会社からお金を借りる従業員貸付制度とは?審査基準や注意点を紹介
(画像=NET MONEY編集部)

やむを得ない事情でお金が必要な場合、勤務先に従業員貸付制度があれば会社からお金を借りられます

従業員貸付制度は福利厚生の一環で、お金が必要になった従業員の救済を目的としているため、金融機関のローンより低金利です。

さらに審査は社内で完結するため、金融機関で借入れを断られた人でも利用できる可能性があります。

本記事では、会社からお金を借りる従業員貸付制度について分かりやすく解説します。

実際に借入れする方法や審査基準、注意点も詳しく解説するので、従業員貸付でお金を借りたい人は参考にしてください。

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  1. 会社からお金を借りられる従業員貸付制度は福利厚生の一つ
    1. 従業員貸付制度と給料の前借りの違いは資金源
    2. 従業員貸付制度はすべての会社にある制度ではない
    3. 従業員貸付制度の使用用途は病気や災害、教育費用などに限られる場合が多い
    4. 従業員貸付制度の借入可能額は勤続年数により異なる場合が多い
    5. 金利は年0.9~2.0%程度でカードローンよりも低金利で借りられる
  2. 従業員貸付制度の審査基準は?どんな人が会社からお金を借りられる?
    1. 審査には使用用途や勤続年数が関係している
    2. 審査で信用情報は確認されない
  3. 従業員貸付制度で会社からお金を借りるときの注意点
    1. 会社にバレずにお金を借りることは難しい
    2. 融資までに2~3週間かかるためすぐにはお金が手に入らない
    3. 借入れ可能なのは正社員のみ
    4. 借入れには連帯保証人が必要
  4. 従業員貸付制度を使って会社からお金を借りる流れ
    1. 1.上司に相談し許可を得る
    2. 2.【必要書類は3つ】経理担当から貸付金申請書を受け取り申請する
    3. 3.社内審査を通過後、借用書を提出する
    4. 4.指定口座にお金が振り込まれる
    5. 5.【返済期間は5年】給与天引きまた口座振込で返済する
  5. 従業員貸付制度で会社からお金を借りる際によくある質問

会社からお金を借りられる従業員貸付制度は福利厚生の一つ

会社からお金を借りられる従業員貸付制度は福利厚生の一つです。会社によっては、社内貸付と呼ばれることもあります。

従業員貸付制度は、まだ働いていないぶんの給料を借りる前借りとは異なり、会社の利益を資金源としています。

したがって、従業員貸付制度を導入している会社の多くは、お金に余裕がある大手企業です。

資金使途は病気や災害など、やむを得ない事情に限定されることが多く、借入可能額は勤続年数などによって決定されます。

金利は金融機関のローンより低いため、利息を含む返済総額を抑えられます。

企業が従業員貸付制度を導入する目的は、従業員がさまざまな事情でお金が必要になった場合でも、普段の生活を維持できるようにすることです。

従業員が消費者金融などでお金を借りて多重債務に陥ったり給料を差し押さえられたりしてしまうと、業務に支障をきたす可能性があります。

従業員貸付制度は、このような状態に陥らないよう社員を救済することを目的としています。

具体的に、従業員貸付制度の特徴について詳しく解説します。

従業員貸付制度と給料の前借りの違いは資金源

従業員貸付制度と給料の前借りの主な違いは資金源です

従業員貸付制度の資金源は会社の利益であるため、給料以上の金額を借入れできる可能性があります。

また、従業員のために設けられている会社の正式な制度であるため、条件さえ満たしていれば誰もが会社からお金を借りられます。

一方、給料の前借りとは、従業員がこれから働いて得る給与を事前に受け取ることであり、給料以上の金額を借りられません。

また、給料の前借りは会社の正式な制度ではなく、社長のはからいでお金を借りられるかどうかが決まります。

災害や病気など、どんな理由であっても、会社が給料の前借りに応じる義務はありません。

つまり企業によっては、給料の前借りに応じてもらえない場合があるということです。

したがって、会社からお金を借りたいのであれば、従業員貸付制度を利用するほうが賢明といえます。

ただし、従業員貸付制度は、すべての会社にある制度ではないため、中小企業などに勤めている人は利用できない可能性があります。

従業員貸付制度はすべての会社にある制度ではない

従業員貸付制度は、すべての会社にある制度ではありません。

労働政策研究・研修機構の調査によると、従業員貸付制度を導入している企業は日本企業の全体の19.9%となっています。

従業員貸付制度を導入している会社は従業員に貸し付けできるお金がある大手企業に多く、会社規模が小さいほど導入企業は少なくなる傾向です。

会社規模別の
従業員貸付制度を導入している割合
会社の規模 割合
30人未満 15.6%
30~99人 22.8%
100~299人 26.7%
300人以上 35.3%

