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(画像=PIXTA)

MT4とMT5の大きな違いは動作環境です。既に開発が終了しているMT4とは異なり、MT5は現在も積極的にアップデートが行われています。MT4を使ったことのない初心者の方には動作の速さや機能の充実がみられるMT5がおすすめです。

  1. MT4とMT5の違いを項目ごとに比較
  2. MT4はユーザー数が多いことによる情報の豊富さが強み
    1. 公開されているカスタムインジケーターの数はMT4の方が多い
    2. 利用できるEA(自動売買)もMT4の方が多い
    3. MT4の方が対応しているFX会社が多い
  3. MT5はチャートや注文などの機能が充実している
    1. ミニチャートの表示機能で複数表示が便利に
    2. 独立チャート機能でモニターがしやすい
    3. 経済指標の予定を表示できる
    4. 細かい時間足分析ができる
    5. ストップリミット注文を利用できる
    6. 標準搭載のテクニカルインジケーターが豊富
    7. ストラテジーテスターがアップデートされている
  4. MT4とMT5、あなたはどっちがおすすめ?
    1. MT4がおすすめな人
    2. MT5がおすすめな人
  5. MT5口座に対応しているFX会社の比較
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MT4とMT5の違いを項目ごとに比較

MT4とMT5の違いを各項目ごとに比較します。

  MT4 MT5
リリース 2005年 2010年
開発状況 開発終了 開発継続中
動作速度 遅い 速い※1
時間足 9種類 21種類※2
注文方法※3 成行、ストップ、リミット、IFD、OCO、IFO、ワンクリック 成行、ストップ、リミット、IFD、OCO、IFO、ワンクリック
ストップリミット注文 なし あり※4
部分約定 不可
描画ツール 31種類 44種類
標準搭載のインジケーター 30種類 38種類
カスタムインジケーター 多い 少ない
EA(自動売買)の種類 多い 少ない
スマホアプリ表示 1画面表示 2画面表示可(Android)
*1 MT4はシングルコア、シングルスレッド用、MT5はマルチコア、マルチスレッドのCPUに対応しているためです。(必要なPCの性能は、利用方法によって異なる場合もあります。)

*2 1分足、2分足、3分足、4分足、5分足、6分足、10分足、12分足、15分足、20分足、30分足1時間足、2時間足、3時間足、4時間足、6時間足、8時間足、12時間足、日足週足月足(太字はMT4と共通)です。

*3 成行注文、ストップ注文(逆指値)、リミット注文(指値)、IFD注文、OCO注文、IFO注文、ワンクリック注文はMT4、MT5とも共通です。特にワンクリック注文はスキャルピングなど超短期の売買に便利です。

*4 ストップリミット注文とは、押し目買いや戻り売りの予約注文に非常に便利です。詳細は「MT5はチャートや注文などの機能が充実している」で解説します。

現在MT4を使っていて、MT5には対応していないカスタムインジケーターを使っている人や、MT4のみに対応している特定のEAを使いたい人以外は、機能が豊富なMT5を選択した方が多くのメリットがあります。

  MT4 MT5
メリット ユーザー数が多いのでネット上にアクセスできる情報や
インジケーターなどの機能が多い
基本スペックが高い上に、今後も機能の追加や改善が期待できる
デメリット すでに開発が終わっているためこれ以上スペックが上がることはない ネット上で利用できる情報や機能がMT4よりも少ない

MT4はユーザー数が多いことによる情報の豊富さが強み

MT4は世界中にユーザーがいて現在も安定して機能している信頼性の高いトレードソフトです。多くのユーザーがいるため、MT4の便利な使い方やトラブルの解決方法の情報が豊富です。さらに重要なメリットとして、トレードに役立つインジケーターや自動売買のプログラムがMT4の方がより多くネット上に公開されているため、ユーザー数の多さによる集合知のメリットを活用することができます。

公開されているカスタムインジケーターの数はMT4の方が多い

MT4用には非常に多くのカスタムインジケーターがネット上で公開されています。一方で、MT5に対応したカスタムインジケーターはMT4と比べるとまだまだ少ない状況です。

それぞれのトレーダーのトレードスタイルや手法にあったカスタムインジケーターに出会えれば、トレード効率が大きく向上することが期待できます。いろいろなカスタムインジケーターを試していきたい場合は、MT4の方がおすすめです。

