FXのポジション比率は、個人投資家の「買い」と「売り」ポジションの割合で市場全体の勢いを把握できるため、勝率を上げるためには非常に重要です。
しかし、「ポジション比率をどう使えばいいの?」、「順張りと逆張りどちらが有効なの?」、「実際に稼ぐために使う方法を知りたい」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、FXのポジション比率の見方や使い方、具体的なトレード手法についてわかりやすく解説していきます!
FXのポジション比率とは?
FXのポジション比率とは、特定のFX業者でトレードをしているユーザーの未決済ポジションの保有比率のことです。
簡単に言えば、通貨ペアごとの保有ポジション(未決済ポジション)の買いと売りの比率がグラフで示されるということです。
そして、FXで今後の値動きを予想し、トレードプランを立てる際に、マーケットに参加している他の個人投資家の動きが大きなヒントになるのです。
FX業者が提供するポジション比率が有効な理由は、個人投資家の特徴にあります。
一般的に個人投資家は逆張りを好む傾向があり、価格が上昇する場面では売りポジション、価格が下落する場面では買いポジションが増えることが多いです。
ポジション比率を把握できるサイトとしては、米国のシカゴマーカンタイル取引所(CME)に上場しているIMM通貨先物のポジション動向、「IMM通貨先物ポジション」が代表的です。
FXのポジション比率情報の見方を分かりやすく解説!
FXのポジション比率が何か分かったところで、ポジション比率情報の見方を学んでいきましょう。ポイントは以下の3つです。
「買い」と「売り」の見方
下の画像は、外為どっとコムの米ドル円のポジション比率情報です。米ドル円のポジション比率の変化がグラフになっており、一目で分かるようになっています。
オレンジ色の棒グラフが「買い(Buy)」、青色が「売り(Sell)」の割合です。
長期的な流れでは、米ドル円は右肩下がりになっています。これは、買いポジションの割合が減って売りポジションの割合が増えているということです。
時間軸の変更の仕方とその目的
FXには1日でトレードが完了するスキャルピングやデイトレードから、数ヵ月から数年間かけるポジショントレードまで、様々なトレードスタイルがあり、それぞれのスタイルに応じた時間軸でポジション比率を確認することが重要です。そのため、ポジション比率を表示する時間軸を変更できれば、トレードをする際に非常に便利です。
例えば、外為どっとコムではポジション比率のグラフの下にあるスライドバーを操作することで表示したい時間軸を手軽に変更することができます。
あなたがスキャルピングやデイトレードなどの短期売買をする場合は直近の数日間、スイングトレードなら数週間、ポジショントレードなら数ヵ月間のデータというように、自分のトレードスタイルに合った期間のポジション比率を確認するとよいでしょう。
アプリでの確認方法と注意点
ポジション比率はFX業者の公式サイトだけでなく、多くの場合スマホアプリでも確認することができます。
最近はPCではなくスマホでトレードする人が多く、ほとんどのことがアプリからできるようになってきました。
例えば、外為どっとコムのアプリでは公式サイトとほぼ同じ形式でポジション比率を見ることができます。
ただし、公式サイトと完全に同じというわけではないことには注意が必要です。外為どっとコムのケースでは、公式サイトのようにポジション比率の時間軸を変更することができません。
【プロのトレーダーが伝授!】FXのポジション比率を活用したトレード手法
FXのトレードではポジション比率をトレードの根拠に加えることで、劇的に勝率を改善することが期待できます。
なぜなら、個人投資家の反対のポジションを簡単に取ることができるからです。
この項目では、ポジション比率の具体的な活用方法について、3ステップで解説していきます。
①ポジション比率を確認(個人投資家と逆方向にエントリー)
エントリーをする際には、まずポジション比率の推移を確認します。理由としては、個人投資家と必ず逆方向にエントリーすることをトレードの方針にしているからです。
個人投資家は負ける人が多いと言われていることから、個人投資家の大多数と逆方向のポジションを保有すれば勝ちやすいと考えています。
例えば、以下の画像のように売りポジションが増えてきている場合、買いポジションを保有することを検討します。
多くの個人投資家と同じ方向のポジションを持つことを確実に避けるため、最初にポジション比率の動きを確認して逆張りするのがおすすめです。
②テクニカル分析を行う(移動平均線やMACD、RSI)
次にテクニカル分析を行います。なぜなら、ポジション比率と併せてテクニカル分析を行うことで、分析の精度を高めることができるからです。
使用する主なテクニカル指標は、移動平均線(EMA)やMACD、RSIです。例えば、ポジション比率の推移から買いポジションを保有すべきだと考えている場合、移動平均線やMACDでゴールデンクロスが発生し、上昇トレンドが確認できた段階で実際にエントリーをします。RSIを使って買われ過ぎや売られ過ぎも見ることができれば、分析の精度をさらに高めることができます。
ポジション比率だけでなく、これらのテクニカル指標が示すマーケットのトレンドや過熱感を考慮したトレードを心掛けることで、さらなる勝率アップを狙うことが可能です。
③板情報を確認する
最後に、板情報を確認していきます。
なぜかと言うと、サポートラインやレジスタンスラインになる確率が高い水準を洗い出しておきたいからです。
板情報とは、約定していない予約注文(指値注文と逆指値注文)についての買いと売りの分布をグラフで表したものです。
板情報を確認すれば、手軽にサポートラインやレジスタンスラインになりそうな価格帯をかんたんに知ることができます。
例えば、以下の画像は米ドル円の板情報ですが、155.70円と155.80円に大量の売りの指値注文(Sell)があることが分かります。
つまり、155.70円や155.80円付近がレジスタンスラインとなり、トレンドの転換点になったり、いったん調整したりする可能性が高そうだと判断することができるのです。ここまで分かれば、155.70円や155.80円の少し下に利益確定の指値注文を入れ、値動きが反転する前に決済することができます。一方、155.40円付近には大量の買いの指値注文(Buy)があり、こちらはサポートラインになりそうです。
板情報は慣れるまでやや使いにくいかもしれませんが、使いこなすことでトレンドが転換したり、調整したりしそうな点が予測しやすくなります。そのため利益確定や損切りのポイントを素早く把握することができるのです。
FXのポジション比率を提供しているおすすめFX業者2選!
