生活福祉資金貸付制度の審査基準は?市役所でお金を借りる方法と申請の流れを解説
(画像:NET MONEY編集部)

国や地方自治体が設けている生活福祉資金貸付制度は、生活困窮者の生活再建に必要なお金を借りられる救済制度です。

金融機関からお金を借りられない低所得者世帯や高齢者世帯、障がい者が属する世帯を主な利用対象としており、条件を満たせば無職もお金を借りられます。

しかし、生活福祉資金貸付制度を利用するにあたって審査を受けなければならないため、誰もがお金を借りられるわけではありません。

そこで本記事では、生活福祉資金貸付制度の審査基準や審査で重視されるポイント、市役所でお金を借りる方法や手続きの流れを解説します。

  1. 生活福祉資金貸付制度とは?生活再建に必要なお金を借りられる救済制度
    1. 生活福祉資金貸付制度の対象者
    2. 生活福祉資金貸付制度の貸付は4種類
  2. 生活福祉資金貸付制度の審査基準と重視されるポイント
    1. 申込条件を満たしていること!無職も一定条件を満たせば申請可能
    2. 生活再建や自立支援につながる資金用途であること
    3. 返済が見込まれる
    4. 連帯保証人の有無
  3. 生活福祉資金貸付制度の審査でよくある落ちる理由
    1. 多重債務であり返済が見込めない
    2. ほかの支援制度を利用している
    3. 借入理由が不明確
    4. 虚偽の申請内容があった
    5. 自己破産の手続きをしている
  4. 市役所でお金を借りるには?生活福祉資金貸付制度の申請方法と必要書類
    1. 生活福祉資金貸付制度の申請方法
    2. 生活福祉資金貸付制度の申請に必要な書類
    3. 生活福祉資金貸付制度の審査期間は1~2ヵ月!早めに申請しよう
    4. 返済期間は最長20年!据置期間もあるため無理なく返済できる
  5. 生活福祉資金貸付制度の審査に関するよくある質問(Q&A)
    1. 生活福祉資金貸付制度はほかの公的支援との併用はできる?
    2. 生活福祉資金貸付制度は借入れ後の返済やサポートはある?
    3. 生活福祉資金貸付制度の審査で信用情報は確認されますか?
  6. 生活福祉資金貸付制度の審査基準や流れを知って申請にそなえよう

生活福祉資金貸付制度とは?生活再建に必要なお金を借りられる救済制度

生活福祉資金貸付制度は、低所得者や高齢者、障がい者など、経済的に困難な状況にある世帯を支援するために設けられた公的な融資制度です。

生活費や教育費、住宅費など、生活を再建するまでに必要なお金を無利子、または低利子で借りることができます。

また、貸付けと併せて生活の立て直しに必要な相談や支援も受けられるため、単なる資金援助にとどまらない包括的なサポートを受けられる点が特徴です。

ここでは、生活福祉資金貸付制度について詳しく解説します。

生活福祉資金貸付制度の対象者

生活福祉資金貸付制度の対象者は、以下のとおりです。

生活福祉資金貸付制度の対象者
低所得世帯 無職を含む住民税非課税程度の世帯※
障害者世帯 以下いずれかの手帳の交付を受けた者が属する世帯
・身体障害者手帳
・療育手帳
・精神障害者保健福祉手帳
高齢者世帯 65歳以上の高齢者が属する世帯
※注釈
※必要な資金を他から借りられないことが条件
参照:生活福祉資金貸付制度│厚生労働省

低所得世帯にあたる基準は「市町村民税非課税程度」とされていますが、住民税が非課税になる条件は市町村によって異なります。

あらかじめ自治体のホームページなどから、自分が対象となるのか確認しておきましょう。

生活福祉資金貸付制度の貸付は4種類

生活福祉資金貸付制度の貸付種類は4種類に分類されており、それぞれの目的に応じた利用が可能です(下記)。

資金の種類 主な用途
総合支援資金 生活再建に必要な資金
福祉資金 介護や病気などに必要な資金
教育支援資金 子どもの学費や入学金
不動産担保型生活資金 65歳以上の高齢者の生活資金

