海外ETFへの投資を検討する中で、「SPYDはどんな商品なのか知りたい」「SPYDの株価の動きやメリット・デメリットは?」など疑問を持っている人は多いのではないでしょうか。
SPYDはS&P500高配当指数をベンチマークしたETFで、世界3大運用会社のステートストリートが運用しており、配当利回りが高く、手数料が安いことが魅力です。
この記事では、SPYDの基本情報やメリット・デメリット、株価の動きなどについて解説します。
●上場投資信託(ETF) 一般的に、ある指標に連動する運用を行う、証券取引所に上場する投資信託のこと。指値や成行注文が可能です。
引用元:金融庁|用語集
●投資信託(ファンド) 「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」のこと。 「集めた資金をどのような対象に投資するか」は、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行います。
引用元:金融庁|用語集
SPYDの基本情報
SPYDとは「SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF」のことです。S&P500高配当指数をベンチマークしており、S&P指数構成銘柄の中で配当利回りが高い79銘柄に投資をします。運用するのは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・マネージメント・インクです。
ここでは、SPYDの主要構成銘柄や運営元について見ていきましょう。
SPYDの基本情報
- SPYDの主要構成銘柄
- 運営元について
- 配当利回りの高さ・経費率の安さが特徴的
SPYDの主要構成銘柄
SPYDの主要構成銘柄(トップ3)は、以下のとおりです。
・CVS Health Corp(1.72%)
・APA Corp(1.65%)
・AbbVie Inc(1.62%)
ファンドの業種別構成比率は、不動産21.74%、生活必需品16.48%、金融15.52%、公共事業13.93%となっています。
運営元について
SPYDを運用するのは、ステートストリート(State Street)社です。世界3大運用会社(ブラックロック、バンガード、ステートストリート)の1社です。ステートストリートはアジア太平洋地域11カ国に展開し、1万3,000人以上の従業員が資産管理やトレーディング、市場調査、資産運用などを行っています。
世界に100拠点以上のネットワークがあり、運用資産は4.1兆ドルに上ります(2021年6月30日時点)。
配当利回りの高さ・経費率の安さが特徴的
SPYDの特徴は、経費率の安さです。経費率とは手数料のことで、SPYDは購入手数料が無料で、信託報酬は年0.07%です。SPYDに100万円投資したとしても、年間手数料はわずか700円です。
仮に、信託手数料が年0.50%のETFを選んでしまうと、5,000円もの手数料がかかり、利益が圧迫されてしまいます。また、SPYDの配当利回りは4.56%(ファンド分配利回り)または4.79%(30日SEC利回り)と高い水準です(2025年11月現在)。
SPYDは、配当利回りが高く経費率が安いのが特徴です。
SPYDの株価チャート
SPYDの株価チャート
- 現在の株価チャート
- 過去これまでの株価チャート
ここでは、SPYDの現在の株価チャートと、過去の株価チャートを見ていきましょう。
現在の株価チャート
SPYDの直近6ヵ月の株価チャートは以下のとおりです。
SPYDは過去数年間で大きな変動を経験しており、2020年には新型コロナウイルスの影響で大幅に下落しましたが、その後回復し、2025年11月19日時点で42.17米ドルで推移しています。
過去これまでの株価チャート
SPYDが設定された2015年10月から現在までの株価チャートは以下のとおりです。
30ドル程度からスタートして2020年まで緩やかに上昇を続けますが、新型コロナウイルスの影響により、2月下旬に39ドル前後だったのが、わずか1ヵ月で22ドルまで下落しました。1年かけて株価は回復し、2021年3月には元の水準まで戻しています。その後も上昇は続き、2025年11月19日時点では42.17米ドルで推移しています。
設定当初の2015年からは約32%株価が上昇しています。
SPYDのメリット・デメリット
SPYDのメリット・デメリットを知ることで、他のETFとの比較がしやすくなり、自分に合うETFかどうか判断が可能です。
ここでは、SPYDのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
メリットとデメリット
- メリット:配当利回りが高く、運用コストが安い。
- デメリット:景気変動の影響を受けやすい。
SPYDのメリット
SPYDのメリットは、配当利回りが高く、運用コストが安いことです。SPYDの配当利回りは4.56%(ファンド分配利回り)または4.79%(30日SEC利回り)で、購入手数料は無料で信託報酬は年0.07%です。ちなみに東証一部上場企業の加重平均利回りと比較しても高い水準です。
●インデックス型(インデックス型ファンド) 日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)等の指数をベンチマーク(基準となる指標)として、そのベンチマークに連動した運用成果を目指すファンド。ベンチマークに基づき運用を行うため、ファンドマネジャーによる銘柄の入れ替えの頻度が少なく、運用にかかわるコストがほかの投資信託に比べて低い、といった特徴があります。
引用元:金融庁|用語集
4.56%の利回りで運用できれば、100万円投資すると年間4万5,600円程度のリターンを得られます。信託報酬も低いため、コストを抑えた運用が可能です。
SPYDのデメリット
SPYDのデメリットは、不況に弱いことです。投資先は不動産や公共事業、金融などの割合が大きいことから、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。2020年にはコロナの影響で、40ドル近い株価が、一時24ドルを割る水準まで下がりました。
