JFRカード株式会社
(画像:NET MONEY編集部)
大丸松坂屋カード発行JFRカード株式会社
  • 大丸・松坂屋やPARCO、GINZA6などを有する、流通グループ「J.フロント リテイリンググループ」に属する決済・金融事業会社

(取材・構成・編集=藤倉理子、川島彩子)

大丸松坂屋カードとは

年会費 2,200円(税込)
カードブランド VISA/Mastercard
非接触決済 VISAのタッチ決済
限度額 審査によって異なる
ETC年会費 無料
付帯保険 国内旅行保険・海外旅行保険
ポイント 大丸・松坂屋のポイント/QIRAポイント
ポイント還元 大丸・松坂屋での利用
大丸・松坂屋のポイント 100円につき5ポイント
QIRAポイント 200円につき1ポイント

その他お店での利用
QIRAポイント 200円につき1ポイント
ゴールドカードのポイント還元 大丸・松坂屋での利用
大丸・松坂屋のポイント 100円につき5ポイント
QIRAポイント 100円につき1ポイント

その他お店での利用
QIRAポイント 100円につき1ポイント

大丸松坂屋カードとは、JFRカード株式会社が発行するクレジットカード。大丸・松坂屋での買い物はもちろん、さまざまなシーンで使うことができます。

大丸松坂屋カードの特徴

  • 大丸・松坂屋のポイントが貯まる 5%
  • QIRA[キラ]ポイントが貯まる(一般0.5%、ゴールド1%)
  • 百貨店でお買い物すれば両方貯まる

QIRAポイントの移行・交換がユニーク

  • Tポイント、楽天ポイント、WAONポイント、Amazonギフト券に移行可能
  • バリエーション豊富なモノコト(=特別な体験)、商品券に交換可能
  • 特別な体験のラインナップは追加予定

「変身」し続けるJFRカード株式会社

1988年、株式会社大丸クレジットサービスを設立してから松坂屋との統合、親会社J.フロント リテイリンググループの誕生、社名変更など、変化を遂げてこられた歴史を持つJFRカード株式会社ですが、さまざまな変遷があったからこそ作り上げられた会社であるということは、JFRカード株式会社自身も強みにしている部分だと思います。前身である大丸クレジットサービス時代からさまざまな歩みの中で「変身」してきた御社が、変わり続けられるのはなぜでしょうか?

外的理由、内的理由があると思いますが、、外的理由としては、親会社の変化があげられます。最初は大丸百貨店の子会社として誕生した会社ですが、2007年に松坂屋百貨店と合併し、大丸・松坂屋となり、カード会社であった当社も2つのカードを扱うようになったというのがまず大きな変化でした。

JFRカード株式会社の主な変遷

  • 1988年 株式会社大丸クレジットサービスとして設立
  • 2007年 親会社の大丸が松坂屋と統合し、J.フロント リテイリングが誕生
  • 2008年 JFRカード株式会社へ社名変更、マツザカヤカード発行開始

内的理由としては、2021年のカードのリニューアルです。デザインを変更したり、新しいポイント制度を導入したり、デジタルに比重をおいていったりと、サービス自体を変えていきました。

なぜできるかというと、企業、人もそうですが、環境が変わっていくと、変わらなければならないんです。特に、百貨店(大丸・松坂屋)やショッピングセンター(PARCOやGINZA6など)は非常に厳しい時代を迎えています。コロナも然り、ウクライナ侵攻も然り、外的環境というのはどんどん変わっていきます。社員も、僕自身も「自分たちも変わっていかないと生き残れない」「同じ位置にいると成長が止まってしまう」という意識を強くもっているので、変わることが当たり前の社風はあるように感じます。

JFRカード取材
(画像:NET MONEY編集部)

鉤括弧付きで「変身」という言葉を使われていますが、深い意味はあるのでしょうか?