自分が勤めている会社に従業員貸付制度があるかどうかは、社内規定を見れば確認できます。

社内規定を自由に閲覧できないのであれば、勤務先の求人情報を確認してみましょう。

福利厚生として従業員貸付制度の記載があれば、会社からお金を借りられます。

社内規定や求人情報を見てもわからない場合は上司、または経理担当者に確認してみましょう。

従業員貸付制度の使用用途は病気や災害、教育費用などに限られる場合が多い

従業員貸付制度は多くの場合、病気や災害など、やむを得ない事情がある場合に限り利用できます

従業員貸付制度の目的は従業員の救済であるため、借りたお金をギャンブルや贅沢品の購入に充てることはできません。。

したがって、次のように使用用途が定められている場合が多いです。

従業員貸付制度の主な使用用途
  • 慶事・弔辞にかかる費用
  • 疾病や傷病による治療または入院費用
  • 介護費用
  • 災害に被災したことによる費用
  • 教育費用(子どもの入学資金など)
  • 本人または被扶養者の出産費用
  • 本人が居住する住居の修繕費など

ただし、従業員貸付制度の使用用途は会社によって異なります。

住宅ローンの審査に通らなかった人や、借金返済のためにお金を必要とする人が会社からお金を借りられた事例もあるため、会社の上司や経理担当者に確認してみましょう。

従業員貸付制度の借入可能額は勤続年数により異なる場合が多い

多くの場合、従業員貸付制度の借入可能額は勤続年数によって異なります

従業員貸付制度で借りられる金額(一例)は下表のとおりです。

勤続年数 借入可能額
5年以上 30万円
10年以上 50万円
15年以上 70万円
20年以上 100万円

会社によっては借入可能額を退職金共済金額の2分の1までに定めているところや、給料の2ヵ月分以内としているところもあります。

従業員貸付制度は借入額を年収の3分の1までに制限する総量規制の対象外ですが、従業員貸付制度の借入可能額は金融機関のローンより少額に設定されています。

会社は従業員が無理なく返済できる範囲で貸し付けをおこなうためです。

したがって、年収が低い人でも利用条件を満たしていれば、会社から必要な金額分を借りられる可能性があります。

金利は年0.9~2.0%程度でカードローンよりも低金利で借りられる

従業員貸付制度の金利は年0.9~2.0%程度で、金融機関のカードローンを利用するより低金利でお金を借りられます。

従業員貸付制度はお金に困っている従業員の救済を目的としているため、一般的には金融機関のローンより低い金利が適用されます。

従業員貸付制度とカードローンの金利比較
借入れの種類 目安金利
従業員貸付制度 年0.9~2.0%程度
銀行カードローン 年1.5~14.5%程度
消費者金融の
カードローン
年3.0~18.0%程度

上表のとおり、従業員貸付制度であれば金融機関のカードローンを利用するより年10.0%以上低い金利でお金を借りられるため、利息を含む返済総額の軽減が可能です。

実際、過去には年2.0%で借入れできた事例もあります。

この場合、30万円を借りて毎月1万円ずつ返済すると、従業員貸付制度であれば銀行カードローンより66,814円、消費者金融より93,548円も利息額を抑えられます(下表)。

従業員貸付制度とカードローンの返済額と利息総額の比較
借入れの種類 金利/実質年率 返済額/月 利息総額
従業員貸付制度 年2.0% 1万円 8,003円
銀行カードローン 年14.5% 1万円 74,817円
消費者金融 年18.0% 1万円 101,551円

具体的な金利は会社によって異なりますが、会社が役員や従業員に対し金銭を貸し付ける場合の利息相当額は、所得税法および所得税基本通達において以下のとおりに定められています。

従業員貸付制度の利息相当額
貸付年度 利息相当額
令和3年中に貸し付けを行ったもの 年1.0%
令和4年~5年に貸し付けを行ったもの 年0.9%

企業が利息相当額よりも低い金利で貸し付けた場合、実際に支払う利息との差額が給与として課税されてしまいます。

したがって、年0.9%より低い金利が適用される可能性は低いといえるでしょう。

従業員貸付制度の審査基準は?どんな人が会社からお金を借りられる?

