(画像=NET MONEY編集部)

つみたてNISAは、いつでも自由に解約できる。保有商品を売却して現金化できるだけでなく、売却せずに積立設定のみを解除することも可能だ。この記事では、つみたてNISAのやめ方を3パターンに分けて解説する。

つみたてNISA以外の投資先も紹介するので、解約方法が知りたい人や、短期投資で利益を狙える投資先が知りたい人はぜひチェックしてほしい

つみたてNISA以外のおすすめの投資先
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  1. つみたてNISAのやめ方【3パターン】
    1. パターン1.運用商品を解約する場合
    2. パターン2.積立注文を停止する場合
    3. パターン3.口座を解約する場合
    4. つみたてNISAを解約するデメリット
      1. 将来得られるかもしれない利益を放棄することになる
      2. 長期積立による分散ができなくなる
      3. 一度使った非課税枠は復活しない
    5. つみたてNISA以外のおすすめ投資先
      1. IPO(新規公開株)
      2. 日本株
      3. 米国株
      4. FX
      5. CFD
    6. つみたてNISAの解約についてよくある質問
      1. 解約時に手数料はかかる?
      2. 再開したいときはどうすればいい?
      3. 解約時に元本割れすることはある?
    7. つみたてNISA以外の投資も検討してみよう

つみたてNISAのやめ方【3パターン】

つみたてNISAのやめ方は、以下の3パターンに分かれる。

この記事では楽天証券の操作手順を例に解説していくが、ほかの証券会社でも大まかな手順は変わらない。

パターン1.運用商品を解約する場合

運用商品を解約する場合は、以下の3ステップを実行しよう。

STEP1.保有商品一覧から売却を選択

商品を解約する場合は、まず保有商品一覧から売却を選択しよう。

楽天証券にログイン後、資産合計の下にある「投資信託」を選ぶと保有中の投資信託が一覧表示される。

楽天証券にログイン画面
(画像引用:楽天証券

なお、証券口座(特定口座)とつみたてNISA口座で同じ商品を保有している場合は、口座ごとに別々で表示される。口座の区分をよく確認し、間違えないようにしよう。

口座の区分
(画像引用:楽天証券

STEP2.売却金額または口数を入力

次に、売却注文の入力画面で売却金額または口数を入力していく。

売却注文の入力画面
(画像引用:楽天証券

売却注文は、「全部売却」「一部売却(金額指定)」「一部売却(口数指定)」の3つから選べる。商品を全部解約したいときは「全部売却」、商品を一部解約したいときは「一部売却(金額指定)」がわかりやすいのでおすすめだ。

なお、金額指定で売却する場合、投資信託の評価額の95%までが売却可能額となる。金額指定だと全部売却できないことを覚えておこう。

STEP3.確認画面で取引暗証番号を入力して注文

最後に、確認画面で取引暗証番号を入力して注文を選択すると、解約できる。

確認画面で取引暗証番号を入力して注文
(画像引用:楽天証券

投資信託の場合、売却後いつ現金化されるかは商品によって異なる。現金化されるタイミングのことを受渡日と呼び、「投資信託」の「履歴」を選択すると受渡日がいつなのか確認できる。

参考までに、国内の投資信託の場合は売却注文をしてから2~5営業日後、海外の投資信託の場合は5~7営業日後が現金化の目安だ。

パターン2.積立注文を停止する場合

積立注文を停止する場合は、以下の3ステップを踏む必要がある。

つみたてNISAで投資をしている場合、投資信託を全部売却しても積立注文は継続するため、指定された注文日に投資信託が購入されてしまう。したがって、つみたてNISAの売買を停止するには、積立設定の解除も必要だ。

STEP1.解除する積立設定を選ぶ

まずは、解除する積立設定を選ぼう。楽天証券にログイン後、「投資信託」の「積立設定」から、積立設定一覧画面を開く。その後、解除したい積立設定を選択し、「解除」をクリックしよう。

解除する積立設定を選ぶ
(画像引用:楽天証券

なお、積立設定を解除しても、保有している投資信託は売却されない。積立設定の解除とあわせて保有商品の売却をしたい場合は、「パターン1.運用商品を解約する場合」の手順で売却注文を実行しよう。

STEP2.解除内容を確認する

解除したい積立設定を選択したら、解除内容を確認しよう。設定解除日によっては、翌月の積立注文のキャンセルに間に合わない場合があるため、注意が必要だ。

解除内容を確認する
(画像引用:楽天証券

例えば、引落方法が「楽天キャッシュ」や「楽天カードクレジット決済」の場合、毎月12日が積立注文の解除締切日だ。積立設定の解除が間に合わなかった注文は、引き落とし方法が楽天キャッシュ以外の場合、積立指定日の4時頃~15時までであれば「購入・売却履歴」から取り消しできる。

