求職者支援資金融資でお金を借りる方法は?条件・手続き・注意点を徹底解説
(画像=NET MONEY編集部)

求職者支援資金融資は求職者の再就職に向けたスキルアップを支援するために設けられた制度です。

低金利でお金を借りられるメリットがありますが、一方で、利用の際は条件や注意点も考慮する必要があります。

本記事では求職者支援資金融資の概要から申請方法、注意点まで詳しく解説するので、参考にしてください。

  1. 求職者支援資金融資とは?
    1. 離職者や収入が不安定な求職者を支援する公的融資制度
    2. 求職者支援資金融資を利用する条件は3つ
    3. 生活費や活動費を補うために最大月10万円の融資が可能
  2. 求職者支援資金融資を利用するメリットとデメリット
    1. 【メリット】低金利で生活費を補えるため負担が少ない
    2. 【メリット】職業訓練と給付金を併用できてスキルアップも目指せる
    3. 【デメリット】融資金は返済が必須で計画が必要
  3. 求職者支援資金融資の申請手順
    1. ハローワークの窓口に相談することから申請が始まる
    2. 身分証明書、支給決定を受けたことが分かる書類、収入証明書などを提出する
    3. 申請から融資実行までは約2~3週間以上かかる
  4. 求職者支援資金融資を利用する際の注意点
    1. 返済が難しい場合は早めに相談する
    2. 偽りの申請を行うと融資が無効になる可能性がある
  5. 求職者支援資金融資を利用できない場合の代替手段
    1. 緊急小口資金貸付を検討する
    2. 不用品をの売却して生活費を作る
    3. アルバイトや短期就労で臨時収入を得る
  6. 求職者支援資金融資に関するよくある質問(Q&A)
    1. 求職者支援資金融資は無職でも利用できますか?
    2. 返済期限はどのくらいですか?
    3. 生活保護受給者でも利用できますか?

求職者支援資金融資とは?

求職者支援資金融資とは、職業訓練受講給付金の支給決定を受けた求職者を対象とした公的融資制度です。まずは、求職者支援資金融資の概要を見てみましょう。

離職者や収入が不安定な求職者を支援する公的融資制度

求職者支援資金融資は、失業等によって経済的に困難な状況にある方が、新たな職を見つけるまでの期間を乗り越えられるように支援するための公的融資制度です。

職業訓練に専念しながら生活の基盤を維持できるため、スキルアップや資格取得に集中して、再就職や転職の可能性を高めることを目的としています。

求職者支援資金融資を利用する条件は3つ

求職者支援資金融資制度の対象者は、以下3つの条件を満たす必要があります

求職者支援資金融資を利用する条件
  • 職業訓練給付金の受給が決定している
  • ハローワークで求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けている
  • ろうきんの口座が必要

まずはハローワークで自分の状況を確認し、必要な手続きを進めることが重要です。

また、求職者支援資金融資を利用するには、ろうきん(労働金庫)の口座開設も必須となります。融資金の振込みや返済は、すべてろうきんの口座を通じて行われるため、もし口座を持っていない場合は申請手続きの際に口座を開設しましょう。

生活費や活動費を補うために最大月10万円の融資が可能

求職者支援資金融資の特徴の一つは、生活費や求職活動に必要な費用を補うための資金を借りられる点です。融資額は、申請者の家族構成によって異なります。

配偶者や子ども、父母のいずれかと同居している場合、最大で月額10万円まで借りることが可能です。一方、単身者の場合は月額5万円が上限となります(下記)。

求職者支援制度の融資内容

限度額 ▼単身世帯月額5万円 × 受講予定訓練月数(最大12ヵ月)▼2人以上の世帯※月額10万円 × 受講予定訓練月数(最大12ヵ月)
利率 年2.0%(信用保証料含む)
保証人 不要(ただし、労働金庫が指定する信用保証期間を利用すること
※同居または生計を共にする別居の配偶者、子または父母がいる場合

融資期間は職業訓練の受講予定月数に応じて決定されますが、最長で12ヶ月までとなります。家族がいる場合は最大120万円、単身者の場合は最大60万円までの融資を受けられる可能性があります。

求職者支援資金融資を利用するメリットとデメリット

求職者支援資金融資を利用するにあたってはメリットとデメリットの両面を理解しておくことが重要です。制度を賢く活用するためにも、それぞれ詳しく解説していきます。

【メリット】低金利で生活費を補えるため負担が少ない

求職者支援資金融資を利用するメリットは、低金利で生活費を補えるため、返済の負担が少ないことです。

求職者支援資金融資の金利は年3.0%(信用保証料0.5%を含む)と、一般の金融機関と比べて非常に低金利に設定されているため、返済の負担を抑えながら必要な生活費を確保できるからです。これにより、求職活動中の経済的な不安を軽減し、安心して就職活動に専念できる環境が整います。

さらに、求職者支援資金融資は担保や保証人が不要であるため、より多くの人が利用しやすい制度となっています。

【メリット】職業訓練と給付金を併用できてスキルアップも目指せる

求職者支援資金融資は職業訓練受講給付金と併用が可能であり、訓練期間中の生活費を支えながら学習に集中できる点もメリットです。

職業訓練中は収入が途絶えることが多く、生活費の心配が学習意欲を削いでしまうことが少なくありません。しかし、求職者支援資金融資を活用することで、経済的な不安を軽減し、スキルアップや資格取得に専念できるようになります。