ホームページというのは、外に対してはもちろんですが、社員に対してのメッセージでもあるので、変わっていかなければならないということを伝えるために、変身という強い言葉を使っています。

会社の転換と二之部社長

二之部守
二之部 守
JFRカード株式会社代表取締役社長
1961年生まれ。東京大学文学部卒業、ニューヨーク大学経営大学院MBA修士課程修了ファイナンス専攻、86年アメリカン・エキスプレス・インターナショナル日本支社入社。2000年11月同社グローバル・ネットワーク・サービス 日本/韓国地区副社長。05年8月同社トラベラーズチェック・プリペイドサービス副社長などの要職を経て、11年9月、ビザ・ワールドワイド・ジャパンのビジネスデベロップメントⅡのヘッドに就任。15年10月ビジネス・アドバイザリー・サービス代表、17年2月Origamiアドバイザーを経て、18年3月よりJFRカード株式会社代表取締役社長(現任)

数々のクレジットカード事業をご経験されてきた金融領域のプロフェッショナル二之部社長が、外部からJFRカードのトップになったことは、グループとして金融事業への期待の表れだと思います。二之部社長が代表取締役社長に就任されてJFRカードが変わったことはございますか? またそれはなぜでしょうか?

そうですね、僕は2018年の3月に外から入りましたが、今までこのJFRカードという会社は、百貨店出身の経営者がずっと経営をしてきました。グループ自体が厳しい状況の中で、次の成長のレベルにもっていくためには、やはり新しい人材というのが非常に重要でした。僕以外にもたくさんの新しい人を採用しました。これがまず大きな変化です。

JFRカード社員数
入社3年未満の従業員数:80名(出向者含む275名中。2022年7月時点) 引用元:JFRカード株式会社ファクトシート

ひとりじゃ何もできないので、仲間をつくっていくこと。それから外から採用するだけではなく、内部に対しても「変わっていかないといけない」「新しいことやっていこう」あるいは「過去のやり方を変えていこう」というメッセージを発信したからこそ、変わってこれたと思います。

2021年1月のカードの大幅リニューアルがひとまず大きな功績ではないかと存じます。2018年の就任から3年弱ですが、どのように事業を進められたのでしょうか?

就任する前から絵を書いていたわけではなく、中に入ってから何がこの会社の強みで、なにが課題か、グループがどういう方向に行こうとしているのかということをしっかり理解した上で、最初の3か月くらいは構想と戦略をつくりました。アメリカの大統領なんかも100日プランと言いまして、就任後100日くらいで、自分のチームをつくったり内部の状況を考えて戦略を立てたりするんですね。

僕もまずは、グループの決済・金融事業会社としての戦略を描いて、認識を得て、実行に移していったということです。

就任して3年でカードの大幅リニューアルに至ったのですね。

はい。途中コロナという非常事態により、停滞した時期もありましたが、なんとかたどり着くことができました。就任の2年経った2020年の春にコロナ禍が始まったわけですが、百貨店として初めてお店を閉めたという前代未聞の状況でした。

百貨店ビジネスが母体になっていますので、一時、百貨店の売上がゼロになったというのは非常にネガティブな影響でした。今後どうなっていくか2年前なんてわからなかったですよね。当社も、このままカードのリニューアル事業を進めていいのか、年会費を上げていいのかという疑問もありました。

それから、グループ全体、当社もそうですが、財務的にも非常に厳しい状況でしたので、もう一度組み立て直すという意味では大変でした。

しかし、いい意味では少し時間的余裕ができたということもあるかもしれません。一回立ち止まってプランを準備出来たということは一つ良かった点でもあります。

クレジット発行事業の役割

JFRカード株式会社,二之部守
(画像:NET MONEY編集部)

J.フロント リテイリンググループ内で、JFRカード株式会社のカード発行事業が果たす役割とはなんでしょうか?

グループが持つ大型商業施設に来ていただいたお客様に支払い手段を提供するというのが第一の役割です。

さらに、2021年に導入したQIRA [キラ] ポイントで、グループ外のお店でもポイントが貯まるようになり、カードの幅が広がりました。大丸松坂屋カードは、大丸・松坂屋のポイントとQIRAポイントのふたつのポイントがありますが、大丸・松坂屋でお使いいただければ、どちらも貯まってお得です。また貯まったQIRAポイントはさまざまなモノコトに交換したり、他のポイントに移行したりできるのですが、大丸・松坂屋のポイントに移行するのが一番お得な方法になります。お客様にグループのお店に帰って来ていただけるということもグループとしてカード発行のメリットとなります。

JFRカードがかかげるカード発行事業にとどまらないビジネスモデルとはなんでしょうか?

