たけぞう

たけぞう

元証券ディーラー。現在は個人投資家兼経営者。証券ディーラー時代は、多い時に約10億円の資金運用を託され、重圧と戦いながら約50億円の収益を上げた
Twitter ブログ

すべての企業を徹底的に分析するのは不可能。業績の良さそうな銘柄のみピックアップし、詳細を掘り下げる

ー 最初に、投資を始めたきっかけについて教えてください。

たけぞうさん(以下、たけぞう):もともと30数年間、証券会社で株の売買の証券ディーラーを務めていました。それがきっかけですね。

ー 現在の投資方針は、基本的に日本株へ投資されているということでした。その理由についてお聞かせください。

たけぞう:最近ではアメリカ株を購入するためのツールが充実してきたと思うのですが、昔は手数料や為替の変動といった要因が大きな障害となっていました。

それが充実したことで、ようやくアメリカ株への投資環境が整ったと考えています。もちろん、アップルやマイクロソフトなどの銘柄が魅力的であることは間違いありませんが、長い間外国株へ目を向けてこなかったため、今は日本株に集中している状況です。

ー ネット証券などで手軽に取引できる環境があると思うのですが、それでもアメリカ株には興味を惹かれませんか?

たけぞう:日本株だけでもチェックするのが大変なので、残念ながらアメリカ株をじっくり調べる時間的余裕がありません。

ー 2019年に、たけぞうさんの本「50億稼いだおっさんが教える 月5万稼ぐ株投資(ぱる出版)」の初版が出た時に拝読しました。政府の情報などを正しく把握することの重要性について記述されていたと思いますが、たけぞうさん自身は企業分析をどの程度されているのでしょうか?

たけぞう:実際のところ、すべての企業を徹底的に分析するのは不可能なので、業績数字だけは全部チェックするよう心がけています。

その中から業績の良さそうな銘柄をピックアップし、詳細を掘り下げるようにしています。決算報告や中期計画など、気になるポイントを読み解くことが主なアプローチです。

ー 今は持ち続けて配当金狙いですか?それとも、頻繁に売買してキャッシュにされているのでしょうか?

たけぞう:私の場合、その会社の決算状況に重きを置いています。特に今の時期では、前期の決算結果から今期の見通しを考慮する必要があります。

銘柄が1ヶ月で上昇したり予想に反している場合は、早めに売却することもあります。長期的に保有することは、あまりありませんね。

ー 日本株の魅力はどこにあると思いますか?

たけぞう:現在は、東京証券取引所の改革が大きな影響を与えていると思います。2023年3月、市場区分の見直しに関するフォローアップ会議で、東証はPBR(株価純資産倍率)が1を割れる企業に対して改善策の開示を要請する通知案を提示しました。

これまでPBRが1倍割れの日本企業が約半数と言われていましたが、もしそれらが1倍割れしなくなると、大きなインパクトが生じるでしょう。

企業も変革を遂げています。新型コロナの影響で一時的に業績が低下し、減配となるケースもありましたが、2018年にコーポレートガバナンスが導入されたことにより、日本企業は株主価値の向上や自社株の増資など、かなりの成果を上げています。

そして、コロナが収束に向かうにつれて自社株買いが増加し、2022年には日本過去最高の自社株買い状況だったそうです。配当の総額も過去最高になっており、これも魅力の1つと言えるでしょう。

そうした日本市場の動きに注目しているのが、海外投資家です。たとえば今年の4月、海外投資家の日本株買い越しが3兆円を超えました。つまり、日本株に魅力を感じている海外投資家が多いということです。

2023年、日本株は大きな変革期。海外投資家の動向や自社株買い、株主還元にも注目

ー 2023年、日本株の動向についてどのようなイメージをお持ちですか?

