米国株には、「株価が長期的に上昇している」「配当が手厚い」「1株から購入できる」などのメリットがあります。
しかし「米国株投資を始めたいけど、どこか不安……」という人も多いのではないでしょうか。この記事では、米国株投資にNISA枠を使うべき理由、NISAで米国株を購入するメリット、米国株投資する際の注意点などについて解説します。
米国株投資にNISA枠を使うべき理由とは?
日本でも米国株投資の人気が高まっており、個別株投資にNISA枠を利用する人も増えています。ここでは、米国株投資にNISA枠を利用する理由について確認していきましょう。
売却益や配当益が課税の対象外
通常、株の売買によって得た利益には「譲渡益課税」、配当金には「配当課税」がかかります。
NISA枠を利用しない場合、取引で利益が出ると20.315%が税金として課税されて徴収されます。しかしNISAの非課税枠を利用すれば、その分の税金が0円になります。
120万円の枠を最大活用できる
米国株は分散投資がしやすいため、最大120万円と決まっているNISAの非課税枠を最大限活用できます。
一般NISAに関して
少額から投資が可能で、5年間、NISA口座で年間120万円の範囲内で購入した金融商品から得た利益(配当金、譲渡益等)に税金がかかりません。
NISAの基礎知識 : 金融庁
通常日本の株式は100株単位での取引なので、例えば株価が8,000円程度のソニーの株を買おうとすると最低でも約80万円必要になります。
しかし米国株の場合1株から取引が可能なので、数千円あれば投資を始められる上、1株ずつ色々な株を買うという投資方法もできるのです。
証券会社によっては手数料が無料に
SBI証券のNISA口座や楽天証券のNISA口座など、主要ネット証券のNISA口座は国内株式の取引手数料が無料になっています。
同じように一部の証券会社では、NISA口座での米国株個別銘柄や米国ETFの手数料が無料、あるいは手数料分のキャッシュバックを行っているので、通常の口座よりも手数料がお得になっています。
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NISA口座で米国株投資に向いている証券会社
NISA口座での米国株取引は、どの証券会社でもできるわけではありません。
NISA口座で米国株投資を扱っている証券会社の中で、おすすめできる証券会社は以下の通りです。
マネックス証券のNISA口座
マネックス証券は非NISA口座でも米国株投資で人気ネット証券ですが、NISA口座での米国株投資では特におすすめの証券会社です。
マネックス証券は米国株の取扱銘柄数が多く、米国ETFの取扱いでも300本を超えています。
通常口座では米国株の売買には0.495%の取引手数料がかかりますが、NISA口座では米国株式全ての買付手数料が全額キャッシュバックされるので、実質無料になっています。
NISA口座における米国株・中国株の手数料・費用は、課税口座と同じ扱いとなります。
ただし、買付時の国内取引手数料(税込)については、恒久的に全額キャッシュバックいたします。
NISA 手数料と費用 | 一般NISA | NISA(ニーサ) | マネックス証券
豊富な銘柄にお得な手数料で投資したいなら、マネックス証券のNISA口座がおすすめです。
SBI証券のNISA口座
SBI証券のNISA口座を一言で表現すると、バランスよく優秀なNISA口座です。
国内株式でも取引手数料無料や単元未満株取引(1株単位の取引)といった強みを持っていますが、米国株取引でも手数料の安さと取扱銘柄数の多さで人気を集めています。
加えて、米国株専用のアプリがあるため、銘柄探しや発注、口座管理までをアプリひとつで完結できることも人気のある特徴のひとつです。
企業情報や決算速報を日本語で確認できるため、投資初心者だけでなく経験者にとっても便利なアプリです。
米国株個別銘柄の取引手数料は約定金額の0.45%で、上限手数料も20ドルに抑えられています。
また、米国、中国、韓国、日本の4ヶ国の全ETFの買付手数料が無料なので、NISA口座でETF投資をしたいならSBI証券を選ぶのがおすすめでしょう。
SBI証券米国株アプリの口コミ
概ね使いやすいと感じています。リアルタイムで米国株等を取引出来るのは大変便利です。
ただ、チャートは専用画面にして、縦軸横軸ともに縮小拡大できるようにして欲しいです。
SBIをメイン証券として利用しているものとしては米国版アプリのリリースはとても嬉しく思います!
