
ファイルコイン(FIL)は2021年前半に大きく値上がりしたことから注目を集めた。ファイルコインのどのような部分が投資家の関心を引いたのだろうか。
この記事では、ファイルコインの特徴やその魅力について詳しく解説する
ファイルコインの特徴まとめ
- 時価総額の上昇により注目を集めている
- ビットコインを超える可能性のある暗号資産に選定されている
- 著名な投資家が参加している
仮想通貨ファイルコインとは
ファイルコイン(FIL)の概要 | ||
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通貨名 | ファイルコイン | |
単位(シンボル) | FIL | |
取り扱い取引所 | Binance、Bittrex GMOコイン、OKCoin Japan |
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現在の価格(1/31現在) | 1FIL=約751円 | |
時価総額(1/31現在) | 約470,401,596,802円 |
ファイルコインとは仮想通貨の一種で、分散型ストレージネットワークのトークンだ。プロジェクトが始動したのは2014年で、その3年後に最初のトークンセールを実施。さらに3年後の2020年に正式版の提供が開始された。「Web3.0」のブロックチェーンプロジェクトとして、早い段階から仮想通貨投資家の間で高い関心を集めていた。
ファイルコインが注目されている理由として、ストレージの空きスペースを利用するというスタイルをとっている点が挙げられる。デジタルデバイスは世界中で広く使用されているが、実はその半分近くがアイドル状態に陥っていると言われている。この空きストレージを有効活用しようというのが、ファイルコインである。
自身が持つストレージの空き容量を貸し出す人々のことを、ファイルコインの「マイナー」と呼ぶ。正式版が公開された2020年の段階で、34か国・400人を超える人が参加を表明し、325PB(ペタバイト)の容量を確保することに成功した。この数字は、映画は9,000万本収録でき、人類が全歴史のなかで著してきた書物の7倍程度を収納できるスペースだといわれている。
ファイルコインの将来性は?
ファイルコインの利用者は自身の大切なファイルを分散して保管している。これを利用するためには分散している断片化されたデータを集めて結合する必要がある。この一連の作業には大容量通信を伴うため、通信品質を今後も確保し続けることがファイルコインの命運を決める。
今後ビットコインを超える可能性のある暗号資産に選定された
アメリカのナスダックは、仮想通貨が世界のマーケットにおいて今後メジャーな金融資産になる可能性は十分あるというレポートを、2020年12月に発表した。そのなかで仮想通貨の代表格であるビットコイン以外の通貨にも、投資するのが理にかなっているとも述べている。アルトコインは現在400を超える取引所で、6,000銘柄が上場しているといわれている。
そのなかでもファイルコインへの投資は、よい選択肢のひとつとしているのだ。ナスダックはさらに「今後ビットコインを超える可能性のある暗号資産3つ」の中の一つに、ファイルコインをピックアップしているほどだ。
なぜナスダックがここまでファイルコインを評価しているか、それはしっかりとした裏づけの下で進められているプロジェクトだからである。まず2017年にICOを実施しているが、実に280億円を超える資金調達に成功している。仮想通貨のICOのなかでも、トップクラスの成功例といってよいだろう。しかもファイルコインのICOの場合、適格機関投資家のみを対象にして出資先を限定していた。
参加する投資家がビッグネーム
さらに参加した投資家も錚々たる顔ぶれであったという点も、仮想通貨投資家の関心を集めた。世界トップクラスの規模を誇るベンチャーキャピタルのセコイアや、無料通話とチャットサービスで日本でもユーザーの多いスカイプ、世界的に著名な投資家のウィンクルボス兄弟などが参加している。スタンフォード大学も、こちらのプロジェクトをサポートしているといわれている。
将来のグローバルスタンダートであるWeb3.0がベース
また今後のネットワーク展開も、ファイルコインの将来性を明るくしている。冒頭に紹介したようにファイルコインは、Web3.0をベースにしたプロジェクトである。Web3.0は今後グローバルスタンダードになると予想されている。
ファイルコインの価格やチャート
ファイルコインが米国の取引所Krakenに上場されたのは、2020年10月のことだ。当初は30ドル前後のところで安定していた。ところが2021年2月ごろに値上がりトレンドに突入して、3月半ばごろには急騰局面に入った。そして2021年4月16日の段階で、180ドル前後にまで値上がりをしている。
その結果、時価総額が2021年4月時点では仮想通貨全体の9位にまで上昇した。この事実だけをみても、いかに業界で注目されている存在かがうかがえることだろう。
ファイルコインの特徴は?
