アメリカの株価指数のひとつに「S&P500」があります。このS&P500とは一体何を示す指数なのか、その特徴とメリット・デメリットに加えて、これまでのチャートの動きと今後の動向予測も解説していきます。
また、S&P500に連動した商品に投資をするときにおすすめ証券会社も2つピックアップして紹介しています。
S&P500の特徴
- 初心者でも少額から始めやすい投資として活用できる。
- 今後、中期的に上昇が考えられる。
- 国内の証券会社で購入できる。
S&P500の基本情報
S&P500はアメリカの株価指数ですが、どのような特徴を持つのかを説明します。
S&P500はアメリカ株式指数の1つ
S&P500はアメリカの株価指数のうちの1つです。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P500)社が1日に1回、その数値を算出し公表していることにより、この名が付いています。
S&P500は500社の銘柄から構成されますが、アメリカの株式市場であるニューヨーク証券取引所とナスダックに上場している企業から選定されます。大型優良企業が多いニューヨーク証券取引所と新興企業が多いナスダックの両方をカバーすることで、アメリカの株式市場の状態を偏りなく判断できるのが特徴です。
S&P500の構成銘柄
S&P500に採用される銘柄の条件には時価総額が53億ドル以上、四半期連続で黒字利益を確保、不動株は発行済株式総数の50%以上といったものがあります。銘柄の入れ替えは独自委員会が年に4回検討します。
S&P500と連動を目指す投資信託商品「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の構成銘柄で、時価総額上位10銘柄は次のとおりです。
| 順位 | 銘柄名 | 組入比率 |
|---|---|---|
| 1 | エヌビディア | 8.40% |
| 2 | アップル | 6.80% |
| 3 | マイクロソフト | 6.60% |
| 4 | アマゾン・ドット・コム | 3.70% |
| 5 | ブロードコム | 3.00% |
| 6 | アルファベットA | 2.80% |
| 7 | メタ・プラットフォームズ | 2.40% |
| 8 | アルファベットC | 2.20% |
| 9 | テスラ | 2.10% |
| 10 | バークシャー・ハサウェイ | 1.50% |
S&P500の株価チャート
S&P500の株価チャートは、この数年どのような動きとなっているのでしょうか。
2020年以降の株価チャート
2020年以降はS&P500のチャートは大きく上昇しています。ただ2020年2月19日から3月23日の間は、新型コロナウィルスの影響を受けて米国株が下落したことによりS&P500は約34%の下落となりました。1カ月で34%の下落率は1984年のブラックマンデーを上回るものです。
その後は大きく値を戻し、2020年末にかけて上昇を続けました。2021年は企業業績が好調なことと、財政政策を積極的に行うことでさらに上昇しています。
過去10年の株価チャート
過去10年のS&P500株価チャートは、押し目を伴いながらも上昇を続けました。2011年には欧州債務危機があり、2015年には中国株が暴落したチャイナショックがありましたが、S&P500の下落率はいずれも20%未満に収まっています。
2018年10月から12月にかけては米中貿易摩擦の影響で20%を超える下落率となりましたが、その後は上昇に転じて2019年には高値を更新しています。2009年12月末から2019年12月末は年率11.3%のペースで上昇しました。
S&P500のメリット
S&P500の意味を知ったところで、実際に投資をするメリット4つをみていきましょう。
S&P500のメリット
- 投資初心者でもハードルが低い
- 運用コストが低い
- 投資にかかる時間や手間が少ない
- 分散投資になる
投資初心者でもハードルが低い
S&P500に連動した投資信託やETF(上場投資信託)で資産運用できるため、投資初心者でもハードルが低いのがメリットです。
投資信託やETFは投資の専門家が運用する投資商品なので、投資に詳しくない初心者でも簡単に資産運用ができます。購入することはもちろん、売却するのも自由です。自分の予算に応じて購入できるので、投資資金が少ない投資初心者でも手軽に購入できます。
投資信託やETFは「NISA」でも購入できるので、税金面でも有利に運用できるメリットがあります。
運用コストが低い
S&P500に連動する投資信託やETFでの投資は、運用コストが低いのもメリットです。投資信託商品によって手数料である信託報酬は異なりますが、安いものでは税込で0.1%程度からとなっています。投資信託よりもETFのほうが信託報酬は安くなる傾向があります。
またS&P500のような株価指数に連動する「インデックス型投資信託」は、一般的な「アクティブ型投資信託」よりも手数料である信託報酬が低く設定されます。そのためS&P500に連動する投資信託は、運用コストが低いというわけです。
投資にかかる時間や手間が少ない
S&P500は株価指数なので直接投資することはありません。間接的に連動する投資信託やETFを購入して投資するので、時間や手間が少ないのがメリットです。
これが個別株式に投資するとなれば、まずは銘柄を探して売買しなければなりません。銘柄選びの時間や売買注文を入れる手間がかかります。S&P500であれば投資信託やETFを選ぶだけなので、忙しい会社員でも手軽に運用できます。
分散投資になる
S&P500に連動する投資信託やETFを購入することで、分散投資ができるのもメリットです。
S&P500に連動するといっても、そのスタイルはさまざまです。採用銘柄500社から指数連動するように株式を選んでいるもの、あるいは株価指数に連動するETFで運用するものなどがあります。あるいはS&P500との連動率が高いものや、さらに大きな変動率となる商品もあります。
このように同じS&P500に連動した投資信託でも運用スタイルが異なるものを購入すれば、リスク分散ができることもメリットと言えます。
また毎月自動的に一定額の投資信託を購入できるものもあるので、時間の分散をすることも可能です。
リスクを減らす方法の一つに分散投資があります。分散投資には、「資産・銘柄」の分散や「地域の分散」などのほか、投資する時間(時期)をずらす「時間(時期)分散」という考え方があります。