楽天証券のNISA口座
楽天証券の米国株投資での強みは、米国ETFの取扱数です。
個別銘柄数ではマネックス証券やSBI証券に一歩及びませんが、米国ETFの取扱銘柄数では310銘柄と国内証券会社で最多となっています。
また楽天証券のNISA口座では、個別銘柄での手数料のキャッシュバックは行なっていませんが、米国ETFの買付手数料の全額キャッシュバックを行なっています。
NISA口座内で海外ETFを取引されたお客様の買付手数料を全額キャッシュバックいたします。
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楽天証券のNISA口座は、米国ETF投資向きと言えるでしょう。
NISAで米国株を購入するメリット
NISAで米国株を購入するなら、まずはメリットについて知っておく必要があります。日本株と比べて、米国株への投資でどのようなメリットが得られるのかを解説します。
米国株は日本株より株価上昇が期待できる
1989年~2019年の30年間でNYダウ平均と日経平均株価を比較すると、日経平均は低迷期間が長く、長期的にもほぼ横ばいの値動きをしています。一方でダウ平均は、上昇と下降を繰り返してはいるものの、結果的には大きく値を上げています。
過去30年間の結果を見ても、米国を代表する銘柄で構成されたNYダウ平均は、日経平均より安定して株価が上昇しており、今後も期待できると言えるでしょう。
米国株は、日本株よりも配当が大きい
日本株に比べて、米国株の配当は大きい傾向にあります。その理由は、多くの米国企業が株主への配当を重要視しているからです。
また配当回数が多いことも要因の一つと言えます。年2回の配当が主流の日本とは違い、米国の多くの上場企業は年4回の配当施策を取っています。
総体的にみても、日本株よりも米国株のほうが多くの配当を得られる可能性が高いのです。
単元株制度がなく1株から購入可能
米国株式市場には、日本とは違って単元株制度がありません。単元株制度とは、会社ごとに定めた一定の株数を持っていないと、株主総会での議決権行使や株式売買ができない制度のことです。
1単元100株と定めた会社であれば、最低でも100株単位で購入する必要があります。しかし、単元株制度のない米国株であれば、アマゾン・ドットコムでも1株単位で購入できるのです。
NISAで米国株を購入するデメリット
米国株をNISAで購入する場合には、メリットばかりではなく以下のような5つのデメリットがあります。
為替リスクがある
NISAに限ったことではありませんが、米国株へ投資する場合には、為替リスクについて注意しなければなりません。為替相場は、常に変動しており日本円対米ドルのレートが変動すれば当然投資している米国株にも影響を与えることになるでしょう。例えば同じ1株でも1米ドルが100円時と110円時では価値が変わってしまいます。
売却のタイミングによっては、大きな損失が発生する可能性もあり、為替の動向に留意しながら判断していかなければなりません。
値幅制限がない
日本株の売買では、1日の売買における値動きを一定の幅に抑制する「値幅制限」が採用されています。しかし米国株式には、この制限が設定されていません。そのため株価が予想外に高騰すれば莫大な利益獲得につながる一方で大暴落のリスクもあるのです。ただし、条件が整えばサーキットブレーカーが発動することがあります。
情報を入手しにくい
米国株式は、国外企業の株式のため日本株と比較すると情報を入手しにくい点もデメリットとなります。例えば日本国内であれば日常的に企業に関するうわさやちょっとした話題がニュースなどから耳に入る可能性が高いでしょう。しかし外国の企業については、大企業の動向をのぞくとよほど海外の経済通でもなければ取引前後の様子を克明に知ることが難しくなります。情報の入手方法については、個人での工夫が必要となってきます。
損益通算や繰越控除ができない
こちらも米国株投資に限りませんがNISA口座で生じた損失は税務上の損失とは判断されないため、損益通算や繰越控除の対象外となります。そのため米国株式で大きな損失が発生してもNISA口座内で損益通算を行ったり確定申告で他の特定口座との損益通算をしたりすることはできません。同様に確定申告における「3年間の繰越控除」も適用されないため、一般的な損失とは分けて考える必要があります。
外国税額控除が利用できない
外国株の配当金に対し二重課税防止の策として海外で税金を納付した部分については、一定の範囲で控除がなされます。これを「外国税額控除」と呼びます。しかしNISAについては、非課税とされているため、「外国税額控除」の適用外です。国内で非課税とされている配当所得については、確定申告の対象となりません。NISA口座の米国株についても外国税額控除の適用は受けられないので注意が必要でしょう。
