法人カードのマイルの貯め方
ビジネス用として経営者やフリーランスの方が使う法人カードでもマイルを貯めることは可能です。基本的には、個人カードといわれる、いわゆる一般のクレジットカードとマイルの貯め方に違いはありません。個人カードと違い、多額の支払いに対応したカードであるため、効率良くポイントを貯めることができます。
この記事では法人カードでのマイルの貯め方やカードの選び方について解説していきます。
貯め方①:飛行機を利用する
ビジネスシーンだと、遠方への出張や研修の際、飛行機を使うことが多くあります。飛行機の利用時にカードで支払うと、支払い分のポイントと搭乗マイルの2つを貯めることができます。ポイントはカード発行会社でマイルに交換できるので、効率良くマイルを貯められることが分かります。
搭乗マイルは距離や航空会社によって貯まり方が異なるため、下記でシミュレーションしてみました。
搭乗マイルのシミュレーション
東京-大阪間 | 東京-福岡間 | 東京-福岡間 | |
---|---|---|---|
JAL | 片道 280×積算率 | 片道 567×積算率 | 片道 424×積算率 |
ANA | 片道 280× 積 算率 | 片道 567× 積 算率 | 片道 424× 積 算率 |
積算率はファーストクラスやエコノミーといった搭乗クラスや、介護割引や小児運賃など購入時の運賃種別によって設定されます。
たとえば、JALでは、エコノミークラスのY・Bクラスで予約をしていれば 積算率は100%となり、東京-大阪間の片道280マイルをそのまま受け取れます。しかし、同じエコノミーのL・V・Sクラスだと 積算率は50%で、片道140マイルになるという仕組みです。
「ANA JCB法人カード」ではボーナスマイルとして上記の区間マイル×積算率に10%上乗せしたマイルを受け取ることができます。東京-大阪間の片道で 積算率100%であれば、308マイルが貯まることになるのです。さらに、カードの利用合計金額1,000円(税込み)につき1ポイント貯められるOki Dokiポイントは、1ポイントあたり10マイルに交換可能です。カード利用時のマイル還元率は1%になります。
貯め方②:物品購入時に利用する
法人カードによっては、航空会社と連携して物品購入時に直接マイルを貯められるカードもあります。会社や仕事に必要な物品を購入する際に法人カードを使えば、マイルが貯まるだけでなく、会社の経費もまとめやすくなるのが特徴です。
会社で使うITツールの月額課金制の支払いに法人カードを使えば、毎月コンスタントにマイルを貯めることができます。
たとえば、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードは、SAISON MILE CLUBに無料で登録でき、ショッピング1,000円の利用につきJALマイルを10マイル自動的に貯められます。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード とANA JCB法人カードの比較
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード |
ANA JCB法人カード ※一般カード |
|
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年会費 | 2万2,000円(税込み) | 2,475円(税込み) ※初年度無料 |
ポイント還元率 | 0.1% ※ | 0.1% |
マイル交換率 | 1.125% | 1% |
マイルの種類 | JAL | ANA |
貯め方③:ポイントを移行する
クレジットカードの提携ポイントや電子マネーが貯まると、一定の単位でマイルに還元することができます。
たとえば、nanacoポイントの場合、ANAのマイルへ500ポイント単位で交換可能です。nanacoポイント500に対し350マイルに交換できます(ポイント→マイル交換率70%)。楽天ポイントの場合は交換率50%で、2ポイントがANAの1マイルになります。
マイルが貯まる法人カードの選び方
法人カードの種類によって貯まるマイルの種類や還元率が変わるため、マイルの貯まりやすさは大きく変わります。マイルを貯めることを重視して法人カードを選びたい方は、以下のポイントを意識してみてください。
法人カードの選び方
- マイルの還元率
- 付帯サービス
- 手数料や上限
マイルの還元率
