過去に延滞をしてしまい、信用情報に「異動」が記録されてしまった方は、クレジットカードが作れるのか不安に感じていることでしょう。
結論から言うと、異動情報が残っている状態では、一般的なクレジットカードの審査に通ることは非常に難しいのが現実です。しかし、独自審査を行うカード会社であれば、可能性がゼロというわけではありません。
本記事では、2025年11月時点の最新情報をもとに、異動情報とは何か、いつ消えるのか、そして自分の信用情報を確認する方法まで詳しく解説します。

「クレジットカードが作れない場合の代替手段」を知りたい方は、審査なしで作れるカードの解説記事もおすすめです。
信用情報の異動とは?クレジットカード審査への影響
信用情報における「異動」とは、長期間の支払遅延や破産などの金融事故情報のことを指します。一般的に「ブラックリスト」と呼ばれる状態は、この異動情報が記録されている状態のことです。
異動情報が記録されると、クレジットカードの審査だけでなく、住宅ローンや自動車ローンなど、あらゆる金融サービスの審査に影響します。
異動情報が記録される条件
異動情報は、以下の3つの条件のいずれかに該当した場合に、信用情報機関に記録されます。
| 条件 | 詳細 |
|---|---|
| 長期延滞 | 返済日より61日以上または3ヶ月以上の支払遅延があった場合 |
| 保証履行 | 保証会社が本人に代わって返済を行った場合(代位弁済) |
| 破産 | 裁判所が破産手続開始を決定した場合 |
特に注意が必要なのは、クレジットカードの支払いだけでなく、携帯電話本体の分割購入(割賦契約)の滞納でも異動情報が記録されるという点です。
たとえば、スマートフォンを分割払いで購入し、その支払いを61日以上滞納すると、CICに異動情報として記録されます。携帯電話料金の滞納が原因で、後々クレジットカードが作れなくなるケースも少なくありません。
異動があるとクレジットカードが作れない理由
異動情報があると、過去に返済トラブルを起こした「信用リスクの高い人」と判断され、ほとんどのカード会社で審査落ちとなります。
クレジットカード会社は、申込者の審査時に必ず信用情報機関に照会を行います。このとき、異動情報が記録されていると、カード会社は「この人に貸しても返済されない可能性が高い」と判断します。
- 過去に返済トラブルを起こした履歴として認識される
- カード会社は貸し倒れリスクを避けたい
- スコアリング審査で自動的に審査落ちになることが多い
大手カード会社の多くはスコアリング審査を採用しており、異動情報があるとシステム上で自動的に審査落ちとなることがほとんどです。そのため、異動情報が記録されている期間は、新規のクレジットカード発行が非常に困難になります。
異動情報は金融機関間で共有される
日本には3つの主要な信用情報機関があり、それぞれが情報を共有する仕組みになっています。
これら3つの信用情報機関は、CRIN(Credit Information Network)という情報交流ネットワークで連携しています。そのため、CICに異動情報が記録されると、その情報はJICCやKSCにも共有されます。
つまり、どの金融機関に申し込んでも、異動情報は把握されてしまうということです。「消費者金融系なら大丈夫」「銀行系ならバレない」ということはありません。
異動情報が残っていてもクレジットカードは作れるのか
異動情報がある状態でクレジットカードを作ることは基本的に難しいですが、すべてのカード会社で100%審査に落ちるわけではありません。
ここでは、異動情報がある場合の審査の現実と、可能性を高めるためのポイントを解説します。
基本的に異動があると審査通過は難しい
残念ながら、異動情報が記録されている状態では、一般的なクレジットカードの審査に通過することは非常に難しいのが現実です。
その理由は、大手カード会社のほとんどがスコアリング審査を採用しているためです。スコアリング審査では、申込者の属性や信用情報を点数化し、一定の基準を満たさない場合は自動的に審査落ちとなります。
スコアリング審査とは
申込者の年齢、職業、年収、勤続年数、信用情報などを数値化し、総合スコアで審査の可否を判断する方法。異動情報がある場合、このスコアが大きくマイナスになるため、審査に通過することが困難になります。
また、「審査なしで誰でも作れるクレジットカード」は存在しません。どのカード会社も必ず審査を行いますので、その点は理解しておく必要があります。
異動情報があっても作れる可能性があるクレジットカードの特徴
異動情報があっても発行される可能性があるのは、独自の審査基準を持つカード会社のクレジットカードです。
- 消費者金融系クレジットカード
- 現在の返済能力を重視する傾向がある
- 過去の信用情報だけでなく、現在の収入状況も考慮される
消費者金融系クレジットカードは、信用情報だけでなく現在の返済能力を重視する傾向があります。そのため、異動情報があっても、安定した収入があれば審査に通る可能性がゼロではありません。
一般的に、審査の難易度は消費者金融系 → 流通系 → 信販系 → 銀行系の順で低いとされています。ただし、これはあくまで傾向であり、個々の審査結果を保証するものではありません。