従業員貸付制度の審査基準は、決して厳しくありません

従業員貸付制度の審査は社内の独自審査に基づいて行われます。

銀行などの金融機関の審査とは異なり、信用情報は参照されないため、過去に金融機関の審査に通らなかった人でも利用できる可能性があります。

審査で重視されるのは、主に借入金の使用用途、勤続年数、勤務態度です。

借入金の使用目的が明確で、医療費や教育費など、やむを得ない事情で生活に必要な資金であることがわかれば審査に通る可能性は高まります。

また、勤続年数が長いほど、安定した収入を得ていると判断され、審査に通りやすくなります。遅刻・欠勤が少ないことなども審査に影響します。

ただし、会社からお金を借りられる人は、基本的に正社員のみです。

パートやアルバイトなど非正規雇用の人は離職率が高いことから、多くの企業で従業員貸付制度の利用対象外となっています。

正社員であっても連帯保証人を立てられない場合は会社からお金を借りられない可能性があります。

多くの企業では、貸し倒れのリスクに備えて連帯保証人を1人以上立てることを貸付けの条件としているためです。

具体的に、従業員貸付制度の審査基準、借入れできる人の条件などを見ていきましょう。

従業員貸付制度の審査基準は?どんな人が会社からお金を借りられる?

審査には使用用途や勤続年数が関係している

従業員貸付制度の審査では、主に借入金の使用用途や勤続年数が問われます

審査内容は会社によって異なりますが、一般的に、以下の条件に該当する人は従業員貸付制度の審査に通る可能性が高いといえるでしょう。

従業員貸付制度を利用できる人

  • 勤続年数が5年以上の人
  • 遅刻や無断欠勤がない勤務態度が良好な人
  • 災害や病気などでお金が必要な人

とくに勤続年数が5年以上の人は、会社からお金を借りられる可能性が高いといえます。

勤続年数が長いことは今後も長く働いてもらえることの証明となり、会社も安心してお金を貸し出せるためです。

事実、従業員貸付制度の利用対象者を勤続年数5年以上の人に限定している会社もあることから、勤続年数が長い人ほど審査に通過しやすいといえます。

ただし勤務態度が悪い人や借入金の使用用途が不明瞭な場合は、同じ職場に長く勤めている人であっても会社からお金を借りられない可能性があります。

たとえば遅刻や無断欠勤が多い人は会社から信用を得られないことから、借入れが認められないでしょう。

また従業員貸付制度を導入している企業の多くは、借入金の使用用途を病気や災害などに限定しており、お金の使い道を申告させた上で審査を進めます。

使用用途を説明できない場合は、従業員貸付制度の審査を進めてもらえないため注意しましょう。

審査で信用情報は確認されない

従業員貸付制度の審査で信用情報が確認されることはありません

信用情報の照会が義務付けられているのは、貸金業者の貸し付けに限定されています。

貸金業者は、個人の顧客と貸付けの契約を結ぶ際には、指定信用情報機関が保有する顧客の信用情報を利用しなければなりません。

引用元:4 お借入れすると、借入れ金額などの情報が信用情報機関に提供されます│日本貸金業協会

事実、従業員貸付制度の融資可否を判断するのは社長や役員などであり、審査は社内で完結します。

したがって信用情報に傷がついている人や金融機関の審査に通らなかった人でも、会社からお金を借りられる可能性があります。

また従業員貸付制度の審査では信用情報を確認しないため、他社から借入れしている場合でも、詳細が会社の人に知られる心配はないでしょう。

もちろん従業員貸付制度を利用したことが信用情報に登録されることもないため、今後住宅ローンや自動車ローンなどを組む際に、審査で不利になることもありません。

従業員貸付制度で会社からお金を借りるときの注意点

会社から従業員貸付制度でお金を借りる場合、審査や借入金の振り込みに関わる社員に知られてしまう可能性が高いという点に注意が必要です。

また、社内で承認を経たうえでお金を借りるため、借入れまで2~3週間かかるので注意しましょう。

ここでは、従業員貸付制度を利用して会社からお金を借りるときの注意点を解説します。

会社にバレずにお金を借りることは難しい

