仮想通貨投資を始めようとしている人の中には、「価格が下落しないか不安」や「下落したタイミングで買い増したい」という人も多いのではないでしょうか。
本記事では、ビットコイン価格が下落する理由や、下落した歴史について詳しく解説します。また、価格下落に対する備え方についても紹介します。
ビットコイン価格が下落するタイミングを予測したり、今後の下落に対して損失リスクを抑えるために、参考にしてください。
2024年8月最新:仮想通貨/ビットコインが下落した理由とは?
2024年8月にビットコインをはじめとする仮想通貨の価格が暴落しました。ビットコインの価格は7/29から8/5までの間に約2万1,000ドル急落し、一時4万9,000ドル付近の値を付けました。
今回の暴落の原因と今後の価格動向について解説します。
暴落した理由:日本銀行の利上げが下落の発端
今回ビットコインが暴落したのは、日本銀行による利上げの発表が発端です。利上げの発表を受け、以下のような流れでビットコインを含む仮想通貨価格の下落が発生しました。
- 日本銀行が政策金利を0.1%程度から0.25%程度に引き上げを決定
- 円を低金利で借りて高利回りの資産に投資していた人が資産を売却
- ビットコインの価格が暴落
7月30日、31日に開催された金融政策決定会合において、日本銀行は政策金利を0.1%程度から0.25%程度まで引き上げることを決定しました。
この決定を受け、低金利の円を借り入れて高利回りの金融資産に投資していた投資家(円キャリートレーダー)たちが、円高による返済額の増加を懸念。ビットコインを含む保有資産を売却し、円の返済に充てる動きが加速しました。
その結果、ビットコイン市場では大量の売り注文が殺到し、価格が急落。その後パニック売りが発生したことで、暴落に拍車がかかる状況となったのです。
暴落後の予測:夏枯れ相場後の大統領選が鍵となるか
暴落したビットコインの価格はやや持ち直したものの、8月と9月の夏枯れ相場の影響により停滞しています。今後の価格は、11月の米大統領選の結果に左右される可能性があります。
夏枯れ相場とは?
引用:東海東京証券|夏枯れ相場
夏期の証券市場では、値動きが小幅推移となる期間が存在します。これを夏枯れ相場と言い、夏枯れ相場中の最安値を「夏底」とも言います。夏期は海外では夏季休暇、日本ではお盆休みや夏休みと時期が重なることから、市場参加者が減少することで取引量も減ってしまう事に由来した言葉です。
2024年3月にビットコイン価格はドル建てで最高値を更新し、その後はレンジ相場(価格が一定の変動幅で上下する相場)が続いています。レジスタンスラインである6万9,000ドル付近を明確に上抜けするまでは、5万2,000ドル付近のサポートラインを下支えに上下する動きが予想されます。
市場関係者の注目が集まるのは、2024年11月の米大統領選です。仮想通貨に好意的な姿勢を示す共和党のトランプ氏が当選すれば、ビットコイン価格の大幅な上昇につながる可能性があります。
仮想通貨が下落する理由は?
ビットコイン価格が下落する理由を知ることで、今後同じような出来事が起きた際に、価格の下落を予測し対処できるでしょう。
ビットコインは過去、国家によって取引を規制されたときに価格が下落しました。
最近では、ビットコインETFから多額の資金が流出したタイミングや、米国の金融政策や経済指標が発表されたタイミングで価格が一時下落しました。
国家の規制強化
国家が仮想通貨に対する規制を強化した際に、ビットコインの価格は下落する傾向にあります。これまでに、以下のような仮想通貨に対する規制強化が実施されました。
■仮想通貨に対する規制強化
時期 | 規制の概要 |
---|---|
2013年12月 | 中国政府が国内取引所に対してビットコインの取り扱いを禁止 |
2017年4月 | 日本で資金決済法が施行 |
2020年6月 | 日本で資金決済法、金融商品取引法などの改正案が可決 |
2021年9月 | 中国の中央銀行「中国人民銀行」が仮想通貨関連のサービスを全面的に禁止 |
すべての規制がビットコイン価格の下落につながるわけではないものの、特に通貨の取引自体を規制する動きは価格に影響しやすい傾向があります。
実際に、2021年9月24日に中国の中央銀行「中国人民銀行」が仮想通貨の取引を全面的に禁止すると発表した際には、ビットコインの価格が1日に4.56%急落しました。
仮想通貨の規制に関するニュースについては、重点的なチェックが求められます。
ETF承認の流出額
2024年1月に米国でビットコインの現物ETFが承認されたことで、機関投資家の資金流出額がビットコインの価格に影響を与えるようになりました。
ビットコイン現物ETFとは?
