クレジットカードの分割払いを利用していると、新しいカードの審査や住宅ローンの審査に影響があるのではないかと不安に感じている人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、分割払いの利用自体が審査に悪影響を与えることはありません。ただし、残高が多い場合や支払い遅延がある場合は、審査に影響する可能性があります。
本記事では、2025年11月時点の最新情報をもとに、クレジットカードの分割払いが審査に与える影響や、信用情報への記録、住宅ローン審査への影響について詳しく解説します。分割払いのデメリット・リスク・メリットを包括的に説明しますので、ぜひ参考にしてください。

住宅ローンを検討している人は、分割払いの残高を減らしておくと審査に有利になる可能性があります。詳しくは住宅ローン審査への影響をご覧ください。
クレジットカードの分割払いは審査に影響するのか
クレジットカードの分割払いが審査に影響するかどうかは、多くの人が気になるポイントです。結論から言うと、分割払いの利用自体が審査に悪影響を与えることはありません。
ただし、分割払いの利用履歴は信用情報機関に記録されるため、残高や支払い状況によっては審査に影響する可能性があります。ここでは、分割払いが信用情報にどのように記録されるか、そして審査にどう影響するかを解説します。
分割払いが信用情報にどう記録されるか
分割払いの利用履歴は、信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に「割賦契約」として記録されます。信用情報機関とは、クレジットカードやローンの契約・利用情報を一元管理する機関です。
CICに登録される信用情報は、「申込情報」「クレジット情報」「利用記録」の3種類で構成されています。分割払いは「個別方式のクレジット」として記録され、契約内容・支払い状況・残高などが登録されます。
- 契約した会社名と契約内容
- 契約年月日と契約額
- 請求額と入金額
- 残高と返済状況
- 入金状況(遅延の有無など)
信用情報は、新規のクレジットカード申込やローン審査の際に参照されます。金融機関は、申込者の「信用」を判断するための参考資料として、この情報を活用しています。
なお、信用情報は自分で開示請求することも可能です。CICの場合、スマホやパソコンから500円で開示できます。審査が心配な人は、事前に自分の信用情報を確認しておくとよいでしょう。
分割払いの利用状況が審査に与える影響
分割払いを利用しているだけで、信用情報に傷がつくことはありません。履歴が残ることと傷がつくことは別です。月々の返済をきちんとしている限りは、分割払いが理由でローンを組みにくくなることはありません。
ただし、以下のような場合は審査に悪影響を与える可能性があります。
- 分割払いの残高が利用限度額に近い状態
- 3ヶ月以上の延滞がある場合
- 複数の分割払いを抱えて残高が多い場合
特に、61日以上または3ヶ月以上の延滞があると、信用情報に「異動情報」が登録されます。この情報は契約終了後5年間残り、新規のクレジットやローン審査に大きな悪影響を与えます。
分割払いを利用する際は、返済計画をしっかり立て、遅延なく支払いを続けることが大切です。
クレジットカードの分割払いが住宅ローン審査に与える影響
住宅ローンを検討している人にとって、分割払いが審査に影響するかは重要な問題です。住宅ローンは長期かつ高額な融資のため、審査基準が厳格であり、分割払いの残高が返済負担率の計算に含まれることを理解しておく必要があります。
住宅ローン審査で見られるポイント
住宅ローン審査では、年収・勤続年数・既存の借入状況・信用情報が総合的に評価されます。特に重要な基準となるのが「返済負担率」です。
返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合のことです。計算式は「住宅ローン年間返済額÷年収×100」で、この割合が低いほど審査に通りやすくなります。
- 年収400万円未満の場合:返済負担率30%以下
- 年収400万円以上の場合:返済負担率35%以下
重要なポイントは、この返済負担率には住宅ローンの返済額だけでなく、自動車ローン、カードローン、分割払いなども含まれることです。つまり、分割払いの残高があると、その分だけ借入可能額が減少する可能性があります。
分割払いが住宅ローン審査に与える具体的な影響
分割払いの残高は「その他の借入」として返済負担率に算入されます。そのため、分割払いの残高が多いと、住宅ローンの借入可能額に影響する可能性があります。
例えば、年収500万円の人が住宅ローンを申し込む場合を考えてみましょう。返済負担率35%を基準とすると、年間返済額の上限は175万円(月額約14.6万円)です。
