ビットコインの激しい値動きが注目を集める仮想通貨(暗号資産)。仮想通貨の種類は、今や1,000種類を超えており、それぞれどのような特徴があるかわからない人も多いだろう。
この記事では、仮想通貨の中でもステーブルコインとして注目を集めるテザー(USDT)について解説する。テザー(USDT)の特徴やメリット・デメリットを解説したうえで、おすすめの取引所も紹介するので参考にしてほしい。
この記事の要点
- テザーはTether Limited社が運営する「ペッグ通貨」である。
- 価格変動の起こりにくい「ステーブルコイン」である。
- 大きな値上がりは見込めないため投資対象として扱われていない。
- 現在、国内取引所での取り扱いはない。
現時点でテザーは国内取引所での取り扱いはない。まずはCoincheck(コインチェック)やbitFlyer(ビットフライヤー)などでビットコインを購入しておくことがおすすめだ。
仮想通貨テザー(USDT)とは
まず、テザー(USDT)の特徴をまとめておこう。テザー(USDT)は、ほかの仮想通貨と比較すると、大きく異なる仕組みとなっている。
Tether Limited社が運営する「ペッグ通貨」
テザー(USDT)は、Tether Limited社が運営している「ペッグ通貨」である。ペッグ通貨とは、別の通貨の価値と連動させることを目的とした通貨で、テザー(USDT)は米ドルに連動している。
最大の特徴は、1ドル(USD)がおおよそ1USDTになるように固定されていることだ。発行したテザー(USDT)とTether Limited社が所持している米ドルを同量にすることで、価値が保たれる仕組みとなっている。
価格が変動しにくく安定しているが、投資対象にはなりづらい
米ドルと連動していることで、テザー(USDT)は、将来大きな値上がりが期待できる投資対象にはなりにくい。
そのため、テザー(USDT)は投資目的で所持するというより、仮想通貨市場の基軸通貨(ステーブルコイン)という位置づけで考えられている。価格が変動しにくい安心感があるため、ほかの仮想通貨で出た利益をいったん確定したいときなどに、そのコインをテザー(USDT)に交換するといった使い方が一般的だ。
テザー(USDT)の価格やチャート
実際にテザー(USDT)のチャートを見ると、価格変動が大きくないことがわかる。仮想通貨として非常に安定しているため、ビットコインなどほかの仮想通貨の値動きが荒れている局面で、避難先として扱われているのだ。
テザー(USDT)の将来性は?
ペッグ通貨という役割をもつテザー(USDT)には、どのような将来性があるのだろうか。ホワイトペーパーに記載されている、今後実装が予想される機能を紹介していこう。
マルチシグが実装されることで安全性が向上
ホワイトペーパーには、テザー(USDT)にはmulti signature(マルチシグ)が実装される予定だと記載されている。マルチシグとは、仮想通貨へのアクセスの際に必要なパスワードを複数作成し、分割管理をすることでセキュリティを高める対策だ。
普通のセキュリティ管理ならパスワードは1つしかないが、マルチシグが実装されると複数のパスワードで守られるため、不正アクセスのリスクを下げられる。マルチシグの搭載でセキュリティが格段にアップすることは、大きなメリットだと言える。
例えば、3つ以上のパスワードを作成し、いずれか2つを使ってアクセスできるように設定をしたとしよう。そうすれば、万が一取引所から仮想通貨が盗難されることがあっても、自分の仮想通貨は取り返せるかもしれない。
ただし、マルチシグを実装するための設定の難解さや、誰に複数のパスワードを預けるのかという部分が、現状の課題だといわれている。
スマートコントラクトを実装し、安全で簡単な取引に
ホワイトペーパーには、テザー(USDT)にスマートコントラクトを実装することも記載されている。スマートコントラクトとは、自動で契約できる技術だ。スマートコントラクトが実装されると、ブロックチェーン上に取引内容を改ざんできないような状態で書き込み、その契約を証明するというシステムになる。
現在の取引では、売り手と買い手だけでなく、第三者の仲介が入るのが一般的で、第三者に仲介手数料を支払うことになる。スマートコントラクトの実装で、仲介者が入らずに取引ができれば、仲介手数料は不要になる。
さらに、人の手での作業によるヒューマンエラーが起こらなくなるなど、安全で簡単な取引が実現できるといわれている。
テザー(USDT)を保有するメリットとデメリット
テザー(USDT)を保有することは、ビットコインなどのほかの仮想通貨を保有するのとは違う性質があるため、メリットやデメリットも異なる。以下でテザー(USDT)を保有する主なメリット・デメリットを解説していく。
価値の変化が少なくて安心
テザー(USDT)は米ドルとの価値のかい離がほとんどない点が、最大の特徴かつメリットだ。2%程度のかい離が発生することもあるが、ほかの仮想通貨と比較すると非常に小さい。そのため値動きが激しい不安定な市場においても安心して保有できる。
ビットコインなどの仮想通貨を保有していて利益が出た場合、利益を確定させるための資産としても有効だろう。
多数の取引所が基準として採用
特にアメリカの取引所を中心に、テザー(USDT)を基準通貨としているところは非常に多い。テザー(USDT)と取引可能な通貨ペアを用意していることが多いため、取引がしやすい点がメリットだ。テザー(USDT)の取引に向いている取引所については後述する。
カウンターパーティー・リスクが高い
テザー(USDT)は安定した仮想通貨だが、価値を固定するためにTether Limited社の強い中央集権のもと管理されている。Tether Limited社にすべてがかかっており、万が一不正が発覚したり破綻したりした場合に、一気に価値を失う可能性がある。
このようなリスクを、カウンターパーティー・リスクと呼ぶ。テザー(USDT)はほかの仮想通貨と比較して、カウンターパーティー・リスクが高い傾向にある。
テザー(USDT)の取引におすすめの取引所とは?
