FXにおける約定力とは、ユーザーが希望する価格で取引を成立させる力のことです。約定力が高いFX業者を選ぶことは、スリッページの発生を防ぎ、より有利に取引を行うという観点で重要です。
約定力が高いFX業者を選ぶなら、約定スピードや約定率などのポイントに注目しましょう。
この記事では、「FXにおける約定力とは何か、FX会社の約定力の比較、約定力が高いおすすめのFX会社」などについて詳しく解説しています。
FX会社を約定力で比較!【スリッページ知らずの国内業者とは?】
FX会社15社の約定力を総合的な観点からランキング化し、そのうち上位5社の約定力を実際に取引を行って計測・検証しました。
検証の結果、最もスリッページが少なく約定力が高いと考えられるFX会社は、GMO外貨と外為どっとコムの2社です。
約定力が高い国内FX会社ランキング5選!
この項目では、約定力が高いFX会社5社をランキング形式でご紹介します。
1位:GMO外貨
- バイナリーオプションができる
- スワップポイントが高い
- スマートフォンアプリが高機能かつ使いやすい
- スプレッドが狭い時間帯が短い
- 米ドル円のスプレッドが0.2銭原則固定
GMO外貨はカバー先金融機関の数が15(2024年4月1日時点)と多く、これにより安定したレート提供と約定を実現しています。FX会社はユーザーから注文があった場合、自己のリスクを回避する為にインターバンク市場で取引する金融機関でカバー取引を行います。この金融機関が「カバー先」です。
FXでは基本的にカバー先が多いほど安定したレート配信や高い約定力を提供できるとされているため、カバー先金融機関の数は約定力を重視するならチェックすべき項目の一つです。
加えて、GMO外貨は取引ツールが高性能なことでも知られています。例えば、PCで使える「外貨ex for Windows」は、複数の情報を同時に表示して多角的に取引の判断ができるようになっており、FX中上級者でも満足できる仕様になっています。
約定力が非常に高く、取引ツールも高性能なGMO外貨は、短期売買をメインとするFX中上級者におすすめしたいFX会社です。
\総合的に高いスペックを備えた/
2位:外為どっとコム
- オンラインセミナーの開催や情報配信が充実
- マイナー通貨ペアのスプレッドが狭い
- 24時間のサポート体制を取っており、初心者でも安心
- スキャルピングが非推奨となっている
- スプレッドが狭い時間帯が短い
外為どっとコムはスプレッドが業界最狭水準であり、特にマイナー通貨ペアのスプレッドが狭いという特徴があります。マイナー通貨ペアはボラティリティが高い(値幅が広い)傾向があるため、短期間で大きな値幅を狙いたいトレーダーにとって、外為どっとコムは理想的な環境だと言えるでしょう。
さらに、外為どっとコムは初心者から中上級者まで幅広い層を対象としたセミナーを頻繁に開催するなど、情報提供の充実度でも高い評価を受けています。セミナー内容はドル/円の値動きの予想からテクニカル分析のやり方など多岐にわたり、ユーザーのスキルに応じた学びの機会を提供しています。
外為どっとコムで行った約定力の調査では、10回の取引における合計スリッページが0.2銭、平均では0.02銭となり、GMO外貨と並んで一番優秀な数値となりました。
通貨ペア | 売買種別 | 注文価格 | 約定価格 | スリッページ |
---|---|---|---|---|
米ドル/円 | 買い | 151.266円 | 151.266円 | 0銭 |
売り | 151.254円 | 151.255円 | 0銭 | |
買い | 151.296円 | 151.297円 | 0.1銭 | |
売り | 151.285円 | 151.285円 | 0銭 | |
買い | 151.297円 | 151.297円 | 0銭 | |
売り | 151.289円 | 151.289円 | 0銭 | |
買い | 151.285円 | 151.286円 | 0.1銭 | |
売り | 151.288円 | 151.288円 | 0銭 | |
買い | 151.287円 | 151.287円 | 0銭 | |
売り | 151.293円 | 151.293円 | 0銭 |
外為どっとコムはマイナー通貨ペアのスプレッドが狭く、約定力も非常に高いことから、マイナー通貨ペアの短期売買をしたい人に特におすすめしたいFX会社です。
\約定力の高さと
豊富な情報量が魅力/
3位:GMOクリック証券
- チャート上から注文を出せて、スキャルピングで便利
- バイナリーオプションができる
- 取り扱い通貨ペア数が20種類と少ない
- 強制ロスカットが発動すると手数料がかかる
GMOクリック証券は取引高が非常に多く、2021年の年間取引高はなんとギネス世界記録に認定されています。