ファイルコインの最も大きな特徴は、その名前に表れている。「ファイル」を扱う「コイン」であり、そのファイルとはオンライン上のストレージサービスを意味している。
クラウドストレージサービスを利用しているユーザーは多いが、従来型のクラウドストレージサービスはいずれも中央集権的なサーバーが存在する。もちろんバックアップを取っているので1か所に完全に集中しているわけではないが、かといってファイルコインのようにストレージが完全に分散しているわけでもない。
ブロックチェーンは分散型ネットワークに台帳を記録することで正当性を維持し、暗号化することによって秘密性が担保されている。ファイルコインはこの仕組みをクラウドストレージに反映したもので、仮想通貨の技術がとても有益な形で応用されているのが特徴だ。
ファイルコインはストレージサービスを利用するために流通するトークンとしてすでに実用化されており、数ある分散型ストレージサービスの中でも筆頭格と目される存在にまで成長している。このストレージサービスの使用料金を支払うにはファイルコインが必要になるため、ここで安全にデータを保管したい顧客はファイルコインを調達しなければならない。つまり、ファイルコインのストレージサービスが多くの利用者を獲得するほど、ファイルコインの需要が増す構図だ。
他にも分散型ストレージサービスは存在し、そのサービスで使用されるトークンも流通している。その中でファイルコインが圧倒的な強みを有しているのは、やはりICOで巨額の資金調達を達成したこと、すでに自身の記憶領域を提供するファイルコイン・マイナーが多く存在し、ストレージサービスとしての地位を不動のものにしていることが大きいだろう。米ナスダックがビットコインを超える可能性をもった暗号資産として取り上げた3つの仮想通貨のうち1つがファイルコインであったこともポジティブだ。
本来はストレージサービスを利用する顧客がマイナーに対して支払うためのトークンとして流通しているファイルコインだが、このストレージサービスのさらなる普及に思惑が広がり、仮想通貨市場でも価格が大きく上昇して5ドル近辺だったファイルコインが230ドル台をつけたこともある。
ファイルコイン(FIL)のこれからの課題は?
盤石に見えるファイルコインだが、もちろん課題もある。主に考えられる課題は、2点だ。
1.競合との差別化
そもそもファイルコインは中央集権型のクラウドストレージサービスと差別化を図り、それを分散することで新たな顧客を獲得した。中央集権型のサービスだとそこにトラブルが生じた時に重要なデータを利用できなくなる問題が考えられるからだ。その意味での差別化は図られているが、仮想通貨業界には同様の仕組みでストレージサービスを提供する競合があるため、こうした競合との差別化は課題になるだろう。
今は同様のサービスを比較して筆頭格の存在であっても、これが未来永劫安泰であることが保証されているわけではない。
2.マイナーを確保し続けられるか
報酬目当てに自身の記憶領域を提供するマイナーの存在が、ファイルコインの核となる部分だ。ファイルコインのストレージサービスはマイナーといって自らが管理するストレージ空間を提供する人がいなければサービスを提供できない。ストレージを提供する対価としてファイルコインが支払われる仕組みになっているため、ファイルコインが欲しい人が続々と参入してくることでファイルコイン全体の成長が期待できる。
しかし、同種のサービスは他にもある。マイナーを安定的に確保できないとファイルコインのサービス品質が低下してしまうため、いかにマイナーを惹きつけ、今後も安定的に確保できるかはファイルコインの価格にも直結する課題だ。競合のほうが報酬がよいとなればマイナーの大量流出も考えられるため、マイナー向けの差別化も重要だろう。
ファイルコインの過去の高騰とこれからの高騰
ファイルコインの最高価格
ファイルコインは2021年に入ってから、その価格が急騰している。2021年4月1日のアメリカのイースタンタイムの午前に、220ドルという価格をつけた。これが2025年1月時点で、史上最高価格である。
米グレイスケールの影響か
高騰の背景には、グレイスケール・インベストメンツがファイルコインの投資信託の運用を開始したことが大きいといわれている。このアメリカにある投資ファンドが、3月17日から運用を開始した。そして買い増しを行っていき、4月1日の時に2万9,550FILにまで、その出資額は膨らんでいった。この多額の買い注文が影響して、最高値を記録したとみられている。
ちなみに今後しばらくは、値上がり局面で推移する可能性が高いとみられている。というのもグレイスケールは、今後も積極的な運用を展開すると考えられているからだ。またほかの投資ファンドもファイルコインによる運用を、検討しているといわれている。機関投資家方面からの注文が増えれば、さらなる値上がりも十分期待できることだろう。
ファイルコインを保有するメリットとデメリット
ファイルコインを保有するメリットとして大きいのは、今後値上がりのする可能性が高い点である。さきほど紹介したように海外のファンド会社が、積極的に資金を出す傾向がみられる。また今後も安定した値動きが期待できるだろう。それはファイルコインが、分散型ストレージで運用されているからだ。