ここからはテザー(USDT)の取引におすすめの取引所を紹介する。多数の海外取引所で取り扱われているテザー(USDT)だが、特に多くの取引がされている取引所を紹介していこう。
ただし、海外の取引所は金融庁が警告を発出しているものもあるなど安全とは言えない。より安全に仮想通貨取引に挑戦するなら、まずはCoincheck(コインチェック)やbitFlyer(ビットフライヤー)などの国内取引所で口座開設することをおすすめする。
Binance(バイナンス)
Binanceは、中国の取引所だ。2017年に誕生以来「世界一」と称される、登録者の多い取引所となっている。取引高も登録者数も、世界一とされている。
Binanceの魅力は、手数料の安さやバイナンスコインで支払うことでさらに割引される点だ。手数料は0.1%となっている。テザー(USDT)の取引高は、各取引所の中でBinanceが1位で、ほかの通貨の取扱いも100種類以上と豊富となっている。
Poloniex(ポロニエックス)
Poloniexは、アメリカに拠点を置く仮想通貨取引所だ。94種類以上の通貨が取引されているので、マイナーな仮想通貨でも取引できるのが特徴だ。Poloniexはセキュリティ面がしっかりしており、安全性が高いといわれている。2014年にハッキング事件でビットコインが流出したことで、セキュリティを強化しているからだ。
それ以外にも取引手数料が最大0.15%、送金手数料が最大0.25%と比較的低いこともメリットと言える。また他人に仮想通貨を貸し付けて運用してもらう、レンディングサービスが行われていることも特徴と言えるだろう。
Bittrex(ビットレックス)
Bittrexは、2014年設立の仮想通貨取引所だ。取り扱い仮想通貨は200種類を超えており、複数の仮想通貨で取引をしたいという中級者以上の人に、おすすめの取引所だ。使い勝手がよいとは言いにくいため、英語に慣れた仮想通貨取引の経験者に向いていると言える。
二段階認証や個人情報の登録などのシステムに力を入れているので、セキュリティ面でも安心感が強い。
Bittrexでは、スマホアプリでの取引も可能だ。出先やスキマ時間で簡単にチャートをチェックでき、取引を行えるのも魅力の一つと言えるだろう。
暗号資産取引所の口座開設方法
代表例として、コインチェックの口座開設方法を紹介します。
ステップ1:メールアドレスとパスワードを登録
ステップ2:本人確認
本人確認を行います。
氏名や生年月日、国籍といった基本情報を入力していきます。
次に本人確認書類を提出します。運転免許証やマイナンバーカード、自身の顔写真を撮影してデータを送信します。
ステップ3:審査が完了し、承認されると完了
ここまでが口座開設の3ステップです。承認されるとメールが届きます。
これからも注目が集まる仮想通貨のテザー(USDT)
この記事では、注目が集まっている仮想通貨テザー(USDT)について解説した。ほかの仮想通貨とは存在意義が異なるペッグ通貨で、どのような仮想通貨市場でも価値に安定感があるのが、最大の特徴だ。
ペッグ通貨のメリットである価格変動の少なさを維持するためには、Tether Limited社が常に安定した運営をすることが必要不可欠である。これが崩れると、一気に暴落するおそれもあるだろう。テザー(USDT)を取引するにあたっては、こうしたデメリットもしっかりと理解しておくべきだろう。