「クレジットカードを保有したくない」という理由に挙がることの多い不正利用など安全性への懸念。しかしキャッシュレス化が進行する社会においてクレジットカードは、最低でも1枚は持っておきたいアイテムです。
この記事では、クレジットカードの不正利用の被害にはどのようなものがあるかを解説し、安全性を保つ方法について説明していきます。
クレジットカード利用の安全性を保つ方法
クレジットカードの請求は、翌月または翌々月に来るため、なかには利用したことを忘れている場合もあります。しかしそのスキを突く悪意を持った不正利用者がいるのも事実です。
クレジットカード利用の安全性を保つためにも請求が来たらすぐに以下の3つのポイントについて確認する習慣をつけましょう。
利用日と金額
クレジットカードを利用するとレシートと共にカード利用票のお客様控えを渡されるため、請求が来るまで保管しておきましょう。請求が来た際には、控えを見ながら利用明細書に記載されている日付と金額が正しいか確認することが必要です。通常は、クレジットカード決済による売上はすぐに計上されるため、利用票と明細書の日付は同日ですがまれに処理に時間がかかって日付がずれる場合もあります。
その場合でも「利用金額や利用店舗が同じ」「二重請求がない」などの場合は、問題ない可能性が高いです。もし利用票を捨ててしまって手元にない場合は、記憶をたどりつつ本当に自分が利用したかどうかを思い出してみましょう。
家族の利用有無
家族カードを作成している人は、家族カードの利用分が本会員の請求に含まれているため、その分の可能性もあります。また原則としてクレジットカードは、名義人以外が利用することはできませんが、ネットショッピングなどで家族が自分のカードを利用した可能性もあるかもしれません。本人が利用した記憶がない場合には、家族が利用していないか確認してみましょう。
店舗と支払先名
利用明細書には、利用した店舗名が記載されますが、店舗によってはカード会社に登録されている店舗(会社)名が自分の知っている店舗名と異なっている場合もあります。もし自分が知らない店舗名になっている場合は、利用日や金額もチェックし間違いなく自分が利用したものかどうか確認しましょう。利用した覚えがない場合は、すぐにクレジットカード会社へ問い合わせることが大切です。
クレジットカードの安全を脅かす被害一覧
日本クレジットカード協会によると2020年におけるクレジットカードの不正利用被害額は、約253億円でした。自分が被害に合わないようにどのような手口で不正利用が行われるのか知識をつけておきましょう。
なりすまし
「なりすまし」とは、第三者がカード所持者になりすまして、カードを利用することを言います。盗難したカード現物を使って利用したりクレジットカード情報を不正に入手したりするケースがあります。
特にインターネット取引では、カード番号と有効期限、セキュリティコードを送信することでカード決済が可能です。知らない間に第三者にクレジットカード情報を盗み見られたりWEBサーバーへのハッキングなどで漏えいしたりすることもあります。
フィッシング詐欺
「フィッシング詐欺」とは、金融機関や企業などからのメールを装って本当のサイトにそっくりの偽サイトに誘導し個人情報を入力させる手口です。多くは、メール内のURLやWEBページのリンクをクリックすると偽サイトが表示され個人情報の入力を促されます。このときクレジットカード番号や暗証番号を入力・送信するとその情報が盗み取られアカウント乗っ取りなど悪用されてしまいます。
スキミング
「スキミング」とは、クレジットカード情報を読み取る機器(スキマー)を使用し加盟店に記録されているカード情報を盗み取る手口です。スキマーには、ハンディタイプや端末に装着するタイプのものもあります。例えばATMのカード挿入口にスキマーを取り付け、カード情報を盗む被害はよく聞くのではないでしょうか。
近年は「無線機能でスキマーを回収せずに情報を入手できる」「カードに接触せず近づくだけで情報を取得できる」といった機器も出現するなどスキミング技術も高度化している傾向です。
オンラインショッピング詐欺
「オンラインショッピング詐欺」は、架空のオンラインショップサイトを立ち上げて架空の商品を販売する手口です。商品が届かないどころかカード情報を盗み取られてしまいます。そのためオンラインショッピングをする際には、会社名や連絡先、商品、価格、サイトの表示内容などをしっかりと確認したうえで怪しいサイトでないか確認することが大切です。
例えば「商品が相場よりも極端に安い」「日本語表記がおかしい」「会社名や連絡先が架空のもの」といったサイトは、怪しい可能性があります。
出会い系サイト詐欺
「出会い系サイト詐欺」とは、有料出会い系サイトに登録させてクレジットカードの登録やポイント購入のためにカード決済させる手口です。登録後に連絡が取れなくなり、期待していた出会いは得られません。ただしサイトへの登録やクレジットカード決済は本人の意志で行われているため、クレジットカード会社は本人に請求せざるを得ず本人も支払わざるを得ません。
