質屋でお金を借りる仕組みを解説！担保になるものや手順、注意点も紹介

「質屋でお金を借りる場合、審査はある？」
「信用情報に傷がつくことはない？」

質屋でお金を借りる際に、審査はありません。また、質屋は金融機関ではないため、信用情報に傷がつくこともないでしょう。

即日融資を受けられることから「一時的にお金を借りたい」という方におすすめです。

ただし、質流れや質札など金融機関の借入れと違う点が多々あるため、しっかりと必要なものや流れを把握しておくことが大切です。

今回は、質屋でお金を借りる仕組みや預けられるものについて解説します。どのようにしてお金を借りるのかを紹介し、金利や利息、注意点なども説明するのでぜひ参考にしてください。

目次

質屋でお金を借りる仕組みとは？審査なしで借りられる理由

質屋でお金を借りる仕組みは簡単です。担保となる品物を預けて、査定額の中からお金を借りることができるという仕組みです。

このように担保の査定額から限度額が決まるため、質屋にとっては貸し倒れのリスクがほとんどありません。したがって、金融機関とは異なり、審査なしでお金を借りることができます。

質屋は品物を担保にするから審査なしでお金を借りられる

質屋は品物を担保にするため、審査なしでお金を借りることができます。

金融機関は融資を行うときに審査を行う必要があります。例えば賃金業者は、賃金業法に則して申込者の返済能力を調査することが義務付けられています。

第十三条　貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合には、顧客等の収入又は収益その他の資力、信用、借入れの状況、返済計画その他の返済能力に関する事項を調査しなければならない。

引用元：e-GOV｜貸金業法（昭和五十八年法律第三十二号）

しかし、質屋は担保をとるため審査を実施しません。

 

そのため、審査に不安がある方も安心して利用できます。また、信用情報に傷がつくこともありません。

借入金額の相場は品物の種類や状態によって異なる

借入金額の相場は品物の種類や状態によって異なります。査定によっては、品物の金額以上を借入れることも可能です。

例えば、大黒屋の査定額は次のとおりです。

品物によってはブランド品だけでなく、EOS（カメラ）やiPadといった家電製品も質に入れることができます。また、エルメスやロレックスのように定価以上の査定額が付くこともあるでしょう。

一時的に、短期間お金を借りるのに向いている

質屋は一時的に、短期間お金を借りるのに適しています。金融機関と違って、実質的な借入期間となる預かり期間が短いからです。

例えば、「お給料日までちょっとお金が足りない」「冠婚葬祭の費用を工面したい」など急な出費に対応するのに適しています。

金融機関の場合、利用期間経過後、再度審査を受けて問題なければ契約が自動更新されます。ですから、借入れなどのサービスを実質無期限で利用できます。

一方、質屋の預かり期間は主に3ヵ月です。

前項第三号の流質期限は、質契約成立の日から三月未満（質置主が物品を取り扱う営業者であり、かつ、その質に入れようとする物品がその取り扱つている物品である場合においては、一月未満）の期間で定めてはならない。

引用元：e-GOV｜質屋営業法（昭和二十五年法律第百五十八号）

質屋は預かり期間を過ぎると原則的に「質流れ」となり、品物の所有権が質屋に移行してしまうため注意が必要です。つまり、質屋でお金を借りる場合は、数ヵ月以内に返済できる計画を立てておくことが大切です。

3ヵ月以内に元金と利息を返済すれば品物を再利用できる

質屋では、3ヵ月以内に元金と利息を返済すれば品物を再利用できます。また、再度質に入れてお金を借りることも可能です。

3ヵ月以内に返済できない場合、利息だけを支払うことで預かり期間を延長できることが一般的です。基本的に、利息を支払い続ければ何度でも延長できます。

ただし、どんどん利息が膨らんでいくともいえるため、できるだけ早めに返済するか、質流れにすることを検討しましょう。

質屋は、流質期限を経過した時において、その質物の所有権を取得する。ただし、質屋は、当該流質物を処分するまでは、質置主が元金及び流質期限までの利子並びに流質期限経過の時に質契約を更新したとすれば支払うことを要する利子に相当する金額を支払つたときは、これを返還するように努めるものとする。