ギネス世界記録という圧倒的な取引高は、GMOクリック証券の知名度や人気、そして信頼性の高さを表しています。さらに、日本屈指の総合インターネットグループであるGMOインターネットグループの一員であることもあり、安心して取引できる環境だと言えるでしょう。
GMOクリック証券は実績の高さだけでなく、スプレッドが狭いことでも知られています。さらに米ドル円やユーロ円といったスキャルピングで人気の高い通貨ペアのスプレッドが、取引時間中は常に同じスプレッドになることも大きなポイントです。
FX会社の中には、市場の流動性が高い時間帯とそうでない時間帯でスプレッドの水準を分けている会社も多く、時間帯によるスプレッドの違いに注意が必要なケースもあります。しかし、GMOクリック証券のスプレッドは時間帯によって変化することがなく、そもそものスプレッドも狭いことから、取引に集中しやすい環境になっています。
また、GMOクリック証券で利用できる取引ツールは、非常に高機能かつ初心者でも使いやすいものになっています。例えばPC専用のプラチナチャートでは、レートやチャート、ニュースが一画面に集約されていることから、操作が非常に分かりやすいです。
さらに、利用できるテクニカル指標は38種類、描画ツールも25種類と豊富です。テクニカル指標は期間や線の種類、色を変えられるだけでなく、例えば移動平均線なら5本まで表示できるなど、分析の自由度の高さも魅力になっています。
GMOクリック証券で行った約定力の調査では、10回の取引における合計スリッページが0.4銭、平均では0.04銭となり、短期売買でも全く問題が無い数値となりました。
通貨ペア | 売買種別 | 注文価格 | 約定価格 | スリッページ |
---|---|---|---|---|
米ドル/円 | 買い | 151.258円 | 151.260円 | 0.2銭 |
売り | 151.283円 | 151.283円 | 0銭 | |
買い | 151.286円 | 151.286円 | 0銭 | |
売り | 151.284円 | 151.284円 | 0銭 | |
買い | 151.287円 | 151.287円 | 0銭 | |
売り | 151.289円 | 151.291円 | 0.2銭 | |
買い | 151.286円 | 151.286円 | 0銭 | |
売り | 151.288円 | 151.288円 | 0銭 | |
買い | 151.290円 | 151.290円 | 0銭 | |
売り | 151.285円 | 151.285円 | 0銭 |
4位:マネーパートナーズ
- 主要通貨ペアの少量取引はスプレッドがかからない
- 最小取引単位が100通貨
- 取引ツールの使いやすさ
- 約定力が高い
- デモ口座がない
マネーパートナーズはスプレッドが業界最狭水準となっており、特に米ドル/円やユーロ/円、ポンド/円などのスプレッドは0.0銭からと非常に優れています。マネーパートナーズでは、ユーザーのニーズに合わせた2種類の口座が用意されています。
- パートナーズFX:1万通貨から取引可能
- パートナーズFX nano:100通貨単位から取引可能
これらのうち「パートナーズFX nano」では、1万通貨までの取引なら0.0銭、20万通貨まででも0.1銭という非常に狭いスプレッドで米ドル/円を取引することが可能です。
通貨ペア | 1回あたりの注文数量 | スプレッド(原則固定) |
---|---|---|
米ドル/円 | 1万通貨まで | 0.0銭 |
1万通貨超~20万通貨まで | 0.1銭 | |
ユーロ/円 | 1万通貨まで | 0.0銭 |
1万通貨超~20万通貨まで | 0.2銭 | |
ポンド/円 | 5,000通貨まで | 0.0銭 |
5,000通貨超~20万通貨まで | 0.4銭 |
さらに、100通貨単位という少額から取引を始められることは、初心者にとって大きな魅力です。
マネーパートナーズで行った約定力の調査では、10回の取引における合計スリッページが0.4銭、平均では0.04銭となり、非常に優秀な数値でした。スプレッドも非常に狭いため、短期売買において非常に有利な取引環境だと言えます。
通貨ペア | 売買種別 | 注文価格 | 約定価格 | スリッページ |
---|---|---|---|---|
米ドル/円 | 買い | 151.286円 | 151.286円 | 0銭 |
売り | 151.284円 | 151.284円 | 0銭 | |
買い | 151.287円 | 151.287円 | 0銭 | |
売り | 151.294円 | 151.294円 | 0銭 | |
買い | 151.296円 | 151.298円 | 0.2銭 | |
売り | 151.293円 | 151.293円 | 0銭 | |