貸付けは無利子または低金利で行われ、保証人の有無によって条件が変わる場合があります。

では、各資金の限度額や金利、資金使途を確認しましょう。

総合支援資金は生活再建に必要なお金を借りられる

総合支援資金は、失業や減収などにより困窮している人が、生活再建に必要なお金を借りられます。

総合支援資金で借りられるお金は以下の3種類であり、それぞれを組み合わせることも可能です。

総合支援資金で借りられるお金

   
  お金の使い道 利用限度額 借入期間 適用利率
生活支援費 生活再建までの間に必要な生活費 月20万円まで
(単身世帯は月15万円以内)
原則3ヵ月
(最大12ヵ月まで延長可能)
保証人あり:無利子
保証人なし:年1.5%
住宅入居費 住宅の賃貸契約を結ぶために必要な敷金、礼金など 40万円まで - 保証人あり:無利子
保証人なし:年1.5%
一時生活再建費 ・就職活動や技能習得
・家賃や公共料金などの滞納の一時立て替え費用
・債務整理に必要な費用など
60万円まで - 保証人あり:無利子
保証人なし:年1.5%

たとえば、失業期間が長く生活が苦しい場合は、生活支援費を借りつつ、資格取得に向けて一時生活再建費を合わせて借りることも可能です。

福祉資金は介護や病気などで必要なお金を借りられる

福祉資金は、病気や怪我、高齢者の介護など生活以外の面で必要なお金を借りられます。

福祉資金の資金使途、および借りられる金額は下表のとおりです。

福祉資金で借りられるお金

   
  お金の使い道 利用限度額 適用利率
福祉費 ・生業を営むために必要な経費
・病気療養に必要な経費
・住宅の増改築や補修などに必要な経費
・福祉用具などの購入経費
・介護サービスや障害者サービスを受けるために必要な経費
・災害を受けたことにより必要となる経費
・技能習得に必要な経費、またはその間の生計費用
・冠婚葬祭に必要な経費など
580万円以内 保証人あり:無利子
保証人なし:年1.5%
緊急小口資金 緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合の費用 10万円以内 無利子

福祉費には災害や冠婚葬祭、技能習得に必要な経費など、幅広い用途が設定されているため、障害者世帯や高齢者世帯でなくとも借入れが認められる場合があります。

緊急小口資金は、国の給付制度、および融資制度を申請している間、それまでのつなぎとして一時的に借りられる資金のことです。

借りられる金額は10万円と少額ですが、最短1~2週間と比較的早くお金を借りられます

早く10万円を借りたいなら、生活福祉資金貸付制度の申請をする際に、緊急小口資金を利用したい旨を伝えましょう。

教育支援資金は子どもの学費や入学金を借りられる

教育支援資金を利用すれば、低所得世帯が子どもの学費や入学金などを借りられます。

教育支援資金融資の資金使途は以下のとおりで、2つの費用を併用することも可能です。

教育支援資金で借りられるお金

   
  お金の使い道 利用限度額 借入期間 適用利率
教育支援費 ・高校や高専、大学の授業料
・通学にかかる定期代
・学用品費
・寮費用など
高校:月3.5万円以内
高専:月6万円以内
短大:月6万円以内
大学:月6.5万円以内
在学期間中 無利子
修学支度費 ・高校や高専、大学の入学費用
・制服、くつ、かばんなどの購入費用
・教科書代など
50万円以内 - 無利子