従業員貸付制度を利用する場合、会社の人たちにバレずにお金を借りることは難しいので注意しましょう

会社からお金を借りる際はまず上司に相談し、取締役会などで社内審査が進められたあと、借入金が口座に振り込まれます。

つまり相談を受けた上司、社内審査に関わる役員や社長、借入金の振込処理をする経理担当などには、必ず従業員貸付制度の利用が知られるということです。

会社からお金を借りるまでにかかわる人たちが口外しなければ勤務先の人たちに従業員貸付制度の利用はバレませんが、自然と知られることもあるでしょう。

筆者が前職に勤めていたときのことですが、元同僚が会社からお金を借りていることを社内全員の人が知っていました。

従業員貸付制度を利用する際は、会社の人たちに内緒で借入れすることは難しいため注意しましょう。

融資までに2~3週間かかるためすぐにはお金が手に入らない

従業員貸付制度は融資までに2~3週間かかるため、すぐにはお金が手に入らない点に注意しましょう。

会社からお金を借りるためには貸付金申請書の提出後、社内審査を経て借用書を作成することで借入金が振り込まれます。

お金を借りるまでにどうしても2~3週間はかかるため、急ぎの人には向いていません。

急ぎの場合は、最短20分~30分でお金を借りられる大手消費者金融のカードローンがおすすめです。

大手消費者金融であれば、毎日9時から21時まで営業しているため、曜日を問わず最短20分~30分程度でお金を借りられます。

審査で会社に電話連絡が入ることはないうえ上に、Webから申し込みすれば自宅に届く郵送物も回避できるため、借入れが誰かにバレる心配もありません。

カードローンは資金使途が問われないため、趣味の費用や旅行などでお金が必要な場合も利用できます。従業員貸付制度の利用条件を満たしておらず、会社からお金を借りられない人は検討しましょう。

NET MONEY編集部がおすすめする大手消費者金融カードローンは以下の6社です。

大手消費者金融カードローンおすすめ6社

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上表のとおり、カードローンの金利は従業員貸付制度と比較すると高めですが、SMBCモビットを除けば無利息期間が適用されます。1ヵ月~6ヵ月の間に完済できれば実質無利息でお金を借りられるため、一時的にお金を借りたい場合にも重宝します。

借入れ可能なのは正社員のみ

会社から借入れ可能なのは、基本的に正社員のみです

詳細は会社によって異なりますが、多くの企業で従業員貸付制度の利用者を正社員に限定しています。

  融資可否
正社員
契約社員 ×
嘱託社員 ×
業務委託 ×
パート ×
アルバイト ×

とくにパートやアルバイトの人は、会社からお金を借りられない可能性が高いでしょう。

パートやアルバイトの人は正社員に比べて離職率が高く退職するリスクがあることから、返済できないと判断されやすいためです。

雇用形態 離職率
パート・アルバイト 21.3%
正社員 11.1%

パートやアルバイトの人など従業員貸付制度を利用できない人は、給料の前借りや前払いができないか相談してみましょう。

給料の前借りには法的義務はないため、応じてもらえるかは会社次第です。

しかし病気や災害などでお金が必要な場合、会社は給料の前払いに応じなければなりません。

労働基準法第25条では、労働者が、出産、疾病、災害等の非常の場合の費用に充てるために請求する場合は、賃金支払期日前であっても、使用者は、既に行われた労働に対する賃金を支払わなければならないと定められています。

引用元:労働基準法第25条(非常時払)について│厚生労働省

従業員にやむを得ない事情がある場合は、すでに働いた分の給料を前倒しで支払ってもらえます。

会社は従業員の雇用形態にかかわらず給料の前払いに応じる義務があるため、従業員貸付制度を利用できない場合は上司に相談してみましょう。

借入れには連帯保証人が必要

会社から借入れする際は、基本的に1人以上の連帯保証人が必要です。退職後など今後従業員が返済できなくなった場合のリスクに備えて、連帯保証人を必要とする会社が多くなっています。