なお、ほかの証券会社でも、注文が未確定の積立注文は基本的に取り消し可能だ。

STEP3.取引暗証番号を入力して解除

解除内容などに問題がなければ、取引暗証番号を入力して積立設定を解除しよう。すべての積立注文が解除された場合、積立設定一覧画面の「毎月の積立設定額」が0円と表示される。

取引暗証番号を入力して解除
(画像引用:楽天証券

パターン3.口座を解約する場合

口座を解約する場合は、以下の3ステップで手続きを進めよう。なお、証券口座やつみたてNISA口座は口座管理料がかからないため、投資を再開する可能性があるなら口座は残しておいたほうがいい

STEP1.積立注文を停止して口座残高をゼロにする

口座を解約するには、積立注文を停止して口座残高をゼロにする必要がある。解約手続き前に、保有商品や積立設定中の注文が残っていないか、または口座にお金が残っていないかを確認しよう。

積立設定や残高が残っていると、口座の解約手続きができないため注意が必要だ。

STEP2.総合口座の解約を選択

積立注文を停止して口座残高をゼロにしたら、総合口座の解約手続きへと進もう。

楽天証券の場合は、マイメニューにある「基本情報・マイナンバー・口座」をクリックし、「口座解約」から「総合口座の解約申込」を選択する。

基本情報・マイナンバー・口座
(画像引用:楽天証券

なお、証券会社によっては電話での書類請求が必要な場合もある

STEP3.解約を申し込む

口座に残高がなければ、解約を申し込もう。

楽天証券の場合、口座所有者の基本情報や出金先指定口座を確認し、登録内容に相違がなければ「口座解約確認同意欄」を選択する。その後、解約依頼書の取得方法を郵送またはPDFから選択し、取引暗証番号を入力後「解約申込」をクリックすれば口座の解約が申し込める。

取得方法を「郵送」にした場合は、楽天証券から届く書類に記入して返送する。一方、「PDF」を選択した場合は自分で書類を印刷して記入し、楽天証券へ送付すれば口座の解約手続きは完了だ。

証券会社によっては解約ではなく「閉鎖」という扱いとなるが、書面が必要な点は変わらない

なお、口座の解約完了後も年間取引報告書が郵送されたり、保有していた日本株などに対する配当金が振り込まれたりすることもある。

つみたてNISAを解約するデメリット

つみたてNISAを解約する主なデメリットとしては、以下の3つが挙げられる。

将来得られるかもしれない利益を放棄することになる

つみたてNISAを解約してしまうと、将来得られる可能性のあった利益を放棄することになる。例えば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のシミュレーションによると、2000年末から2022年末まで長期保有した場合、最終的に資産が1.3~4.4倍も増えている。

2000~2022年の間には、「ITバブル崩壊」「リーマンショック」「コロナショック」などの出来事があり、株価暴落の時期も複数存在した。しかし、下落局面があっても売らずに保有し続けていれば、米国をはじめとした外国株式に投資する投資信託なら4倍以上に資産が増えている。

つみたてNISAは長期間の積み立てによる分散投資を前提としていることから、目先のわずかな利益や短期的な損失で焦って売るのではなく、長期間コツコツと積み立てることが大切だ。

長期積立による分散ができなくなる

つみたてNISAを途中で解約すると、「ドル・コスト平均法(定額購入法)」を利用した長期積立による分散ができなくなる。

ドル・コスト平均法は時間分散とも呼ばれ、定期的に一定額を使って金融商品を購入していく方法だ。購入金額が一定であることから、投資信託の価格が高いときは購入量(口数)が減少し、低いときは購入量が増加する。これにより、平均購入価格を抑える効果が期待できる。

もちろん、安いタイミングで一気に購入し、高いタイミングで売ったほうが儲かるのは事実だ。ただし、プロでもそう簡単にはうまくいかない。売買の判断が難しいからこそ、つみたてNISAの投資手法であるドル・コスト平均法を好む投資家も多い。

\つみたてNISA以外の投資にもおすすめ/

一度使った非課税枠は復活しない

つみたてNISAの年間投資枠は最大40万円に設定されている。たとえ口座を解約したとしても、一度使った非課税枠は復活しないので注意が必要だ。また、つみたてNISA口座は一度解約しても再開設できるが、以下の条件に該当する場合は来年度まで開設できない。

・つみたてNISA口座を解約した年に非課税枠を使っている(=積立買付をしている)場合、その年の間は、同じ金融機関でも他の金融機関でもつみたてNISA口座を再開設できない
・その年の10月1日以降につみたてNISA口座を解約した場合、その年には再開設できない

引用:マネックス証券|つみたてNISA(積立NISA)は解約できる?

