「障害年金の計算方法がよく分からない」
「障害年金の支給金額は3級、2級、1級それぞれどのくらい?」
障害年金の基本的な金額は年間50万円~100万円ほどです。働いていて家族がいる場合は、年間200万円以上もらえる場合もあります。
障害年金を申請して受給できた方の割合は92.2%です(令和3年度)。計算や受給条件には細かな内容もありますが、条件や申請方法を把握して手続きすれば受給できる年金といえます。
障害年金の金額は、障害の状態、加入している公的年金の種類、家族構成によって異なります。
年齢、家族構成、障害別で受給額のシミュレーションをしたので、自分はいくらもらえるのか?参考にしてみてください。
- 障害等級は、3級、2級、1級の順で障害が重くなり、受給額が増える
- 認定割合は、1級:13.3%、2級:62.9%、3級:15.8%、手当金:0.2%(令和3年度)
- 令和5年度の基本額は、3級:596,300円~、2級:795,000円~、1級:993,750円~
- 障害基礎年金(国民年金)と、障害厚生年金(厚生年金)の2段階制
- 障害年金は非課税
【障害年金の計算方法】計算式は、等級や公的年金の種類により異なる
障害年金の計算方法は、障害の等級や加入している公的年金の種類によって異なります。
障害の程度を表す「障害等級」は3級、2級、1級の順で障害が重くなり、障害の状態が重度になるほど障害年金の金額が上がります。国民年金が対象の「障害基礎年金」をベースに、厚生年金の加入者は「障害厚生年金」も受け取れます。
障害基礎年金は、毎年固定額が決められており、子どもがいると金額が加算されます。一方、障害厚生年金は、給料と加入期間によって計算され、配偶者がいると金額が加算されます。
また、障害年金は非課税のため、受給した金額はすべて生活費などに使えます。
令和5年度の障害年金の金額は3級596,300円~、2級795,000円~、1級993,750円~
令和5年度の障害年金の金額は、3級は596,300円~、2級は795,000円~、1級は993,750円~です(67歳以下の方が対象の年間金額です)。
令和4年度の障害年金の金額は、3級は583,400円~、2級は777,800円~、1級は972,250円でしたので、令和5年度は年間で1~2万円ほど金額が増えています。
- 障害基礎年金は、1級と2級のみ対象
- 障害厚生年金は、1級、2級、3級、一時金(障害手当金)がすべて対象
- 18歳未満の子どもがいる世帯は、1人当たり228,700円加算される
- 65歳未満の配偶者がいると、配偶者加給年金として228,700円加算される
- 障害の程度が軽い人は、一時金として最低1,192,600円が支給される
- 2級以上の障害年金の受給者は、国民年金保険料が免除になる
ひとつずつ解説しますので、ご自身に当てはまる点をチェックしていきましょう。
参照
・山梨県南部町|障害基礎年金・遺族基礎年金
・山梨県大月市|国人年金の受給
・障害者支援ネットワーク|障害年金の金額
3級は596,300円~、2級は795,000円~、1級は993,750円~
障害年金の年間受給額は、3級は596,300円~、2級は795,000円~、1級は993,750円~となります(67歳以下の方が対象の金額です)。
障害年金の年間受給額(令和5年度) | ||
---|---|---|
障害基礎年金 | 障害厚生年金 | |
1級(67歳以下の方) | 993,750円 + 子の加算額* | (報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(228,700円)〕 |
1級(68歳以上の方) | 990,750円 + 子の加算額* | (報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(228,700円)〕 |
2級(67歳以下の方) | 795,000円 + 子の加算額* | (報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(228,700円)〕 |
2級(68歳以上の方) | 792,600円 + 子の加算額* | (報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(228,700円)〕 |
3級(67歳以下の方) | 対象外 | 596,300円~ |
3級(68歳以上の方) | 対象外 | 594,500円~ |
*子の加算額は、2人目まで1人あたり228,700円、3人目以降は1人あたり76,200円です。子とは、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子が対象です。
障害等級は、3級から1級にいくほど障害が重くなります。
障害の程度1級