ポイント還元率という言葉はよく耳にしたことがあるでしょう。カードによっては直接マイルを貯められたり、ポイントからマイルを貯められたりする場合があります。
たとえば、セゾンコバルト・ビジネス・アメックスの場合、ポイント還元率0.1%でANAへの還元は0.3%です。交換単位などを無視すれば、1,000円の利用で1ポイントまたは3マイルを貯められることになり、還元率で貯まるポイントが大きく変わることが分かります。
マイルを効率よく貯めたい方は、ポイント還元率の高さよりもマイル還元率を重視して選んでみてください。
3種類のカードの比較
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード |
ANA JCB法人カード |
セゾンコバルト・ビジネス・アメックス |
|
---|---|---|---|
ポイント還元率 | 0.1% ※ | 0.1% | 0.1% ※ |
マイル交換率 | 1.125%(JAL) | 1%(ANA) | 0.3%(ANA) 0.25%(JAL) |
付帯サービス
マイルを貯めること以外にも魅力的なサービスが法人カードについています。出張先でよく宿泊する方は、旅行傷害保険や宿泊優待サービスがあると手間がかかりがちな手配も必要ありません。また、飛行機をよく利用するのであれば、空港ラウンジサービスが利用できると落ち着いた空間でPC作業もできておすすめです。
ちなみに旅行傷害保険は自動付帯タイプだと、カードを持っているだけで万が一事故にあった時も保険を適用できます。
このような法人カードの付帯サービスを比較してみることも重要な選び方です。
【JCBゴールド法人カード】
年会費1万1,000円(税込み)のJCBゴールド法人カードでは、死亡・後遺障害の場合に最高1億円補償される海外旅行傷害保険(利用付帯)と、最高5,000万円補償される国内旅行傷害保険(利用付帯)が付いています。さらに、航空機の遅延にかかった客室料や食費も2万円を限度に補償(利用付帯)してもらえます。 国内の主要空港とハワイのホノルルの国際空港内にあるラウンジも無料で利用可能です。
手数料や上限
貯まったポイントをマイルに交換する場合、カードによってはマイル移行手数料がかかったり、上限が設定されている場合があります。
たとえば、ANA JCB法人カードではOki Dokiポイント1ポイントを10マイルに移行できますが、移行時は年間5,500円(税込み)の手数料を支払わなければいけません。年会費が高いワイドゴールドカードであれば手数料は無料ですが、一般カードでは年間手数料が発生してしまうので注意してください。
貯まったマイルの使い道
効率よくマイルを貯められる法人カードですが、貯まったマイルはどのような使い道があるのでしょうか。意外と知られていないマイルの使用方法について、紹介していきます。
マイルは個人に所有権があるため、従業員がプライベートでマイルを利用しても法的責任を問われることはありません。しかし、会社によっては規則で法人カードのポイントやマイルの個人的な利用を禁止している可能性もあります。フリーランスの方は個人で利用する分には問題ありませんが、会社の場合はトラブルの元になりかねないので、個人利用は避けたほうがよいでしょう。
貯まったマイルの使い道
- 航空券と交換する
- 座席のアップグレードをする
- ポイント移行して利用する
航空券と交換する
貯まったマイルは国内外の航空券と交換できます。マイルの種類や行先によって必要なマイル数が変わるため、例を出しながら具体的に解説します。
【ANAで国内線航空券に交換する】
任意の片道1区間、または2区間に利用できます。シーズンや区間によって必要マイル数が異なるため、事前に確認が必要です。
たとえば、東京と大阪の往復で2023年1月1日(ハイシーズン)に利用する場合、1区間7,500マイル、往復だと1万5,000マイルが必要となります。
一方で東京と沖縄の往復を同時期に利用する場合、1万500マイル×2で2万1,000マイルが必要です。区間が近かったり、混雑しないシーズンであれば必要マイル数も変わってきます。
【JALで国内線航空券に交換する】
JALも任意の片道1区間、または2区間で利用できます。JALの場合は普通席だけでなく追加マイルの利用でクラスJ特典航空券に交換可能です。シーズンによる必要マイルの変動はありません。
東京と大阪間の往復だと1万2,000マイル、東京と沖縄・那覇間の往復は1万5,000マイルが必要です。クラスJを利用したい場合は発着空港ごとに設定された追加マイル数の消費が必要で、たとえば羽田発着だと370マイル×2=740マイルを追加することで利用できます。
