SPYDの株価の動きは?
(画像=PIXTA)

海外ETFへの投資を検討する中で、「SPYDはどんな商品なのか知りたい」「SPYDの株価の動きやメリット・デメリットは?」など疑問を持っている人は多いのではないでしょうか。

SPYDはS&P500高配当指数をベンチマークしたETFで、世界3大運用会社のステートストリートが運用しており、配当利回りが高く、手数料が安いことが魅力です。

この記事では、SPYDの基本情報やメリット・デメリット、株価の動きなどについて解説します。

●上場投資信託(ETF) 一般的に、ある指標に連動する運用を行う、証券取引所に上場する投資信託のこと。指値や成行注文が可能です。

引用元:金融庁|用語集

●投資信託(ファンド) 「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」のこと。 「集めた資金をどのような対象に投資するか」は、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行います。

引用元:金融庁|用語集

SPYDの基本情報

SPYDとは「SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF」のことです。S&P500高配当指数をベンチマークしており、S&P指数構成銘柄の中で配当利回りが高い80銘柄に投資をします。運用するのは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・マネージメント・インクです。

ここでは、SPYDの主要構成銘柄や運営元について見ていきましょう。

SPYDの基本情報

  • SPYDの主要構成銘柄
  • 運営元について
  • 配当利回りの高さ・経費率の安さが特徴的

SPYDの主要構成銘柄

SPYDの主要構成銘柄は、以下のとおりです。

・ベーカー・ヒューズ(Baker Hughes Company Class A、BHGE)
・ファイザー(Pfizer Inc.、PFE)
・アイアン・マウンテン(Iron Mountain Inc.、IRM)
・ハンティントン・バンクシェアーズ(Huntington Bancshares Incorporated、HBAN)
・マラソン・ペトロリアム(Marathon Petroleum Corporation、MPC)
・ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(Walgreens Boots Alliance Inc、WBA)
・エンタジー(Entergy Corporation、ETR)
・サイモン・プロパティ・グループ(Simon Property Group Inc.、SPG)
・コメリカ(Comerica Incorporated、CMA)
・アムコア(Amcor PLC、AMCR)

※2021年9月7日時点

インデックスの組入上位銘柄と変わりなく、ファンドの業種別構成比率は、金融17.98%、公共事業17.59%、不動産16.23%、エネルギー11.16%となっています。

運営元について

SPYDを運用するのは、ステートストリート(State Street)社です。世界3大運用会社(ブラックロック、バンガード、ステートストリート)の1社です。ステートストリートはアジア太平洋地域11カ国に展開し、1万3,000人以上の従業員が資産管理やトレーディング、市場調査、資産運用などを行っています。

世界に100拠点以上のネットワークがあり、運用資産は3.9兆ドルに上ります(2021年6月30日時点)。

配当利回りの高さ・経費率の安さが特徴的

SPYDの特徴は、経費率の安さです。経費率とは手数料のことで、SPYDは購入手数料が無料で、信託報酬は年0.07%です。SPYDに100万円投資したとしても、年間手数料はわずか700円です。

仮に、信託手数料が年0.50%のETFを選んでしまうと、5,000円もの手数料がかかり、利益が圧迫されてしまいます。また、SPYDの配当利回りは4.76%(2021年9月7日時点)と高い水準です。

SPYDは、配当利回りが高く経費率が安いのが特徴です。

SPYDの株価チャート

SPYDの株価チャート

  • 現在の株価チャート
  • 過去これまでの株価チャート

ここでは、SPYDの現在の株価チャートと、過去の株価チャートを見ていきましょう。

現在の株価チャート

SPYDの直近6ヵ月の株価チャートは以下のとおりです。

チャート_SPYD
※「GoogleFinance」より(2021年9月9日時点)

2021年3月23日に37.57ドルまで下落後、上昇を続け、6月8日には42.51ドルをつけています。その後、再び下落が続き、7月19日に38.21ドルをつけてから緩やかに回復し、現在40ドル前後で推移しています。

過去これまでの株価チャート

SPYDが設定された2015年10月から現在までの株価チャートは以下のとおりです。

チャート_SPYD
※「GoogleFinance」より(2021年9月9日時点)

30ドル程度からスタートして2020年まで緩やかに上昇を続けますが、新型コロナウイルスの影響により、2月下旬に39ドル前後だったのが、わずか1ヵ月で22ドルまで下落しました。1年かけて株価は回復し、2021年3月には元の水準まで戻しています。その後も上昇は続き6月には42ドルを超えますが、現在は40ドル前後で推移しています。

設定当初の2015年からは約32%株価が上昇しています。

SPYDのメリット・デメリット

SPYDのメリット・デメリットを知ることで、他のETFとの比較がしやすくなり、自分に合うETFかどうか判断が可能です。

ここでは、SPYDのメリット・デメリットについて見ていきましょう。

メリットとデメリット

  • メリット:配当利回りが高く、運用コストが安い。
  • デメリット:景気変動の影響を受けやすい。

SPYDのメリット

SPYDのメリットは、配当利回りが高く、運用コストが安いことです。SPYDの配当利回りは4.76%(2021年9月7日時点)、購入手数料は無料で信託報酬は年0.07%です。30日SEC利回りは3.98%でインデックスの配当利回りは4.09%です。ちなみに東証一部上場企業の2021年8月の加重平均利回りは1.96%です。