他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。障害の程度2級
必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害です。障害の程度3級
引用:日本年金機構|障害基礎年金の受給要件
労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態です。
日本年金機構|障害厚生年金の受給要件
障害等級は、身体障害者手帳の等級とは異なり、国民年金法または厚生年金保険法で定められています。具体的な障害の状態は、日本年金機構のホームページをご確認ください。
参照:日本年金機構|障害等級表
18歳未満の子どもがいる世帯は228,700円加算される
18歳未満の子どもがいる世帯は、2人目まで1人あたり228,700円、3人目以降は1人あたり76,200円が加算されます。
障害年金を申請する方に、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子がいる場合、人数に応じて金額が加算されます。
この加算方法は「障害基礎年金」が対象であり、「障害厚生年金」には適用されません。
65歳未満の配偶者がいると配偶者加給年金が加算される
65歳未満の配偶者がいると、障害年金に「配偶者加給年金」が加算されます。
配偶者加給年金とは、厚生年金に20年以上加入している人が、65歳になった時点で配偶者(65歳未満)がいる場合に、加算される年金のことです。金額は、228,700円です(令和5年度)。
配偶者加給年金は「障害厚生年金」が対象であり、「障害基礎年金」にはありません。
ただし、配偶者が老齢厚生年金または障害年金を受給している場合、配偶者加給年金は支給されません。
配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上または共済組合等の加入期間を除いた期間が40歳(女性の場合は35歳)以降15年以上の場合に限る)、退職共済年金(組合員期間20年以上)を受け取る権利があるとき、または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止されます。
引用:日本年金機構|障害厚生年金の受給要件
障害の程度が軽い人は一時金で1,192,600円~
障害の程度が軽い人は、一時金で最低1,192,600円が支給されます(昭和31年4月1日以前に生まれた方は1,189,000円)。一時金(障害手当金)の給付金額は、これまで納付した保険料に応じて決まります。
初診日から5年以内に病気やけがが治り、障害等級の3級よりも軽い障害が残った場合、一時金の給付対象です。
障害手当金の計算方法
(報酬比例の年金額)× 2報酬比例部分とは、老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金のいずれの給付においても、年金額の計算の基礎となるものです。年金の加入期間や過去の報酬等に応じて決まるもので、計算方法は次のとおりです。
報酬比例部分 = 平成15年3月以前の加入金額 + 平成15年4月以降の加入金額
出典:日本年金機構|障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構|報酬比例部分
日本年金機構|障害年金ガイド
一時金の対象になる障害状態は、日本年金機構のホームページをご確認ください。
参照:日本年金機構|障害等級表
2級以上の障害年金の受給者は国民年金保険料が免除になる
2級以上の障害年金の受給者は、国民年金保険料が免除になります。この制度は「法定免除制度」と呼ばれ、障害認定日の前月から適用されます。
障害認定日は原則として、初診日から1年6ヵ月が過ぎた日、または1年6ヵ月以内に病気やけがが治った(症状が固定した)日になります。
国民年金第1号被保険者の方は、障害基礎(厚生)年金の年金証書が届いたら、「国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届」を市区役所または町村役場に提出しましょう。
法定免除の申請は、2年1ヵ月前までさかのぼって手続きできます。
参照
・日本年金機構|国民年金保険料の法定免除制度
・日本年金機構|国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間
・日本年金機構|障害年金
・日本年金機構|障害認定日
障害年金を受給する条件
障害年金を受給する条件は、次の4つです。
- 初診日の前日に、公的年金の納付要件を満たしていること
- 障害等級1~3級に該当すること
- 年齢は20歳以上であること
- 所得制限をクリアしていること
国民年金に加入している場合は「障害基礎年金」を受給し、厚生年金に加入している場合は「障害厚生年金」が受給できます。ただし、保険料の納付要件と障害等級の対象が変わります。