つまり従業員貸付制度を利用するためには、親や親族の協力が必要であるということです。

身内に協力してもらえない場合は会社からお金を借りられないため、連帯保証人が不要なカードローンなどを検討しましょう。

従業員貸付制度を使って会社からお金を借りる流れ

実際に借りるとなると、具体的にどのような流れなのか、どのような手続きが必要かなど、分からない点も多いでしょう。

具体的に、従業員貸付制度を利用して会社からお金を借りる手順は以下のとおりです。

1.上司に相談し許可を得る

まずは自身が所属している部署の課長や部長など、上司に相談することからはじめましょう。

借入金の使用用途などを申告したうえで、会社からお金を借りることが認められた場合は、手続きを進めてもらえます。

2.【必要書類は3つ】経理担当から貸付金申請書を受け取り申請する

経理担当から貸付金申請書を受け取り申請します。申請するときに必要な書類は3点あります。

従業員貸付制度の申請時に必要な書類
  • 貸付金申請書
  • 申込者の印鑑
  • 使用用途がわかる見積書や請求書

貸付金申請書は原則として会社で用意してもらえますが、従業員貸付制度を導入して間もない企業などでは準備されていない可能性があります。

会社に貸付金申請書がない場合は、自分で作成して提出しましょう。

貸付金申請書には、主に以下の内容を記載する必要があります。

貸付金申請書に記載する内容
  • 申請日
  • 借入金の使用用途
  • 借入額
  • 申込者の署名
  • 申込者の捺印
  • 連帯保証人の署名
  • 連帯保証人の捺印

貸付金申請書には申込者の捺印が必要です。

また会社からお金を借りる際に連帯保証人を必要とする場合は、連帯保証人となる人にも署名をしてもらったり印鑑を押してもらったりしなければなりません。

ほかにも、会社によっては借入金の使用用途がわかる見積書や請求書の提出も求められるので会社の規定にしたがって手続きします。

3.社内審査を通過後、借用書を提出する

社内の審査に通ったら、金銭消費貸借契約書や金銭借用書などを提出します。

いずれも借主と貸主の間でお金の貸し借りがあったことを証明する書類であり、以下のような内容を記載しなければなりません。

借用書に記載する内容
  • 申込者の署名や住所、押印
  • 連帯保証人の署名や住所、押印
  • 借入額
  • 金利
  • 返済期日
  • 遅延損害金の取り決め
  • 返済方法
  • 返済期間
  • 貸付側の名前

借用書を作成しない方針の会社もありますが、借用書がないと後々トラブルに発展する可能性もあります。会社で用意してもらえない場合は、自分で作成して提出しましょう。

なお、金銭借用書や金銭消費貸借契約書を作成する際は印紙税の対象です。

「金銭借用証書」は、借主が金銭を借り入れる際、借入金額、返済期日、利率、利息の支払方法等を記載して貸主に差し入れる文書であり、第1号の3文書(消費貸借に関する契約書)に該当し、その借入金額に応じた印紙税が課税されます。

引用元:会社と社員の間で作成される借入申込書、金銭借用証書│国税庁

借用書を作成する際は、借入額に応じた収入印紙を貼り消印を押しましょう。具体的な印紙税は、次の表を参考にしてください。

借入額 印紙税
1万円以下 非課税
10万円以下 200円
10万円超え50万円以下 400円
50万円超え100万円以下 1,000円
100万円超え500万円以下 2,000円
500万円超え1,000万円以下 1万円
社長が会社からお金借りる場合は「役員貸付金」として借用書が必要

社長が会社からお金を借りる場合は、「役員貸付金」として会社の帳簿に記録しなければなりません

会社からお金を借りたあとは必ず返済する必要があるためです。

社長が会社からお金を借りる場合も借用書を作成し、期限日までに返済をしましょう。

社長が役員貸付金を返済する場合は、利息を上乗せして返済しなければなりません。

会社は営利組織であるため、社長にお金を貸す場合でも利息を取って利益を上げなければならないとみなされるためです。

もし無利息で返済してしまうと、税務調査で脱税の指摘を受ける場合があります。

会社が取り損ねた利息は、会社から社長へ役員報酬が支払われたということになるためです。

つまり社長は実際に受け取った役員報酬に加えて、会社に支払うはずの利息分も役員報酬として受け取ったとみなされます。

会社に利息を支払っていないのであれば、その分が追徴課税の対象です。

4.指定口座にお金が振り込まれる

すべての手続きが完了すると、指定の口座にお金が振り込まれます。振り込まれる口座は、本人名義の普通預金口座を求められます。

これは、現金での受け渡しを避けるためと、振り込み履歴によって借入金の状況を把握しやすくするためです。

会社によって異なりますが、振り込みまでの期間は2~3週間程度です。

5.【返済期間は5年】給与天引きまた口座振込で返済する

従業員貸付制度の返済方法は、給与天引きや指定口座への振り込みがあります。

一般的には、返済方法として給与からの天引きを採用している会社が多い傾向です

給与から返済額分が天引きされると家計が苦しくなる可能性がありますが、賃金の4分の1を超える金額が差し引かれることはありません。

民法や民事執行法の規定により、賃金の4分の3(その額が33万円を超える場合は33万円)に相当する部分については、使用者側からは控除することはできません(民法第510条、民事執行法第152条)。つまり、控除額の上限は4分の1までとされています。

