FXのスキャルピング手法とは、数秒から数分という極めて短い時間で、何度も取引を繰り返して利益を積み重ねるトレードスタイルです。資金の回転率が高いため、FX中級者~上級者に特におすすめの手法です。
しかし、相場の動きを瞬時に判断する必要があることや、スプレッド(取引コスト)に注意がする必要があるなど、おさえておくべきポイントも多くあります。
この記事では、FXのスキャルピング手法に向いている人の特徴や会社によっては禁止されている理由、おすすめの口座などを解説します。
FXのスキャルピング手法とは?向いている人の特徴や禁止されている理由は?

FXのスキャルピング手法とは、数秒から数分というごく短い時間で取引を繰り返し、小さな利益を積み重ねていくスタイルです。狙える値幅は限られますが、取引回数が多いため資金の回転率を高められるのが特徴です。
ただし、スキャルピングでは瞬時の判断力や素早い相場分析、取引ツールの操作スキルが求められます。取引回数が多いためスプレッドの影響を受けやすく、スプレッドの狭いFX会社を選ぶことが重要です。
当メディア「NET MONEY」が国内のFX口座保有者(20~69歳・男女500名)に実施した独自調査では、全トレーダーの約29.7%がスキャルピングを行っているという結果が出ています(複数回答)。

FXのスキャルピングが向いている人の特徴とは?
FXのスキャルピングに向いている人の特徴は以下の2つです。
- 資金効率のよいトレードをしたい
- トレードに十分な時間を割ける
スキャルピングは数分から数時間の間に何度もトレードを繰り返すことで、利益を積み重ねる手法です。売買に成功すれば、短期間で資金を増やせる可能性があります。取引中はチャートを注視し続けなければならないので、トレードに十分な時間を割ける人に向いているでしょう。
しかし、売買のタイミングが少しずれるだけで損失につながるケースも珍しくありません。継続的に利益をあげるためには、短い期間で相場を予測し、瞬時にエントリーや決済の判断を下す知識や経験が必要です。そのため、初心者にはやや難しい手法といえます。
また、スキャルピングで利益を得るにはテクニカル分析が欠かせませんが、スマホ取引では利用できるインジケーターが限られ、分析精度が下がりがちです。画面の小ささによる操作ミスや、通信環境が不安定な場所では狙ったタイミングで注文が成立しないこともあります。そのため、スマホでスキャルピングに取り組むのは避けた方が無難です。

もし外出先やスマホ中心で取引するなら、短期~中期の取引であるデイトレードやスイングトレードの方が向いています。比較的落ち着いた環境で分析でき、スキャルピングよりも余裕を持って判断できるため、初心者にも取り組みやすいでしょう。
FXのスキャルピングトレーダーはいつ取引を行うべき?
秒や分単位で超短時間の値動きを狙うスキャルピングでは、取引を行う時間帯の選び方が非常に重要です。
スキャルピングは小さな価格変動を積み重ねて利益にする手法のため、スプレッドが広がりやすい時間帯は不向きです。代わりに、取引量が多く流動性が高い時間帯を狙うのが基本となります。
例えば、平日日中は仕事で取引できない方でも、日本時間21時以降の「ロンドン市場とニューヨーク市場が重なる時間帯」なら十分な取引チャンスがあります。

スキャルピングの場合には、そこからさらに取引の時間帯を絞ることも有効です。反復的かつ高速な取引が求められるスキャルピングは、一瞬一瞬の集中力と緊張感が他のトレードパターンよりも求められます。より高いパフォーマンスを発揮するためにも、特に集中する時間を決めて、心身ともに健康を維持することも大切です。
スキャルピングはFX会社によっては禁止されている?