初診日の前日に公的年金の納付要件を満たしていること
障害年金を受給するには、初診日の前日に公的年金の納付要件を満たしていることが必要です。
初診日とは、障害または死亡の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日を指します。同じ病気やけがで転医があった場合は、最初に医師等の診療を受けた日が初診日となります。
公的年金の納付要件は、初診日の2ヵ月前までの直近1年間で、未納がないことです。
未納期間がある場合でも、公的年金に加入している全期間において、3分の2以上を納付していれば障害年金を受給できます。
また、初診日が20歳未満である場合は、公的年金に加入していないため、納付要件を満たす必要はありません。ただし、20歳未満で厚生年金に加入している場合を除きます。
年金保険料の納付要件
初診日が令和8年3月末日までにあるときは、次のすべての条件に該当すれば、納付要件を満たすものとされています。
・初診日において65歳未満であること
・初診日の前日において、初診日がある月の2ヵ月前までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと初診日の前日において、初診日がある月の2カ月前までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることが必要です。
引用:日本年金機構|障害年金ガイド
厚生年金に加入している場合は、初診日に厚生年金の加入中である必要があります。
障害等級1~3級に該当すること
障害年金を受給するためには、障害等級1~3級に該当することが条件です。
初診日に国民年金に加入していた方は、1級または2級に該当する必要があります。また初診日に厚生年金に加入していた方は、1級、2級、3級すべて対象です。さらに3級よりも軽い症状でも、障害手当金(一時金)が受け取れます。
障害年金と対象の障害等級 | ||
---|---|---|
国民年金(障害基礎年金) | 厚生年金(障害厚生年金) | |
1級 | ◯ | ◯ |
2級 | ◯ | ◯ |
3級 | 対象外 | ◯ |
手当金 | 対象外 | ◯ |
令和3年の障害等級は、2級の認定が62.9%で最も多く、申請をした92.2%の方が受給できました。
令和3年度 決定区分別件数
障害基礎・厚生合計 130,285件1級:17,392件 13.3%
出典:日本年金機構|障害年金業務統計(令和3年度決定分)
2級:81,929件 62.9%
3級:20,557件 15.8%
手当金:277件 0.2%
非該当:10,130件 7.8%
障害等級と障害の状態は、日本年金機構のホームページに公開されています。
参照:日本年金機構|障害等級表
年齢は20歳以上であること
障害年金を受給するには、年齢は20歳以上であることが条件です。
障害年金の対象は、公的年金の加入者(20歳~59歳)、または公的年金に加入していた60歳以上65歳未満の国内居住者です。
もし10代で会社員になり、フルタイムで働いているなどの条件を満たす場合、20歳未満でも厚生年金に加入できます。ただし、障害年金を受給できるのは、20歳になってからです。
参照
・厚生労働省|10代の皆さんへ | いっしょに検証! 公的年金
・厚生労働省|障害年金のご案内
所得制限をクリアしていること
障害年金を受給するには、所得制限をクリアする必要があります。
所得制限とは、前年の所得額が3,704,000円を超えると年金額が半分になり、4,721,000円を超えると障害年金を受給できなくなる制度です。
初診日が20歳より前の場合は、保険料の納付要件がない代わりに、所得制限がかかります。
<障害年金と所得制限について>
歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等
前年の所得額が4,721,000円を超える場合は年金の全額が支給停止となり、3,704,000円を超える場合は2分の1の年金額が支給停止となります。
なお、扶養親族がいる場合、扶養親族1人につき所得制限額が38万円(※)加算されます。
(※)対象となる扶養親族が老人控除対象配偶者または老人扶養親族であるときは、1人につき48万円が加算され、特定扶養親族または控除対象扶養親族(19歳未満の者に限る)であるときは1人につき63万円が加算されます。
支給停止となる期間は、10月から翌年9月までとなります。
※1 68歳以上の方(昭和31年4月1日以前生まれ)は、990,750円(月額82,562円)となります。
引用:日本年金機構|20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等
※2 68歳以上の方(昭和31年4月1日以前生まれ)は、792,600円(月額66,050円)となります。