教育支援資金は日本学生支援機構の第一種奨学金、および第二種奨学金と合わせて利用することも認められています。

ただし、日本学生支援機構の奨学金が優先となるため、それまでのつなぎとしてお金が必要な場合に限り融資が認められます。

教育支援資金で借りられる金額は比較的少額であるため、ほかの給付・貸付制度を利用しながら、子どもの教育資金を工面しましょう。

たとえば、ひとり親家庭は母子父子寡婦福祉資金貸付制度を利用することで、より多くの教育資金を借りられます。

不動産担保型生活資金は65歳以上の高齢者が住宅を担保にお金を借りられる

不動産担保型生活資金は、65歳以上の高齢者が住宅や土地を担保に生活資金を借りられます。

返済は借受人の死亡時、または元利金が貸付限度額に達した時に、住宅や土地を売却して一括で精算する仕組みです。

一般的な融資制度のように毎月の返済は行われないため、働いていない高齢者も利用しやすいでしょう。

また、今の住宅に住みながらお金を借りられることもメリットです。とくに、住宅や土地を相続する予定がない人は活用しやすい制度となっています。

不動産担保型生活資金で借りられる金額、および適用金利は以下のとおりです。

不動産担保型生活資金の概要

   
  利用限度額 適用利率
不動産担保型
生活資金
・土地の評価額の70%程度
・月30万円以内
年3%、または長期プライムレートのいずれか低い利率
要保護世帯向け
不動産担保型
生活資金
土地及び建物の評価額の70%程度
(集合住宅の場合は50%)
年3%、または長期プライムレートのいずれか低い利率

注意しなければならない点は、一括で高額を借りられるわけではない点です。

生活資金を借りることが主な目的となるため、毎月30万円以内の範囲内で借入れすることになります。

また、借りられる金額は土地評価額の70%以内です。闇雲に借りるとすぐに限度額に達するため、計画的に利用しましょう。

生活福祉資金貸付制度の審査基準と重視されるポイント

生活福祉資金貸付制度の審査は、決して厳しいわけではありません。

しかし、誰もが審査を通過できるわけではなく、申込条件を満たしていることや返済が見込めることが借入れの条件となります。

ここでは、生活福祉資金貸付制度の審査基準と、審査で重視されるポイントについて解説します。

申込条件を満たしていること!無職も一定条件を満たせば申請可能

生活福祉資金貸付制度の審査では、申込条件を満たしているかどうかが確認されます。

生活福祉資金貸付制度の申込条件
  • 低所得世帯
  • 高齢者世帯
  • 障害者世帯

いずれも、世帯収入が住民税非課税程度であることが条件です。

たとえば東京都23区の場合、以下に該当する人は住民税非課税となります。

住民税非課税になる所得額
障害者・未成年者・寡婦又はひとり親 135万円以下

※給与所得者:年収204万4,000円未満
同一生計の配偶者や扶養親族がいない場合 45万円以下

※給与所得者:110万円以下
65歳以上の年金受給者:155万円以下
65歳未満の年金受給者:105万円以下
同一生計の配偶者や扶養親族がいる場合 35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下

※夫婦世帯:年収166万円以下
夫婦+子1人:年収205万7,000円以下
夫婦+子2人:年収255万7,000円以下

なお、生活福祉資金貸付制度は無職の人も利用可能です。ただし、ハローワークで求職の申込みをし、職業相談をすることが条件となります。

生活再建や自立支援につながる資金用途であること

生活福祉資金貸付制度の審査では、資金使途が明確であり、貸付けによって生活再建や自立支援につながるかどうかが確認されます。

たとえば、就職にあたって資格取得を目指していることを伝えたうえで、学校に通う費用や受験費用などの見積もりを提出できれば、借入れが認められやすいでしょう。

一方で、以下の目的でお金を借りたいと伝えても借入れには至りません。これらの借入れは、生活再建につながる直接的な理由とはならないためです。

融資を断られる資金使途
  • 趣味の費用
  • 旅行やレジャー費用
  • 既存ローンの借り換え
  • ギャンブルなど

お金を必要とする目的が「生活再建」でない場合は、民間金融機関のローン商品を利用しましょう。

返済が見込まれる

生活福祉資金貸付制度の審査では、貸付後に返済が見込まれるかどうかも重視されます。

現時点で十分な返済能力がなくとも、「今後生活を立て直すことによって、返済できる見込みがある」と認められれば審査を通過できます。

貸付対象となるのは、貸付けを行うことにより自立が見込まれるかた

具体的に、以下のような姿勢があると認められれば、審査を通過できる可能性が高いでしょう。

生活福祉資金貸付制度の審査で重要視される姿勢
  • 働く意思・意欲があること
  • 生活を立て直したい気持ちが強いこと
  • 各種支援を真摯に受け止める姿勢があること
  • 現実的な返済計画であること