引用元：e-GOV｜質屋営業法（昭和二十五年法律第百五十八号）

注意すべきなのは、質流れになると所有権が質屋に渡り、品物を取り戻すことができなくなる点です。品物を受け取りたい場合は、かならず期日までに返済しましょう。

信用情報に傷がつくことはない

質屋を利用しても、信用情報に傷がつくことはありません。それは、質屋が金融機関ではないからです。

例えば、指定信用情報機関であるCICでは、信用情報の取り扱いを次のように説明しています。

クレジットやローンの新規申し込みの際に登録される「申込情報」、契約締結後に登録される「クレジット情報」、利用途上の際に登録される「利用記録」で構成されています。

引用元：CIC｜CICが保有する信用情報

質屋はクレジットやローンではありません。そのため、質屋を利用したり、質流れが発生したりしても信用情報に傷がつくことはないといえるでしょう。

反対に、質屋は金融機関ではないため審査がなく、信用情報に傷がついていても品物を担保にしてお金を借りることができます。したがって、自己破産していたり返済を何度も滞っていたりしても、担保となる品物があれば利用可能です。

また、過去に質屋を利用したにもかかわらず返済できずに質流れとなった場合でも、再度質屋を利用してお金を借りることができます。

返済できなくても督促や取り立てはない

基本的には、返済ができなくても督促や取り立てはありません。質屋は預かり期間を過ぎると自動的に質流れとなる仕組みであるため、業者は督促や取り立てをしなくても、実質的な担保である品物を回収できるためです。

実際に、大手の質屋である大黒屋でも「督促はない」と明言しています。

お品物を担保にお金を借りることを「質預かり」「質入れ」などといいます。品物の価値を基準に融資額を決定しますので、審査や信用調査、督促等は一切ありません。

引用元：大黒屋｜質のよくある質問

ただし、督促がないからこそ、預かり期間は自分で管理しなければなりません。

預けた品物は質蔵で保管してもらえる

預けた品物は質蔵と呼ばれる保管庫で厳重に保管されます。

質蔵とはお客様の品物を厳重に保管するものであり、地方自治体によって「耐火構造であること」「警報装置を設置すること」といった条件が決められています。

基本的に、すべての質屋でこのような質蔵が用意されていると考えてよいでしょう。質蔵は法律で「保管設備」と称されますが、保管設備の設置は質屋営業法において義務付けられています。

３　第一項の規定により、公安委員会が質物の保管設備について基準を定めた場合には、質屋は、当該基準に従い質物の保管設備を設けなければならない。

引用元：e-GOV｜質屋営業法（昭和二十五年法律第百五十八号）

このように質蔵は法律によって規定されているため、安心して品物を質に入れることができるでしょう。

買取りとの違いは再利用でお金を何度も借りられること

質預かりは買取りと違って「再利用してお金を何度も借りられる」という特徴があります。それぞれのメリットとデメリットは次のとおりです。

お金を借りる場合、質預かりがおすすめです。そもそも買取りは品物を買い取ってもらうものであり、お金を借りることはできません。

ただし、査定額は買取りのほうが高くなる傾向にあります。また、質預かりは質草にできる品物が限られることが多いですが、買取りはお酒や洋服、ゲーム、本など幅広い品物が対象になります。

このような違いを把握して、質預かりか買取りどちらを選択すべきか検討しましょう。

まとめてでも1点ずつでも入質・出質可能

質屋はまとめてでも1点ずつでも、入質または出質が可能です。すでに利用している場合には、追加で質入れもできます。

中には大黒屋のように、まとめて入質することで利息が安くなるところもあります。

既に入質中だけど追加で質入れできる？

はい、可能です。複数まとめて入質の場合、3000万円まで段階的に利息が安くなりますので、ぜひご利用ください。

引用元：大黒屋｜質のよくある質問

できるだけ利息を低くしたい場合には、まとめて質入れすることをおすすめします。

質屋に預けられる品物

質屋に預けられるのは腕時計やブランド品など、品物が決まっています。

ただし、中には高値がつきやすいものや値が下がりやすいものなどがあります。iPhoneなど、モデルチェンジした際に型落ちしたものは高値がつきにくいため注意してください。

高値がつきやすい品物

高値がつきやすい品物の例は次のとおりです。

このように貴重なものや換金性の高いものは、高値がつきやすいといえるでしょう。

特に高くなりやすいのが腕時計とブランドジュエリーです。腕時計とブランドジュエリーの中でも人気なのは以下のブランドです。

ブランド品を預け入れる際は、箱などの付属品や鑑定書、保証書などもそろえておきましょう。かならずしも要るわけではありませんが、これらがそろっていることで、査定額が高くなる可能性があります。