所得制限の審査は1年ごとに行われるため、所得が下がればまた受給できます。
20歳以上59歳以下の人は保険料納付要件を満たしていること
障害年金を受けるにあたり、20歳以上59歳以下の人は、保険料納付要件を満たす必要があります。公的年金の納付要件は、初診日の2ヵ月前までの直近1年間で、未納がないことです。
もし未納期間があっても、年金に加入している全期間において、3分の2以上を納付していれば障害年金を受給できます。
参照
・日本年金機構|障害基礎年金の受給要件
・日本年金機構|障害厚生年金の受給要件
障害年金の注意点
障害年金の注意点は、次のとおりです。
- 20歳前の傷病による障害の場合、2段階の所得制限がある
- 一生涯受給できるわけでない
- 初診日の日付が明確でない人は申請が難しい
- 労災保険を同時に受け取ると受給額が減額される
20歳前の傷病による障害の場合、2段階の所得制限がある
20歳前の傷病による障害の場合、2段階の所得制限があります。
前年の所得が3,704,000円を超えると支給額が半分になり、4,721,000円を超えるともらえなくなります。
20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等
前年の所得額が4,721,000円を超える場合は年金の全額が支給停止となり、3,704,000円を超える場合は2分の1の年金額が支給停止となります。
なお、扶養親族がいる場合、扶養親族1人につき所得制限額が38万円(※)加算されます。
(※)対象となる扶養親族が老人控除対象配偶者または老人扶養親族であるときは、1人につき48万円が加算され、特定扶養親族または控除対象扶養親族(19歳未満の者に限る)であるときは1人につき63万円が加算されます。
支給停止となる期間は、10月から翌年9月までとなります。
※1 68歳以上の方(昭和31年4月1日以前生まれ)は、990,750円(月額82,562円)となります。
引用:日本年金機構|20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等
※2 68歳以上の方(昭和31年4月1日以前生まれ)は、792,600円(月額66,050円)となります。
所得制限の審査は1年ごとに行われるため、所得が下がればまた受給可能です。
一生涯受給できるわけでない
障害年金は、一生涯受給できるわけではないことに注意しましょう。
障害年金には、障害の状態が更新される「有期認定」と、障害の状態が固定される「永久認定」があります。
障害の状態が「有期認定」の場合、障害年金を引き続き受ける権利があるかどうかは、1~5年に一度のペースで障害の状態が確認されます。
誕生月の3ヵ月前の月末に、診断書である「障害状態確認届」が日本年金機構から郵送で届きます。障害状態確認届を受け取ったら、診断書欄を医師に記載してもらい、提出期限(誕生月の末日)までに日本年金機構へ返送しましょう。
障害の状態が「永久認定」の場合、生涯にわたって障害基礎年金を受給できます。一生涯もらえることはメリットですが、保険料を追加で納付しても、障害基礎年金の額は増えないのでご注意ください。
永久固定の場合を除き、障害年金の更新期間は1~5年の間で設定されており、更新期間満了日までに提出された診断書(障害状態確認届)に基づいて、再認定を行う仕組みとなっている。
引用:日本年金機構|障害年金業務統計
参照
・日本年金機構|年金Q&A
・日本年金機構|障害状態確認届が届いたとき」
初診日の日付が明確でない人は申請が難しい
障害年金は、初診日の日付が明確でない人は申請が難しいです。障害年金の申請には、初診日を証明する書類(医療機関が作成した受診状況等証明書または診断書)が必要になります。
初診日は、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日のことです。初診日を証明する書類を用意できない場合は、第三者の証明や参考書類で代用できます。
初診時の医療機関の証明を得ることが難しい場合の対応方法
1.20歳以降に初診日がある場合
第三者証明(2通)と 参考資料を用意する
初診日頃に受診した医療機関の医療従事者による第三者証明(1通)を用意する2.20歳前に初診日がある場合
2番目以降に受診した医療機関が作成した受診状況等証明書または診断書を用意する
第三者証明(2通)を用意する
初診日頃または20歳前の時期に受診した医療機関の医療従事者による第三者証明(1通)を用意する*請求者の三親等内の親族の方は、第三者証明を行えません。
参考資料の例
出典:日本年金機構|障害年金の初診日証明書類のご案内
✔ 診察券 ✔ 入院記録 ✔ 医療機関や薬局の領収書
✔ 生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書
✔ 障害者手帳の申請時の診断書 ✔ 交通事故証明書
✔ インフォームド・コンセントによる医療情報サマリー