2024年1月からは新しいNISAが始まるため、特別な事情がない限りつみたてNISA口座は解約しないでおいたほうがよいだろう。新しいNISAは、現行のつみたてNISA口座を所持していれば移行手続き不要で始められる見込みだ。

■新しいNISAの概要

  つみたて投資枠 成長投資枠
年間投資枠 120万円 240万円
非課税保有期間 無期限 無期限
非課税保有
限度額
1,800万円
(うち、成長投資枠は1,200万円)
口座開設期間 恒久化 恒久化
投資可能商品 つみたてNISAと同様 株式
投資信託(※)
対象年齢 18歳以上 18歳以上

新しいNISAの場合、非課税保有限度額(生涯投資枠)1,800万円の範囲内なら、売却後に非課税枠が復活する。加えて、現行のつみたてNISAと一般NISAに該当する「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能だ。

\新しいNISAでもおすすめ/

つみたてNISA以外のおすすめ投資先

つみたてNISA以外のおすすめ投資先は、以下の5つだ。

つみたてNISA以外のおすすめ投資先

つみたてNISAは長期積立で利益を出す投資だが、短期間で利益が見込める投資もある。つみたてNISAの解約を検討しているのなら、ほかの投資先を知っておいて損はないだろう。

IPO(新規公開株)

IPO(新規公開株)とは、未上場の企業が証券取引所に上場し、はじめて不特定多数の投資家へ株式を販売することだ。

IPOは株数が少なく、人気銘柄は当選確率が極めて低いものの、抽選に当たれば株価が大きく上がる可能性がある。複数の証券会社で口座を開設し、根気強く申し込み続けるのがポイントだ。

IPOにおすすめの証券会社はSBI証券だ。2022年度のIPOの取扱実績数が92社もあり、業界最多を誇る。扱える株数が多い主幹事を15社も引き受けているので、ほかの証券会社と比べて当選する可能性が相対的に高いといえるだろう。

また、SBI証券であれば、IPOの抽選に外れても「IPOチャレンジポイント」が貯まり、一定のポイントを貯めて応募すれば当選確率がアップする。

■IPOチャレンジポイントの仕組み

IPOチャレンジポイントの仕組み
(画像引用:SBI証券

IPOへの投資に興味がある人には、SBI証券がおすすめだ。

\IPOの実績数が業界No.1/

日本株

日本の証券取引所では、知名度の高い大手企業からベンチャー企業まで多くの企業が上場しており、上場企業数は3,800社を超える。よくニュースで耳にする日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)は、日本の代表的な株価指数だ。

日本株は米国株と比べて儲からないイメージがあるが、つみたてNISAの人気銘柄より上昇率が高い有名企業も存在する。

■日本株とつみたてNISAの比較

  日本株
(ソニー)
つみたてNISA
(eMAXIS Slim
米国株式)
2018年
7月2日
5,595円 1万円
2023年
7月21日
1万3,115円 2万2,602円
上昇率 1.34 1.26
※配当は考慮していない
参照:SBI証券

ベンチャー企業の場合だと株価の変動が激しく、数ヵ月で2倍以上になった銘柄も存在する。短期間で大きな利益を出したいなら、日本株への投資はおすすめだ。

通常、日本株は100株単位でしか買えないが、証券会社によっては単元未満株として1株から購入できる。1株なら株価が高い銘柄でも7万円前後、株価が安い銘柄なら1万円未満で購入可能だ。

日本株や単元未満株への投資を始めてみたいなら、単元未満株の購入手数料が無料で、スマホアプリから簡単に注文できるSBI証券を選ぼう。

\単元未満株の購入手数料が無料/

米国株

米国株の取引では、AppleやMicrosoft、Amazonなどの世界的な大企業に直接投資できる。ただし、米国の個別銘柄を分析するのはやや難しいため、初心者なら手軽に分散投資ができる米国ETFを買うことも検討しておきたい。

ETFとは上場投資信託のことで、証券取引所で株のように自由に売買ができるものだ。最低投資金額は投資信託より高いものの、購入手数料や為替手数料が安い証券会社を選べば、投資信託よりもコストを抑えて投資できる

