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(画像=株式会社CureApp)
佐竹 晃太(さたけ こうた)
株式会社CureApp代表取締役社長
1982年生まれ、慶應義塾大学医学部卒業。日本赤十字社医療センターなどで臨床業務に従事し、呼吸器内科医として働いた後、海外に留学。 中国・上海のCEIBSにてMBA、ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生学大学院で修士取得。その後、2014年にCureAppを共同創業。 治療アプリの研究開発を行う他、現在も診療を継続し医療現場に立ちながら 日本遠隔医療学会理事会長・デジタル療法分科会長・日本禁煙学会評議員として学術活動も活発に推進している。
株式会社CureApp
2014年に医師が創業した医療系スタートアップで、治療効果が治験にて証明され医療現場で医師が患者に処方する「治療アプリ」を研究開発・製造販売する医療機器メーカー。 2020年、スマートフォンで動作する疾患治療用のソフトウェア医療機器として、禁煙治療領域において世界初の薬事承認取得および保険適用での処方が開始。その後、高血圧症領域においても2022年4月に世界初の薬事承認取得、同年9月に保険適用。医師の指導と治療アプリを組み合わせた「スマート降圧療法」として多くの医療機関に導入されている。 その他、NASH / アルコール依存症 / がん / 慢性心不全 / 慢性腰痛症など複数の疾患に対する治療アプリの開発を進めている。

1.これまでの事業の変遷について教えてください。

株式会社CureApp
(画像=株式会社CureApp)

日本で5年間医師としてのキャリアを歩む中で、地域間の医療格差と高額な医療費に課題を感じたところから私たちのビジネスはスタートしました。その課題解決に繋がるソリューションを探す中で、アメリカに留学した際、治療アプリに関する論文を読み、アプリで治療ができるという事実に衝撃を受けました。医師として、アプリを活用した治療に感銘を受けただけではなく、ビジネス的な好機としても大きく期待できると感じました。当時、日本にはアプリを使って治療するという概念はありませんでしたが、私は治療アプリが社会課題に対するソリューションになると考えました。

まず、治療アプリは、地域関係なく同水準の治療を提供することができ、医療の地域格差も埋めることが期待できます。また、従来の医薬品の数十分の一の研究開発費用で、同程度の効果を生み出す可能性があり、医療費を削減することができると考えています。それが会社を立ち上げるきっかけとなり、現在では治療アプリの開発と普及を行っています。

2. 一番感銘を受けた書籍とその理由は?

私が一番印象深く感銘を受けたのは、ジム・コリンズの著書「ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則」です。世の中にない新しいサービスを出し成長し続ける企業となる上で大切な考え方や人材選び、マインドセットなど、今事業を作る上で大切にしているエッセンスが詰まった本です。

ビジネスとは無縁の医師という職業から初めてビジネスの世界に飛び込んだ私にとって、成功し続ける企業を作るためのマインドセットと考え方を学ぶことができました。

3. 読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。

「厳しい現実と最悪のシナリオに目を向けつつも、最後には必ず成功すると信じて事業を進める」というこの本から学んだ考え方は、今も事業を進める上で大事にしているマインドです。私たちのビジネスは医療という規制産業の中で、テクノロジーを活用するという観点で、難易度がかなり高いビジネスと言われています。そのような状況の中でも「必ず私たちは成功する」という強い意志を持って、やり遂げることが大事だと感じています。加えて、リーダーシップの考え方として「現状に満足せず、常に高みを目指すこと」と「常に謙虚さを持つこと」を両立することが本当のリーダーシップだとこの本から学びました。

4. 経営において重要としている考え方を教えてください。

経営において重要視しているポイントは2つあります。 1つ目は、組織のパフォーマンスを最大化する上で、会社規模やステージが変わったとしても、その時やるべきことをフレキシブルにやることです。例えば、シード期は自分がプレイヤーとして動き、グループができる規模になったタイミングでは、グループリーダーとして動き、さらに起業規模が拡大し中間管理職が必要になるタイミングでは、中間管理職が動きやすいように経営者としてサポートし、方向性を示すというようにステージに合わせてフレキシブルに動くことが大事だと思っています。

2つ目は、どんな状況でも会社のミッション・ビジョン・事業に対して必ずうまくいくと腹の底から信じ続けられるかということです。先ほども述べたように、医療とテクノロジーを掛け合わせたビジネスは非常に難易度が高いですが、私たちの事業の成功を信じ、日々取り組んでいます。

5.最後に、御社の未来構想や従業員への期待について教えてください。

当社は治療アプリ事業以外にも法人向け健康支援事業である「ascure」も提供しており、現在は禁煙と高血圧領域で展開しています。ascure事業もしっかり伸ばしつつ、双方の事業を融合させることで更なるシナジー効果を生むことが重要だと考えています。病院内で完結している医療の分野と、健康支援という病院内で完結していないビジネスを融合させることによって、新しいビジネスが生まれると考えています。 また、2019年にアメリカに作った子会社を中心として、日本の事業を伸ばすだけでなく、グローバル展開も進めていきたいです。

従業員に期待することは比較的自由なソフトウェアと規制の厳しい医療を掛け合わせた難易度が高いビジネスをやる中でも、世の中に新しい価値を出せるということへの喜びを感じてほしいと思っています。人生は一度しかないので、世の中になくて、難易度が高くて、自分をワクワクさせてくれるようなことに前向きに取り組んでほしいです。