たとえば、すぐにでも働きたい旨を伝え、担当者の案内にしたがってすぐに行動する姿勢を見せられれば審査が有利に進みます。

一方で、「今後も働くつもりはない」「今より収入を増やすなんて到底不可能」などと否定的な意見ばかり述べていると、審査に落ちる可能性が高まります。

連帯保証人の有無

生活福祉資金貸付制度の審査では、連帯保証人の有無も確認されます。

保証人がいる場合は、保証人の信用力も審査の対象です。万が一、返済が困難となった場合は、保証人が弁済する必要があるためです。

なお、生活福祉資金貸付制度は保証人がいない場合も利用できますが、基本的には連帯保証人を立てることが条件となっています。

原則、必要としますが、連帯保証人を立てない場合も貸付可能です。

生活福祉資金貸付制度の審査でよくある落ちる理由

生活福祉資金貸付制度の申込条件を満たしている人でも、審査に落ちる場合があります。

たとえば、「ほかの支援制度との重複」です。すでにほかの支援制度を利用しており、それらの制度で十分に対応可能と判断される場合、貸付けが認められません。

自分の記入ミスや、安易な考えのせいで審査に落ちることもあるため、注意が必要です。

多重債務であり返済が見込めない

多重債務がある人は、生活福祉資金貸付制度の審査に落ちる可能性があります。

他社にも返済する必要があることから、返済が見込めないと判断されるためです。

貸付できない世帯の例
○多額の負債を抱えており、返済の見通しがない方

生活福祉資金貸付制度は、借り換え目的の利用が認められていません。多額の借金によって生活が苦しい状況なら、債務整理を検討しましょう。

ほかの支援制度を利用している

ほかの支援制度との重複も、生活福祉資金貸付制度の審査でよくある落ちる理由の一つです。

生活福祉資金貸付制度は、ほかの公的支援制度で十分に対応可能と判断されると、貸付けが認められない場合があります。

たとえば、母子父子寡婦福祉資金貸付制度や求職者支援資金融資など、ほかの公的融資制度を利用している場合などが該当します。

生活保護を受けている世帯は、自立につながると判断された場合に限り借入れが認められますが、借りられる資金は限定的です。

保護の実施機関である福祉事務所が本貸付制度の利用により、当該世帯の自立更生を促進すると認めた場合に借入申込みを行うことが可能となりますことから、まずは県南広域振興局の担当ケースワーカーに相談してください。なお、制度上対象とならない資金種別もあります。

まずは今受けている支援で必要な資金を賄えないかを確認し、それでも苦しい場合は市役所の福祉担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。

借入理由が不明確

借入理由が不明確な場合も、生活福祉資金貸付制度の審査に落ちる可能性があります。

とくに、生活の立て直しにつながらないと判断されると、審査に通る可能性は低くなります

貸付できない世帯の例
○資金の利用目的があいまいであったり、健全性が疑わしい申込の方

たとえば、ギャンブルや遊興費に使う目的での借入れは認められません。

生活福祉資金貸付制度は、経済的に困窮している人の生活を支援し、自立を促すことを目的としているため、借入金の使途は生活の維持や再建に直接結びつくものでなければなりません。