分散型が今後注目される
現在主流の集権型の場合、データ量の急速な増加に対応しきれない恐れがある。スマホが世界的に普及して、デジタルコンテンツが一昔前と比較して急増している。この10年間で取り扱われるデータ量は、35倍にまで膨れているとされているのだ。現在5Gの取り扱いが始まり、近い将来には6Gが開発されるとみられている。となると今後、ますます情報量は増えるだろう。集権型の場合、より多くのデータのマネジメントをするためには管理コストが大きくなる。さらにセキュリティ面でのリスクも高まるだろう。
分散型であれば、個別のデータセンターにかかる負担も軽減できる。ファイルコインの場合、空きスペースがあれば、だれでもそれを貸し出せる。貸し出す価格も自由に設定が可能だ。これが競争をもたらすので、借り手はより低価格を提示するところから借りればよいことになってくる。そうなればコスト圧縮効果も期待できるのだ。
上場先が大手
上場先が大手の取引所ばかりというのも、保有するメリットのひとつだ。ファイルコインは先物取引がはじまっており、すでに月間1,000億円を超える取引規模になっているといわれている。
先物取引所のなかでもGate.io(ゲート)が、ファイルコインを取り扱っているのだ。Gate.ioは将来性のある仮想通貨を厳選して、上場させている。Gate.ioが期待を寄せている仮想通貨であることも、投資家の関心を集めている理由と言える。
ストレージサービスの競争が激化する懸念
ただしファイルコインが順風満帆かというと、懸念すべき点もあるといえるだろう。この懸念ポイントが顕在化すればファイルコインの価格が下落し、保有するのがむしろデメリットになる可能性は否定できない。
まずはストレージサービス業界における、競争の激化だ。今後ストレージサービスに新規参入してくるところが出てくれば、差別化が難しくなってくる。類似するサービスを行っているところと競争が生まれ、そのなかで勝ち抜いていかないと価値を維持するのが難しくなる恐れがあるだろう。
また、ストレージの貸し出しは基本誰でもできる。そこで問題になるのは、ハッカーが進入してくる可能性がある点だ。すると個人情報の流出などの、トラブルが起きる危険性も高まる。もし信用情報にかかわるような事件が発生すれば、ファイルコインの信頼も傷つき価格が急落するリスクも否定できない。このようなリスクのあることも踏まえて、ファイルコインを購入すべきかどうか判断しよう。
ファイルコインの取引におすすめの取引所とは?
ファイルコインを取引所で購入する場合、2025年1月時点で、日本国内の取引所でファイルコインを取り扱っているところは少ない。海外に目を向けると、ファイルコインを上場している取引所はいくつかある。
Binance
ファイルコインの取引でおすすめなのは、Binance(バイナンス)である。取り扱っているコインは200種類を超え、ユーザー数は1,000万人超だ。これだけの規模を誇る取引所は、世界のなかでもそうそうない。しかも日本人にとって魅力なのは、日本語対応している点といえるだろう。ホームページだけでなくアプリ、チャットいずれも日本語でコミュニケーションが取れる。語学力に自信のない人でも、手軽に参加できるのだ。
Bittrex
Bittrex(ビットトレックス)でも、ファイルコインを取り扱っている。アメリカの取引所で、24時間の取引量が60億円を超えるなど大規模だ。原則として1日1BTCなどの出金制限がかけられているが、2段階認証を設定すれば、出金が無制限になる。手数料0.25%は世界的にみればやや割高だが、国内の取引所と比較すると安いといえる。
暗号資産取引所の口座開設方法
代表例として、コインチェックの口座開設方法を紹介する。
ステップ1:メールアドレスとパスワードを登録
引用元:Coincheck(コインチェック)の口座開設方法を解説【動画付き】
ステップ2:本人確認
本人確認を行う。
引用元:Coincheck(コインチェック)の口座開設方法を解説【動画付き】
氏名や生年月日、国籍といった基本情報を入力する。
引用元:Coincheck(コインチェック)の口座開設方法を解説【動画付き】
次に本人確認書類を提出する。運転免許証やマイナンバーカード、自身の顔写真を撮影してデータを送信する。
引用元:Coincheck(コインチェック)の口座開設方法を解説【動画付き】
ステップ3:審査が完了し、承認されると完了
ここまでが口座開設の3ステップ。承認されるとメールが届く。
引用元:Coincheck(コインチェック)の口座開設方法を解説【動画付き】
これからも注目が集まる仮想通貨のファイルコイン
分散型ストレージサービスは現時点において、まだマイナーな存在かもしれない。しかしデータの膨張が進めば、分散型へのニーズも高まってくるとみられている。そういった中で注目を集めているのが、ファイルコインだ。大手企業がICOに参加したり、ファンドが運用に積極的になっており、業界でも期待されているのでその推移には注視したほうがよいだろう。まずは多くのアルトコインを扱っているコインチェックで口座を開設し、上場を待ってみるのはどうだろうか。