買い | 151.289円 | 151.289円 | 0銭 | |
売り | 151.287円 | 151.286円 | 0.1銭 | |
買い | 151.288円 | 151.288円 | 0銭 | |
売り | 151.294円 | 151.295円 | 0.1銭 |
マネーパートナーズは非常に狭いスプレッドと高い約定力を兼ね備えており、少額での取引もできることから、短期売買を行うトレーダーから初心者まで、幅広い人におすすめのFX会社です。
5位:ヒロセ通商【スキャルピング公認】
- スキャルピングが公認されている
- 取引ツールが高機能かつユーザーの意見が取り入れられる
- 食材や食事などプレゼントがユニーク
- 取り扱い通貨ペア数が54種類と非常に多い
- スワップポイントがあまり高くない
- 米ドル円のスプレッドが0.2~2.0銭と幅が広い
- 通貨ペアによってはスプレッドが狭い時間帯が短い
ヒロセ通商スキャルピングを公認している数少ないFX会社の一つであり、短期取引に有利な環境が整っているのが魅力です。スプレッドは業界最狭水準であり、取引高に応じてキャッシュバックや食品がもらえるキャンペーンも随時開催しています。
さらに、約定スピードの圧倒的な早さもヒロセ通商の特徴です。世界最速水準となる、0.001秒(平均0.003~0.005秒)という約定スピードを実現しています。
ヒロセ通商で行った約定力の調査では、10回の取引における合計スリッページは0.9銭、平均では0.09銭となり、今回調査した5社の中ではスリッページが比較的発生しました。ただし、平均で0.1銭以下であり、スキャルピングなどの短期売買でも大きな影響はないでしょう。
通貨ペア | 売買種別 | 注文価格 | 約定価格 | スリッページ |
---|---|---|---|---|
米ドル/円 | 買い | 151.246円 | 151.245円 | 0.1銭 |
売り | 151.289円 | 151.293円 | 0.4銭 | |
買い | 151.262円 | 151.263円 | 0.1銭 | |
売り | 151.286円 | 151.286円 | 0銭 | |
買い | 151.288円 | 151.287円 | 0.1銭 | |
売り | 151.290円 | 151.290円 | 0銭 | |
買い | 151.289円 | 151.288円 | 0.1銭 | |
売り | 151.292円 | 151.292円 | 0銭 | |
買い | 151.288円 | 151.288円 | 0銭 | |
売り | 151.285円 | 151.286円 | 0.1銭 |
スキャルピングが公認されており、約定力も高いヒロセ通商は、スキャルピングをメインとするトレーダーにおすすめのFX会社です。
FXにおける約定力とは?
約定力とは、ユーザーが注文した価格でポジションを約定させる力のことです。つまり、トレーダーが注文した価格と、実際に取引が成立した(約定した)価格の間で、価格差(スリッページ)が発生しないようにする力を指します。
自分が想定した価格でポジションを約定させる確率を上げるには、高い約定力が欠かせません。FXで約定力を判断するための主な基準としては、「約定スピード」と「約定率」が挙げられます。
約定スピードとは?
約定スピードとは、トレーダーが注文を出してから、FX会社のサーバーに注文が到達し、約定の処理が完了するまでのスピードのことです。1秒未満の間に価格が動くこともある為替相場では、約定スピードはスリッページを防ぐ上で重要です。
約定スピードが遅いと、スリッページが発生しやすくなります。特にわずかな利幅を狙う短期売買では、意図した価格で約定できないと、思った通りの取引ができず、利益が縮小したり損失が拡大したりするリスクが高まります。
そのため、提示されているスプレッドだけでなく、約定スピードもしっかりとチェックしておくようにしましょう。
約定率とは?
FXの約定率とは、トレーダーが注文したタイミングで約定できる確率のことです。約定率は約定力を判断するための一つの要素であり、「成行注文のうち約定が成立した件数」÷「成行注文数」で計算されます。
約定率は全てのFX会社で公開されているわけではありません。しかし、例えばマネーパートナーズのように、実績を公表している会社もあります。
マネーパートナーズでは、「HyperSpeed NEXT」という取引ツールからのストリーミング注文において、スリッページと約定拒否が共に発生しません。
特に狭い値幅を狙う短期売買では、注文したタイミングで確実に約定できるかが大きなポイントになります。約定率はFX会社によってそれぞれ異なるため、できる限り約定率の高いFX会社を選ぶとよいでしょう。
約定と決済の違いとは?