生活福祉資金貸付制度の申請時には、生活費、教育費、介護費などのお金が必要である旨を伝えましょう。

虚偽の申請内容があった

申請内容に虚偽があった場合、当然ながら審査には通りません。

収入や家族構成などを偽って申請することは絶対にやめましょう。虚偽申請は、詐欺罪として法的責任を問われる可能性もあります

虚偽の申請等が確認された場合は、貸付決定の取消・貸付金の一括償還または法的手段を講ずることがあります。

生活福祉資金貸付制度は、経済的に困窮している人々を支援するための制度です。

そのため、申請者の状況を正確に把握する必要があり、虚偽の申請は制度の趣旨に反します。

たとえば、実際には働いているにもかかわらず無職と偽って申請した場合、審査で虚偽が発覚する可能性が高いです。また、収入を過少に申告した場合も同様です。

生活福祉資金貸付制度は、本当に困っている人々を支援するための制度であることを理解し、正しく申請するようにしましょう。

自己破産の手続きをしている

自己破産の手続きをしている場合や、世帯に債務整理を依頼している人がいる場合は、生活福祉資金貸付制度の審査に通らない可能性があります。

生活福祉資金貸付制度の融資実行後に債務整理が行われると免責となってしまい、債務を回収できないためです。

次の場合、貸付が認められません
・世帯の中に自己破産の手続き中の方、債務整理に基づく返済中の方、弁護士等に債務整理を依頼中の方がいる場合

生活福祉資金貸付制度は地域住民から徴収した税金を財源とする、生活困窮者の自立を促すための支援制度です。

もし融資実行後に債務整理が行われると、地域の財源を踏み倒すことになり、制度の趣旨にも反します。

生活福祉資金貸付制度には資金使途として「債務整理をするための資金」が設けられていますが、実際は借りられない可能性が高いでしょう。

債務整理の費用や債務整理後の生活資金を借りたければ、生活サポート基金に相談することをおすすめします。

市役所でお金を借りるには?生活福祉資金貸付制度の申請方法と必要書類

生活福祉資金貸付制度の申請は、最寄りの社会福祉協議会で行います

直接来所することも可能ですが、混雑している場合もあるため、まずは電話で予約を入れましょう。

生活福祉資金貸付制度の利用にあたっては、本人確認書類や住民票、世帯全員の収入状況が分かる書類などが必要です。

申請を済ませたあとは審査が行われ、最短1ヵ月程度でお金が振り込まれます

生活福祉資金貸付制度の申請方法

生活福祉資金貸付制度の申請方法は以下のとおりです。

事前相談からフォローアップまで、すべての手続きが各都道府県と市町村の社会福祉協議会で行われます。

1. 事前相談

まず生活福祉資金貸付制度の申請希望者は、住んでいる市区町村の社会福祉協議会に相談を行います。

ここでは現状の経済状態や必要資金についての具体的な説明が必要です。

2. 申請手続き

申請手続きに必要なものは主に以下の4つです。

世帯全員分の収入証明書
  • 世帯員全員が記載された住民票
  • 実印(未成年者は認印を用意)
  • 使用用途がわかる書類

貸付資金の種類によって異なる場合があるため、あらかじめ確認しておきましょう。

破産歴がある場合は自己破産免責許可決定通知書、または民事再生計画の認可決定書が必要です。必要書類をそろえたうえで、正式な貸付申請を行います。

3. 審査

申込者が提出した書類をもとに、市区町村の社会福祉協議会で申請内容の確認と貸付の審査が行われます。

その後、都道府県の社会福祉協議会にて貸付決定の最終的な判断がされるという流れです。

4. 貸付決定と契約手続き

審査通過後に貸付けが決定され、契約手続きが進められます。

契約にあたって契約書類の提出が必要です。契約後に資金交付となり、貸付金は銀行口座に振り込まれます。

5. 返済とフォローアップ

返済は無理のない計画に基づき実施されます。借受人の返済状況により必要に応じて、フォローアップ支援がされることもあります。

生活福祉資金貸付制度の申請に必要な書類

生活福祉資金貸付制度の申請をする際は、以下の書類が必要となります。

申請時に必要な書類
  • 本人確認書類
  • 世帯全員分の収入証明書
  • 世帯全員が記載されている住民票の写し
  • 印鑑登録証明書
※注釈

利用する資金によっては、上記以外の書類の提出を求められることもあります。

たとえば、住宅の賃貸契約にかかる費用を借りる場合は、それが分かる見積書や請求書などが必要です。

書類の準備に手間取るとお金を借りるまで時間がかかるため、スムーズに申請できるよう、あらかじめ用意しておきましょう。