ただし、MT4で2023年のダウンロード数の多い上位のカスタムインジケーターはMT5にも対応しています。

・HT_Higher_Candle
上位のローソク足を下位ローソク足チャートに描画します。

HT_Higher_Candle

・指定pips分の値幅を示すバーをチャート上に表示
指定したpipsのバーをチャートに表示します。

指定pips分の値幅を示すバーをチャート上に表示

・HT_Grid
日本時間表示と各市場を色分けして表示します。

HT_Grid

・ロット自動計算インジケーター
水平線を動かして指定損切り金額に応じたロットを自動計算して表示します。

ロット自動計算インジケーター

このことから、非常に特殊なインジケーターでない限り、MT4専用でMT5には対応していないというカスタムインジケーターは少なくなってきています。

利用できるEA(自動売買)もMT4の方が多い

世界中の多くのMT4ユーザーに向けて、豊富なEAが開発されており、誰でも利用することができます。さまざまなロジックによってトレンドに強いEAやレンジに強いEAなど、非常に多くの選択オプションがあります。

MT4、MT5の開発会社MetaQuotesのMQL5 Communityのマーケットに登録されているEAの数は、MT4用が7,139種類、MT5用が3,487種類です。(2023年5月現在)

  MT4 MT5
EA総数 7,139 3,487
無料EA 655 301

MT5用のEAはMT4の約半数なので、選択肢は2分の1です。

MT4の方が対応しているFX会社が多い

現在、MT5に対応している口座を提供しているFX会社は4社で、MT4に比べてまだまだ少ない現状です。どのFX会社も信頼性に問題はありませんが、求めるスペックによってMT4の方を選んだ方が良い場合もあります。

下表はMT4とMT5に対応しているFX会社のリストです。

FX会社 MT4 MT5
FXTF ⚪︎ -
楽天証券 ⚪︎ -
OANDA証券 ⚪︎ ⚪︎
外為ファイネスト ⚪︎ ⚪︎
FOREX.com ⚪︎ -
JFX株式会社 ⚪︎ -
アヴァトレード・ジャパン ⚪︎ ⚪︎
FOREX EXCHANGE ⚪︎ -
Plus500JP証券 ⚪︎ -
フィリップ証券 - ⚪︎

MT5に対応していないMT4のおすすめ口座として、FXTF、楽天証券、FOREX.com、JFX株式会社が挙げられます。

FXTFはMT4対応FX口座の中でも特におすすめです。その理由は、比較的スプレッドが小さいとされている国内FX業者の中でも圧倒的なスプレッド、つまり取引コストの低さを誇っている点です。特に、世界中のトレーダーが取引するドル円のスプレッドが0.1銭、ユーロドルが0.2pipsと非常に低く、多くのトレーダーにとってうれしいポイントであるといえます。

またMT4のデモ口座にも対応しているため、これからMT4を使ってトレードを始めてみたいと考えている方にFXTFをおすすめできますが、MT5には対応していません。 このように、MT4には対応していてもMT5には対応していないFX会社でしか得られないメリットがあり、MT5を選ぶ際のデメリットになっています。

MT5はチャートや注文などの機能が充実している

ここまででMT5の基本スペックの高さとアップデートに関する利点は理解していただけたでしょうか?ここからはMT5の特徴や豊富な機能について紹介します。

MT5はMT4よりも動作が早い

MT5はマルチコア、マルチスレッドのCPUに対応しているため、MT4に比べて動作が早いです。スキャルピングなどの秒単位の約定速度の違いで損切りや利益確定の金額が変わるため、MT5の動作が速いことは大きなメリットです。

また64ビットに対応しているため、3.5ギガバイト以上のメモリーが使えます。MT4は32ビット用のソフトで約3ギガバイトのメモリーしか使えないため、PCがいくら多くのメモリーを搭載していてもその動作速度には変わりはありません。

また、MT4はシングルコア、シングルスレッド用のソフトなので、マルチコア、マルチスレッドのCPUを搭載したPCでも動作は速くなりません。特にチャートを何枚も表示させ、マルチスクリーンでトレードするような環境では、動作が遅くなる場合があります。

反対に、ソフトがシングルコア、シングルスレッドのCPUで動作するように設計されているため、かなり古い低スペックのPCでも問題なく動作するのはメリットといえます。MT5はシングルコア、シングルスレッドのような低スペックのCPUで動作させる場合に、MT4よりも遅くなる可能性があります。

ミニチャートの表示機能で複数表示が便利に

ミニチャート表示機能は、メインのチャート内に別の小さいチャートを表示する機能です。ミニチャートはメインチャートと同じ通貨ペアの別時間足や、違う通貨ペアなど自由に選択でき、大きさも変えられます。