出会い系サイト詐欺は、男女の出会い以外にも芸能人との出会いを偽った詐欺もあります。怪しい勧誘にだまされないように注意が必要です。
オンラインショッピングからの情報漏えい
「オンラインショップからの情報漏えい」とは、悪意のある人がオンラインショップに不正アクセスして個人情報を盗み出す手口です。個人情報の中には、クレジットカード情報も含まれます。本来個人情報には、第三者がアクセスできないようショップ側もセキュリティ管理に努めている傾向です。しかし不正アクセスの手口は、巧妙で常に進化しています。
クレジットカードの安全性に異常があったときの対処法
もし自分のクレジットカードが不正利用された場合は、誰でも慌ててしまうものです。落ち着いて行動できるように、あらかじめ安全性に異常があったときの対処の仕方を心得ておきましょう。
カード会社への連絡
「不正利用の疑い」「偽サイトにカード番号や暗証番号など、個人情報を入力してしまった」など安全性に異常があったときには、すみやかにカード会社に連絡しクレジットカードの利用停止をしてもらいましょう。どのカード会社でも通常のカスタマーサポートとは別に24時間対応の紛失・盗難時専用コールセンターが設置されているため、曜日や時間にかかわらず電話をかけることができます。
連絡を受けるとクレジットカード会社は、カードの利用停止および不正利用されていないかの調査を行います。調査がスムーズに行えるよう不審な点や状況をできるだけ詳しく説明することも大切です。調査結果が出るまで不安な気持ちが残りますが焦らずカード会社からの連絡を待ちましょう。
クレジットカードの再発行
第三者に不正利用される恐れがあるクレジットカードは、その後も利用できず新しいカードへの差し替えが必要です。新しいクレジットカードを再発行してもらいましょう。
警察への届け出
紛失や盗難などの際には、警察にも届け出しましょう。万一不正利用されてしまってもカード会社が損害額を補償してくれる場合がありますが、補償適用されるには警察へ届け出た際の受付(届出)番号が必要です。ただしクレジットカード会社によっては、不正利用の有無にかかわらず警察への届け出が必要なところもあるため、カード会社に連絡したときに確認しておきましょう。
クレジットカード不正利用の際に補償を受けるための基礎知識
不正利用されても損害額が補償されるのは安心です。しかし状況によっては、補償されないケースもあります。クレジットカードの補償の仕組みについて正しく理解しておきましょう。
補償の仕組み
原則としてすべてのクレジットカードには、紛失や盗難保険が付帯されているため、万一不正利用された場合でも損害額の全額が補償されます。ただし補償が適用されるかどうかは、カード会社が作成している「会員規約」の記載内容によって異なるため、注意しましょう。一般的には「第三者によって不正に利用された」「カード会社の調査によって認められた」といった場合が補償の対象です。
またカード会員がカード会社に届け出た日から遡って60日までの利用日までのものが補償されます。そのためカード会社に届け出た日の61日以前に生じた損害分は、補償の対象となりません。
補償されないケース
カード会員自身に会員規約違反や故意または過失などがある場合は、補償の対象とはなりません。例えば以下のようなケースがあります。
・紛失や盗難または被害状況の届け出そのものが虚偽のケース
・ETCカードの車載機から抜き忘れたり車内に置き忘れたりした結果、被害に遭うケースなど
また会員の家族や同居人による不正利用、カード会社からの郵便(カードやチケットなど)の受領代理人による不正利用などの場合も補償されません。なおショッピングやキャッシングなどでクレジットカードを利用する際には、暗証番号の入力を伴う取引があります。しかしその場合の損害は、原則として補償されません。
なぜなら本来暗証番号の管理については会員自身が厳重・慎重に行わなければならないとされているからです。しかし会員自身に故意または過失がないとカード会社が認めた場合は、補償してくれる可能性もあります。またカード裏面にサインをしていなかった場合も補償されないため、クレジットカードを保有している人は、必ず裏面にサインしておきましょう。
まとめ
クレジットカードの安全性を脅かす手口は、年々巧妙になってきています。そのためクレジットカードの管理・利用は、細心の注意を払うことが必要です。クレジットカードの利用明細を定期的にチェックする習慣をつけておくことで被害を最小限に抑えクレジットカード利用の安全性を保つことができるでしょう。
万一不正利用に気づいた場合には、本記事で説明した手順を参考にして迅速・的確な対応に努めるようにしてください。