引用元:DMM Bitcoin|ビットコインETFとは?その仕組みは?実現されると何が変わる?
ビットコイン現物ETFとは?ビットコインETFとは、価格がビットコインと連動するように設計された上場投資信託です。ETFであるため、株式と同じように証券取引所で売買できます。
以下の図は、ビットコイン現物ETFへの純流入・純流出金額とビットコイン価格の関係を示したものです。緑色の棒グラフが純流入額、赤色が純流出額です。
6月10日から14日までの間に5.8億ドル(約915億円)を超える資金が純流出し、ビットコインの価格が下落しています。純流出が増加した要因としては、6月13日に開催されたFOMCの会合で金利が据え置かれたことが考えられます。
ビットコイン現物ETFへの純流入、純流出のグラフはcoingrassで確認可能です。ビットコイン投資の判断材料として参考にすることをおすすめします。
米国の金融政策や経済指標
ビットコインの下落要因のひとつとして、米国の金融政策や経済指標の発表が挙げられます。
特に、CPI(消費者物価指数)や、FOMC(連邦公開市場委員会)の発表前後にボラティリティ(価格変動率)が高くなります。
CPIは、インフレーション(物価の上昇)やデフレーション(物価の下落)の度合いを計る経済指標です。傾向として、インフレが進むとビットコインの価格は下落し、デフレが進むと上昇します。
FOMCは年に8回実施される米国の金融政策を決定する会合のことです。金利引き上げの発表、もしくは利下げ時期の延期が発表された際に、ビットコインの価格は下落する傾向にあります。
実際に、日本時間の2024年6月12日21時半にCPI、同月13日午前3時にFOMCの発表があり、その時間帯付近でビットコインの価格は大きく変動しました。
6月12日から13日までのチャートの動きは以下のとおりです。
まず、CPIやFOMC発表前には、損失を回避したい投資家がビットコインを売却し、価格が下落しています。12日の午前0時にはリスクオフのための売りが落ち着き、CPI発表による価格上昇を期待する投資家の買いが進んでいます。
12日の21時半にCPIの発表があり、上昇率が市場予想を下回った(=インフレ率が鈍化した)ため、ビットコインの価格は一時上昇しました。
しかしその後、日本時間13日午前3時のFOMCで金利の据え置きが発表されたため、利下げには至らずビットコインの価格は下落しました。
このように、米国の金融政策や経済指標の発表時には、ビットコインの価格が大きく変動します。急な価格変動に動揺しないためにも、米国の金融政策や経済指標の発表時は関連情報をこまめにチェックするのがおすすめです。価格の急落を察知したら、一時的に現金化することも検討しましょう。
仮想通貨(ビットコイン)が下落した歴史
ビットコインは2009年に誕生して以来、価格の大幅な上昇と下落を経験してきました。ここでは、価格が大きく下落した出来事を時系列に沿って紹介します。
ビットコイン価格が下落した歴史を知ることで、今後の下落に備えたり、次の買い時の参考にすることができるでしょう。
・ビットコイン価格が下落した歴史一覧
出来事 | 1BTCの価格推移 |
---|---|
2013年12月:中国が暗号資産の取り扱いを禁止 | 12月4日の約12万円から、18日には約4万円まで下落 |
2018年1月:Facebook社が暗号資産に関する広告掲載を全面禁止 | 2017年12月の約200万円から、2018年2月には約90万円まで下落 |
2021年11月:アメリカの金融引き締め政策 | 2021年11月の約750万円から、2022年1月には約400万円まで下落 |
2022年5月,11月:テラ(LUNA)崩壊やFTX破綻による暗号資産市場への信用不安が広がる | 2022年3月の約570万円から、2022年12月には約220万円まで下落 |
2013年12月:中国が暗号資産の取り扱いを禁止
2013年12月5日、中国政府が国内銀行に対してビットコインの取り扱いを禁止しました。個人取引が禁止されたわけではありませんが、結果的に12月4日には一時約12万円まで高騰していたにもかかわらず、18日には約4万円まで下落しています。