国内FX会社によっては、スキャルピング取引が禁止されている場合があります。
主な理由は、FX会社のシステムや収益に悪影響を及ぼす可能性があるためです。FX会社はトレーダーのポジションをインターバンクとのカバー取引でリスクヘッジしますが、スキャルピングのように短時間で頻繁に取引が行われるとカバーが間に合わず、会社側に損失が発生する恐れがあります。

また、スキャルピングは大量取引によるサーバー負荷やシステム障害を引き起こす可能性もあり、結果としてトレーダー全体の取引環境に悪影響を及ぼすリスクがあります。
さらに、スキャルピングはごく短期での売買を繰り返すため、トレーダー自身の損失額が大きくなりやすい点も問題視されています。このため、トレーダー保護の観点から禁止されるケースもあるのです。
このように、スキャルピングはトレーダーにとって有効な手法である一方、FX会社にとってリスク要因となるため、利用できない場合がある点を理解しておきましょう。
スキャルピングでしか勝てないと言われるのはなぜ?
FXのスキャルピングでしか勝てないとよく言われるのは、テクニカル分析によって短期的な値動きが予測しやすいからだと考えられます。
スキャルピングでは、短期間で小さな利益を積み重ねる手法なので、長期的な相場の動向やファンダメンタルズを考慮する必要がありません。

そのため、極端に言えばテクニカル分析と直感のみでエントリーと決済のタイミングは判断することができます。
しかし、実際にどのようなトレードスタイルが勝てるかは、個人差があります。スキャルピングが必ずしもすべての人にとって最適なトレードスタイルであるというわけではありません。
取引を積み重ねるなかで、自分のトレードスタイルを見つけていくのが、FX中級者になるまでに必ず通る道といえます。
FXのスキャルピング手法のシンプルな必勝法・やり方まとめ
FXのスキャルピング手法は資金効率が良いトレード手法である一方、短期間で利益を狙うため、相場の動きを正確に判断する必要があるため利益を上げるためには注意しておくべきポイントがあります。
ここからは、FXのスキャルピング手法のシンプルな必勝法・やり方を紹介します。
FXのスキャルピングではメジャー通貨ペアで取引する
FXのスキャルピングでは以下のような通貨ペアで取引を始めてみましょう。
- 米ドル/円(USD/JPY)
- ユーロ/円(EUR/JPY)
- 英ポンド/円(GBP/JPY)
- ユーロ/ドル(EUR/USD)
- 英ポンド/ドル(GBP/USD)
これらのメジャー通貨ペアは、いずれも流動性が高いため、スキャルピングに適しています。また、経済指標や要人発言などのニュースの影響を受けやすいため、短期的な値動きが活発です。

ただし、スキャルピングは短期的な値動きを狙うトレード手法であるため、相場のボラティリティが低い場合や、大きな経済指標の発表前後は、エントリーのタイミングを慎重に判断する必要があります。
FXのスキャルピングでは1分足と5分足を活用しよう!
1分足と5分足は、FXのスキャルピング手法において、最もよく用いられる時間足です。
1分足は、相場の動きを最も細かく捉えることができます。そのため、トレンドの方向性や勢いを判断するのに適しています。
5分足は1分足よりも長い時間幅の値動きを捉えることができます。そのため、1分足よりもトレンドの方向性や勢いを把握しやすくなります。
また、1分足と5分足を組み合わせることで、より精度の高い相場分析を行うことができます。
具体的な使い方としては1分足と5分足を組み合わせたトレンドフォローがあげられます。
これは1分足でトレンドの方向性や勢いを判断し、5分足でエントリーポイントを探す方法です。
たとえば、1分足でトレンドラインが上向きに傾いている場合、買いエントリーのチャンスと判断できます。また、1分足でトレンドラインが下向きに傾いている場合、売りエントリーのチャンスと判断できます。
5分足でエントリーポイントを探す際には、以下のようなものを参考にするとよいでしょう。
- ボリンジャーバンドのバンド幅の収縮
- RSIやMACDなどのテクニカル指標のゴールデンクロスやデッドクロス
- 1分足と5分足を組み合わせた押し目や戻り目の狙い
このように1分足と5分足を組み合わせるだけではなく、他の時間足も組み合わせれば、さらに精度の高い相場分析を行うことができます。
たとえば、15分足や30分足などの中期足を組み合わせることで、トレンドの方向性や勢いをより長期的に判断することができます。また、1時間足や4時間足などの長期足を組み合わせることで、相場の大きなトレンドを捉えることができます。
ただし、複数の時間足を組み合わせる場合は、時間足ごとの特徴を理解し、それぞれの時間足の役割を明確にすることが大切です。
また、相場の状況に応じて、時間足の使い方を変えることも重要です。たとえば、トレンドの勢いが強い場合は、1分足や5分足を重視して、短期的な値動きを狙うことができます。一方、トレンドの勢いが弱い場合は、15分足や30分足などの中期足や長期足を重視して、大きなトレンドを捉えるようにします。
FXのスキャルピングは、他のトレードスタイルに比べて、利益を上げやすい一方で、リスクも高いトレードスタイルです。そのため、しっかりとした相場分析とリスク管理を徹底することが大切です。
FXのスキャルピングで狙うべき利幅は1~10pips