✔ 事業所等の健康診断の記録 ✔ 健康保険の給付記録(レセプトを含む) など
参照:日本年金機構|初診日
労災保険を同時に受け取ると受給額が減額される
障害年金と労災保険を同時に受け取ると、受給額が減額されます。障害年金を受給している人が、労災保険も受け取る場合、労災保険の受給額は全額の73%~88%になります。
労災保険を同時に受け取る時の受給割合 | |
---|---|
障害年金の種類 | 労災保険の受給割合 |
障害基礎年金と障害厚生年金 | 73% |
障害厚生年金のみ | 83% |
障害基礎年金のみ | 88% |
障害年金と労災保険をどちらも受給すると、受給前の賃金よりも給付額が高くなってしまいます。
また、厚生年金は被保険者と事業主が折半で負担、労災保険は事業主が全額負担することから、事業主の二重負担を回避するための調整方法となります。
参照:厚生労働省|労働基準
障害年金を受ける流れ
障害年金を受ける流れは次のようになり、請求から受給まで4~5ヵ月ほどかかります。
- 書類提出で請求する
- 請求後、3ヵ月ほどで審査結果が郵送で届く
- 審査結果を受けて、1~2ヵ月後から受給が始まる(銀行振込)
書類に不備や確認点がある場合、受給までの時間が遅くなることがあるため、必要書類をきちんと用意することが大切です。
書類提出で請求する
障害年金は、書類提出で請求します。書類の提出先は、お住まいの市(区)役所または町村役場、年金事務所、街角の年金相談センターのいずれかになります。
障害年金請求の必要書類
・年金請求書
住所地の市区町村役場、またはお近くの年金事務所または街角の年金相談センターの窓口に備え付けてあります。
また、日本年金機構のホームページからダウンロードも可能です。・基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
・戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか
(単身者の方で、日本年金機構にマイナンバーが登録されている方は、戸籍謄本等の添付が原則不要となります)・医師の診断書
(障害認定日より3カ月以内の現症のもの)・受診状況等証明書
(初診時の医療機関と診断書を作成した医療機関が異なる場合)・病歴・就労状況等申立書
障害状態を確認するための補足資料・受取先金融機関の通帳等(本人名義)
*本人の状況によって、必要書類は追加される場合があります。
出典:日本年金機構|障害基礎年金を受けられるとき
障害年金を請求できるのは、初診日の1年6ヵ月後(障害認定日)からです。
障害認定日は障害の状態を定める日のことで、初診日から1年6ヵ月が過ぎた日、または1年6ヵ月以内に病気やけがが治った(症状が固定した)日になります。
1年6ヵ月以内に障害の症状が確定したら、初診日から1年6ヵ月を待たずに請求できます。
障害認定日に障害の状態を満たしていなくても、その後症状が悪化して障害の状態に該当すれば、請求日の翌日から障害年金を受け取れます(事後重症請求)。ただし、事後重症の請求期限は、65歳の誕生日の前々日までです。
障害認定日以降はいつでも請求できますが、さかのぼって受給できるのは過去5年分のみです。
初診日は、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日のことです。
参照
・日本年金機構|障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
・日本年金機構「初診日」
・日本年金機構「障害認定日」
審査結果が届く
障害年金を請求してから、3ヵ月ほどで審査結果が届きます。審査に通れば「年金証書、年金決定通知書、年金を受給される皆様へ(パンフレット)」が、日本年金機構から自宅に郵送される流れです。
もし障害年金の審査に落ちた場合は、代わりに「不支給決定通知書」が届きます。
支給をうける
審査結果が到着したら、1~2ヵ月後から支給を受けます。年金請求書に記入した銀行口座へ、偶数月に2ヵ月分が振り込まれる形です。
【年齢・家族構成・障害別】障害年金の金額をシミュレーション
年齢・家族構成・障害別に、障害年金の金額をシミュレーションしました。
- 38歳、配偶者ならびに5歳と2歳の2児扶養
障害等級が3級で596,300円、2級で1,94,390円、1級で2,296,462円 - 17歳前で知的障害
障害等級が2級で795,000円、1級で993,750円 - 20歳で傷病による障害
障害等級が2級で795,000円、1級で993,750円
金額計算のポイントは、初診日に厚生年金に加入していたか、配偶者または子どもがいるか、20歳以上かです。
【38歳、配偶者ならびに5歳と2歳の2児扶養】もらえる障害年金は596,300円~2,296,462円