引用元:金融庁|分散投資
S&P500のデメリット
S&P500に投資することで、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
S&P500のデメリット
- 自動積立投資ができない場合もある
- 分配金の自動再投資ができない
- 新NISAでの投資
自動積立投資ができない場合もある
S&P500の投資商品はすべてが自動積立投資に対応しているわけではない点がデメリットとなります。投資信託は自動積立ができますが、ETFはできない(一部商品を除く)ためです。
投資信託の自動積立投資とは、毎月決まった金額分を購入する便利なサービスです。価格が高い時に少なく、安い時に多く購入できる利点があります。また海外株式で構成されるS&P500への投資は為替変動の影響を受けますが、その変動リスクも分散されます。
しかしS&P500に連動する投資商品のうち、ETFは金額を指定して購入することができません。そのため自動積立投資ができないのがデメリットといえます。
分配金の自動再投資ができない
S&P500に連動する投資商品のうち、ETFは分配金を自動再投資できません。投資信託であれば、自動再投資できるものとできないもの両方あります。
分配金の自動再投資とは、運用する中で得られる分配金を使って自動的に追加購入することです。これにより分配金が増加するため、複利効果が生まれます。
S&P500のETFではこの自動での複利効果が得られず、分配金をある程度貯めてから、手動で追加購入しなければなりません。
新NISAでの投資
2024年1月から始まった新NISAでは、S&P500に連動する投資商品への投資がより便利になりました。新NISAではつみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)を併用でき、非課税保有限度額は1,800万円まで拡大されています。
つみたて投資枠では「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」などの投資信託が購入でき、成長投資枠ではETFも含めてより幅広い商品に投資できます。
国内ネット証券会社の大手であるマネックス証券では「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を取り扱っています。米国株の取扱いが多いので、アメリカ株に興味がある人にもおすすめです。
S&P500の今後の動向予測
S&P500の今後の動向予測としては、短期的に調整局面があるかもしれませんが、中長期的には上昇基調が継続すると考えられます。
米国経済は堅調な雇用環境と企業業績に支えられており、特にAI関連企業の成長が株価を牽引しています。一方で、金利動向や地政学的リスクには注意が必要です。
長期投資の観点からは、S&P500は米国経済の成長を反映する代表的な指数として、引き続き有力な投資先といえるでしょう。
S&P500に連動したおすすめのETF
S&P500に投資できるおすすめのETFを2つご紹介します。
ETFは投資信託の一種ですが、一般的な投資信託とは違って取引所に上場しているため、個別の株式と同じように、証券会社を通じて取引所で売買することができるという点が最大の特徴です。
引用元:ETFとは?ETF(上場投資信託)のしくみやメリット・デメリット、投資信託との違いを解説
「投資信託(ファンド)」とは、一言でいえば「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」です。
引用元:そもそも投資信託とは?
VOO
VOOはバンガード社が提供しているS&P500に連動するETFです。S&P500を構成するすべての銘柄に投資し、保有数のバランスは四半期ごとに時価総額加重平均を用いて再計算しています。
運用成績はS&P500の変動に応じて高いパフォーマンスとなっています。取引コストも経費率がわずか0.03%と低いのが特徴です。
ただし購入単位は1株となるため、価格上昇に伴い購入資金がそれなりに必要となる点に注意しましょう。
またアメリカの証券取引所に上場しているETFなので、購入の際には米ドルでの取引となり為替手数料もかかります。
SPXL
正式名称は「Direxion Daily S&P500 500 Bull 3X Shares」となるアメリカの証券取引所に上場しているS&P500連動型のETFです。大きな特徴は、S&P500の3倍の日次投資効果を目指すように構成銘柄が組まれていることです。
1株単位で購入でき、比較的少額から投資を始めることができます。
S&P500が上昇すれば大きな利益が期待できますが、逆に値下がりすると大きな損失となる可能性があります。リスクも大きい点には注意しましょう。
まとめ
S&P500はアメリカの好調な株式市場に投資できる魅力ある株価指数であることがわかります。今後の見通しはさらなる上昇が期待され、10年後も20年後も上昇し続けることが期待できます。CFD取引や投資信託などいろんな投資方法があるので、それらに適した証券会社を利用して投資してみてはいかがでしょうか。
S&P500投資に関するよくある質問
S&P500とは何ですか?
S&P500はアメリカの株価指数のうちの1つです。500社の銘柄から構成されますが、アメリカの株式市場であるニューヨーク証券取引所とナスダックに上場している企業から選定されます
S&P500の特徴は何ですか?
S&P500に連動した投資信託やETF(上場投資信託)で資産運用できるため、投資初心者でもハードルが低いのが特徴です。
S&P500のメリットは何ですか?
S&P500であれば投資信託やETFを選ぶだけなので、手間が少ないです。また、運用コストが低く、投資信託やETFは「NISA」でも購入できるので、税金面でも有利に運用できるメリットがあります。
S&P500のデメリットは何ですか?
S&P500に連動する投資商品のうち、ETFは分配金を自動再投資できません。投資信託であれば、自動再投資できるものとできないもの両方あります。つまり、S&P500のETFではこの自動での複利効果が得られず、分配金をある程度貯めてから、手動で追加購入しなければなりません。
S&P500の注意点は何ですか?
S&P500に連動するETFでは分配金の自動再投資ができないため、複利効果を得るには手動で追加購入する必要があります。