生活保護受給者はお金を借りられるのでしょうか。
ここでは急な出費でお金が必要になった生活保護受給者に向けて、公的支援制度や金融機関でお金を借りる方法を徹底解説します。
さらに、借入時の注意点、不正受給にならないためのポイントも詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
生活保護受給者がお金を借りられる条件とは?
生活保護を受けている場合、基本的にはお金を借りることはできません。
しかし、法律で定められた突発的な支出や急な経済的困窮が生じたケースでは、特別な条件の下でお金を借りることができる場合もあります。
どのようなケースで借入が認められるのか、まずは条件や相談窓口を確認しましょう。
医療費や家賃滞納などの緊急な理由がある場合に借入が認められる
生活保護を受給していても、医療費や家賃滞納などの緊急な理由がある場合に借入が認められることがあります。
生活保護を受けている状態では、日々の生活費や必要最低限の支援しか支給されません。そのため、病院の治療費や家賃の未納分など、生活に必要不可欠な支払いが急に発生した場合、生活を維持することが困難になるからです。
例えば、以下のような状況では借りられる可能性があります。
- 医療費が高額で生活保護費だけでは賄いきれない場合
- 高額療養費制度などのほかの制度を利用してもなおお金が不足する場合
- 家賃が滞納して住居の確保が困難になる可能性がある場合 など
ケースワーカーへの相談が借入の第一歩になる
生活保護受給者が借入を検討する際、ケースワーカーへの相談が第一歩となります。なぜなら、ケースワーカーは生活保護受給者の状況を把握し、適切な支援策を提案できる立場にあるからです。
ケースワーカーとは、生活保護の支給状況や必要な支援を見極める専門家のことです。借入れにおいては、ケースワーカーが必要性を判断します。
また、借入以外に利用できる制度や支援策があれば、そちらを優先的に提案することもあります。そのため、安易に借入に走るのではなく、まずは各自治体に連絡してケースワーカーに相談しアドバイスを受けることが重要です。
生活保護受給者がお金を借りるために公的支援を利用して資金を調達する方法
生活保護を受けている方が資金を調達する方法のひとつに、公的な支援制度を利用する方法があります。
例えば、一時扶助は生活保護受給者の急な出費を補う制度で、主に医療費や住居費など、特定の支出に対して補助が行われます。
病気や事故による急な治療費、住居危機などに対応するための支援金として、以下のような場合に利用可能です。
ただし、支給対象となるのは、生活保護受給者で、一定の条件を満たしている場合です。
具体的な条件や手続きについては、自分が住んでいる地域の社会福祉協議会に問い合わせましょう。
生活保護受給者は民間の金融機関でお金を借りられる?
生活保護を受けている方が民間金融機関からお金を借りることは、基本的には難しいとされています。
多くの金融機関は、収入が安定していることを融資の前提条件としているためです。生活保護受給者は定期的な収入がないため、審査に通る可能性は低いでしょう。
以下より、民間金融機関での借入について詳しく解説します。
銀行カードローンは収入証明が必要なため利用は難しい
銀行カードローンでは、一般的に、融資を受ける際に収入を証明する必要があります。しかし生活保護を受けている場合、収入が生活保護費に限定され、通常の銀行カードローンの審査を通過するのは難しいのが現実です。
銀行は、返済能力を慎重に評価するため、生活保護受給者に対して融資を行うことはほとんどないでしょう。
消費者金融カードローンからも原則借りられない
生活保護の受給者は、消費者金融からお金を借りられません。消費者金融は貸金業法に基づき、返済能力のある顧客にのみ融資を行うことが義務付けられています。
生活保護費は生活維持のための費用であり、借金の返済に充てることは禁止されています。
「消費者金融は生活保護受給者にお金を貸してはいけない」という法律があるわけではありませんが、生活保護受給者は消費者金融からの借入が極めて困難と言えるでしょう。
ヤミ金を利用すると高額な利息や違法取り立ての被害に遭う可能性がある
資金調達に困っていても、ヤミ金(違法な貸金業者)を利用することは絶対に避けましょう。ヤミ金は、法律に基づかない不正な方法でお金を貸し出しており、法定利率を大きく上回る金利を要求される可能性があります。
また、ヤミ金に手を出すことは多重債務に陥るリスクが極めて高く、非常に危険です。
