特集「令和IPO企業トップに聞く ~ 経済激変時代における上場ストーリーと事業戦略」では、IPOで上場した各社のトップにインタビューを実施。コロナ禍を迎えた激動の時代に上場を果たした企業のこれまでの経緯と今後の戦略や課題について各社の取り組みを紹介する。今回は株式会社シイエヌエスの関根代表に話を伺った。

株式会社シイエヌエス
(画像=株式会社シイエヌエス)
関根 政英(せきね まさひで)――株式会社シイエヌエス代表取締役
1988年住信情報サービス株式会社(現三井住友トラスト・システム&サービス株式会社)に入社。 システム基盤更改の案件等に携わる。 UNIX系の技術を得るため、1993年シイエヌエスに入社。 食品トレーサビリティシステム開発等の新技術を活用した業務を担当する。 さらに、受託開発に続く基盤ビジネスを立ち上げ、現主要顧客の開拓を推進。 2015年より代表取締役社長として指揮を執る。
設立:1985年7月
上場:2021年8月 マザーズ
銘柄コード:4076
資 本 金:4億7,877万円
所 在 地:東京都渋谷区
従業員数:連結:245名/単体:208名(2024年2月末時点)
主な業務:・システムコンサルティングサービス
     ・システムインテグレーションサービス
     ・アプリケーションシステムの設計開発
     ・システムインフラの構築サービス
     ・ビッグデータの分析

目次

  1. これまでの事業変遷について
  2. 今後の事業戦略について
  3. 経営判断をする上で最も重視していること
  4. 経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がったご⾃⾝の強み
  5. 思い描いている未来構想
  6. ZUU onlineユーザーへ⼀⾔

これまでの事業変遷について

ーー初めに、貴社の事業の変遷とターニングポイントについて教えてください。

株式会社シイエヌエス 代表取締役社長・関根政英氏(以下、社名・氏名略): 当社はシステム受託開発を中心にした業務システムインテグレーション事業からスタートし、常に革新的な技術に挑戦することで事業を展開してきました。数年前からはビッグデータやクラウドといった新しい技術にも着手しています。また、昨今のDX化の潮流の中で2021年には上場も果たし、当社にとって1つのターニングポイントになりました。

ーー上場の狙いは何だったのでしょうか?

関根:一番大きな狙いは採用力の強化でした。当社のビジネスモデルにおいて一番重要な経営資源は人材です。上場を果たすことによって知名度や信頼性が向上すれば、優秀な人材をより獲得しやすくなります。

もちろん、採用活動にとどまらず、採用後の育成にも力を入れており、当社では専門的なスキル獲得のための研修制度を整えています。

具体的には、若手がデジタルトランスフォーメーションについて構想し、DXの目的を意識した上で問題解決を図っていく『ビジネス変革研修』や、Mission/Vision/Valueや当社の次なるステージを目指して前期見直しを行った行動指針の定着を目的に、当社が求める役職者像を取締役から新役職者へ伝える『新役職者向け研修』等を実施しています。

さらに、代表である私自身と若手社員が、当社の将来や問題点などについて話し合う場を設けています。このようにコミュニケーションを活性化させ、社員のエンゲージメント向上にも力を入れています。

今後も人材への投資は積極的に実施し、新しい技術の獲得にもつなげていきたいです。

今後の事業戦略について

ーー次に今後の事業戦略について教えてください。

関根:既存事業に関しては、当社の技術要素はこのDXの時代の中でも最先端で今後中心になっていくものです。その中で、新たなツールの開発強化や、主力ビジネスである「ServiceNow」の拡大に力を入れていきます。

また、「システム基盤事業」に関しては、ガバメントクラウドへの参入を進めています。2025年までに官公庁のオンプレミス(物理的なシステムをクラウド)へ移行することが必須となっており、そこに向けた需要が拡大しているので、ニーズをしっかり捉えてビジネスを拡大していきます。

次に、新規事業に関してですが、2024年5月期にコンサルティング事業を開始しています。大きな狙いはエンドユーザーとの接点の獲得です。これまでは受託型がメインでしたので、エンドユーザーとの距離が遠い部分がありました。コンサルティング事業の開始により、エンドユーザーとの距離を縮め、また接点も増やすことを目指しています。これにより更に本質的なサービス提供を実施するとともに、既存事業の販路拡大にもつなげていきたいと考えています。

経営判断をする上で最も重視していること

ーー2015年に社長に就任されていますが、就任されてからこれまで、経営判断において最も大切にされてきたことを教えてください。

関根「決断のスピード」はとても大切にしています。社長として組織を迷わせてしまうことがないように迅速に意思決定をしています。その決断内容が通期の決算内容に影響を与えるほど重要なものでない場合は、30%くらいの確信度だとしてもとにかくまずはやってみることにしています。もちろん、時には間違った判断をしてしまうこともありますので、その際にはきちんと反省をし、迅速に方向転換するようにしています。

また、決断する上ではCNSグループにとって全体最適となるような意思決定を意識しています。そのためにも組織の一部だけが得するような判断になっていないか、という視点は常に大切にしています。

経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がったご⾃⾝の強み

ーースピードや柔軟性という部分を社長がとても大切にされていることが伝わってきました。これを大切にされるに至った過去のご経験についても教えてください。

関根:スポーツにしても勉強にしてもそうですが、他の人よりも抜きん出た結果を残すためには他の人よりもより早く、より正確に結果を出すことが求められます。ビジネスにおいても同様で、他社よりも先に、お客様が欲しいと思うような提案をすることで発注いただくという経験を積んできました。このような経験から、スピードがなければ良い結果を出すことができないというマインドが形成されてきたのだと思います。

思い描いている未来構想

株式会社シイエヌエス
(画像=株式会社シイエヌエス)

ーー昨年、中長期的成長を見据えたリブランディングを実施されていますが、今後の貴社の方向性についても教えてください。

関根:2023年の8月にブランドメッセージを刷新し、「BEYOND THE RIGHT ANSWER. ―正解以上の答えを出そうー 」という新ブランドメッセージを策定しました。当社の強みである「人を想う力」「技術を活かす力」「可能性を広げる力」を活かすことで、お客様の期待値を超えるだけでなく、社会的な課題の解決にも貢献していけるような企業グループに成長していきたいと考えています。

ZUU onlineユーザーへ⼀⾔

株式会社シイエヌエス
(画像=株式会社シイエヌエス)

ーー最後に、ZUU onlineユーザーに一言お願いします。

関根:知名度はまだまだ低い当社ですが、「人を想う力で、社会を前進させる新価値を、生み出す」というミッションの実現に向けて今後も事業を展開して参ります。投資家の皆様にはぜひ当社の魅力に目を向けていただけますと幸いです。引き続き応援のほど、どうぞよろしくお願いします。

氏名
関根 政英(せきね まさひで)
社名
株式会社シイエヌエス
役職
代表取締役社長