それまで多くの投資家がビットコインの価格上昇に乗じていたため、規制の発表によってパニック売りが引き起こされ、結果として価格が大幅に下落したと考えられます。
2018年1月:Facebook社が暗号資産に関する広告掲載を全面禁止
2018年1月、Facebook社(現Meta社)が暗号資産に関する広告掲載を全面的に禁止しました。当時ICO(新規暗号資産公開)を利用した詐欺やハッキングが多発していたので、被害の拡大を防ぐ狙いがありました。
その結果、2017年12月には約200万円であったビットコインの価格は、2018年2月には約90万円まで下落しています。
このように、プラットフォーマーによる規制もビットコインの価格に影響を及ぼします。
2021年11月:アメリカの金融引き締め政策
2021年11月、アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は、新型コロナウイルス感染症の危機を受けて実施されていた量的緩和の縮小を発表しました。
量的緩和とは?
引用:三井住友DSアセットマネジメント|量的緩和策
中央銀行が、景気や物価を下支えするために、マネタリーベースなどの「量」を操作目標として、市場に大量に資金を供給する金融緩和政策のこと。英語表記「Quantitative Easing」の略でQ Eとも呼ばれます。
市場への新たな資金供給が減少すると、投資家は安全な資産へと資金を移動させる傾向があります。そのため、ビットコインのようなリスクの高い資産は売りに出されやすくなります。
結果として、2021年11月に約750万円まで高騰していたビットコインの価格は、2022年1月には約400万円まで下落しました。
それまでのビットコインの価格上昇は、2020年3月から始まったアメリカの量的緩和の影響を大きく受けていました。そのため、量的緩和の縮小が価格下落への転換点となったのです。
2022年5月,11月:テラ(LUNA)崩壊やFTX破綻による暗号資産市場への信用不安が広がる
2022年5月、アルゴリズムによって米ドル価格と連動するステーブルコインプロジェクト「テラ(LUNA)エコシステム」が崩壊しました。さらに同年11月に海外取引所FTXが経営破綻したことにより、暗号資産市場への信用不安が拡がりました。
その結果、投資家の仮想通貨売りが加速し、ビットコインの価格下落はさらに進行。同年12月には約220万円まで落ち込みました。
このように、時価総額の高い仮想通貨プロジェクトの破綻や、取引量の多い海外取引所の経営破綻といった出来事は、ビットコイン価格の下落要因になります。
仮想通貨(ビットコイン)価格の下落に備える方法
ビットコインをはじめとする仮想通貨は今後も短期的に価格が暴騰したり、急落したりする可能性があります。
価格の下落に備えるには、積立投資による時間分散や、余剰資金で投資をすることがあげられます
以下で備え方について詳しく解説します。
積立投資を行う
ビットコイン価格の下落に対処する方法の一つとして、ドル・コスト平均法による積立投資が挙げられます。ドル・コスト平均法とは、価格の変動に関係なく、一定の金額を定期的に投資し続けることで平均取得単価を平準化する投資手法です。
例えば、以下の表のように毎月1万円ずつ3カ月間、ビットコインを購入する場合を考えてみましょう。
■ドル・コスト平均法で毎月1万円ずつビットコインを積立投資した場合
ビットコイン価格 | 購入枚数 | 購入金額 | |
---|---|---|---|
1カ月目 | 100万円 | 0.01BTC | 1万円 |
2カ月目 | 50万円 | 0.02BTC | 1万円 |
3カ月目 | 75万円 | 0.0133BTC | 1万円 |
■ドル・コスト平均法で投資した場合のビットコインの取得単価
合計購入枚数 | 0.0433BTC |
---|---|
合計購入金額 | 3万円 |
1ビットコイン当たりの平均取得単価 | 69.3万円 |
この場合、3カ月間で合計0.0433BTCを購入したことになり、平均取得単価は約69.3万円になります。