審査に通りやすくするためのポイント
異動情報がある場合でも、以下のポイントを押さえることで、審査通過の可能性を少しでも高めることができます。
- 異動情報が消えるまで待つ(最も確実な方法)
- キャッシング枠を0円で申し込む
- 安定した収入があることを証明できる書類を準備する
- 他社借入をできるだけ減らしておく
- 申込情報を正確に記入する
最も確実な方法は、異動情報が消えるまで待つことです。CIC・JICCの異動情報は契約終了から5年で削除されるため、その期間が経過してから申し込むのが最も審査に通りやすくなります。
どうしても今すぐカードが必要な場合は、キャッシング枠を0円で申し込むと、総量規制の影響を受けにくくなり、審査のハードルが下がる可能性があります。
CICの異動情報はいつ消える?保有期間と早く消す方法
異動情報は永久に残るわけではなく、一定期間が経過すると削除されます。ここでは、各信用情報機関の保有期間と、異動情報が消えた後の注意点を解説します。
異動情報の保有期間は原則5年
各信用情報機関における異動情報の保有期間は以下のとおりです。
| 機関名 | 延滞・強制解約 | 破産 |
|---|---|---|
| CIC | 契約終了から5年 | 契約終了から5年 |
| JICC | 契約終了から5年 | 契約終了から5年 |
| KSC | 契約終了から5年 | 契約終了から7年 |
重要なのは、「契約終了から」5年という点です。延滞が解消されない限り、5年のカウントは始まりません。つまり、延滞を放置し続けると、異動情報は半永久的に残り続けることになります。
また、KSC(全国銀行個人信用情報センター)は破産情報の保有期限が7年と、他機関より長くなっています。銀行系のローンや銀行発行のクレジットカードを申し込む場合は、この点に注意が必要です。
CICの異動情報を早く消す方法はある?
残念ながら、正当に記録された異動情報を5年より早く消す方法は基本的にありません。
信用情報は法律に基づいて管理されており、カード会社や信用情報機関に依頼しても、正当な異動情報を任意に削除することはできません。「司法書士や弁護士に依頼すれば消せる」という広告を見かけることがありますが、正当な異動情報を消すことは不可能です。
ただし、誤った情報は訂正可能
事実と異なる情報が登録されている場合は、信用情報機関に対して訂正・削除を求めることができます。自分の信用情報を開示請求し、誤りがある場合は速やかに訂正手続きを行いましょう。
ホワイト(スーパーホワイト)になるデメリット
異動情報が消えると、信用情報が真っ白な「スーパーホワイト」状態になります。これは一見良いことのように思えますが、特に30代以上の方にとってはデメリットになる場合があります。
- 30代以上でクレジット履歴がないのは不自然と判断される
- 「過去に金融事故を起こして情報が消えた人」と同じ状態に見える
- 審査する側に判断材料がなく、スコアリングができない
20代であれば「今までクレジットカードを持っていなかった」という説明で通用しますが、30代・40代でクレジット履歴が一切ないのは不自然であり、「元ブラック」を疑われやすくなります。
対策としては、異動情報が消えた後に審査に通りやすいカード(流通系や消費者金融系の一般カード)でクレジットヒストリー(クレヒス)を積み上げてから、希望するカードに申し込むことをおすすめします。
自分の信用情報に異動があるか確認する方法
クレジットカードの申し込み前に、自分の信用情報を確認しておくことをおすすめします。異動情報の有無や、いつ消えるのかを事前に把握しておくことで、無駄な申し込みを避けられます。
CIC(クレジットカード系)での開示請求方法
CICはクレジットカード会社や信販会社、携帯電話会社などが加盟する信用情報機関です。クレジットカードの審査では最も重要な機関といえます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申込方法 | 郵送のみ(インターネット開示は2025年4月26日より休止中) |
| 手数料 | 1,500円~1,800円(定額小為替または開示利用券) |
| 必要書類 | 信用情報開示申込書、本人確認書類(住民票または印鑑登録証明書の原本が必須) |
| 所要日数 | 申込みから1週間~10日程度 |
2025年5月15日以降、本人確認書類として「住民票」または「印鑑登録証明書」の原本が必須となっています。運転免許証のコピーだけでは申し込めませんので注意してください。
JICC(消費者金融系)での開示請求方法
JICCは消費者金融や一部のクレジットカード会社が加盟する信用情報機関です。スマホアプリでの開示請求に対応している唯一の機関で、手軽に利用できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申込方法 | スマホアプリ、郵送 |
| 手数料 | アプリ:1,000円程度、郵送:1,000円程度 |
| 必要書類 | アプリ:マイナンバーカード 郵送:本人確認書類2点 |
| 所要日数 | アプリ:最短即日、郵送:1週間程度 |