「約定」と「決済」は似た言葉に思えますが、実はFXにおいては意味が異なります。
約定とは、売り手と買い手の条件が一致し、取引が成立することを指します。簡単に言えば、通貨の交換について、ユーザーとFX会社との取引が成立することです。
国内FXではほとんどの場合、FX会社とユーザーが一対一で取引を行っています。そのため、約定するということは他のユーザーとの間ではなく、FX会社との間で売買が成立することを意味するのです。
例えば、あなたが150円で1ドル買いたい場合、FX会社が150円で1ドル売ることに合意すれば、約定することになります。もし150円で1ドル売ってくれなければ、約定することはありません。
新規注文と決済注文の両方とも、取引が成立すると「約定した」ということになります。
一方で決済とは、取引を終了することを指します。既に買いポジションを保有している場合は売り注文、売りポジションを保有している場合は買い注文を出すことで、取引を終了させるということです。
例えば、ドル/円の買いポジションを保有している場合、ドル/円の売り注文を出して決済を行います。つまり、決済注文は新規注文の反対売買になります。
約定と決済は一見似たような言葉に思えますが、約定は取引が成立すること、決済は取引を終了することという違いを覚えておきましょう。
スリッページとは?どのくらいで設定すればよいかドル円で実証!
スリッページとは、トレーダーが注文した価格と約定した価格で発生する差のことです。
FXでは、注文発注時に提示されていたレートと実際に約定したレートとの間にずれが生じることがあり、このずれを「スリッページ」といいます。スリッページが発生することを「注文がすべる」と言うこともあり、FXで意図した通りの取引をするためには、スリッページへの対策が重要になります。
引用元:外為どっとコム
スリッページが発生すると、想定通りの取引ができず、利益が縮小、損失が拡大するリスクが高まってしまいます。自分が想定した価格でポジションを約定させる確率を上げるには、高い約定力を持つFX会社で取引をすることがポイントです。
FX会社が提示しているスプレッドが狭かったとしても、約定力が低く、頻繁にスリッページが発生してしまう環境では取引が難しくなります。そのため、自分が取引で使うFX会社の約定力は、しっかりとチェックしておくべきです。
また、多くのFX会社では「許容スリッページ」を設定することができます。許容スリッページとは、スリッページが発生した時に、発注価格よりも不利な価格での約定をいくらまで認めるかを設定できる機能です。
例えば、1ドル=150円で買い注文を出した場合に許容スリッページ幅を1銭に設定していると、1ドル=150.01円よりも高い価格では約定せず、注文がキャンセルされます。
許容スリッページの目安は、今回ランキングで紹介した5社については、1銭(1pips)ほどで十分です。というのも、これらのFX会社は検証中、一度も1銭以上のスリッページが発生しなかったからです。
決済注文で許容スリッページを超えてキャンセルされてしまうと、そのポジションは残ったままになる点には注意が必要になります。しかし、今回ランキングで紹介した5社で取引している場合、ほとんどのケースできちんと約定するはずです。
海外FX業者の約定力は高くない?【真相を解説】
約定力について、「海外のFX業者の方が国内より高い」と言われることがあります。しかし、これは必ずしも正しくはありません。
海外のFX業者は投資家からの注文を直接インターバンク市場へ流して取引を行うNDD方式を採用していることが多く、この場合スプレッドや取引手数料がFX業者のメインの利益となります。一方、国内のFX業者は投資家とFX業者が1対1で相対取引を行うDD方式を採用していることが多く、こちらの場合はトレーダーの損失がFX業者のメインの利益となります。
つまり、海外FXはトレーダーが取引を続けるほど業者が儲かり、国内FXはトレーダーが負けるほど業者が儲かる仕組みになっているということです。そのため、「国内FX業者は意図的に約定拒否やスリッページを起こすことが多く、結果としてDD方式の方が約定力は劣る」と言われることがあります。
しかし、実際には通信の遅延やサーバーの位置、取引システムの問題などにも、約定力は大きく左右されます。特に、海外にサーバーがある場合、日本からのアクセスでは物理的な距離による通信遅延が発生しやすいです。
一方、国内のFX業者は日本国内にサーバーを設置していることが多く、日本の通信環境に最適化されています。そのため、通信の遅延が少なく、約定力が高い場合が多いのです。
実際、今回行った約定力の検証でも、1回の取引あたりのスリッページの平均値が0.1銭を超える国内FX業者はありませんでした。また、海外のFX業者は日本の金融庁に登録していない場合がほとんどであり、万が一トラブルが発生した場合でも、日本の法律による保護を受けられません。
利益が出た際に理不尽な理由で口座を凍結するような悪質な業者も報告されており、初心者は安全性・信頼性の高い、金融庁の規制を受けた国内のFX業者で取引をすることをおすすめします。
当記事で紹介している会社は、すべて金融庁から許可を受け財務局に登録されおり、かつ金融先物取引業協会に加入している業者です。
本記事で参考にしたサイト一覧
GMO外貨で行った約定力の調査では、10回の取引における合計スリッページは0.2銭、平均では0.02銭となり、外為どっとコムと並んで一番優秀な数値となりました。