NISAで米国株を購入するまでの3ステップ
米国株への投資で得た収益は、NISAを利用することで節税できることが分かりました。米国株取引ができる主要ネット証券の口座を開設していることを前提に、NISAで米国株を購入するまでの3ステップについて解説します。
1. まずは外国株式取引口座の開設
米国株の購入にNISAを利用する場合は、まず外国株式取引口座の開設が必要です。まだ開設していない場合、証券会社のサイトから外国株式取引口座の開設手続きを進めましょう。
2. 米国株を買い付ける資金を準備
次に米国株を買い付けるための資金を準備しましょう。証券会社によっては、証券総合口座にある資金をそのまま利用できる場合もあります。
外国株取引口座へ振り替える必要がある証券会社もあるので、利用したい証券会社の買い付け方法を事前に確認しておきましょう。
3. 実際に米国株を買い付け注文する
そして実際にNISA口座で米国株を買い付け注文しましょう。証券会社ごとの米国株取引サイトで、NISA口座区分を選んで取引を行います。
画面の推移や必要となる入力事項が証券会社によって異なるため、注意して買い付け注文を出しましょう。
NISAで投資するべき外国株の個別銘柄
NISAで投資するにふさわしい外国株の個別銘柄には、どのようなものがあるのでしょうか。外国株の選択基準としては「成長産業の分野である」「利幅の大きいビジネスモデルを展開」「財務力が強固」などが挙げられるでしょう。
この3つの基準をもとにすると、以下の5社が代表的な銘柄となります。
NISAで投資するべき外国株の個別銘柄
- フェイスブック
- マイクロソフト
- アルファベット
- ウォルト・ディズニー
- アプライド・マテリアルズ
これらは一部であり、実際は自分の中で何らかの判断基準を持つ必要があるでしょう。証券会社ごとに取り扱い銘柄や売買手数料、為替手数料、注文受付時間などに違いがあります。
自分に合う個別銘柄を見つけて取引をしてみてください。
NISAを利用した米国株投資についてよくある質問
ここでは、NISAを利用した米国株投資についてよく聞かれる質問をまとめています。投資を始める前に確認しておきましょう。
- 米国株投資にNISA枠を使うべき理由は?
- NISAを利用することで120万円までの投資分についての売却益や配当益が非課税となり、節税効果が見込めます。そのため、米国株投資を考えている方にNISAの利用がおすすめです。また、一部の証券会社では取引手数料を無料にしている場合があり、通常の口座を利用するよりもお得に取引することが可能です。
- 米国株投資におすすめの証券会社は?
- マネックス証券は米国株取扱数が業界トップクラスであり、豊富な銘柄数の中から投資先を選ぶことができるのでおすすめです。また、NISA口座を利用して米国株投資を行う場合、マネックス証券では買付手数料が全額キャッシュバックされる点も魅力です。
- 一般NISAから積立NISAへの変更は可能か?
- 変更可能です。取引中の金融機関へ変更届を提出することで変更できます。
ただし、同じ年に一般NISAと積立NISAを併用することは不可能であるため、1度切り替えた場合は翌年まで切り替えができません。
- 年内に使用しなかった投資枠を、翌年以降に繰り越し可能か?
- 翌年以降に繰り越すことはできません。そのため余裕資金がある場合は、1年間に与えられた投資枠を使い切ることをお勧めします。
- NISAで得た損失を他口座の損益と通算可能か?
- NISAで生じた損失は、他口座と損益通算できません。
一般社団法人日本中小企業DC支援協会 代表理事 末次祐治
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大学卒業後、旅行会社に就職後外資系生命保険会社に14年従事。2014年FPとして独立し、金融に関する情報を発信。記事の執筆・監修も手掛ける。また中小企業において金融リテラシーの向上のために企業年金管理士として確定拠出年金の導入や研修を行う。 ■保有資格
・ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定AFP)
・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
・証券外務員一種(日本証券業協会)
・企業年金管理士®(確定拠出年金)
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