38歳、配偶者ならびに、5歳と2歳の2児を扶養する方がもらえる障害年金は、障害等級が3級で596,300円、2級で1,94,390円、1級で2,296,462円です。
毎月の給与と賞与の平均額は30万円、公的年金への加入期間は18年とします。
障害年金の金額シミュレーション | |||
---|---|---|---|
1級 | 2級 | 3級 | |
障害基礎年金 | 993,750円 | 795,000円 | - |
障害厚生年金 | 616,612円 | 493,290円 | 596,300円 |
配偶者の加算 | 228,700円 | 228,700円 | - |
子の加算 | 457,400円 | 457,400円 | - |
合計金額 | 2,296,462円 | 1,94,390円 | 596,300円 |
年金額の計算式は、障害基礎年金と障害厚生年金で、下記のように変わります。
障害基礎年金の年金額(令和5年4月分から)
1級(67歳以下の方):993,750円 + 子の加算額
2級(67歳以下の方):795,000円 + 子の加算額子の加算額(2人目まで):1人につき 228,700円
出典:日本年金機構|障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
障害厚生年金の年金額(令和5年4月分から)
【1級】 (報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(228,700円)〕※
【2級】 (報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(228,700円)〕※
【3級】 (報酬比例の年金額)、3級の最低保証額(67歳以下の方):596,300 円※その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。
報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。
報酬比例部分 = 平成15年3月以前の加入金額 + 平成15年4月以降の加入金額
・平成15年3月以前の加入金額=平均標準報酬月額(※2)×7.125/1,000×平成15年3月までの加入月数
・平成15年4月以降の加入金額=平均標準報酬額(※3)×5.481/1,000×平成15年4月以降の加入月数
※2平均標準報酬月額とは、平成15年3月以前の加入期間について、計算の基礎となる各月の標準報酬月額の総額を、平成15年3月以前の加入期間で割って得た額です。
※3平均標準報酬額とは、平成15年4月以降の加入期間について、計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以降の加入期間で割って得た額です。
出典:日本年金機構|障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構|報酬比例部分
日本年金機構|障害年金ガイド
【17歳前で知的障害】もらえる障害年金は795,000円または993,750円
17歳前で知的障害がある方がもらえる障害年金は、障害等級が2級で795,000円、1級で993,750円です。
国民年金と厚生年金は未加入で、働いていないものとします。
障害年金の金額シミュレーション | |||
---|---|---|---|
1級 | 2級 | 3級 | |
障害基礎年金 | 993,750円 | 795,000円 | - |
障害厚生年金 | - | - | - |
配偶者の加算 | - | - | - |
子の加算 | - | - | - |
合計金額 | 993,750円 | 795,000円 | - |
障害基礎年金の計算式は下記となり、未成年を含む19歳以下の場合、請求できるのは20歳になってからです。
障害基礎年金の年金額(令和5年4月分から)
1級(67歳以下の方):993,750円 + 子の加算額
2級(67歳以下の方):795,000円 + 子の加算額子の加算額(2人目まで):1人につき 228,700円
参照:日本年金機構|障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
知的障害などの精神障害に対する障害階級は、下記のように定められています。
障害階級と精神障害の目安
1級
精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの2級
精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの3級
引用:日本年金機構|障害等級表
精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
1級と2級の表現はあいまいですが、精神障害については、厚生労働省で「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が用意されています。