一例として、米国の有名企業約500社で構成される株価指数「S&P500」に連動した運用を目指す「VOO」と、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の2つを比較してみよう。

■VOOとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の比較

  VOO eMAXIS Slim米国株式
(S&P500)
コスト(年率) 0.03% 0.09372%
購入手数料 実質0.045%
(※)
無料
為替手数料 購入時のみ無料
(※)
なし
最低投資金額
(1ドル=142円)
5万9,303円 100円
※マネックス証券の場合、購入手数料はキャッシュバック
参照:マネックス証券
(2023年7月21日現在)

マネックス証券では、VOOをはじめとした人気17銘柄の米国ETFの購入手数料(税抜分)が全額キャッシュバックされ、実質無料になっている。購入時の為替手数料も無料であるため、総コストはVOOのほうが安い。

少しでも低コストで米国株に分散投資をしたいなら、マネックス証券で米国ETFを購入してみよう。

\米国ETFの購入手数料が安い/

FX

FXとは「外国為替証拠金取引」の略称で、FX取引用の口座にお金を証拠金として預け、証拠金の1~25倍の金額で外貨を売買する取引のことだ。少額でも倍率(レバレッジ)の高い取引を行うことで、大きな利益が狙える

例えば、20万円の証拠金で25倍のレバレッジをかければ、ドル円の場合3万ドル(3万通貨)投資できる。想定通りの値動きになってドル円相場が1ドルあたり3円動けば、9万円の利益。すなわち証拠金の45%の利益を得られる。

想定と反対の値動きになった場合はその分損失が出るものの、短期間で大きく資金を増やしたい人にはFXがおすすめだ。

CFD

CFDとは、「差金決済取引」のことを指す。国内外の株式や株価指数、先物、債券などを対象に、取引開始時と終了時の価格差で決済が行われる。

CFDもFXと同様にレバレッジ取引ができ、投資対象によっては20倍までの取引が可能だ。具体的には、個別株は5倍、指数は10倍、コモディティ(商品)は20倍までのレバレッジとなっている。

CFD取引を始めるなら、商品ラインナップが豊富なIG証券がおすすめだ。IG証券は、イギリスに本拠地を構えるIGグループ(ロンドン証券取引所上場)を親会社に持つ企業である。

日本を含めて世界15カ国に展開しており、31万人以上が利用している。また、CFD取引が可能な金融商品は1万7,000銘柄を超えており、日本の証券会社と比べると圧倒的な取扱量だ。

つみたてNISAの解約についてよくある質問

ここでは、つみたてNISAの解約についてよくある質問をまとめた。

解約時に手数料はかかる?
ほとんどの投資信託は無料だが、一部の投資信託では、解約時に「信託財産留保額」が差し引かれる。一例として、つみたてNISA対象銘柄のなかには、解約時の基準価額に対して信託財産留保額が0.05~0.3%発生するものが存在する。

仮に信託財産留保額が0.3%の銘柄を40万円分解約すると、1,200円の手数料が発生する。
再開したいときはどうすればいい?
つみたてNISAを再開したいときは、再度積立設定をすればよい。再開する可能性が少しでもある人は、口座は解約せずに残しておこう。一切投資をしなかったとしても、口座管理料などの手数料は発生しない。
解約時に元本割れすることはある?
投資信託は元本保証ではないため、解約時に元本割れする可能性はある。また、投資信託の価格(基準価額)は前日時点のものになるため、注文時はプラスだったとしても、当日または翌日の価格が下落し、元本割れの状態で売却されてしまうこともある

投資はできる限り余裕資金の範囲内で行い、どうしても売らなければいけないときは、利益がある程度出ている段階で早めに売ってしまったほうがいいだろう。

つみたてNISA以外の投資も検討してみよう

つみたてNISAの解約を考えている人は、つみたてNISA以外の投資も検討してみよう。投資にはさまざまな種類があり、無理につみたてNISAにこだわる必要はない

ほかの投資を試してみたい人は、現在口座を所持している証券会社とは別の会社で口座を開設してみるのも1つの選択肢だ。

口座選びに迷ったら、商品ラインナップが豊富なSBI証券がおすすめだ。国内外の株式やFX、CFDなど、幅広い商品を取り扱っている。IPOの取扱実績も豊富なため、人気銘柄のIPO抽選に複数申し込むことも可能だ。短期投資をしたいなら、SBI証券で投資を始めてみよう。

おすすめの投資先をもう一度チェックしたい人はこちら

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