スマホアプリを利用すれば、マイナンバーカードによる認証でスマホ上で即日結果を確認できます。最も手軽な方法ですので、まずはJICCから確認することをおすすめします。
KSC(銀行系)での開示請求方法
KSC(全国銀行個人信用情報センター)は銀行や信用金庫などが加盟する信用情報機関です。銀行発行のクレジットカードや住宅ローンの審査に影響します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申込方法 | インターネット、郵送 |
| 手数料 | インターネット:1,000円、郵送:1,124円~1,200円 |
| 必要書類 | インターネット:マイナンバーカード等 郵送:本人確認書類2点、定額小為替 |
| 所要日数 | インターネット:即日~数日、郵送:1~2週間程度 |
インターネット開示を利用すれば、手続き費用を郵送より安く抑えられ、結果もPDFで確認できます。
信用情報開示報告書の見方
開示報告書を受け取ったら、以下のポイントを確認してください。
- 「返済状況」欄に「異動」と記載されていないか
- 「入金状況」欄に「A」(未入金)のマークがないか
- 「保有期限」欄でいつ情報が削除されるか
CICの開示報告書では、「お支払いの状況」セクションの「返済状況」欄に「異動」と記載されていれば、異動情報が登録されている状態です。
また、「保有期限」が記載されている場合、その年月の月末に情報が削除されます。この期限を確認することで、いつ頃から再びクレジットカードに申し込めるかの目安が分かります。
異動情報とクレジットカードに関するよくある質問
異動情報とクレジットカードに関して、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。
絶対に作れないわけではありませんが、一般的なカードの審査は非常に難しくなります。消費者金融系など独自審査のカードであれば可能性がありますが、確実ではありません。
はい、携帯電話本体の分割購入(割賦契約)を61日以上滞納すると、CICに異動情報として記録されます。携帯電話料金の滞納が原因で、後々クレジットカードが作れなくなるケースも少なくありません。
CIC・JICCでは契約終了から5年、KSCの破産情報は7年で削除されます。ただし、延滞が解消されない限り5年のカウントは始まりませんので、まずは延滞を解消することが重要です。
正当に記録された異動情報を5年より早く消す方法はありません。ただし、誤った情報の場合は信用情報機関に訂正を求めることができます。
原則として、家族の信用情報が本人の審査に直接影響することはありません。ただし、配偶者の収入で申し込む場合や、家族カードの本会員に異動がある場合などは影響する可能性があります。
異動情報が消えるとスーパーホワイト状態になり、30代以上では審査で不利になる可能性があります。まずは審査に通りやすいカード(流通系や消費者金融系)でクレヒスを作ることをおすすめします。
クレジットカードの審査に関してはCICが最も重要です。ただし、3機関とも情報を共有しているため、念のため全機関に開示請求することをおすすめします。
はい、異動情報があると住宅ローンや自動車ローンなど、ほとんどのローン審査に通ることが難しくなります。異動情報が消えるまで待つか、まずは信用情報を確認することをおすすめします。
金額の大小に関係なく、61日以上または3ヶ月以上の延滞があれば異動情報として記録されます。少額だからといって放置せず、速やかに支払うことが重要です。
信用情報の開示は本人のみが行えるため、会社が勝手に従業員の信用情報を確認することはできません。ただし、会社の福利厚生でクレジットカードを申し込む場合などは、審査落ちによって間接的に分かる可能性はあります。
はい、デビットカードやプリペイドカードは信用情報の審査がないため、異動情報があっても発行可能です。クレジットカードの代わりとして活用できます。
はい、何回でも開示請求できます。ただし、毎回手数料がかかります。異動情報の保有期限が近づいたら再度確認するとよいでしょう。
まとめ
本記事では、異動情報が残っている状態でクレジットカードは作れるのか、いつ消えるのか、そして信用情報の確認方法について解説しました。
- 異動情報は61日以上の延滞、保証履行、破産で記録される
- 異動情報があると一般的なクレジットカードの審査は非常に難しい
- 消費者金融系など独自審査のカードなら可能性がある
- 異動情報は原則5年で消える(延滞解消後から起算)
- 異動情報を早く消す正当な方法はない
- CIC・JICC・KSCの3機関で信用情報を開示請求できる
- 異動情報が消えた後のスーパーホワイト問題にも注意
異動情報が記録されている間は、クレジットカードの審査に通ることは難しいのが現実です。しかし、情報が消えるまでの期間を把握し、その間にできる対策を取ることが重要です。
まずは自分の信用情報を開示請求して確認し、異動情報の有無と保有期限を把握することから始めてみてください。情報が消えた後は、審査に通りやすいカードでクレヒスを積み上げ、段階的にステップアップしていくことをおすすめします。

