同じ金融機関が審査しているにもかかわらず、なぜ本審査で落とされるのでしょうか。この記事では、本審査に落ちる人に多い問題点や落ちないための対策を解説します。

住宅ローン審査、事前審査で通ったのに、本審査で落ちることも

(画像=CORA : PIXTA)

住宅ローンの審査では、事前審査に通ったにもかかわらず本審査で落ちることもあります。どちらも同じ金融機関が審査しているはずであるのに、なぜ審査によって結果が違うのでしょうか。

住宅ローンの事前審査と本審査

住宅ローンには事前審査と本審査があり、審査の進捗に応じて不動産取引や代金の支払いも進めていきます。一般的な流れは下図のとおりです(新築建売住宅を購入する場合)。

事前審査に通っても本審査で落ちることがあるのは、この二つの審査の内容や目的が異なるためです。事前審査と本審査には、以下のような違いがあります。

 

事前審査(仮審査)

事前審査では、年齢や勤続年数、年収などの申込者の属性と、返済計画によって返済能力を審査します。申し込みをWebで受け付けている金融機関も多く、大体一週間以内に審査結果が出ます。

なお事前審査に通った後、売買契約にあわせて手付金を支払います。このとき本審査に落ちた場合に、手付金を返金してもらえるかどうかをよく確認しておくことが大切です。

本審査

返済能力に問題がなければ、申込者は物件の売買契約を結んで本審査を受けます。本審査は購入を前提に行われるため、仮審査よりも詳細に審査されます。融資した後、長期間にわたって返済を続けていく中で想定される信用リスクを測ることが目的だからです。

具体的には自己申告の情報から把握している返済能力を確認し、加えて購入物件の担保価値や申込者の健康状態なども審査されます。

事前審査で通ったのに、本審査で落ちる理由

上記のような違いから、事前審査に通っても本審査で落ちる理由は2つ考えられます。

書類の不備

事前審査はスピーディに行われます。これは、事前審査に通らない限り申込者は売買契約を結ぶことができず、その間に第三者が対象物件を購入した場合は融資案件そのものが流れてしまい、金融機関にとっては収益機会の損失になるからです。

スピーディな審査であるだけに事前審査では調査できない項目も多く、本審査で入念に調査する必要があります。ここで申込者は数多くの書類を求められるため、書類の不備を繰り返して審査がなかなか進まなかったり、記入内容を誤ったりすることで本審査に落ちることがあるのです。

申請と実際の乖離

事前審査では、申込者が自己申告した情報を基準に審査します。このとき、申込者自身がきちんと確認せずに申告しているケースも考えられます。その場合、事前審査に用いた自己申告の情報と、本審査で用いる証明書類の情報が異なることになります。軽微な乖離であればそれほど問題ないのですが、大きな乖離があれば事前審査で虚偽の情報を申告したとみなされて、本審査で落ちる可能性が高まるわけです。

また本審査では、購入物件も調査します。金融機関にとって担保価値は重要ですから、購入物件に建築基準法上の問題があったり、瑕疵物件であったりした場合には融資を断られることになるでしょう。

住宅ローン審査に落ちたら?

本審査に落ちた場合には、以下のように対処しましょう。

・原因を考えてみる

本審査に落ちたとき、まずは原因を考えることから始めましょう。本審査に落ちた人は、大まかにいえば返済能力か信用力のどちらかに原因があるものです。

年収が低い、勤続年数が短い、既に借り入れているローンの返済負担が重い、過去に借入金の返済が遅れた経験がある、消費者金融から借り入れているなど、審査にマイナスになる要素を洗い出していきましょう。原因が分かれば対策を練ることができ、次回の申し込みでは審査に通りやすくなります。

・信用情報が書き換えられるのを待つ

住宅ローンの審査では信用情報を重視します。信用情報に大きな問題があれば審査には通りません。

過去に延滞などの金融事故を起こしたことがある人は、事故情報が5年間残ります。この期間中に住宅ローンの審査に通る可能性はゼロなので、信用情報が書き換えられるまで待つ必要があります(信用情報のチェックについては後述します)。

・別の住宅ローンに申し込んでみる

信用情報に大きな問題がない人は、別の住宅ローンに申し込むのがおすすめです。金融機関ごとに審査基準が異なるため、別の金融機関の住宅ローンであれば通る可能性があります。

このとき、審査が厳しくないとされている住宅ローンや、何らかの有利な条件がある住宅ローンに申し込むのがポイントです。

フラット35は審査がさほど厳しくないといわれている

住宅金融支援機構が提供しているフラット35は、以下の理由から住宅ローンの中でも審査が厳しくないといわれています。

住宅金融支援機構は政府系金融機関であり、営利を目的としていません。民間金融機関の審査では「収益性の確保+債権の保全」を重視するのに対し、住宅金融支援機構では主に債権の保全を重視します。最も重要なのは購入物件の担保価値であり、これによって債権の保全が可能であれば審査に通る可能性が高いのです。

