数ある仮想通貨の中でもノアコインは、日本では馴染みのない人も多いだろう。現在、ノアコインは国内の取引所では扱っていない。しかしフィリピンを中心にさまざまなプロジェクトが進行しており、今後、知名度が高まる可能性もある。
この記事では、ノアコインを知らない人のために、特徴や将来性などを解説する。
ビットコイン(BTC/Bitcoin)とノアコイン(NOAH)の違いは?
ビットコインとノアコインにはどのような違いがあるのだろうか?時価総額、歴史、流通量、将来性の4つの観点で比較していく。
ノアコイン(NOAH)を買うならまずはビットコイン(BTC/Bitcoin)から
ノアコインは将来的に成長する可能性を秘めた仮想通貨だが、2021年10月現在、ノアコインを取り扱っている日本国内の取引所は存在しない。
海外の取引所を利用するのも1つだが、海外の取引所にはリスクもあるため、まずは国内の取引所を利用し、仮想通貨投資の経験を積むのがいいだろう。
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初めて仮想通貨に投資するなら、時価総額・知名度ともに圧倒的な存在であるビットコインがおすすめだ。ビットコインに投資して、投資経験を積むうちに、国内の取引所でもノアコインの取り扱いがスタートする可能性もある。
国内の取引所を選ぶなら、できるだけ取り扱っている通貨の種類が多い取引所を選ぶといいだろう。また、複数の取引所で口座開設しておくのも1つだ。そうすれば、ノアコインの取り扱いが始まった時、スムーズに投資できるだろう。
時価総額の違い
ビットコインとノアコインの時価総額は次の通りだ。なお、時価総額とは、仮想通貨の相対的な規模をランク付けする方法の1つとされている。時価総額は投資家が投じたお金の総額なので、仮想通貨の人気を判断する指標にもなる。
ビットコインとノアコインの時価総額
- ビットコイン:87兆6,585億4,906万
- ノアコイン:3,179万円
ビットコインはすべての仮想通貨の中で時価総額1位であり、圧倒的な存在感を誇る。ノアコインは、ビットコインの時価総額には及ばないものの、時価総額の割に知名度の高い仮想通貨だととらえることもできるだろう。
時価総額が低いということは、知名度が上がり、資金の流入が増えると同時に、価格の上昇も期待できるということだ。今後のプラチナム社の運営次第で、大化けする可能性を秘めている。
歴史から見る違い
ビットコインとノアコインを、それぞれの歴史から比較してみよう。
ビットコインは、Satoshi Nakamotoと名乗る謎の人物がインターネット上に投稿した論文を元に開発された。2009年に公開され今にいたるまで、時価総額・知名度ともに仮想通貨の中では抜きんでた存在だ。最初の仮想通貨であり、すべての仮想通貨の中で最も長い歴史を持つ。
ノアコインは、2017年にフィリピンで生まれた比較的新しい仮想通貨だ。社会貢献を目的に開発され、ICOで多額の資金調達を実現したことから、一気に注目を集めた経緯を持つ。一方、2017年にはトラブルが発生し、プロジェクトを一時停止せざるを得なくなっている。
ノアコインにはまだ事件の印象が根強く、「詐欺コイン」というイメージも完全には払しょくできていない。プラチナム社が運営を引き継ぐことで、ノアコインが信頼を取り戻し、成長していくことを願いたい。
流通量の違い
仮想通貨の発行総量は、開発者が独自に定めている。ビットコインの発行上限は2,100万BTC、ノアコインの発行上限は2,160億NOAHだ。
ビットコインとノアコインの流通量を知るため、2021年9月時点の循環サプライ(市場や一般の人々の手で流通する通貨数の最大近似値)を見てみよう。
ビットコインとノアコインの流通量
- ビットコイン:1,883万BTC
- ノアコイン:298億2,013万NOAH
流通量は、ビットコインに比べてノアコインの方が圧倒的に多い。発行上限もビットコインの1万倍以上だ。
流通量が多いと、投資家に人気があると感じられるかもしれない。しかし、流通量が多いと希少性が下がり、暴落するリスクも増すため注意が必要だ。ノアコインは発行上限までまだ余裕があるものの、流通量には気を配っておくようにしたい。
将来性の違い