たけぞう大きな変革期がやってきていると思います。それを最初に捉えているのが海外投資家ですね。自社株買いや株主還元も注目される要素の1つです。そして、やはりPBRの1倍割れというホットトピックがありますよね。

海外の金融不安がネックではありますが、日本発の不安要素は現時点で考えにくいと思います。

ー コーポレートガバナンスや改善策の開示など、東証も市場の健全化に向けて取り組んでいる様子です。

たけぞう:日本はこれまで投資にあまり力を入れていなかった部分がありました。内部留保に偏重してしまい、投資活動が十分ではなかったと言えます。

しかし、東証をはじめとする政策の変化によって、こうした状況に少しずつ変化が生まれています。岸田政権が掲げる新しいNISAなどの政策によって、日本企業に対して投資を促す取り組みが進んでいます。これにより、来年からさまざまな変化が期待されると思います。

損失を取り返そうと焦って行動するのが投資において一番リスクのある行動

ー 話が変わりますが、過去の投資で失敗したことはありますか?

たけぞう:過去にはさまざまな損失を経験してきましたが、具体的には本当に失敗と言えるものはありません。ただ1つだけ言えることは、損失を取り返そうと焦って行動し、自分の考えとは逆の方向に進んでしまった時には注意が必要です。

そのような場合、マイナスがどんどん膨らんでいき、冷静さを失ってしまいます。取り返そうとするとますます損失が増えていく傾向があります。

私は、一定の損失は許容範囲としています。数十年にわたり株式投資をしてきましたが、焦って取り返そうとするのが一番リスクのある行動だと考えています。

調子が良い時に調子に乗って行動し、結果的に一気にマイナスとなる流れもありますね。自ら状況を悪くしてしまうこともあるということです。

ー 投資で損失が発生した場合は、そのまま保有し続けるべきでしょうか?

たけぞう:いえ、私はそうは思いません。一番良くないのは、損失を抱えたまま手を出さないことだと考えています。

ある程度の損失は損失として受け入れ、適切なタイミングで区切りをつけるべきです。もし本当にその銘柄が魅力的だと思えば、もう1回冷静になり、しっかりと調査した上で再度購入すればいいんです。

たとえば、最近のアメリカの金融不安のような場面でも、価格がどんどん下がっていくような時は一度売却し、再度買う姿勢が良いと考えています。

ただぼんやりと保有し続けるだけでは、次に購入するタイミングを逃してしまう可能性があります。

投資が怖い初心者には配当がある会社や優待がある会社への投資をおすすめ

ー 株式投資の初心者が陥りがちな失敗と、その対策についてお聞かせください。

たけぞう:失敗というより、初心者の方々は投資に対して恐怖心を抱いてしまう傾向があります。まず初心者には、配当がある会社や優待がある会社への投資をおすすめします。

また、自分の趣味や好きな食べ物屋さんであったり、女性であれば化粧品会社などに投資してみると良いかもしれません。最初から難しい投資に取り組もうとすると、決算書を読むなど難しい要素が出てきます。自分が好きなものや関わっている業界など、自分が良いと思う企業に投資するのもおすすめの投資方法です。

ー ご自身の書籍の中でも、おすすめを聞かれたら「あなたの会社はどうですか」と答えると書いていますよね。

たけぞう:それを言うとハッとされることも多いですね。実際のところ、私自身もたとえば半導体メーカーの決算書だけを見ても、どの部分が利益を上げているかがわかりません。一方、その業界に勤めている人であれば、事業理解も早いですよね。

ー 肌感覚で事業を理解していることが重要なんですね。

たけぞう:1番わかりやすいと思います。自分が働いている業界であれば、ある程度の実感がありますよね。景気があまり良くないと感じればそうですし。株式投資も同様です。

株価が安い時に買っておくのも良いかもしれません。新型コロナウイルスなどの影響で株価が下がった時に買うのも、利益を生む可能性を秘めています。そういう考え方を初心者の方には持ってほしいと思います。

慣れてきたら、決算書を読んだり個人投資家の集まりに参加したりすると良いでしょう。

損をして諦めるのではなく、続けることが大切

ー たけぞうさんが現在うまくいっている秘訣があれば、ぜひお聞かせください。

たけぞう単純に、ある程度続けることですね。多くの人が損をして投資を諦めてしまいますが、だからこそ、損切りして少ない資金でも再び投資することが重要です。損失を出したあとに再度買うという姿勢が大事だと考えています。

また、損を出した時に何がうまくいかなかったかを振り返ることも重要です。私自身も同じ失敗を繰り返してしまいますが、そういうものを1つずつ取り除いていくことが大切だと思います。

ー 投資初心者におすすめしたい書籍はありますか?