引用元:個別Q&A4-(3)賃金からの控除│福島県

返済期限は5年以内

従業員貸付制度の返済期限は多くの場合、5年以内に設定されています。

しかし、なかには従業員との合意で返済期限を設定する会社もあるため、詳細は従業員貸付制度を申請する前に確認しておきましょう。

月々の返済が遅れたり返済期限日までに完済できなかったりした場合は、会社からの信頼を失い、人事評価に影響することがあります。

また返済不能であると判断された場合は、連帯保証人が返済義務を負うことになります。

返済が遅れた場合は、家族や親族が会社から督促を受けることになるため注意しましょう。従業員貸付制度を利用する際は、事前に返済計画を立てておくことが大切です。

従業員貸付制度で会社からお金を借りる際によくある質問

従業員貸付制度は金利が低く、比較的審査が通りやすいですが、初めて利用する際は分からない点も多いでしょう。

ここでは、会社からお金を借りる前に、よく寄せられる質問について分かりやすく解説します。

会社からお金を借りると返済するまで退職できないですか?
会社からお金を借りると、返済するまで退職できないわけではありません。

しかし退職時に残債務が残っていれば、退職金と相殺される可能性があります。

退職金で不足する場合や退職金がない場合は、その後も返済を続けていかなければなりません。

返済を続けなければ連帯保証人に迷惑がかかるほか、訴訟や差し押さえなど法的措置を取られるため注意しましょう。

ただ、返済期間を退職日までに定めている会社もあります。

このような企業では退職時に一括返済を求められるため、今後転職を考えている人には不向きです。
会社から無利息で借りることはできませんか?
会社から無利息でお金を借りることはできません。

仮に無利息でお金を借りてしまうと、本来支払うべき利息分が給与とみなされ、課税対象となってしまうためです。

また会社が従業員に無利息でお金を貸してしまうと、贈与税の対象となってしまいます。

したがって、会社から無利息でお金を借りることはできないでしょう。

ただし災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった場合は、無利息でお金を借りることが認められます。
住宅ローンとして会社からお金を借りられますか?
住宅ローンとして会社からお金を借りられる場合があります。

事実、筆者の知り合いは会社から住宅を購入する資金を借りています。

金融機関の住宅ローンより融資を受けやすいため、審査に通らない場合は会社から借りることも検討するとよいでしょう。

住宅ローンとして会社からお金を借りた場合でも、住宅ローン控除を受けられます。

ただし従業員貸付制度の上限額で不足する場合、金融機関の住宅ローンを併用しなければならないなどの不便が生じるため注意しましょう。

また会社によっては返済期間が短く設定されている場合もあり、期限内に完済できるかどうか確認しておくことも大切です。
従業員貸付制度を利用できない場合はどうすればいいですか?
従業員貸付制度を利用できない場合は、給料の前払いや前借りに応じてもらえないか確認してみましょう。

病気や災害時などは、法律によって会社は給料の前払いに応じる義務があります。

ただし給料の前払いはすでに働いた分の給与を前倒しで支払ってもらうことであり、前回の給料日から数日経っていないと十分な金額を借りられません。

給料の前借りは有事の際でも会社が応じる義務はないため、借りられるかどうかは勤務先次第です。

もし給料の前払いや前借りにも応じてもらえなかった場合は、金融機関のカードローンを検討してみましょう。

なかでもプロミスやアコムに代表される大手消費者金融であれば、曜日を問わず最短20分~30分でお金を借りられます。

申し込みから契約、借入れまですべての手続きがWeb上で完結するため、カードローンの利用が周囲の人にバレる心配もありません。

さらに、はじめて利用する場合は無利息期間が適用されるため、短期間で完済できれば実質無利息でお金を借りられます。

なるべく早くバレずにお金を借りたい人や、一時的にお金を借りたい人におすすめです。
会社からお金を借りたら人事評価に影響を与える?
会社からお金を借りること自体が人事評価に直接影響を与えるとは限りません。

しかし、返済を延滞・滞納した場合は人事評価に影響を与える可能性があります。
返済が遅れた場合は、連帯保証人である家族や親族が会社から督促を受けることになるため注意しましょう。
従業員貸付制度を利用する際は、必ず返済計画を立て、無理のない範囲で借りるようにしましょう。