ビットコインの強みは、知名度・時価総額が高いことだ。2021年9月には、中米のエルサルバドルでビットコインが法定通貨として採用された。国民の反対など問題はあるものの、このような動きが他国に広がっていくとしたら、大きな可能性を秘めている。
一方で、他の仮想通貨と比べて処理速度が遅いこと、マイニング(採掘)に大量の電力を消費することが問題視されていることなど、解決していくべき課題もある。
ノアコインは、まず「詐欺コイン」というイメージを払しょくしなければならない。ただし、今後新しく仮想通貨に投資する投資家が増えれば、このようなマイナスイメージは自然と風化していくかもしれない。
プラチナム社がノアコインの信頼を回復し、特徴的な事業・商品・サービスをリリースすれば、ノアコインが再び注目される可能性は十分にありうる。「社会貢献」というノアコインが生まれた目的をどのように浸透させ、具体的な事業・商品・サービスに落とし込んでいくかが重要だ。
仮想通貨ノアコインとは
ノアコイン(NOAHP)は2017年にフィリピンで生まれた仮想通貨だ。以下で、その特徴を紹介していく。
ノアコインはこんな暗号資産
- ノアコインはフィリピンの経済成長を助ける目的で開発された。
- 2017年のトラブルで良くないイメージを持つ人もいる。
- ノアコインのピークは2018年3月。
ノアコイン(NOAHP)の概要 | ||
---|---|---|
通貨名 | ノアコイン(NOAHP) | |
略称 | NOAHP | |
取り扱い取引所 | BTCNEXT | |
現在の価格(9/22現在) | 0.00099139円 | |
時価総額(9/22現在) | 29,563,311円 |
ノアコインはフィリピンの経済成長を助ける目的で開発された
ノアコインは、フィリピンへの社会貢献を目的に開発された。2017年のICOでは、日本円にして40億円以上の資金調達を達成している。ICOの成功により、ノアコインは一気に注目を集めたが、後述するように「詐欺コイン」というイメージがついてしまったという負の側面もある。
配当がもらえる
ノアコインは持っているだけで配当がもらえるのも特徴だ。「PoS(プルーフ・オブ・ステークス)」というマイニング方式を採用しているからである。
プルーフとは、仮想通貨の取引承認を目的としたデータ計算作業である「マイニング」に対する報酬のルールである。PoSは仮想通貨の保有量が多い人ほど、マイニングの成功報酬を受け取りやすくなる仕組みとなっている。初年度は保有量の20%にわたりノアコインが増える。時期が進むにつれて配当が減っていくため、早く保有するほど利益は多くなる。
有機農業アプリの開発
ノアコイン財団は有機農業アプリ「グロウカート」も開発していたが、現在は進展が見られない。しかし当初は生産者と消費者がwin-winの関係になり、農業を活性化させることを目的としていた。
グロウカートの役割は、有機野菜販売の仲介手数料の削減だ。手数料のせいで利益が減ってしまうと、生産者のモチベーションにも影響し、消費者も野菜の購入をためらうかもしれない。しかしグロウカートは、そうした経済面の悩みを解決する可能性がある。
グロウカートには仮想通貨でもおなじみのブロックチェーン技術があるが、それが農業と結びつく例は世界的に数少ない。ノアコイン独自の取り組みに注目する人もいたようだ。
ノアコインの別名「ノアアークコイン」
ノアコインは一時、「ノアアークコイン」に改名してメインに使っていたことがある。従来と似たような名前の仮想通貨が次々開発されたことが背景だ。
しかし現在の公式サイトでは「ノアコイン」と表記されたままだ。当初の略称は「NOAH」だったが、アークの名がついたあとは「NAC」と示されることもあった。しかし現在、多くの場合用いられる略称は「NOAHP」である。 これはプラチナム社が事業を引き継いでいるので「ノアプラチナム」というコイン名になったからだ。
ノアコインの価格やチャート
上場した2018年の3月は1ノアコイン約3円ほどの価値があった。しかし、その後すぐに暴落し約1円ほどに。その後も下落を続け、しばらくは約0.02~0.08円で推移を続けた。
2019年11月からは少しづつ上昇し、2020年2月には0.6円台まで回復した。しかし、それも長くは続かず、下落していった。
2021年9月22日時点のノアコインは、日本円換算で約0.001円になっている。この一年ほどは大きな動きはなく、このあたりでの推移が続いている。
ノアコインの将来性は?
