのメリットには以下のようなものがあります
メリット
- LINE情報に紐づけるため登録がスムーズ
- 専用のアプリのダウンロードをしなくても取引が可能
- ベテラン向けにマルチチャートなどに対応した専用アプリがある
- 口座申請が最短3分で完了する
- 米国株CFDを0.1株から取引できる
- AI価格予想通知が利用できる
- LINE CFDの注意点は?
- LINE CFDを始める際にはLINE証券の口座が必要であるため、LINE証券の口座を持っていないという方は注意しましょう。
LINE証券の口座は最短翌営業日に開設が可能ですが、その後LINE CFDに申し込みをするとさらに最短2営業日が必要になるため、CFD口座のみを開設できる会社に比べると手間に感じてしまう場合もあります。
- 問い合わせ方法は何がある?
- LINE CFDの問い合わせはAIチャットへの問い合わせがメインとなっており、電話での問い合わせは受け付けていません。
AIチャットで解決できなかった問題は問い合わせフォームから質問することができますが、回答に2~3日掛かる場合があるため、迅速な対応は期待できない可能性もあることを覚えておきましょう。
- LINE CFDのロスカット水準は?
- LINE CFDでは証拠金維持率が100%未満になってしまうとロスカットが発動します。ロスカットを発動させないためには資金に余裕を持った取引をすることが大切です。
- LINE CFDの取引手数料はいくら?
- LINE CFDの取引手数料は無料です。スプレッドが実質的なコストになります。スプレッドは銘柄や相場変動によって変わるため、取引の際には必ず確認するようにしましょう。