また、フラット35では人的審査よりも物的審査を中心に行います。このため雇用形態や勤続年数に制限がありません。

地方の信用金庫など

メガバンクをはじめとする大手金融機関で審査に落ちた人は、居住エリアの地方銀行や信用金庫など地域の金融機関に申し込むのがおすすめです。その理由は以下のとおりです。

地域金融機関は地域金融の担い手であるため、地域住民の相談に積極的に応じるのが一般的です。大手金融機関で住宅ローンに断られた人でも相談しやすいといえるでしょう。

また、地域金融機関の主な顧客は営業地域の住民や企業です。顧客の絶対数が限られている中で融資を伸ばし、収益を確保していく必要があります。このような事情から、個人に数千万円単位で融資できて住宅という担保も確実に押さえることができる住宅ローンは、基本的に優良案件であるため審査に通りやすいといわれます。

その上で「給与振込口座に指定している」、「個人向けローンを借りたことがある」など地域金融機関と何らかの関係がある場合に審査に通りやすくなります。

ネット銀行もおすすめ

ネット銀行も一般的な金融機関と異なる基準で審査しているためおすすめです。

ネット銀行の住宅ローンは審査が厳しいといわれることもあります。対面で審査することなく好条件で融資しているネット銀行では、安全性を高めるために厳しく審査する必要があるのです。しかし、「勤続年数を審査対象にしない」、「自己資金ゼロでも融資する」など、ある部分で審査が緩い場合も多いです。審査に落ちる原因を考え、それをあまり問題にしないネット銀行を探してみましょう。

ネット銀行は個人相手の貸し付けを取り扱っており、企業に対して数千万円や数億円といった巨額の事業性融資を行っていません。個人相手の融資で住宅ローンは特に貸付額が大きく、ネット銀行が融資額を伸ばすために重要な案件です。積極的に検討してくれることも多いため、申し込み先としておすすのです。

住宅ローン審査に落ちないためには

次回の住宅ローン審査で落ちたいためにも、以下の対策をおすすめします。

・信用情報を取り寄せて自分でチェック

信用力に問題があるかどうかを調べるには、信用情報機関に自身の信用情報を照会します。信用情報機関といえば、金融機関などが調査目的で利用するイメージがあるかもしれませんが、個人でも自分の信用情報を調べることができるのです。

信用情報にネガティブな要素があると審査に落ちる可能性が高いといえます。特に注意すべきは、いわゆる「ブラック」と呼ばれる情報です。正式には「異動情報」といい、過去に延滞や債務整理をした場合に記録されます。個人情報に異動の記録がある人が住宅ローンを組むことは不可能です。

異動情報を確認すると同時に、自分の債務状況も詳しくみておく必要があります。住宅ローンに申し込む際に債務状況の申告を求められることがありますが、実際の債務残高より少なめに申告してしまうと審査に落ちる可能性が高い です。意図せず少なめに申告してしまうことのないように、自分の債務状況をしっかりと把握しておきましょう。

・消費者金融でお金を借りない

消費者金融から借り入れると、信用情報に消費者金融から借り入れた事実や借入額、残高、返済状況などが記録されます。これらはネガティブな情報として扱われます。

消費者金融からの借り入れは、金利が高く返済負担も大きいのが一般的 。これによって返済能力が低いと判断されると、審査に落ちる可能性が高まります。したがって、住宅ローンの申し込みを予定している人は、消費者金融からの借り入れを避けるべきでしょう。

また、すでに消費者金融から借り入れている人は、完済してから申し込んだほうが審査に通りやすいため、残高が少なければ完済しておくことをおすすめします。

・自分の収入や財産などに見合ったローンを組む

最後に、ローン内容の再検討もしておきましょう。

金融機関が重視する「返済能力」は、収入に対する返済額の比率(返済負担率)によって考えるものです。収入に対して返済額が小さければ返済負担率は低いため、余裕をもって返済していける、つまり「返済能力が高い」と判断されます。

住宅ローンを組むための返済負担率の目安は、多くの金融機関で共通しています。一般的な返済負担率の目安は以下のとおりです。

● 年収100~299万円:20%以下
● 年収300~449万円:30%以下
● 年収450~599万円:35%以下
● 年収600万円以上:40%以下

返済負担率の目安が分かると、審査に落ちにくいローンの組み方も分かります。目安の返済負担率を超えてしまう場合には、頭金を増やして借入希望額を減らす、返済期間を長くして返済額を減らすなどの工夫をすれば、審査に落ちにくくなるでしょう。

審査の内容を理解した上で万全の対策を

住宅ローンを組むとき、事前審査では10%程度、本審査では5%程度の人が落ちるといわれます。事前審査に通っても本審査で落ちることがあります。このため事前審査で問題がなかったとしても、気を抜くことはできません。むしろ 厳しい審査に備えて対策を図るべきです。

住宅ローンに落ちた人も、しっかりと対策して再チャレンジすれば審査に通る可能性は十分にあります。本稿の内容を参考にしながら審査に臨んでください。