もしこの人が分割払いで月3万円(年間36万円)を返済している場合、住宅ローンに充てられる返済額は年間139万円(月額約11.6万円)に減少します。これにより、借入可能額が数百万円単位で減少することもあります。
- 年収500万円、返済負担率35%の場合
- 分割払いなし:借入可能額 約4,500万円
- 分割払い月3万円あり:借入可能額 約3,600万円
- 金利や返済期間により異なります
延滞がなくても、残高が多いと返済負担率を圧迫するため、住宅ローンを検討している人は注意が必要です。
住宅ローン申込前に注意すべきクレジットカードの使い方
住宅ローン申込前は、分割払いの完済や残高削減を検討することをおすすめします。分割払い残高を減らすことで返済負担率が改善し、審査で有利になります。
- 分割払いやリボ払いの残高を可能な限り精算する
- スマートフォン本体の分割払いも完済しておく
- 新規の分割払いを控える
- 使っていないクレジットカードの解約を検討する
使っていないクレジットカードのキャッシング枠も、審査に影響を与えることがあります。キャッシングを利用していなくても、枠があるだけで「潜在的な借入能力」と見なされる場合があるためです。
住宅ローンを検討している人は、申込みの半年~1年前から計画的に準備を進めることをおすすめします。
クレジットカード分割払いのデメリット・リスク
分割払いは便利な支払い方法ですが、利用する前に知っておくべきデメリットやリスクがあります。ここでは、手数料のコスト、支払い管理の複雑さ、使いすぎによる審査への悪影響について解説します。
分割払いは手数料がかかる
分割払いは、支払い回数に応じて手数料がかかります。実質年率は12.25~15%程度で、支払い回数が多いほど総支払額が増加します。
ただし、2回払いであれば一般的に手数料はかかりません。3回以上の分割払いを利用する場合は、手数料を考慮した上で判断することが大切です。
| 支払い回数 | 実質年率(目安) | 10万円利用時の手数料 |
|---|---|---|
| 2回 | 0% | 0円 |
| 3回 | 12.25% | 約2,000円 |
| 6回 | 13.75% | 約4,100円 |
| 10回 | 14.50% | 約6,800円 |
| 12回 | 14.75% | 約8,100円 |
| 24回 | 15.00% | 約16,300円 |
支払い回数が多くなると、元本の1.5倍以上を支払うケースもあります。分割払いを利用する際は、総支払額をシミュレーションしてから決めることをおすすめします。
支払い管理が複雑になるリスク
複数の分割払いを利用すると、支払い管理が複雑になります。分割払いは完済まで毎月の支払いが続くため、複数の契約があると把握が難しくなります。
支払い回数ごとに完済時期が異なるため、「いつ、いくらの支払いがあるのか」を常に管理する必要があります。管理を怠ると、残高不足による引き落とし失敗が発生し、延滞扱いとなって信用情報に影響する可能性があります。
- カード会社のアプリやマイページで残高を定期的に確認する
- 引き落とし日と金額をカレンダーに記録する
- 口座残高に余裕を持たせておく
- 複数の分割払いを同時に利用しすぎない
使いすぎによる審査への悪影響
分割払いの残高が多いと、新規のクレジットやローン審査に通りにくくなる可能性があります。特に、利用限度額に近い状態で残高があると、「借入過多」と判断されやすくなります。
住宅ローン審査では、分割払い残高も返済負担率に算入されるため、借入可能額が減少します。また、複数の分割契約を抱えていると、支払い能力に疑問を持たれる可能性もあります。
分割払いを利用する際は、総残高が利用限度額の50%以下に収まるよう心がけることをおすすめします。
クレジットカード分割払いのメリット
分割払いにはデメリットだけでなく、適切に活用することでメリットもあります。ここでは、高額商品の計画的な支払いと、クレジットヒストリー構築の可能性について解説します。
大きな買い物を計画的に支払える
分割払いの最大のメリットは、高額商品を購入する際に月々の負担を分散できることです。一括払いが難しい場合でも、分割払いを利用することで購入が可能になります。
また、分割払いは支払い回数を指定するため、完済時期が明確です。リボ払いと異なり、いつ支払いが終わるかがわかりやすいため、返済計画を立てやすいメリットがあります。
- 家電や家具など高額商品の購入
- 急な出費で一括払いが難しい場合
- ボーナス前の大きな買い物
- 計画的に支払いを進めたい場合
ただし、手数料がかかることを忘れずに、必要最小限の回数で完済することを心がけましょう。
クレジットヒストリーの構築に役立つ可能性