座席のアップグレードをする
航空券の交換だけではなく、利用する座席をアップグレードする特典にも利用できます。
【ANAで国際線の座席をアップグレードする】
ANAは国際線の座席をアップグレードする際にマイルの利用が可能です。片道の距離マイレージとアップグレードするクラスによって必要マイル数が変更されます。
たとえば、東京から2,000マイル内の移動(ソウルや北京など)で、プレミアムエコノミーに交換する際は片道9,000マイル、ビジネスクラスで1万2,000マイル、ファーストクラスで2万マイルが必要です。
【JALで国際線の座席をアップグレードする】
JALも国際線の座席アップグレードにマイルが使えます。日本との往復先の都市やアップグレードするクラスによって必要マイル数が変わってくるので、事前にチェックしてみてください。
たとえば日本とホノルルの片道だと、プレミアムエコノミークラスに1万5,000マイル、ビジネスクラスに2万5,000マイル、ファーストクラスに3万マイルでアップグレード可能です。
ポイント移行して利用する
ANAやJALの貯まったマイルは、航空会社が提携するパートナー企業のポイントに移行できます。
ANAの提携パートナー(一部)
交換先ポイント | 詳細 | 詳細 |
---|---|---|
スターバックス カード | 1万マイルごとに1万円分 | 100% |
iTunesギフトコード | 1万マイルごとに1万円分 | 100% |
楽天Edy | 1万マイルごとに1万円分 | 100% |
Suica ※ANA VISA Suicaカード会員限定 |
1万マイルごとに1万円分 | 100% |
楽天ポイント | 1万マイルごとに8,000ポイント分 | 80% |
Tポイント | 1万マイルごとに1万円分 | 100% |
nanacoポイント | 1万マイルごとに1万円分 | 100% |
JALの提携パートナー(一部)
交換先ポイント | 詳細 | 詳細 |
---|---|---|
楽天ポイント | 1万マイルごとに8,000ポイント分 | 80% |
dポイント | 1万マイルごとに1万1,000ポイント分 | 110% |
Pontaポイント | 1万マイルごとに1万円分 | 100% |
Suica | 1万マイルごとに1万円分 | 100% |
FamiPayギフト | 1万マイルごとに1万300円分 | 103% |
nimocaポイント | 1万マイルごとに1万円分 | 100% |
東急POINT | 1万マイルごとに1万円分 | 100% |
ポイント交換率も高いので、普段使っているポイントサービスがある場合はマイルから交換してみてください。
法人カード マイルに関するQ&A
最後に法人カードのマイルの貯め方や使い方に関するQ&Aをまとめました。ぜひ最後までチェックしてみてください。
- 貯めたマイルに税金はかかる?
- 消費税法の取扱い上、貯めたマイルや付与されたマイルは不課税です。また、提携外企業へのキャッシュバックは課税対象ですが、景品交換や他社ポイント交換などは不課税になります。
- マイルの所有権は?
- 法人カードで貯まったマイルは法人企業が所有するわけではありません。名義人の個人に付与されることになるため、法人カードで貯まったマイルを個人が使用することに法律的に問題はありません。
- 法人カードもマイルを貯めることができる?
- 法人カードでも個人カードと同じようにマイルを貯めることは可能です。
- 貯めたマイルの使い道は?
- 貯まったマイルは主に次のような使い道があります。
貯まったマイルの使い道
- 航空券に交換する
- 飛行機の座席をアップグレードする
- 提携企業のポイントや電子マネーに交換する
今回紹介した使い道以外にも、グループ企業のツアーやホテルの宿泊クーポン券と交換できたり、国内外の選定商品と交換できたりします。
- ポイントの還元率とマイル還元率は違う?
- 法人カードのポイント還元率とマイル還元率は別々で設定されています。貯まったポイントは、カード会社によってはマイルに交換することもできます。
SAISON MILE CLUBに登録できるセゾンカードだと、ショッピング利用分をポイントから交換せず直接マイルに還元することができます。 ANA JCB法人カードはポイントをマイルに交換できますが、年間移行手数料がかかるので注意が必要です。