支払い手段の提供というだけでなく、「日々のくらし」というミッションのひとつを、地域に根ざして果たしていきたいと考えています。たとえば、札幌、上野、東京、銀座、名古屋、京都、大阪心斎橋、神戸、福岡にグループのお店がありますが、その地域の地元のお店を加盟店にし、そこでたくさんポイントが貯まりお得に使えるという構図を作りたいんです。QIRAポイントを百貨店やPARCOのポイントと別に導入したのは、そういうことなんですよ。

というのも、百貨店もPARCOも斜陽産業ですよね。E-コマースにどんどん商業が移っていくと、相対的な売上シェアは落ちていきますので、それを補完するために、百貨店の域を飛び越える必要があるんです。リアルな商業施設をもっているというのは大きな強みですから、地域のお店と連携していくことが、これからの切り札になると考えています。

百貨店というのは、歴史がありますから、地域によっては、何百年というお付き合いがある地元のお店や商店街があります。そういったリアルの繋がりを生かせるということが当社の強みです。今更オンラインショッピングで勝負しても強みがないですから。「日々のくらし」というミッションにリンクし、さらに会社の強みを生かせるキーワードが「地域」なのです。

百貨店のビジネスや売り上げに対し、QIRAポイントはどう関係するのでしょうか?

JFRカード株式会社取材
(画像:NET MONEY編集部)

ポイントが2倍3倍お得になる、特別な体験に交換できるとなれば、貯めるのも使うのもお得ということで、カード会員に支持していただけますので、より多くカードを使ってもらうことで利益になります。

さらに、ポイントがお得に貯まるお店を地域に増やせば、加盟店に送客できるというビジネス的な位置付けもあります。

大丸松坂屋カードのユニークな部分であるQIRAポイントはどのような可能性を秘めているのでしょうか?

お金に換えられない特別な体験で差別化を図ることと、ポイントキャンペーンを地域のお店にも適用して加盟店を増やすことが挙げられます。

ポイントで変換できる特別な体験のラインナップをもっと増やして、魅力的なものにしていきたいと考えています。お金に換えられない体験が他社との差別化につながると思っています。

現在はまだ種類が少なく、抽選という形になってしまったのですが、例えば、サッカー日本代表の堂安律選手に夢の宣誓書にサインをしてもらえるキッズイベント「ROAD TO Dream」~堂安選手と夢を叶えるワークショップ~や、プロゴフファーと一緒にプロアマ大会でラウンドできるジャパンゴルフツアートーナメント「For The Players By The Players」への協賛などを企画しました。

今後は、まだ構想段階ではありますが、グループのお店と連携して「一般のお客様が行けない催事にご招待」「展覧会のプレビューにご招待」「パルコ劇場の楽屋にご招待」など、プライスレスな体験をしていただきたいと思います。

また、もうひとつやりたいこととして、ポイントを2倍3倍のお得なクーポンに交換できるキャンペーンを地域のお店に拡大したいということがあります。先述しましたが、地域に目を向けることがこれからのチャンスだと思っています。

御社のビジョンである”くらしの「あたらしい幸せ」を支える決済・金融サービスにおけるベストパートナーを目指す”の、「あたらしい」とは特別な体験やお得なお買い物で得られる幸せということなのですね。

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「日々のくらし」についてお話しましが、もう一つ「将来のくらし」というミッションがあります。金融商品とか保険は、お客様の人生の不安を解決するものだと考えています。相談を受けて解決するというところまでは至っていませんが、、保険やカードローン、家族信託サービスなども扱っています。すべてお客様の「将来のくらし」を支えるための手段にすぎません。

「あたらしい幸せ」とは、QIRAポイントでできることと、人生の相談をするというお客様が気づいていない解決方法を提供することで、果たしていけるのではないかと思っています。

今回の取材で、大丸松坂屋カードは、「百貨店で日常的に買い物なんて住む世界がちがう」と思っていた私のイメージとは裏腹に、QIRAポイントはどんなお買い物でも貯まるので、非常にお得なカードであることがわかりました。日常使いの中に「特別な体験」「地域のリアル店舗を大切にする」など、やはり気品さも感じられ、百貨店やショッピングセンターを有するJ.フロント リテイリンググループならではのクレジットカードである点もとても印象に残りました。

大丸・松坂屋にお買い物にいった際は、ぜひ大丸松坂屋カードを作ってみてください。Webからも申込可能です。