CX改善プラットフォームを提供する株式会社Sprocketの代表取締役CEO。
「テクノロジーで、人と企業が高め合う関係を作る」をミッションに、ビジネス成長に貢献することを目指す。
注目のマーケトピックを発信中。noteでは顧客心理に注目した記事を書いています。 http://note.com/fukadakoji
これまでの事業の変遷について教えてください。
事業の発端は、2011年頃に関心を持ったゲーミフィケーションというコンセプトにあります。ただ、そもそもはデジタルマーケティング業界に約20年いるなかで、クーポンやポイントを付与するといった金銭的なインセンティブでユーザーを変えようというアプローチが非常に多いことに課題意識を持っていたことが背景としてあります。
例えば、一般的な対面での営業の場合はお店でクーポンをあげることで服を買ってもらうというような接客は多くはないですよね。それに対して、オンラインではそういう手法が多く、他にも色々なやり方があるはずなのにそれが発掘されずに終わってしまってる状況にずっと違和感を持っていました。
そんな中、ゲームで使われているようなユーザーをモチベートするような方法論であるゲーミフィケーションを知り、これを採用することでユーザーと企業のコミュニケーションのあり方に新しいアプローチができるのではと考え、株式会社Sprocketの創業をしました。
一番感銘を受けた書籍とその理由は?
様々な本がある中で一冊を選ぶのは難しかったのですが、最近読んだ中で特に感銘を受けた本は、村上隆さんの『芸術起業論』です。
この書籍では芸術の世界でも評価される方法論があり、方法論を理解した上で作品を制作しないといけないということが書かれています。
方法論には芸術として見なされるための文脈や条件などが紹介されているのですが、単に自分の好きなものや自分の心情を精一杯表現すればいいものができるのかというとそんな甘いものではない、評価されるためには狙わなくてはいけないという話が印象的でした。
また、芸術の売買に関わる人として、「作品を作る人」、「作品を買う人」だけでなく第3者の立場として「作品を評価する人」がいることで成立しているという三角関係が、実は現代のネットの未来のありようや、今世の中の様々で場面で起きているものを考える上で重要だと感じました。今後、特にマーケティング業界ではこの関係性を理解し、行動することが重要になっていくと思います。
経営において重要としている考え方を教えてください。
Sprocketは2社目の創業ですが、1社目は学生の時に作った会社だったため、意図して組織設計などをしっかり作れてはいませんでした。そのため、Sprocketではどんな組織にしていくかしっかりと考えました。具体的には「仲間を信頼する組織」というコンセプトを作って、それに則ってずっと経営してきました。仲間を信頼するとは何かを考える上では、フレデリック・ラルー氏の『ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』という書籍が考え方とも近く、参考になりましたね。
最後に、従業員への期待について教えてください。
従業員には「楽しく仕事をしてほしい」ということを一番に考えています。あとは、もちろん全員がそうである必要はないかと思いますが、一生懸命何かに対して頑張っている人や自分自身がすごいなと思う人は好きなので、そういう人と一緒に頑張りたいなと思っています。
採用の評価基準としては「大人である」「プロである」「事業成長にコミットする」という3点に合意して入社いただくのは前提ですが、個人的には仕事が楽しいという思いを共有しながら一緒に働けるといいと思っています。