住宅ローンは毎月の収入から返済していくのが基本ですが、ボーナスを返済に充てることも可能です。ボーナスのタイミングで普段より多く返済することで、月々の返済を減らすことができるでしょう。

しかし、ボーナス払いも計画的に利用しなければ、逆に返済が苦しくなってしまい可能性もあります。この記事では、ボーナス払いのデメリットや注意点、返済が苦しくなった時の対処法などを解説します。

住宅ローンにおけるボーナス払いのデメリット

(画像=CORA : PIXTA)

住宅ローンに申し込む際には、必ずボーナス払いの有無を申告します。また、ボーナス払いを推奨する雰囲気の広告を目にすることも多いです。しかし、住宅ローンのボーナス払いは以下のような理由から慎重に検討すべきでしょう。

・住宅ローンのボーナス払い併用で月々の負担減だが......

住宅ローンのボーナス払いは、正式には「ボーナス併用払い」です。毎月の収入と年2回のボーナスによって年間のローンを返済します。ボーナスが支給された月に多く返済するため、月々の返済額は小さくなります。

物件の購入を検討していると「毎月家賃を支払っても借家は自分のものにはならない。物件を購入すれば、毎月の家賃分を住宅ローンの返済に回せば負担は変わらないし、ローンを完済すれば自分のものになる」といった宣伝文句をよく耳にするでしょう。しかし、これはほとんどの場合ボーナス払いを前提とした金額であって、住宅ローンが「家賃並の返済負担」というのは少し大袈裟な表現ともいえるでしょう。

またボーナス払いには月々の返済を減らす効果がある一方で、ボーナス時に清算することで返済を先送りしているだけともいえます。

・住宅ローンのボーナス払いのデメリット

支払いや返済の先送りは手元資金の確保につながるため、企業経営などでは良い一面を持っています。「支払手形や買掛金の支払サイトは長く、受取手形や買掛金の回収サイトは短く」という考え方は、資金繰りの鉄則でもあります。住宅ローンを組む個人としても、支払いを先送りすることで、今使えるお金に余裕ができたほうが良いと考える人も多いです。

しかし、個人の家計と企業財務は異なるものであり、住宅ローンと企業の債務では性質も異なります。住宅ローンを組む個人は、ボーナス払いに伴うデメリットをよく知っておかなければなりません。

利息が高い

まず、ボーナス払いでは支払利息が多くなります。利息は元金に対して発生するものであり、元金が減るにつれて利息も減っていきます。しかしボーナス払いを利用すると、月々の返済額が少ないために元金の減少が遅く、支払利息もなかなか減りません。

住宅ローンは長期間にわたって返済していくものです。そのため、ボーナス払いを利用するかどうかによって、返済期間中に支払う利息の総額に大きな差が出ます(ただし、ボーナス払いによって返済年数が短くなる場合には、支払利息が減る可能性もあります)。

ボーナスが使えない

月々の収支だけを考えると、ボーナス払いを利用することで自由になるお金が増えます。しかし、負担減少分はボーナス時に支払う必要があるため、ボーナスで大きな出費をまかなうことが難しくなる人もいるかもしれません。

このような場合に大きな出費の予定があれば、毎月計画的に貯蓄していかねばならず、ボーナス払いによって毎月の住宅ローン負担が減るメリットが薄れてしまいます。

ボーナスが出ないリスクも

ボーナス払いの最大のデメリットは、ボーナスが支払われなかった場合の負担が非常に大きいことでしょう 。

勤務先の経営が厳しくなれば、ボーナスが大幅に減らされたり、ゼロになってしまったりする可能性もあります。そのような場合、ボーナスで返済する予定だったものをそれ以外のお金で返済する必要があり、大きな負担になります。

負担を軽減するためにボーナス払いを選んだ結果、大きな負担を抱える危険性があるのです。

###・住宅ローンでボーナス払いを利用してもいい人

住宅ローンのボーナス払いには色々なデメリットがありますが、人によってはデメリットがあまり問題にならないケースもあります。例えば、以下のような人はボーナス払いを利用してもよいでしょう。

公務員

公務員は民間と比較してボーナスの支払いが安定しており、ほぼ確実に支給される職業です。不支給のリスクが極めて小さいため、ボーナス払いに向いています。

実際に、公務員が住宅ローンを組む際にはボーナス払いを利用する傾向があります。

年収が高い人

基本的に年収が高い人も、ボーナス払いに向いています。時にはボーナスが出なくなることもありますが、年収が高ければ無理なく返済を続けることができます。

住宅ローンでボーナス払いを利用するならここに注意!