生活福祉資金貸付制度の審査期間は1~2ヵ月!早めに申請しよう

生活福祉資金貸付制度の審査期間は、最短でも1ヵ月はかかります。

場合によっては、借入れまで2ヵ月程度かかることもあるため急ぎの場合には不向きです。

申請から適否の決定まで1ヶ月から2ヶ月程度が必要となります。

1~2ヵ月も生活できる見込みがない場合は、申請する際にその旨も併せて伝えましょう。

緊急性があると判断された場合は、緊急小口資金を利用できる可能性があります。緊急小口資金なら1~2週間程度で融資を受けられます。

返済期間は最長20年!据置期間もあるため無理なく返済できる

生活福祉資金貸付制度の返済期間は最長20年間と長いうえ、一定期間は据置期間となるため、無理なく返済を進められます。

資金別の返済期間

   
資金の種類   据置期間 返済期間
総合支援資金 生活支援費 最終貸付日から6ヵ月以内 据置期間の経過後10年以内
住宅入居費 6ヵ月以内 据置期間の経過後10年以内
一時生活再建費 6ヵ月以内 据置期間の経過後10年以内
福祉資金 福祉費 6ヵ月以内 据置期間の経過後20年以内
緊急小口資金 2ヵ月以内 据置期間の経過後12ヵ月以内
教育支援資金 教育支援費 卒業後6ヵ月以内 据置期間の経過後20年以内
修学支度費 卒業後6ヵ月以内 据置期間の経過後20年以内
不動産担保型生活資金 不動産担保型生活資金 契約終了後3ヵ月以内 据置期間終了時
要保護世帯向け不動産担保型生活資金 契約終了後3ヵ月以内 据置期間終了時
※注釈

据置期間とは、利息のみ支払う期間のことです。

たとえば、総合支援資金で一時生活再建費を借りたとしましょう。連帯保証人がいる場合、初めの6ヵ月間は返済義務が生じません。

ある程度、生活を立て直してから本格的に返済を進められるので、現時点で返済の目処が立っていない人も安心です。

やむを得ない事情がある場合は返済が免除されることも

以下に該当する場合は、生活福祉資金貸付制度の返済が免除されます。

返済免除となるケース
  • 借受人・世帯主の両方が住民税非課税
  • 返済期間中に生活保護を受給した場合
  • 返済期間中に重度障害となった場合など

該当する人には「免除申請のご案内」が届きます。案内に記載されている手順に沿って、返済免除の手続きをしましょう。

案内が届いていない場合は、最寄りの社会福祉協議会へ問い合わせれば送付してもらえます。

なお、返済免除となるケースに該当しない場合でも、返済期日の延長や返済額の減額などに応じてもらえる可能性があります。一人で悩まず、早急に相談しましょう。

生活福祉資金貸付制度の審査に関するよくある質問(Q&A)

生活福祉資金貸付制度はほかの公的支援との併用はできる?

生活福祉資金貸付制度は、基本的には公的給付やほかの公的融資制度との併用はできません。生活保護を受けている場合も、借りられる資金が限定されるため注意が必要です。

また、ほかの公的な支援制度が利用できる場合は他制度の利用が優先となります。

生活福祉資金貸付制度は借入れ後の返済やサポートはある?

借受人の返済状況により必要に応じて、フォローアップ支援がされることがあります。

生活福祉資金貸付制度の審査で信用情報は確認されますか?

社会福祉協議会は信用情報機関に加盟していないため、生活福祉資金貸付制度の審査で信用情報が確認されることはありません。

しかし、借入れがあることを黙っていても、バレる可能性が高いと考えられます。申請時には借入れ状況について正確に伝える必要があるとともに、収支についても把握されるためです。

信用情報に問題があるからといって審査に通らないわけではありませんが、既存ローンの借入額が多い人は否決となる可能性もあります。

生活福祉資金貸付制度の審査基準や流れを知って申請にそなえよう

本記事では、生活福祉資金貸付制度の審査基準や申請方法を解説しました。

生活福祉資金貸付制度の申請は、審査基準や必要書類を理解して、事前に準備を行うことが大切です。

もし申請が通過しない場合でも、社会福祉協議会を通じて他の支援策について相談することができるので、そちらもあわせて視野に入れてみてください。

本記事では、生活福祉資金貸付制度の審査基準や申請方法を解説しました。

生活福祉資金貸付制度の申請は、審査基準や必要書類を理解して、事前に準備を行うことが大切です。

もし申請が通過しない場合でも、社会福祉協議会を通じて他の支援策について相談することができるので、そちらもあわせて視野に入れてみてください。