また、20歳前に精神障害を負った人の障害基礎年金は、年金の加入を条件としない代わりに、所得の制限があります。
前年の所得が3,704,000円を超えると支給額が半分になり、4,721,000円を超えると障害年金をもらえなくなるのでご注意ください。所得制限の審査は、1年ごとに行われます。
【20歳で傷病による障害】もらえる障害年金は795,000円または993,750円
20歳で傷病による障害がある方がもらえる障害年金は、障害等級が2級で795,000円、1級で993,750円です。
未婚で子どもなし、厚生年金は未加入とします。
障害年金の金額シミュレーション | |||
---|---|---|---|
1級 | 2級 | 3級 | |
障害基礎年金 | 993,750円 | 795,000円 | - |
障害厚生年金 | - | - | - |
配偶者の加算 | - | - | - |
子の加算 | - | - | - |
合計金額 | 993,750円 | 795,000円 | - |
障害基礎年金の計算式は下記となります。
障害基礎年金の年金額(令和5年4月分から)
1級(67歳以下の方):993,750円 + 子の加算額
2級(67歳以下の方):795,000円 + 子の加算額子の加算額(2人目まで):1人につき 228,700円
参照:日本年金機構|障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
障害の原因となった傷病の初診日に、厚生年金へ加入していれば、障害厚生年金も受け取れます。
参照:日本年金機構|障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
障害厚生年金は報酬額に応じた金額
障害厚生年金は、報酬額に応じた金額で決まります。障害厚生年金は、初診日に厚生年金へ加入していた人が受給対象で、給料や年金の加入期間で金額が計算されます。
障害厚生年金は、国民年金加入者が対象の「障害基礎年金」に追加で受給できます。
障害基礎年金は、障害階級の1級と2級のみ受け取れますが、障害厚生年金は1級、2級、3級、そして障害手当金のすべてが受給対象です。
障害厚生年金はいくら?
障害厚生年金の受給額は、年間で最低596,300円(67歳以下の方)または594,500円(68歳以上の方)です。これまでに納付した保険料に応じて金額が変わります。
初診日から5年以内に病気やけがが治り、障害等級3級よりも軽い障害が残った場合は、障害手当金(一時金)が支給されます。
障害手当金は最低1,192,600円(昭和31年4月1日以前に生まれた方は1,189,000円)で、今まで納付した保険料に応じて金額が決まります。
障害厚生年金の年金額(令和5年4月分から)
【1級】 (報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(228,700円)〕※
【2級】 (報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(228,700円)〕※
【3級】 (報酬比例の年金額)
【障害手当金】 (報酬比例の年金額)× 2※その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。
3級の最低保証額
・67歳以下の方(昭和31年4月2日以後生まれ):596,300 円
・68歳以上の方(昭和31年4月1日以前生まれ):594,500 円報酬比例部分とは、老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金のいずれの給付においても、年金額の計算の基礎となるものです。年金の加入期間や過去の報酬等に応じて決まるもので、計算方法は次のとおりです。
報酬比例部分 = 平成15年3月以前の加入金額 + 平成15年4月以降の加入金額
・平成15年3月以前の加入金額=平均標準報酬月額×7.125/1,000×平成15年3月までの加入月数
・平成15年4月以降の加入金額=平均標準報酬額×5.481/1,000×平成15年4月以降の加入月数
*平均標準報酬月額とは、平成15年3月以前の加入期間について、計算の基礎となる各月の標準報酬月額の総額を、平成15年3月以前の加入期間で割って得た額です。
*平均標準報酬額とは、平成15年4月以降の加入期間について、計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以降の加入期間で割って得た額です。
引用:日本年金機構|障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構|報酬比例部分
日本年金機構|障害年金ガイド
障害厚生年金をもらうための条件は?