下図はメインチャートをドル円の4時間足で表示させ、その中にユーロドルとポンドドルの4時間足をミニチャートで表示させた例です。
例えば、4時間足、15分足、5分足の3種類の時間足で分析をしている場合、複数の時間足のチャートを同じ画面上に表示することができます。MT4までは、それぞれの時間足の画面を切り替える必要がありましたが、MT5では画面を切り替えることなく、複数の時間足のチャートを見ながら分析をすることができます。
ドル、ユーロ、円、ポンドなどのメジャーな通貨の強弱を1つの画面で確認できるため、通貨の相関関係が一目瞭然です。もっとも強い通貨ともっとも弱い通貨を1つの画面で素早く特定したいときなどに便利です。

ミニチャート表示機能の画面

また、マルチタイムフレーム分析(複数の時間軸チャートを使った分析)を使ってトレードする場合は、長時間足を常に視界に入れておきながら、十分な大きさのメインチャートでトレードできるメリットがあります。

下図はドル円の15分足にドル円の4時間足をミニチャートで表示させています。メインチャートを見ながら常に長期足を確認できるので、短期的な動きに左右されにくくなります。また長時間足のトレンドを常に意識しながらトレードできます。

マルチフレーム分析の画面

ミニチャートはメニューバーの「挿入」から「オブジェクト」「グラフィック」「チャート」の順に選択すると表示できます。

また、表示されたミニチャートの画面を一度ダブルクリックしてから右クリックして開いたメニューから「プロパティ」を選択すると通貨ペアや時間足を変更することができます。

ミニチャートの通貨ペアや時間足の変更画面

独立チャート機能でモニターがしやすい

独立チャート機能は、チャートをMT5のウインドウの外に独立したウインドウとして表示させる機能です。

この機能はマルチモニターで複数のチャートをそれぞれの画面に表示させるときに便利です。また大きさも自由に変えられるため、画面の自由度が格段に向上しています。

またPC画面で他のアプリで作業を行いながら、チャートだけをモニターしたいような場合にも便利です。

独立チャート機能

独立チャートは独立して表示させたいチャート画面を右クリックして開いたメニューの「ドッキング」を選択することで、独立と収納ができます。

チャート画面の独立と収納

経済指標の予定を表示できる

MT5は経済指標の時間をチャートに表示できます。表示させることでうっかり経済指標の時間を忘れてしまうことを防げます。

経済指標の予定の表示画面

チャートに経済指標を表示させるには、ツールボックスから「指標カレンダー」タブを選択し、経済指標の画面上で右クリックするとメニューが表示されます。

そのメニューから「チャートに表示」「すべてのイベント」を選択すると、経済指標の発表時間がチャートに表示されます。

チャートに経済指標の画面を表示させる方法

細かい時間足分析ができる

MT5は21種類の時間足でチャートを表示できます。MT4は9種類しか表示機能がなかったため、MT5ではより細かい時間足分析が可能になりました。

MT5のデフォルトの時間足以外の時間足を表示させるには、チャート上で右クリックして開いたメニューから「時間足設定」と進んでいくと2分足や3分足などの時間足を設定できます。

時間足設定の画面

ストップリミット注文を利用できる

MT5にはストップリミット注文というMT4にはない注文方法があります。ストップリミット注文とは、指定した値段に到達した後にその値段よりも安いところに指値買いを入れたり、その値段よりも高いところで指値売りを入れたりする注文方法です。

例えば、下図のようにドル円の現在価格が134円付近のときに、もし138円まで価格が上昇したら、その時点で136円に買い注文、135円に損切り注文、140円に利益確定注文を入れるという注文方法で、戻り売りや押し目買いの指値注文に最適です。

ストップリミット注文の画面

実際のチャートで説明しましょう。

現在位置の段階で、将来の相場が直近高値の①をレートが超えたら上昇トレンドが発生すると考えて、もしも②にレートが達したらその時点で③で指値買い、④で利益確定、⑤で損切りの3つの注文が自動的に行われるようにストップリミット注文を発注しました。

ストップリミット注文の自動発注画面

その後②の線をレートが超えてストップリミット注文が執行される値段に達したので、③の指値買い、④の利益確定、⑤の損切りの注文がそれぞれ発注され、その後相場は上昇したので、③で買ったポジションは④で利益確定されました。

ストップリミット注文の利益確定画面

このように高値を上抜けたことを条件として、そこから少し下がったところに買い注文を入れたり、安値を下抜けたことを条件に、そこから少し上がったところに売り注文を入れたりすることを自動的にやってくれるのがストップリミット注文です。