たけぞう:浦上邦雄さんの『相場サイクルの見分け方(日本経済新聞出版社)』という本です。私が証券会社に入った時に先輩から勧められた本で、相場のセオリーや見方がわかりやすく説明されています。まさにバイブル的な本です。

ー たけぞうさんのような投資経験が豊富な方のおすすめの本は信頼性が高まりますね。

たけぞう:私自身はスポーツが好きで、昔の野村監督の本なども読んでいます。メンタル的な部分が癒されるといいますか。野球も株も勝負ごとなので、共通点も多いんですよね。

株の本ばかりにこだわらず、そうしたメンタル本なども読むと頭がスッキリする気がします。

ー 直接的な投資の知識を得るだけでなく、心を鍛えることにも繋がるんですね。

たけぞう:株をやっていると、メンタルがやられることがあります。そういった理由から、メンタル本から得るものも大きいんです。

自分の生き方や投資スタイルが合っているのかを考えるきっかけにもなりますしね。「自分はホームランバッターじゃないから、地道な投資スタイルが合っているかも」といったように考えられます。

株の投資に向いていないのは、強引に取り組む人とSNSの情報に飛びついてしまう人

ー 株の投資に向いている人、向いていない人はどのような人だと思いますか?

たけぞう1番向いていないのは、強引に取り組む人だと思います。自分の全財産を一気に投じるような人は、株式投資には向いていません。

もう1つは、SNSの情報に飛びついてしまうタイプ。情報を参考にすること自体はいいと思いますが、銘柄を買う前にその企業の概要や事業内容を理解してから買うべきです。

単にSNSで紹介されていたから買うのではなく、そのインフルエンサーがなぜその企業を選んだのかを考えることが重要です。

ー たけぞうさんみたいに経験豊富で用語に詳しく、分析できる人は、それらをきちんと活かすことで儲かると思います。予想が当たったり外れたりすることはあると思いますが、成功確率は知識のない人よりも高いと理解しています。この認識は合っているでしょうか?

たけぞう:一概にそうだとは言えません。なぜかというと、経験が邪魔することもあるからです。

例を挙げて説明します。たとえば、Abalanceという会社があります。たしかに決算は非常に良い。しかし、以前はリアルコムという会社で、その時はあまり良い会社ではないという評判がありました。そうすると、決算が良くてもなかなか購入に踏み切れない。これが一例です。つまり、昔の企業体質を知っていることが、投資への抵抗感を生むことがあるんです。

反対に、直近で投資を始めた人のほうが、素直に業績を見て購入に踏み切れることがあります。

ー 先ほど「SNSなどで流れてくる情報を鵜呑みにするのは危険」という話がありました。それでは、どの程度深い知識を持っていればよいのでしょうか?

たけぞう:結局のところ、その企業の体質にも注意を払ってほしいですね。かつて、バイオ株をインフルエンサーが発信し、値上がりするケースも多く見られました。しかし、あとから見るとほとんどの銘柄が期待外れに終わっていました。そのようなケースには注意が必要です。

たしかにバイオ株やゲーム株というのは、すごい魅力的な株価がつくこともあります。しかし、少し注意が必要です。投資する前に最低限業績はチェックしたほうが良いと思います。

まずは一度投資を経験して、配当を受け取ったりして喜びを感じてみてほしい

ー たしかな裏付けや根拠を持つことが重要なんですね。
最後に株に挑戦したいけど失敗が怖いと感じている方にメッセージをお願いします。

たけぞう:今の時代は昔と比べて、お金を投資することが一般的になっています。以前は手数料も高く、100万円以上持っていないと1銘柄が買えない時代でした。

先日、NTTが25分割を発表しました。これによって、近い将来1万6,000円から1万7,000円程度で取引できるようになるでしょう。このような企業が増えてくると、多くの人が投資に意欲的になれますよね。

まずは一度やってみること。損する可能性も高いかもしれませんが、一度投資を経験し、配当を受け取ったりして喜びを感じてみてください。

冒頭で申し上げたように、まずは自分のお金で投資し、自分が好きな分野から始めてみることが大切です。