分割払いを遅延なく完済することで、良好なクレジットヒストリー(クレヒス)を構築できる可能性があります。クレヒスとは、信用情報機関に記録される支払い履歴のことです。
信用情報には支払い履歴が記録されるため、遅延なく支払いを続けることで信用力が向上します。長期間の利用履歴があることで「信用実績」として評価され、将来のローン審査に有利になる可能性があります。
これは「クレヒス修行」とも呼ばれ、信用情報がない(スーパーホワイト)状態の人が、少額の分割払いやクレジットカード利用を通じて信用実績を積み上げる方法として知られています。
クレジットカードの分割払いで審査に悪影響を与えないためのポイント
分割払いを利用しながら審査に悪影響を与えないためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、具体的な対策を解説します。
支払いを遅延・滞納しない
審査への悪影響を避けるために最も重要なのは、支払い期日を必ず守り、遅延・滞納を絶対に避けることです。
延滞情報は信用情報機関に記録され、契約終了後5年間保有されます。特に、61日以上または3ヶ月以上の延滞があると「異動情報」が登録され、審査に大きな悪影響を与えます。
CIC、JICC、KSCは延滞情報を相互交流ネットワーク(CRIN、FINE)で共有しているため、一度延滞すると複数の金融機関に影響が及びます。
- 引き落とし口座に十分な残高を確保しておく
- 引き落とし日をカレンダーで管理する
- 給与振込口座と引き落とし口座を同じにする
- 支払いが難しい場合は早めにカード会社に相談する
分割払いの残高を減らしておく
重要な審査(住宅ローンなど)を控えている場合は、分割払いの残高を減らしておくことをおすすめします。残高が少ないほど返済負担率が改善し、審査で有利になります。
分割払い残高を完済または減額することで、住宅ローンの借入可能額が増える可能性があります。また、繰り上げ返済により総支払額の手数料も削減できるメリットがあります。
住宅ローン審査を予定している場合は、審査の半年~1年前から計画的に残高を減らしていくことをおすすめします。
審査前の新規分割払いを控える
住宅ローンなどの重要な審査を予定している場合は、新規の分割払いを控えることが望ましいです。
新規の分割契約は信用情報に「申込情報」として記録され、照会日より6ヶ月間保有されます。短期間に複数の申込があると「申込ブラック」と見なされる可能性があります。
また、新規の分割払いは返済負担率を増加させ、借入可能額に影響します。重要な審査を控えている場合は、新たな分割払いの利用を避け、必要な買い物は現金または1回払いで対応することをおすすめします。
クレジットカード分割払いと審査に関するよくある質問
最後に、クレジットカードの分割払いと審査に関するよくある質問をまとめました。
分割払いの利用自体で信用情報に傷がつくことはありません。延滞なく支払いを続けていれば問題ありません。ただし、61日以上または3ヶ月以上の延滞があると異動情報が登録されます。
分割払いの残高があっても住宅ローンを組むことは可能です。ただし、残高は返済負担率の計算に含まれるため、借入可能額に影響する可能性があります。住宅ローン申込前に残高を減らしておくと審査で有利になります。
完済後、契約終了から5年以内に信用情報から削除されます。延滞情報がある場合も、契約終了後5年で消えます。
どちらも延滞なく支払っていれば審査に大きな影響はありません。ただし、リボ払いは残高が膨らみやすく、残高が限度額に近いと審査に影響する可能性があります。分割払いは完済時期が明確な点でリスク管理しやすいです。
61日以上または3ヶ月以上の延滞で信用情報に異動情報が登録されます。この情報は契約終了後5年間残り、新規のクレジットやローン審査に大きな悪影響を与えます。
支払い回数自体は審査に影響しません。重要なのは残高と支払い状況です。2回払いなら手数料もかからないため、可能であれば少ない回数を選ぶことをおすすめします。
クレジットカード会社のマイページやアプリで確認できます。また、信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に開示請求することで、全ての契約の残高を確認できます。
住宅ローンなど大きな融資を控えている場合は、新規の分割払いを控え、既存の残高を減らすことをおすすめします。また、複数の分割払いで管理が困難になっている場合も見直しが必要です。
一括返済により残高が減少するため、返済負担率が改善し住宅ローン審査などで有利になる可能性があります。また、手数料の削減にもつながります。
CICはスマホやパソコンから、JICCはスマホアプリや郵送で、KSCは郵送で開示請求できます。CICの場合、手数料は500円(インターネット開示)です。