質屋は貸金業者ではないため、「総量規制」と呼ばれる借入制限の対象外です。したがって、年収の3分の1を超える査定額になっても、全額借入れができます。

店舗によっては特定のブランドについて質預かりを強化しているところもあります。質預かり強化中に、該当のブランド品を預け入れれば、通常よりも高く査定してもらえる可能性があるでしょう。

値が下がりやすいもの

値が下がりやすい品物は次のとおりです。

値が下がりやすい理由は、希少性や換金性が低い傾向にあるためです。例えば、カメラやApple製品などは頻繁にモデルチェンジが行われるため、質入れした品物がどんどん古くなってしまいます。

つまり、時間が経てば経つほど値が下がりやすくなるといえるでしょう。そのため、通常の借入金額より査定額が10～15%ほど低くなってしまう可能性があります。

査定額をアップするためには、取扱説明書やリモコン、ケーブルなどの付属品をそろえておきましょう。

ただし、そもそも上記の品物は取り扱っていない店舗も少なくありません。事前に質入れできるかどうかを店舗に確認しましょう。

スマホも質預かり可能だがモデルにより値が決まる

店舗によってはスマホも質預かり可能ですが、モデルにより値が決まります。値が高くなりやすいのは次のスマホです。

スマホは商品の支払いを分割決済中でも預けられます。ただし、契約中のスマホを質草にすることはおすすめしません。携帯電話不正利用防止法に抵触する恐れがあるためです。

なお、以下の行為を行った場合には、本法に従い罰せられることがありますので、ご注意ください。

携帯電話等の契約時（レンタルの場合も含む）に、虚偽の氏名、住居又は生年月日を申告すること
自己名義の携帯電話等（SIMカードも含む）を携帯電話事業者に無断で譲渡すること
他人名義の携帯電話等（SIMカードも含む）を譲渡する又は譲り受けること

引用元：総務省｜関係資料

できる限り使用していないスマートフォンを質に入れましょう。

スマホは買取りと違って初期化していなくても預かってもらえる可能性があります。ただし、SIMロックは解除しておきましょう。

不安な場合は、事前にLINEで査定してもらえるところもあります。LINEの査定に対応しているかどうかを質屋に確認してみることをおすすめします。

質屋でお金を借りる方法・手順

質屋でお金を借りる方法や手順は主に次のとおりです。

店舗に行ってからお金を借りるまでの所要時間は、15分～30分程度を想定してください。

担保にするものを準備する

まずは担保（質入れ）にする品物を準備しましょう。担保にできる品物は、質屋によって異なります。

店舗によっては万年筆やゴルフバッグ、スマホ、カメラ、楽器なども質に入れることができます。あらかじめどのような品物を質に入れられるか、店舗に問い合わせてみましょう。

担保にする品物を準備する際には、付属品がそろっているかも確認してください。買ったときと同じ状態にして査定してもらうことがおすすめです。

質預かりの時も買取をする時も同様ですが、質屋に品物を持ち込む時には出来る限り購入した時の状態に近づけて持参した方が査定は良くなります。 つまり、箱や保証書や鑑定書など、時計であれば外したベルトの駒など、家電製品であればリモコンなど、購入時に付属していたものを持参するとよいでしょう。

引用元：東京質屋協同組合｜質屋とは？

また、品物の状態によっても査定額は異なります。準備する段階で、ある程度綺麗にしておきましょう。

借入金額はある程度自分で決められるため、できる限り品物をまとめて持っていくとお得でしょう。

お店に行き査定を受ける

次に、お店に行き査定を受けましょう。質屋ではインターネットを利用して簡単に査定を受けることもできますが、実際にお金を借りるためには店舗に訪れなければなりません。

査定方法も店舗によって異なりますが、基本的には以下の点を確認することが多いです。

品物の相場や状態を確認したあと、市場で「いくらで売買されているか」を確認します。このような流れを経て査定額が提示されます。

基本的に、どのような質屋でも似たような査定方法です。そのため、著しく査定金額が変わることはないでしょう。品物や質入れの量にもよりますが、査定にかかる時間は約10～15分程度です。