FXのスキャルピングで狙うべき利幅は、一般的に3~10pips程度と言われています。スキャルピングは、短期間で利益を狙う取引スタイルです。そのため、1pipsでも利益を積み重ねることが重要です。しかし、狙いすぎてしまうと、損失リスクが高まるため注意が必要です。
また、スキャルピングは、取引回数が多いため、スプレッドや取引手数料などのコストを抑えることも重要です。1pipsの利幅では、スプレッドや取引手数料で利益が相殺されてしまう可能性があります。
ただし、3~10pipsはあくまでも目安です。経験や資金力、取引スタイルなどに合わせて、適切な利幅を決めることが重要です。
例えば、経験が浅いトレーダーや資金力に余裕がない場合は、1pips以下の小幅な利幅を狙うようにしましょう。1pips以下の利幅でも、損切りを徹底することで、利益を積み重ねることができます。
また、トレンドフォロートレードの場合は、トレンドの勢いに合わせて、10pips以上の利幅を狙うようにしましょう。トレンドが明確な場合は、10pips以上の利幅も狙える可能性があります。
逆に、レンジトレードの場合は、レンジの幅に合わせて、5pips程度の利幅を狙うようにしましょう。レンジの幅が狭い場合は、5pips程度の利幅でも十分な利益を狙うことができます。
また、スキャルピングでは、損切りを徹底することが重要です。損切りを徹底することで、損失を最小限に抑えることができます。損切りラインは、1pips程度の小さなものでも構いません。


FXのスキャルピングは、短期間で利益を狙える魅力的な取引スタイルですが、リスクがあることを理解した上で、慎重に取り組むことが重要です。
FXのスキャルピングに向いている口座の選び方
FX会社のなかには、スキャルピングを禁止している会社があります。スキャルピング向きのFX会社がその他にどのような特徴を持っているのか見ていきましょう。
【超重要】スキャルピングが禁止されていない

スキャルピングは制限していたり禁止していたりするFX会社があるため、事前に確認しておく必要があります。
例えば、インヴァスト証券では「高頻度な回転売買等の取引を行い、当社が行うカバー取引に影響を与える行為」を禁止しています。
もしスキャルピングを禁止しているFX会社でスキャルピングを行った場合、口座を凍結される可能性があるため、注意しなくてはなりません。
スプレッドが狭い

スキャルピングで取引をする際は、できる限りスプレッドが業界最狭水準のFX会社で取引したいところです。
なぜなら、狙える値幅が狭く取引回数が多いため、どうしてもスプレッドの影響が大きくなりがちだからです。
スキャルピングをする際は、少しでもスプレッドが狭いFX会社を選ぶべきでしょう。
取引ツールが使いやすい
スキャルピングでは、取引ツールの使いやすさが重要になります。
というのも、スキャルピングは数秒から数分での取引を繰り返し行うため、スピーディーに注文することが求められるからです。
使いにくい取引ツールであれば、操作に迷って取引のタイミングを逃したり、誤操作による損失を招いたりする可能性が高まってしまいます。
したがって、発注しやすい取引ツールが用意されているかについても、事前にチェックしておきましょう。
本記事で参考にしたサイト一覧