ノアコインの将来性は、過去の事件からの脱却がポイントになる。現在のオーナーであるプラチナム社によるノアシティ設立のニュースがあるなど、活動自体は停まっていないので、巻き返しのチャンスは見られそうだ。現在わかっていることから、未来の可能性を確かめよう。
事件の過去からの脱却がカギ
ノアコインは2017年にトラブルが起きている。当初ICO開催時の発表で、フィリピン政府が開発にかかわった国家プロジェクトであると発表した。しかし3月14日に在日フィリピン大使館は関与を否定している。
虚偽の広告内容やフィリピン政府からの警告の結果、7月にノア財団はプロジェクトを一時停止した。投資家たちの抗議により返金対応に追われて以来、ノアコインは大きな話題を見せていない。現在も運営を放棄した状態が続いており、プラチナム社がこれを引き継いだ格好だ。
当時の事件で、まだノアコインによいイメージをもたない人もいるだろう。今後前向きなニュースを提供して、風評回復に成功できるかが将来性につながりそうだ。
フィリピン政府は関与していない
前述のとおりフィリピン政府はノアコインの開発にかかわっていない。ノアコインはフィリピンの社会貢献を目的にしており、ICO開催時は政府の協力があることを発表していたが、のちに政府が否定の声明を出した。
重要な情報が虚偽とわかったために、「ノアコインは詐欺だ」と批判する人も多い。現在もノアコインは独自にプロジェクトを進めているが、相場も1円を下回り続けるなど目立った成果は見られない。
政府からの協力が事実でなかったことから、ノアコインは出だしに躓いた。今後はノア財団から運営を引き継いでいるプラチナム社が独力でどこまで通貨の知名度を上げられるかがポイントだ。
ノアシティ設立など計画は進んでいる
実際のリゾート開発や都市建設は頓挫したままのようだが、プラチナム社は巻き返しを図るため、2019年11月2日にバーチャル上の都市「ノアシティ」を設立した。同日には通貨保有者向けのイベントが行われており、ノアシティ2.0が「直接民主主義」として、ユーザーによって管理されることがわかっている。コミュニティの運営方針が電子投票で決まるなど、具体的なプランも明らかになった。
2020年にはノアシティの市民権が発売され、ステータスに応じた出金制限も決まっている。フィリピンの社会貢献が目的のノアコインだった、当初の計画どおりには進んでいないものの、形を変えて細々と活動は続いているのだ。
今後プロジェクトが大きく発展すれば、ノアコインの価値上昇につながる可能性もあるだろう。
ノアコインの過去の高騰とこれからの高騰
ノアコインは2018年3月に取引所である「HitBTC」へ上場したことをきっかけに、価格が高騰した。しかしそのあとは落ち着いた印象である。今後の高騰の可能性とともに検証を進めよう。
ノアコインのピークは2018年3月だった
ノアコインのピークは2018年3月だった。27日に高値が約3円に伸びている。2021年5月25日時点のレートと比べると、約750倍におよぶ。2018年3月当時は、イギリスの「HitBTC」という取引所に上場しており、一般の投資家も手に入れられる環境が整った。
しかしその後は話題にならなくなったことから、大きく価値を落とし、1円に達する状況にさえほど遠いのだ。それでも今後ノアコインが別の取引所に現れれば、価格に好影響が出るだろう。
ノアコインの今後の高騰の可能性
ノアコインの今後高騰する可能性は、高くはない。2017年の虚偽発表のイメージが強く、いまだに多くの投資家が手を出したがらないようだ。
またHitBTCからも2021年5月時点ではノアコインを手に入れられない。セントビンセントおよびグレナディーン諸島を拠点としている「BTCNEXT」ではノアコインを扱っている。取引所が扱う例はここでしか見られない。
「ノアシティ」や当初の目標であるフィリピンへの社会貢献が成功すれば、ノアコインへの注目度が高まりそうだ。しかし現時点ではそのような兆候は見られないため、しばらくは様子を見た方が良いだろう。
ノアコインを保有するメリットとデメリット
ノアコインを保有するメリットやデメリットをまとめた。それぞれをバランスよく考え、購入判断を下そう。
ノアコインを保有するメリット
ノアコインのメリットは、フィリピンの経済成長に伴う注目度の上昇が考えられることだ。フィリピンは2014年に人口が一億人を超え、経済成長が急激であるとして、ASEAN主要国のなかでも影響力を強めている。同国をターゲットにしているノアコインにとっては追い風だ。
持っているだけで送金時の手数料が安くなったり、配当をもらえたりすることも大きい。手数料については「Ark Remit」を用いる必要があるが、長期的には管理コストの安さから利便性を感じられるだろう。ノアコインはフィリピンの経済成長にともない、その利便性の認知が進む可能性がある。
ノアコインを保有するデメリット
ノアコインのデメリットは、ネガティブなイメージや入手の難しさである。2017年に「政府が関与している」という虚偽発表がトラブルになったため、敬遠する人も多いだろう。
2021年5月時点でノアコインを手に入れられる取引所は、海外の「BTCNEXT」だけだ。国内で売っている場所がないのもネックである。
ノアコインの取引におすすめの取引所とは?
ノアコインは前述のとおり現在、BTCNEXTでしか手に入れられない。またBTCNEXTが作られた目的は、ノアコインの開発財団が主導する「ノアプロジェクト」の一環である。つまりそれ以外の場所でノアコインを手に入れる方法がない。
入手場所は限定的だが、BTCNEXTやノアコインが信頼できると判断したら、買ってもよいだろう。
これからも注目が集まる仮想通貨のノアコイン
ノアコインはフィリピンへの社会貢献を目的に開発された。しかし2017年に虚偽発表があったため、評判はあまりよくないようだ。
それでもノアシティをはじめ、活動が続いている。今後フィリピンの経済社会のサポートやプロジェクトの行方次第では、相場を上げる可能性があるだろう。
もしかするとこの先国内の取引所でも開かれる可能性がある。
現在は海外でしか取引ができないので、できるようになるまではビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨にチャレンジしてみるのもいいかもしれない。