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(画像=ティーペック株式会社)
鼠家 和彦(ねずみや かずひこ)
ティーペック株式会社代表取締役社長CEO
ティーペック株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 鼠家和彦(Kazuhiko Nezumiya) 1967年生まれ。 金融機関で営業責任者、人事部を経て、企画部門、マーケティング部のマネージャーを歴任。 2010年よりティーペック株式会社入社、全社のサービス品質管理を職責とし、医師・看護師・心理カウンセラー等の専門職で運営する医療・健康に特化したコンタクトセンター運営全般に関わる。サービス業務本部副本部長、執行役員 商品企画本部長、常務執行役員 営業本部長を務めた後、2020年11月より現職。
ティーペック株式会社
ティーペックは24時間健康相談、セカンドオピニオン手配サービス、メンタルカウンセリングなど“からだ”と“こころ”の健康サービスを官公庁や自治体、健康保険組合、企業・団体、学校へ提供。健康支援や福利厚生、クレジットカードや保険商品などの付帯サービスとして導入されています。社名の「ティーペック(T-PEC)」はTotal Private Emergency Centerの頭文字から。「日本の健康インフラになる」を目指す決意を新たに、2023年秋に企業ロゴを一新しました。

これまでの変遷について教えてください。

ティーペック株式会社は現在36期目の会社です。創業者は、前社長で、現在は会長職に就いています。私自身は親族ではなく、外部からの社長として三年前に就任しました。私は、新卒で金融機関に就職し、20年間勤務しました。そこから13年前に当社へ転職し、健康相談サービスのメディカルコンタクトセンターの品質管理を担当する責任者として入社しました。その後、サービス業務本部の副本部長を務め、商品企画本部を立ち上げ、営業本部長として活動した後、三年前に社長に就任しました。

一番感銘を受けた書籍とその理由は?

私が最近感銘を受けた書籍は『両利きの経営』という書籍です。この本の著者は元ハーバード大学の教授であるチャールズ・オライリーとマイケル・タッシュマンで、早稲田大学のビジネススクールの入山教授が監修や解説をしている書籍です。この本に出会ったのは偶然で、多くの書籍を読んでいる中で手に取った一冊でした。

書籍を読んだ後、実際に入山教授の講義を聞きにいったこともあります。入山教授は『両利きの経営』を頻繁に解説されていて、考え方が整理されていたので、講義の内容が非常に興味深かったです。

読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。

『両利きの経営』から学んだポイントは二つあります。一つは、イノベーションを起こしていくためには「知の探求」と「知の進化」が必要ということです。当社は36期目に入って、約1,500の団体に健康サービスを導入していただいて、支援をさせていただいていますが、ニッチなサービスを提供しているため、まだまだベンチャー気質を持っています。しかし、創業から35年を超えてきた当社は、事業の中核である健康相談事業を維持・伸長させながら、新たなヘルスケアという業界でイノベーションを起こし、成長することを求められています。そのためには常に「知の探求」と「知の進化」を忘れないことが大事だと思っています。

もう一つは、「両利きの経営」をしていくためには、リーダーシップが重要だということです。書籍には、核となる事業をメインとしながらも、新しいものを探求していくための最大課題はリーダーシップにあると書かれています。過去の成功体験に囚われるとサクセストラップに陥ってしまうので、サクセストラップに陥らないために「ダイナミックケイパビリティ」、つまりは恒常的に対応していく力を発揮するためのリーダーシップを取っていく必要があると書かれています。私は創業社長ではないので、逆にサクセストラップに囚われることがないと思っています。この書籍を読んで私は約1,500の団体にサービスを導入していただいているという実績と現在の事業を切り分けて考えながら、リーダーシップを取って事業を進めていくということを意識しています。

経営において重要としている考え方を教えてください。

経営において重要だと思っていることは3つあります。1番重要だと思っているのは、マーケット・インの考え方です。既存の事業を活かしてさらに新しいサービスの周辺で何が必要なのかということの答えはお客様が持っているので、お客様の声を聞きにいくようにしています。利用者の声を聞きながら、マーケットインで新しいサービスというのは考えられていくべきだという考え方で事業を進めています。

2つ目は、ボトムアップの考え方です。成熟期に入ってきている当社は、ボトムアップでメンバーに考えてもらうことを大切にしています。従業員向けにワークショップをたくさん開いて、色々な意見を集約して、経営会議を通して、ほぼそのまま採用するということを実践しています。

3つ目は、2つ目の話にも繋がってきますが、社員それぞれ自分自身で考えてもらうということを意識しています。具体的には、社長室も常に開けっ放しにして、社員とディスカッションをする時間を設けたりしています。会議では、指示待ちになるのではなく、常に社員に「どうしたい?」ということを聞くなどの取り組みを経て、社員は自分で考えて意見を言うスタイルに変わってきています。さらに3年前からは、社員同士のディスカッションの場で、役職で呼ぶことを廃止することによって、役職のバイアスなく、意見を出し合って進めることができるようになりました。

最後に、御社の未来構想や従業員への期待について教えてください。

ティーペック株式会社
(画像=ティーペック株式会社)

当社の従業員には、「外に出ていく」「中だけで考えない」ということを意識してほしいと思っています。入山教授は「知の探求はリーダーの行動範囲に比例する」と仰っていました。社長である自分が積極的に動かないと会社にも新しい情報が入ってこないので、私は経営者向けの勉強会に行くなどして、自分自身が率先して外部に出て、人間関係を広げていく動きをしています。

社員にも、何か社内で良いアイデアが思いついたときに、「そのアイデアが外部ではどのように捉えられているのか」という観点を忘れないように伝えています。

さらに全国2,376名の医師が参加するティーペック独自のネットワークがあるので、先生方に勉強会をやってもらって社員に勉強する・考えるという機会を与えています。与えられた勉強の機会から色々発想し、実践してもらうことを従業員には期待しています。専門職のネットワークと組織力を持ってすれば、今取り組んでいる日本のヘルスケア課題の解決や日本の新たな健康インフラになるという当社のビジョンは必ず達成できると思っています。