●インデックス型(インデックス型ファンド) 日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)等の指数をベンチマーク(基準となる指標)として、そのベンチマークに連動した運用成果を目指すファンド。ベンチマークに基づき運用を行うため、ファンドマネジャーによる銘柄の入れ替えの頻度が少なく、運用にかかわるコストがほかの投資信託に比べて低い、といった特徴があります。

引用元:金融庁|用語集

4.76%の利回りで運用できれば、100万円投資すると年間4万7,000円程度のリターンを得られます。信託報酬も低いため、コストを抑えた運用が可能です。

SPYDのデメリット

SPYDのデメリットは、不況に弱いことです。投資先は不動産や公共事業、金融などの割合が大きいことから、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。2020年にはコロナの影響で、40ドル近い株価が、一時24ドルを割る水準まで下がりました。

また、SPYDの設定日は2015年で、歴史が浅いETFです。同じ高配当株ETFのVYMは2006年、HDVは2011年に設定されています。歴史が浅い分、実績や情報量が少なく、未知な部分が多いです。

メリットだけでなく、このようなデメリットがあることも理解しておきましょう。

SPYDの今後の動向予測

ここでは、SPYDの今後の動向予測について見ていきましょう。

今後の動向予測

  • ポートフォリオグロースからの予測
  • 年リターン推移からの予測
  • 米国株全体の今後の見通し

ポートフォリオグロースからの予測

SPYDは、不動産や金融、公共事業などの投資先が多く、景気の影響を受けやすい傾向があります。2020年にはコロナの影響で株価は大幅に下落しました。その後はベンチマークするS&P500の回復とともに上昇し、株価を戻しています。

2021年8月下旬にはS&P500が過去最高値を更新するなど、アメリカ経済の強さが際立っています。S&P500は短期的には下落する可能性はありますが、長期的には上昇するという見方は多く、SPYDも上昇が期待できます。

年リターン推移からの予測

SPYDは、コロナの影響もあり2020年のリターンはマイナスでした。しかし現在、株価はコロナ前の水準まで回復し、配当利回りも4.0%を超える予想です。今後は、後述するテーパリングや利上げ次第でアメリカ経済の先行きが懸念され、再び株価が下落基調となる可能性があります。

米国株全体の今後の見通し

米国株のリスクとなっているのが、テーパリング(資産購入の縮小)と利上げです。これらは株価にとってネガティブ要因であり、議論がなされるだけで市場が大きく反応することも多いです。

8月に行われたジャクソンホール会議でもテーパリングの具体的な開始時期について明言はされていませんが、そう遠くはないことが予想されています。これらの時期が具体的に決まれば、株価は大幅に下落する可能性があるため注意が必要です。ただし、長期的には上昇するとの見方が多いです。

SPYDに投資する方法

SPYDに投資する方法は「現物を購入して投資」と「CFD取引で投資」の2種類です。それぞれの方法で特徴や取引の仕組みが異なりますので、事前に把握しておく必要があります。

ここでは、SPYDに投資をする2つの方法について見ていきましょう。

投資方法

  • 現物を購入して投資
  • CFD取引で投資

現物を購入して投資

SPYDに投資する方法の1つが、現物取引です。現物取引は、現金と株式を取引するものです。取引所に上場している株式を証券会社に預けている資金の範囲内で売買する、一般的な取引です。資金の範囲外で取引することや持っていない株を売ることはできません。

口座資金の範囲内でSPYDを買い、売却の際に保有するSPYDの現物を売る投資方法です。

CFD取引で投資

CFD(Contract for Difference)取引とは、差金決済取引のことです。差金決済取引は、現物の受け渡しがなく、証拠金を預けて売買を行い、反対売買の差額で決済をする取引です。

例えば、SPYDを50ドル購入し、株価が上がり60ドルになったときに売却をしたとします。SPYD現物の受け渡しはなく、差額分(利益)の10ドルを受け渡します。

CFD取引は、買い・売りの両方から取引を始めることが可能です。レバレッジにより資金効率を高めることもできます。

まとめ

SPYDはS&P500高配当指数をベンチマークしたETFで、利回りの高さと経費率の安さが特徴です。高いリターンが期待できるため、中長期スパンで保有を検討できます。

海外ETFに興味がある人は、こちらで紹介した内容や証券会社を参考にして、SPYDへの投資を検討してみましょう。

SPYDに関するよくある質問

SPYDとは何ですか?

SPYDは「SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF」の銘柄を省略した表記で、「SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF」のことです。

SPYDは誰が運用しますか?

SPYDを運用するのは「ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・マネージメント・インク」です。S&P指数構成銘柄の中で配当利回りが高い80銘柄に投資をします。

SPYDの投資先は何ですか?

SPYDの投資先は、S&P指数構成銘柄の中で配当利回りが高い80銘柄です。SPYDを運用するのは「ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・マネージメント・インク」です。

SPYDのメリットは?

SPYDのメリットは配当利回りが高く、運用コストが安いことです。東証一部上場企業の2021年8月の加重平均利回りは1.96%に対して、SPYDの30日SEC利回りは3.98%でインデックスの配当利回りは4.09%です。

SPYDのデメリットは?

SPYDのデメリットは、不況に弱いことです。投資先は不動産や公共事業、金融などの割合が大きいことから、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。

SPYDの取引方法は?

現物取引とCFD(Contract for Difference)取引(差金決済取引)の2つがあります。CFD取引は、買い・売りの両方から取引を始めることができ、レバレッジにより資金効率を高めることもできます。