その結果、再就職や転職の可能性を高め、より良いキャリア形成につなげることが期待できます。

【デメリット】融資金は返済が必須で計画が必要

求職者支援資金融資を利用するデメリットは、融資金は返済が必須であり、計画的な利用が求められることです。

なぜなら、求職者支援資金融資は公的な制度ではあるものの、あくまで融資制度であり、給付金とは異なり返済義務が生じるためです。

就職が決定した場合でも返済が免除されることはなく、借り入れた金額と利息を合わせた全額を返済する必要があります。

そのため、利用にあたっては、自身の収入見込みや生活状況を考慮したうえで、無理のない返済計画を立てることが不可欠です。

求職者支援資金融資の申請手順

求職者支援資金融資を申請する際は、まずはハローワークの窓口に相談しましょう。ここでは求職者支援資金融資の申込から融資までの手順を紹介します。

ハローワークの窓口に相談することから申請が始まる

求職者支援資金融資の申請は、最寄りのハローワーク(公共職業安定所)に相談することから始まります。ここで制度の詳細説明を受けて、申請に必要な書類を入手しましょう。

ハローワークの窓口で制度を利用したい旨を伝えれば、担当者が説明してくれます。その後、ハローワークが指定する労働金庫にて、貸付の手続きを行う流れです。

身分証明書、支給決定を受けたことが分かる書類、収入証明書などを提出する

必要書類は身分証明書のほか、支給決定を受けたことが分かる書類(例:給付金支給記録の写し)などです。スムーズに審査を受けるために、必要書類は漏れなく準備しましょう。

書類に不備があると、審査が遅れたり、申請が却下されたりする可能性があるので注意が必要です。

申請から融資実行までは約2~3週間以上かかる

申請書類をすべて提出してから融資が実行されるまでの期間は、一般的に2~3週間程度かかります。ただし、この期間は目安であり、状況によってはこれ以上の期間が必要となる場合もあります。

審査に通過した後は、労働金庫の口座に融資金が一括で振り込まれる流れです。

申請から融資実行までの期間中は、ハローワークや労働金庫からの連絡に迅速に対応できるよう、連絡の確認や書類の準備を怠らないようにしましょう。

不明な点があれば、ためらわずにハローワークの担当者に相談することをおすすめします。

求職者支援資金融資を利用する際の注意点

求職者支援資金融資は、職業訓練を受講しながら生活を支える便利な制度ですが、利用する際にはいくつかの注意点があります。具体的に以下3つの点に注意しましょう。

返済が難しい場合は早めに相談する

求職者支援資金融資は貸付制度であり、必ず返済する必要があります。返済期間は貸付金額により、5年以内または10年以内となっています。

しかし、就職後も返済が困難な状況に陥る可能性も否めません。その場合、早めにハローワークや労働金庫に相談することが重要です。

返済が遅れると、遅延している元金に対して遅延利息が発生する可能性があります。こういった事態を避けるためにも、返済に困難を感じた場合は速やかに相談し、返済計画の見直しや猶予の可能性について相談しましょう。

偽りの申請を行うと融資が無効になる可能性がある

求職者支援資金融資の申請時に虚偽の情報を提供したり、不正な手段で融資を受けたりすると、直ちに債務残高の全額を一括返済しなければならなくなります

詐欺罪などで処罰されることもあるため、くれぐれも正しい情報を申告するように注意しましょう。

また、以下のようなケースでも融資が無効となります。

融資が無効になるケース
  • 就職支援拒否により、給付金が不支給になった場合
  • 不正受給により、給付金が不支給になった場合
  • 確認申請書類の虚偽記載などによる貸付の不正利用が発覚した場合

申請時には正確な情報を提供し、制度の目的に沿って適切に利用することが重要です。不明点がある場合は、必ずハローワークに確認するようにしましょう。

求職者支援資金融資を利用できない場合の代替手段

求職者支援資金融資を利用できない場合の代替手段として、以下の方法を検討できます。

緊急小口資金貸付を検討する

緊急小口資金貸付は、一時的な資金需要に対応するための公的な融資制度です。緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合にお金を借りられます。保証人が不要であることから、多くの方が利用できます。

ただし、緊急小口資金貸付にも一定の条件があり、すべての人が利用できるわけではありません。また、借入限度額が比較的低いため、長期的な生活支援としては十分でない可能性があります。

不用品をの売却して生活費を作る

不用品を売却することは、手軽にお金を得る有効な手段です。自宅にある不要品をフリマアプリやオンラインオークションなどを活用して簡単に現金化できます。

売却できるアイテムは多岐にわたり、衣類、家具、家電、書籍、趣味の品など、不要になったものであればほとんどの場合、売却の可能性があります。

出品や発送の手間、送料などがかかる場合もありますが、もともと家にあるものを活用するため、仕入れ費用などは発生せず、利益を出しやすいと言えるでしょう。

アルバイトや短期就労で臨時収入を得る

短期アルバイトや短期就労も、資金調達の手段として有効です。短期間で終わる軽作業や在宅ワークなどであれば、臨時収入を得やすいでしょう。

アルバイトや短期就労の一例
  • 単発のイベントスタッフや軽作業などの短期アルバイト
  • 在宅ワーク(データ入力・ライティング・簡単なオンライン業務など)
  • 配達パートナー(Uberなどのサービス)

求職者支援資金融資を利用できない場合でも、一時的な収入を確保できる可能性があります。ただし、本来の求職活動に支障が出ないよう、スケジュール管理には十分注意しましょう。

求職者支援資金融資に関するよくある質問(Q&A)

求職者支援資金融資は無職でも利用できますか?
職業訓練受講中または予定があれば無職でも利用可能です。
返済期限はどのくらいですか?
訓練終了月の4か月後の末日以降、貸付日から5年以内(貸付額が50万円以上の場合は10年以内)に返済する必要があります。ただし、最終弁済時の年齢は65歳です。
生活保護受給者でも利用できますか?
原則として生活保護受給者は利用対象外です。ほかの支援制度を利用できる可能性があるので、住まいの自治体の福祉事務所や社会福祉協議会などに相談してみることをおすすめします。