一方、ビットコインをスポット購入した場合はどうでしょうか。2カ月目にビットコインを購入できれば取得単価を50万円に抑えられますが、1カ月目に3万円分を購入した場合、平均取得単価は100万円となり、高値づかみをしてしまいます。
その後、もしビットコインの価格が50万円まで下落したとすると、一括購入した場合の損失は最大1万5,000円となりますが、積立投資の場合は約8,335円まで損失を抑えられます。
ドル・コスト平均法を用いることで、通貨の価格が高いときは少なく購入し、価格が下落している際には多くの枚数を購入することができます。その結果、高値づかみをする可能性が減り、価格変動リスクを軽減できます。
積立投資を行う際は、Coincheckの「Coincheckつみたて」サービスがおすすめです。登録した銀行口座から自動的に日本円が引き出され、ビットコインが買い付けされるため、忙しい方でも積立を忘れることがありません。
余剰資金で投資する
仮想通貨の価格下落に備える方法として、余剰資金で投資をすることがあげられます。
仮想通貨は一度大きく下落しても、再び最高値を更新するまでに上昇することがあります。余剰資金で投資をすることで、一時的な下落に対して慌てて売るということがなくなるでしょう。
例えば、ビットコイン価格は2021年11月から2022年12月末まで下落トレンドが続いていました。しかし、2023年に入ってから上昇トレンドに転換し、2024年3月に過去最高値を更新しました。
ビットコイン価格の下落に備えて余剰資金で投資をすることで、一時的な下落に耐えることができ、再び上昇したときに利益を得られる可能性があります。
価格が下落した際の対処法
ここでは、仮想通貨の価格が下落しているときの対処法について解説します。
仮想通貨が下落し始めたときに、焦って売ったり、ただ保有し続けていたりすると損失を大きくするリスクがあります。
価格が下落した際に、損失リスクを抑える、または反対に利益を得るために、ポートフォリオの見直しや情報収集を検討しましょう。以下で詳しく解説します。
ポートフォリオを見直す
価格の下落時には、ポートフォリオ(仮想通貨の保有割合)の見直しも検討しましょう。
ビットコインの価格が下落している際は、他のアルトコインの下落幅がより大きくなる傾向にあります。そのため価格変動の激しいアルトコインを、ビットコインやイーサリアム(ETH)のような比較的ボラティリティ(価格変動率)が低い仮想通貨に交換しておくのもひとつの手です。
他にも、仮想通貨市場の影響を完全に避けるために、日本円に換金する手もあります。
また、近年の円安傾向を踏まえると、米ドル価格と連動するステーブルコイン「DAI(ダイ)」と交換し、ビットコイン価格の下落の影響を避けつつ為替差益を狙うのもよいでしょう。
情報収集をする
ビットコインの価格が下落している際は、情報収集が重要です。アメリカの金融引き締め発表時などは価格の下落が長期化する傾向があるため、ビットコインを一旦利確し、損失の拡大を防ぐ対策が求められます。
一方で、米国のCPI(消費者物価指数)の発表があった際も価格は変動しがちですが、あまり長期化することはありません。その場合は事前に利確し、ボラティリティの影響を避ける対策が有効です。また、価格が一時的に下落しているタイミングで追加購入するなど、売却せずに保有を続ける選択肢も考えられます。
仮想通貨投資では、こまめな情報収集が欠かせません。下落時はより注意深く状況を分析し、適切な対策をとるよう心がけましょう。
仮想通貨の下落についてよくある質問
- ビットコインが下がった理由は何ですか?
- ビットコインは過去、国家によって取引を規制されたときに価格が下落しました。最近では、ビットコインETFから多額の資金が流出したタイミングや、米国の金融政策や経済指標が発表されたタイミングで価格が一時下落しました。
- ビットコインが危ない理由は何ですか?
- ビットコインをはじめとする仮想通貨は、価格変動が激しいので「投資をやめとけ」といわれることがあります。また、ハッキング被害や悪徳業者による詐欺被害の報告があること、税金の計算が難しいことも投資をためらう要因となっています。