身分証明書を提出する

定価に納得できたら、身分証明書を提出しましょう。提出できる主な身分証明書は次のとおりです。

提出できる身分証明書がない場合は、質屋に相談してみることをおすすめします。

金額に納得できない場合、質入れをキャンセルすることも可能です。お金を借りる必要がある場合は質屋に査定額を交渉するか、他の店舗を利用してみましょう。

質屋の書類を記入する

契約の際には、質屋の書類に記入が必要です。記入する項目は質屋の書類によって異なりますが、基本的に次のとおりです。

基本的には5分もあれば書き終わるでしょう。なお、質屋は20歳以上でなければ利用できません。

質札を発行してもらい融資を受ける

お金を受け取るとともに、質札を発行してもらいます。質札とは預け入れた品物の預かり証のことで、発行が義務付けられています。

質屋は、質契約をしたときは、質札又は通帳を質置主に交付しなければならない。

引用元：e-GOV｜質屋営業法（昭和二十五年法律第百五十八号）

質札の内容やデザインは質屋によってさまざまです。主に次の項目が記載されています。

質札は返済の際や品物を取り戻す際に必要であるため、なくさないよう注意しましょう。

金利や利息の計算方法

質屋には独自の金利と利息の計算方法があります。主な方法としては、満月計算と暦月計算というものです。

早く返しても金利が少なくなるわけではないため注意しましょう。

満月計算と暦月計算がある

質屋の金利や利息の計算方法には、満月計算と満月計算があります。

暦月計算を採用している質屋の場合、同じ借入期間でも利息の金額が異なる可能性があるため、気を付けましょう。

例えば、4月10日に質預かりをして、5月10日に返済するとします。満月計算の場合、入質日（契約日）を起点として、翌月同日までを1ヵ月と計算するため、発生する利息は1ヵ月分だけです。

一方、暦月計算は4月10日～4月末が1ヵ月、5月1日～5月10日が1ヵ月として計算されるため、2ヵ月分の支払いが必要になります。このように、利息が大きく異なる可能性がある点に留意しましょう。

質屋でお金借りるときの注意点

質屋でお金を借りるときは次の3つに注意しましょう。

土地の権利証を担保にお金を借りることはできない

質屋では土地の権利証を担保にしてお金を借りることはできません。権利証は原則として担保としての役割を持たないためです。

質屋は品物の所有権を担保にすることでお金を借りるという制度です。しかし、権利証を質屋に渡しただけでは、所有権が移転することにはなりません。土地の不動産を移転するためには、所有権移転登記などの手続きが必要です。

このように土地の権利証は担保としての価値が認められないため、お金を借りることは難しいといえるでしょう。

質札は再発行してもらえないので紛失しないように注意する

質札は一般的には再発行ができないため、紛失しないように注意しましょう。

ただし、すべての質屋が再発行できないわけではありません。一部の質屋、例えば大黒屋のように「再発行できる」と明言している場合もあります。

質札を紛失した時はどうすればいい？

そのような時は、すぐに質入れした店舗にご連絡ください。身分証（現住所記載のもの）を持ってご来店いただければ、質札を再発行いたします。出質の際には身分証（現住所記載のもの）で本人確認をしておりますので、本人になりすました別人が出質してしまうことを防止しています。

引用元：大黒屋｜質のよくある質問

一般的には、質札を紛失しても返済できなくなったり、品物を受け取れなくなったりするわけではないため安心してください。

とはいえ、そのままにすると本人ではない誰かが品物を受け取ってしまうことも考えられます。例えば、質札を拾った者が質屋で品物を引き取ってしまう可能性もあるでしょう。そうならないためにも、早めに質屋へ連絡しておくことが大切です。

キャリアに通信規制されている赤ロム端末は質入れを断られる

キャリアに通信規制されている赤ロム端末は、質入れを断られることが多いです。携帯電話としての価値がないと判断されかねないためです。

赤ロム端末とは、通信会社から支払いの滞納などの理由でネットワーク利用制限をかけられている端末を指します。

例えば、契約中のスマートフォンを質に預け、そのまま質流れしたとしましょう。誰かがそのスマートフォンを購入した際に、支払いの滞納が発生してネットワーク利用制限がかかってしまうと、携帯電話として利用できなくなってしまいます。

このような事態を避けるために、多くの質屋では赤ロム端末を預からないようにしているケースが多いです。

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  著者 NETMONEY（ネットマネー）編集部