住宅ローンでボーナス払いを利用したい人は、リスクを引き下げるために以下のことに注意してください。

・ボーナスに頼りすぎない

なんといっても、ボーナスに頼りすぎないことが大切です。

住宅ローンに限らず様々なローンでボーナス払いが可能であり、日常的に利用している人もいることでしょう。そのような人は、当面の支払いを先送りしてボーナスでカバーすることが当たり前に感じられるかもしれません。

しかし住宅ローンの借入額は、クレジットカードでのショッピングや小口の借り入れとは桁が違います。比較的少額の支払いであれば、ボーナスをカットされてもなんとかやりくりできますが、住宅ローンの返済は支払額が大きく返済期間も長いため、その場しのぎのやりくりを続けることは困難です。

ボーナスに頼る気持ちが大きすぎると、それがなくなった場合の備えも不十分になりがちです。なかにはボーナス払いによって減った月々の返済分を、貯蓄に回さずに使ってしまう人も多いです。これでは、破綻も時間の問題でしょう。

・「ボーナス払いではなければ返済できない」は危ない

ボーナス払いの利用において最も危険なのは、「ボーナス払いでなければ返済できないから」という理由でボーナス払いを利用することです。

ボーナス払いをすれば月々の返済額が少なくなります。このため家計に余裕がない人が住宅ローンを組む際に、家計が成り立つぎりぎりの資金を確保するために、ボーナス払いを選ぶことがあります。

これは、非常に危険な考え方です。毎月の生活に必要なお金を銀行から借りておいて、ボーナスで返済していることと同じなのです。

そもそも、ボーナス払いでなければ家計が成り立たないことは、明らかに無理があるといえます。ボーナスのカットによって破綻する可能性があるのはもちろんのこと、給料が減った、病気で出費がかさんだ、子どもの進学で養育費が増えたなどの場合にも、破綻の危険があります。

・目安はボーナスの3割

家計が破綻して返済できなくなれば物件は競売にかけられます。これでは、何のためにマイホームを手に入れたのかわからなくなります。

実際に、住宅ローンを組んでいる世帯のうち0.5~0.8%程度が破綻しています。数値に含まれない、ぎりぎりの状態で返済を続けている「破綻予備軍」の世帯はもっと多いことでしょう。ボーナスに頼りすぎたために破綻する、あるいは破綻の危険に直面することは、決して他人事ではないのです。

破綻を避けるためにはボーナス払いに頼りすぎないこと、具体的には「ボーナスの3割まで」を目安とすることが大切です。これは、ボーナス時の返済額を考える際の一般的な目安です。

ボーナスの3割だけを返済に充てるならば、減らされた場合にも7割カットまでは耐えることがでるでしょう 。もしゼロになった場合にも、たちまち破綻するほどの負担にはなりません。

住宅ローンのボーナス払いが難しいと感じたら・・・

多くの場合、ボーナス払いが難しいと感じるのは、ボーナスが減らされたり、出なかったりしたときです。ボーナス払いの返済額は大きいため、家計に対する影響は深刻です。ボーナスのカットが続けば家計への悪影響が長期化するため、支払いが難しいと感じたときは黄色信号だと考えて、すぐに対処する必要があります。

主な対処方法は二つあります。

・返済方法の見直し

「ボーナス払い」という返済方法が難しくなっている場合、まずは返済方法を見直すのが賢明です。

ボーナス払いの割合は、金融機関に申請することで変更できます。ボーナスが減額や不支給になっているにもかかわらず 変更を認めなければ、貸し倒れリスクが高まります。それを避けるためにも、金融機関ではボーナス払いの変更を受け入れているのです。

自分が置かれている状況を考えながら、ボーナス払いの割合を減らすか 、やめるなどの見直しを検討しましょう。

・借り換え

そもそもの借入金利が高い場合には、返済方法を見直しただけでは十分な効果が得られない場合があります。その場合にはフラット35やネット銀行など、金利の低い住宅ローンで借り換えるのがおすすめです。金利を下げることによって毎月の返済額を減らせるため負担が軽くなります。

もし、ボーナス払いの変更と借り換えによる金利の引き下げを行っても返済が難しければ、借り換えと同時に返済期間の延長を相談するのがベストです。返済期間を延長すれば月々の返済額を減らすことができるからです 。

ただし、借り換え時には残存返済期間を引き継ぐのが一般的であり、返済期間の延長に応じてくれる金融機関は限られています。特に、ネット銀行は原則対応しないとされているため、返済期間の延長が必要であればフラット35などを検討するのがおすすめです。

ボーナス払いはボーナスの一部にとどめておこう

ボーナス払いには、月々の返済額を減らす効果があり、ボーナスが安定している人にはメリットのある返済方法です。しかし利息が高くなること、ボーナスが減額や不支給になった場合のリスクが大きいことなど、様々なデメリットもあります。

ボーナス払いを利用する人は、収入に見合った住宅ローンを組むことやボーナスの割合を低く設定するなどの工夫をした上で、もしボーナスがなくなったとしても支払える返済計画を立てることを心がけましょう。そうすることでボーナス払いのデメリットやリスクに備えることができるでしょう。