FXのトレードにおいて、ポジション比率は重要な情報の1つです。そのため、ポジション比率を提供しているFX業者を知っておくことが、成功のキーポイントとなります。
外為どっとコム
外為どっとコムのメリット
- ◎ オンラインセミナーの開催や情報配信が充実
- ◎ マイナー通貨ペアのスプレッドが狭い
- ◎ 24時間のサポート体制を取っており、初心者でも安心
外為どっとコムのデメリット
- △ スキャルピングが非推奨となっている
- △スプレッドが狭い時間帯が短い
外為どっとコムは口座数が2024年3月時点で、約61万口座と非常に多い大手FX業者であり、ポジション比率を使った分析の精度が高くなりやすいです。なぜなら、口座数が多ければ、それだけ多くの個人投資家の動向を知ることができるからです。
また、外為どっとコムでトレードできる30通貨ペア全てのポジション比率の推移を見ることができることから、自分がトレードしたい通貨ペアのポジション比率が見られないということが起きづらいです。
公式サイトであれば、スライドバーを操作することで数日間から最長で過去180日間という長期間まで、表示するデータを変更できることも非常に便利です。
外為どっとコムのポジション比率や板情報は口座がなくても公式サイトから見ることができるため、まずは気軽に使ってみてください。
【現在は配信停止】IG証券(DAILYFX)
IG証券のメリット
- ◎ 業界最低水準のスプレッドで取引できる
- ◎ 1万6,0000以上のCFD銘柄
- ◎ 電話サポートを含めた顧客サポートが受けられる
IG証券のデメリット
- △ 株式CFDに手数料がかかる
- △ 6ヵ月売買をしないと口座維持手数料がかかる
ポジション比率を使ったトレードに慣れてきたら、ぜひ使ってみていただきたいのがDAILYFXです。DAILYFXはIG証券の親会社であるIGグループが運営している、金融マーケットのニュースやリサーチ情報を提供するサイトです。
※現在はサイトは閉鎖されています。
IGグループでは世界で約36万人が実際にトレードを行っており、グローバルな視点からポジション比率の推移を確認することができます。
さらに、一日に数回データが更新されることから、タイムリーな情報に基づいたトレードをすることが可能です。
FXのポジション比率を活用する時の注意点
FXのポジション比率を活用する時の注意点は以下の2つです。
ポジション比率の情報のみを根拠にしない
ポジション比率はトレードにおいて有効な指標になりますが、これだけでトレードをすることはおすすめできません。というのも、他の分析と組み合わせることで、さらに分析の精度を上げることができるからです。
具体的には、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析と組み合わせて複数の根拠を持つことで、勝率アップが期待できます。逆に、1つの根拠だけに依存してしまうと、マーケットに影響を与える要因は多岐にわたるため、誤った判断を招く可能性が高まります。
したがって、ポジション比率のみをトレードの根拠にせず、必ず他の分析方法を使った分析も行いましょう。
50%を基準にしない
ポジション比率は買いポジションの割合が50%より多ければ売り、売りポジションの割合が50%より多ければ買いというように、単純に50%を基準にすることはおすすめできません。というのも、買いポジションが多かったり、売りポジションが多かったりする状態が、長期間続くことがよくあるからです。
以下の画像は、ユーロ米ドルの180日間のポジション比率の推移ですが、継続的に売りポジション(Sell)の方が多い状態が続いています。
しかし、もちろんこの間に上昇トレンドや下降トレンドがそれぞれ発生しており、買いだけや売りだけといったトレードではとても対応できません。
そのため、50%に注目するのではなく、スキャルピングやデイトレードでは直近の数日間で買いと売りのどちらが増えているか、スイングトレードでは1週間で買いと売りのどちらが増えているかに注目してみてください。
FXのポジション比率に関してよくある質問
この項目では、FXのポジション比率に関する知っておきたいこと、注意すべきことをまとめてご紹介していきます。
- ポジション比率と売買比率の違いはなんですか?
- ポジション比率とは、保有されている買いポジションと売りポジションの比率のことを言います。一方、売買比率とは、特定の時間における売買注文の新規、決済別の比率のことです。
ポジション比率がトレーダーの保有しているポジションに基づいているのに対し、売買比率は売買注文の数に基づいていることが大きな違いになっています。売買比率はポジション比率よりも短期的な推移を表すことから、短期売買をするトレーダーはポジション比率と組み合わせたり、こちらのみを使ってみたりするのもよいかもしれません。
- ポジション比率とオーダー比率の違いはなんですか?
- ポジション比率は新規注文が約定し、保有中で決済していない買いポジションと売りポジションの比率を表します。一方、オーダー比率(板情報)は約定していない予約注文(指値注文と逆指値注文)についての買いと売りの分布を表します。
これらを組み合わせて使うことで、分析の精度を高めたり、トレードの勝率アップを狙ったりすることが可能です。
当記事で紹介している会社は、すべて金融庁から許可を受け財務局に登録されおり、かつ金融先物取引業協会に加入している業者です。
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日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。15年以上のFXトレード歴があり、2013年に開催されたFXコンテスト(Forex.com社開催)で優勝も経験。FXを始め、株、仮想通貨、コモディティなども手広く取引している。
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