また、SPYDの設定日は2015年で、歴史が浅いETFです。同じ高配当株ETFのVYMは2006年、HDVは2011年に設定されています。歴史が浅い分、実績や情報量が少なく、未知な部分が多いです。
メリットだけでなく、このようなデメリットがあることも理解しておきましょう。
SPYDの今後の動向予測
ここでは、SPYDの今後の動向予測について見ていきましょう。
今後の動向予測
- ポートフォリオグロースからの予測
- 年リターン推移からの予測
- 米国株全体の今後の見通し
ポートフォリオグロースからの予測
SPYDは、不動産や金融、公共事業などの投資先が多く、景気の影響を受けやすい傾向があります。2020年にはコロナの影響で株価は大幅に下落しました。その後はベンチマークするS&P500の回復とともに上昇し、株価を戻しています。
2025年現在、アメリカ経済は堅調な状態を保っており、S&P500も史上最高値更新のトレンドを続けています。S&P500は短期的には変動する可能性はありますが、長期的には上昇するという見方は多く、SPYDも上昇が期待できます。
年リターン推移からの予測
SPYDは、コロナの影響により一時的に大きく下落しましたが、その後回復し、現在の配当利回りは4.56%(ファンド分配利回り)または4.79%(30日SEC利回り)と堅調な水準です。今後のアメリカ経済の動向により、株価は変動する可能性がありますが、高い配当利回りを享受しながら長期的な視点での投資に適した商品です。
米国株全体の今後の見通し
米国株市場は、インフレーションや金利動向、地政学的リスクなどが影響要因となっています。これらの変化は株価にとってネガティブ要因となる可能性があり、市場が敏感に反応することもあります。
一方で、AIなどの技術革新により、米国企業の競争力強化が期待されています。短期的には値動きが激しい可能性がありますが、長期的には上昇するとの見方が多いです。SPYDの高い配当利回りは、長期的な資産形成を目指す投資家にとって魅力的な選択肢となり得ます。
SPYDに投資する方法
SPYDに投資する方法は「現物を購入して投資」と「CFD取引で投資」の2種類です。それぞれの方法で特徴や取引の仕組みが異なりますので、事前に把握しておく必要があります。
ここでは、SPYDに投資をする2つの方法について見ていきましょう。
投資方法
- 現物を購入して投資
- CFD取引で投資
現物を購入して投資
SPYDに投資する方法の1つが、現物取引です。現物取引は、現金と株式を取引するものです。取引所に上場している株式を証券会社に預けている資金の範囲内で売買する、一般的な取引です。資金の範囲外で取引することや持っていない株を売ることはできません。
口座資金の範囲内でSPYDを買い、売却の際に保有するSPYDの現物を売る投資方法です。
CFD取引で投資
CFD(Contract for Difference)取引とは、差金決済取引のことです。差金決済取引は、現物の受け渡しがなく、証拠金を預けて売買を行い、反対売買の差額で決済をする取引です。
例えば、SPYDを50ドル購入し、株価が上がり60ドルになったときに売却をしたとします。SPYD現物の受け渡しはなく、差額分(利益)の10ドルを受け渡します。
CFD取引は、買い・売りの両方から取引を始めることが可能です。レバレッジにより資金効率を高めることもできます。
SPYDのおすすめ証券会社
SPYDに投資する際には、買付手数料が重要なポイントです。複数の証券会社で買付手数料無料となっているため、コスト効率的に投資できます。
SBI証券、楽天証券、マネックス証券では、SPYDの買付手数料が無料となっています(2025年11月現在)。これらの証券会社は、取引手数料の安さ、取扱商品の豊富さ、スマートフォンアプリの使いやすさなど、様々な面で投資家から支持されています。
自分の投資スタイルや求める機能に合わせて、証券会社を選択することをお勧めします。
まとめ
SPYDはS&P500高配当指数をベンチマークしたETFで、利回りの高さと経費率の安さが特徴です。高いリターンが期待できるため、中長期スパンで保有を検討できます。
海外ETFに興味がある人は、こちらで紹介した内容や証券会社を参考にして、SPYDへの投資を検討してみましょう。
SPYDに関するよくある質問
SPYDとは何ですか?
SPYDは「SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF」の銘柄を省略した表記で、「SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF」のことです。
SPYDは誰が運用しますか?
SPYDを運用するのは「ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・マネージメント・インク」です。S&P指数構成銘柄の中で配当利回りが高い79銘柄に投資をします。
SPYDの投資先は何ですか?
SPYDの投資先は、S&P指数構成銘柄の中で配当利回りが高い79銘柄です。SPYDを運用するのは「ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・マネージメント・インク」です。
SPYDのメリットは?
SPYDのメリットは配当利回りが高く、運用コストが安いことです。SPYDの配当利回りは4.56%(ファンド分配利回り)または4.79%(30日SEC利回り)で、購入手数料は無料、信託報酬は年0.07%と業界でも低い水準です。
SPYDのデメリットは?
SPYDのデメリットは、不況に弱いことです。投資先は不動産や公共事業、金融などの割合が大きいことから、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。
SPYDの取引方法は?
現物取引とCFD(Contract for Difference)取引(差金決済取引)の2つがあります。CFD取引は、買い・売りの両方から取引を始めることができ、レバレッジにより資金効率を高めることもできます。