万が一すでにヤミ金を利用してしまって不安を抱えている場合は、警察や消費者センターに相談しましょう。
生活保護受給者がお金を借りた場合の生活保護費に与える影響とリスク
生活保護受給者がお金を借りた場合の生活保護費に与える影響とリスクについて解説します。
借入金は収入と認定され生活保護費が減額されることがある
生活保護制度では、借入金は「収入」として認定されます。借入金は基本的に返済しなければならないお金ですが、収入として扱われると生活保護費が減額される可能性が高いでしょう。
生活保護の支給額は生活に必要な最低限の基準をもとに計算されているため、外部からの収入や借入金がその金額に影響を与えるためです。
たとえば、仮に、生活保護受給者が消費者金融からお金を借りれた場合、その金額が収入と見なされ、支給される生活保護費が減額されることがあります。
返済の負担が生活保護費で補填されることがないため、生活費が減少し生活全体がさらに厳しくなってしまうこともあります。
このようなリスクを避けるためにも借入前にケースワーカーと相談し、どのような影響があるかをしっかり把握することが重要です。
借入を隠すと不正受給として罰則を受ける可能性がある
生活保護の申請や受給時に借入金の事実を隠していると、「不正受給」とみなされる可能性があります。不正受給とは、収入や資産を申告せずに生活保護を受けることで、法律に違反する行為です。
生活保護を受けている際に得た収入や借入金を隠していることが発覚した場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が課される可能性があります。
借金返済が滞ると生活がさらに困窮するリスクがある
借入金の返済が滞ると、借金が膨らんで生活がさらに困窮するリスクが高まります。返済の遅延が続くと遅延損害金が加算され、返済額がさらに増加してしまうためです。
また、返済が滞ることで貸金業者からの取り立ても厳しくなり、精神的にも大きな負担がかかることになります。
生活保護受給者が借入以外の資金調達方法と生活改善策
民間融資でお金を借りるのが難しい場合、借入以外の資金調達方法や生活改善策を検討しましょう。具体的には、以下3つの方法があります。
不用品を売却してお金を作る
不用品を売却することは、もっとも簡単にお金を得られる方法の一つです。自宅にある不要な衣類、家具、家電、書籍などを、メルカリやラクマといったフリマアプリを利用して簡単に売却できます。
売却できるアイテムは意外と多く、送料がかかる場合もありますが、家にあるものであればほとんど費用をかけずにお金を得られるでしょう。
短期アルバイトや内職など就労可能範囲内で収入を得る
短期アルバイトや内職も、資金調達の手段として有効です。ただし生活保護を受けるには、収入が最低生活費に満たないことが条件となるため、就労可能な範囲内で働く必要があります。
短期間で終わる軽作業や在宅ワークなどであれば、就労可能範囲内で仕事をしやすいでしょう。
自立支援制度や職業訓練を活用して長期的な収入基盤を作る
生活保護受給者が長期的に生活を安定させるには、将来的な自立を目指す支援制度や職業訓練を活用することも大切です。
自立支援制度は就職に向けたスキルアップや就労支援を行う制度で、一定の要件を満たすことで受けられます。長期的に収入を得るためのスキルを身につけるために、職業訓練やスキルアップ講座などの支援も検討してみましょう。
例えば、パソコンスキルや介護職、販売業などの分野での訓練を受けることで、就職の機会が増え、生活保護からの脱却を目指しやすくなるでしょう。
こうした支援制度を活用することで、社会復帰への道を開くことができ、生活がより安定したものになる可能性があります。
生活保護受給者の借入に関するよくある質問(Q&A)
- 緊急時でも生活保護受給者が借入できる制度はありますか?
- 国の制度として一時扶助があります。生活保護受給者に対して、臨時的に必要となる費用を支給する制度です。毎月の生活保護費とは別に支給されるもので、「臨時の最低生活費」とも呼ばれます。
- 借入金は必ず生活保護費に影響しますか?
- はい、影響することがあります。とくに借入金が「収入」として認定された場合、生活保護費が減額される可能性があるので注意しましょう。
- 借入を検討する際に最初にすべきことは?
- まずはケースワーカーに相談して借入の妥当性と支援制度の利用可否を確認しましょう。ケースワーカーは、生活保護の支給状況や必要な支援を見極める専門家で、適切な支援策を提案してくれます。