標準搭載のテクニカルインジケーターが豊富

MT5なら豊富なインジケーターから自分のトレードスタイルや手法に合ったインジケーターを選ぶことができ、オリジナリティーの高いチャート設定が可能です。

MT5専用のインジケーターや、FX会社のオリジナルインジケーターを利用するとMT4ではできなかった独自のチャート分析が可能です。

上表からわかるように、MT5のオリジナルインジケーターの数はOANDA証券が圧倒的です。MT5用の87種類ものOANDAオリジナルインジケーターやツールが無料で利用できます。上位のローソク足表示、日本時間表示、オーダーブックなどトレーダーに人気のインジケーターがそろっていますが、OANDA証券のMT5にのみ対応していて、他社のMT5では利用できないので注意が必要です。

OANDA証券のオリジナルインジケーターの詳細は下記公式サイトを参照してください。

ストラテジーテスターがアップデートされている

ストラテジーテスターとはEAのバックテストをする機能で、そのEAが過去の相場でどのくらいのパフォーマンスを出せるのかがわかります。

MT4ではバックテストは1通貨ごとに行う必要がありましたが、MT5では複数通貨ペアを同時に行うことができます。例えばドル/円、ユーロ/ドル、ポンド/ドル、豪ドル/ドル、ユーロ/ポンド、それぞれでどのようなパフォーマンスを出せるのかを同時に検証できるので、検証時間が大幅に節約できるようになりました。

また、MT4にはなかった「可視化」「フォワード最適化」「市場スキャン」という機能も追加されています。

ストラテジーテスターのメニュー画面

「可視化」とは、EAの動作をチャート上で表示する機能で、視覚的にEAの動きがわかります。「フォワード最適化」とは、ある特定の期間を過去とし、その時点からの期間を未来と設定して最適化とバックテストを行う機能です。例えば、現在が4月30日だとして3月1日から3月15日までを「過去」と設定し、3月16日以降を「未来」と設定したとします。そして「過去」(3月1日から3月15日)の期間でパラメータを最適化し、最適化されたパラメータを使ってそれからの「未来」(3月16日以降)でどのようなパフォーマンスになるのかを検証することができます。

「市場スキャン」とは導入する予定のEAで設定したすべての銘柄に対してバックテストを行う機能で、設定した期間の勝率や損益比率などを算出できます。

MT4とMT5、あなたはどっちがおすすめ?

MT4がおすすめな人

MT4がおすすめなのはネット上にあるカスタムインジケーターを使いたい、あるいは自動売買を使用したい人です。MT4はユーザー数が多いことによる情報の豊富さが強みです。今後アップデートされることはありませんが、ネット上のインジケーターや自動売買のプログラムを利用を重視する方はMT4を使用するのがおすすめです。

MT4がおすすめな人
  • ネット上にある多くのカスタムインジケーターを使いたい
  • 豊富なEA(自動売買)から相場に合ったEAを選択したい

MT5がおすすめな人

MT5がおすすめなのはチャートや注文などの充実した機能を使いたい人です。MT5はMT4に比べて基本スペックが高い上に、今後も機能の追加や改善が期待されます。MT5にしかない出来ないこともあり、機能の充実さを重視する人はMT5を使用するのがおすすめです。

MT5がおすすめな人
  • 最新の取引ソフトウエアと最新のPCで取引したい
  • MT4にはない細かな時間足を使いたい
  • ストップリミット注文や部分約定を使いたい
  • 多彩な描画ツールを使いたい
  • 標準で搭載されている豊富なインジケーターを使いたい
  • スマホ(Android)で2画面表示を使いたい

MT5口座に対応しているFX会社の比較

現在、MT5に対応している口座を提供しているFX会社は以下の4社です。

多くの通貨ペアを取引したい場合は、OANDA証券のニューヨークサーバーがもっとも多くの通貨ペアを取り扱っています。また、安定したスプレッドで取引したい場合も、OANDA証券がおすすめです。0.3pips~1.2pipsとある程度の幅はあるものの固定スプレッドを提供しています。その他の会社は変動スプレッド制です。

少額から取引したい人はOANDA証券だけが対応していないので、1,000通貨単位で取引できる他の3社を選ぶのがおすすめです。一方で大きなロットで取引したい場合は、アヴァトレード・ジャパンが1回のオーダーあたり1,500万通貨まで対応しています。

本記事で参考にしたサイト一覧

  1. OANDA証券
  2. 外為ファイネスト
  3. アヴァトレード