障害厚生年金をもらうための条件は、次の3つです。
- 障害の原因となった病気やけがの初診日が、厚生年金保険の加入中であること
- 障害認定日に、障害等級の1級、2級、3級のいずれかに該当していること
- 初診日の2ヵ月前までの直近1年間で、保険料の未納がないこと
初診日は、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日のことです。障害認定日は、初診日から1年6ヵ月が過ぎた日、または1年6ヵ月以内に病気やけがが治った(症状が固定した)日になります。
もし年金保険料の未納期間があっても、公的年金に加入している全期間において、3分の2以上を納付していれば障害年金を受給できます。
年金保険料の納付要件
初診日が令和8年3月末日までにあるときは、次のすべての条件に該当すれば、納付要件を満たすものとされています。
・初診日において65歳未満であること
・初診日の前日において、初診日がある月の2ヵ月前までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと初診日の前日において、初診日がある月の2カ月前までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることが必要です。
引用:日本年金機構|障害年金ガイド
生活が苦しいときは年金を受給しながら融資を受けるのもひとつ
生活が苦しいときは、年金を受給しながら融資を受けるのもひとつの手です。
国の支援制度や、銀行の自動貸付を利用すれば、無利子や保証人なしでお金を借りることもできます。
- 生活福祉資金貸付制度
低所得者、高齢者、障害者が対象 - ゆうちょ銀行の貯金担保自動貸付け
預金を担保に300万円まで借入可能 - 生命保険の契約者貸付
解約返戻金を担保にし、保険会社からお金を融資してもらえる制度 - 質屋
品物を担保にして、査定額を上限にその場で借りれる - 従業員貸付制度
勤めている会社から、お金を借りられる福利厚生制度 - リバースモーゲージ
住宅や土地を担保に、融資を受けられるサービス
年金を担保にした融資制度「年金担保貸付制度」は、令和4年3月末で申込受付を終了しました。令和4年4月以降、年金を担保にお金を借りる行為は、法律で禁止されているため、違法業者にご注意ください。
年金を担保に金銭の借入申込を受けることは、例外なく全て法律で禁止されています。違法な年金担保融資にくれぐれもご注意ください。
※福祉医療機構が実施していた「年金担保貸付制度」は、令和4年3月末で申込受付を終了しました。
引用:日本年金機構|年金を担保にお金を借りることはできますか。
消費者金融と銀行のカードローンも、収入が年金のみの場合、一般的に借入れができません。
ただし、年金を担保ではなく、返済能力として評価することで、収入が年金のみでも申込み可能なカードローンはあります。
- レイク
- 三菱UFJ銀行カードローン「バンクイック」
- みずほ銀行カードローン
- オリックス銀行カードローン
- じぶん銀行カードローン
- ベルーナノーティス
カードローンの申込み年齢は、70歳前後までが相場なので、年齢制限に注意しましょう。
障害年金のよくある質問
障害年金について、よくある質問をまとめます。
- 支給が打ち切られるのは病状が回復して日常生活が送れると判断された時?→はい
- うつ病で障害年金はもらえる?→はい
- 申請が遅れた分はどうなる?→5年分さかのぼって請求できる
- 後天的な精神障害を抱えている人も受給できる?→はい
- 初診日に国民年金のみに加入していた場合はもらえない?→いいえ
- 障害年金をもらうと老齢年金はどうなる?→もらえない(65歳以上は組み合わせ可能)
- ヘルニアでも障害年金をもらえる?→はい
支給が打ち切られるのは病状が回復して日常生活が送れると判断された時?
はい。障害の状態が軽くなり、年金を受ける程度でなくなった場合は、支給が打ち切られます。
参照:日本年金機構|障害の程度が軽くなり年金を受ける程度でなくなったとき
うつ病で障害年金はもらえる?
はい。うつ病の方も障害年金はもらえます。受給額は、障害等級によって異なります。
参照:日本年金機構|障害年金の対象となる病気やケガにはどのようなものがありますか。
申請が遅れた分はどうなる?
申請が遅れた分は、障害認定日以降、5年分をさかのぼって請求できます。
後天的な精神障害を抱えている人も受給できる?
はい。後天的な精神障害を抱えている人も、障害年金を受給できます。
初診日に国民年金のみに加入していた場合はもらえない?
いいえ。初診日に国民年金のみに加入していた場合は、障害基礎年金がもらえます。
障害年金をもらうと老齢年金はどうなる?
障害年金をもらうと、老齢年金はもらえなくなります。ただし65歳以降は、障害基礎年金と老齢厚生年金を組み合わせて受給できます。
ヘルニアでも障害年金をもらえる?いくらもらえる?
はい。ヘルニアでも障害年金をもらえます。
令和5年度の障害基礎年金は、障害等級によって3級は596,300円~、2級は795,000円~、1級は993,750円~です(67歳以下の場合)。
初診日に厚生年金へ加入していれば、給料と年金加入期間によって、障害厚生年金が追加でもらえます。