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(画像=プロパティデータバンク株式会社)
板谷 敏正(いたや としまさ)
プロパティデータバンク株式会社 代表取締役会長
1989 年、清水建設株式会社入社。
エンジニアリング事業部門にて就業後、2000 年に同社社内起業家公募制度を活用しプロパティデータバンク 株式会社を設立。
不動産管理向けクラウドサービス「@プロパティ」を開発・リリース。
2018 年に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)への上場を果たす。
現在はプロパティデー タバンク代表取締役会長を勤める傍ら、早稲田大学 大学院客員教授を兼任。
学術・ビジネスの両 面から不動産経営を追求している。
プロパティデータバンク株式会社
代表者:代表取締役会長 板谷 敏正 
代表取締役社長 武野 貞久 
設 立:2000年10月2日 
所在地:本社 東京都港区浜松町一丁目30番5号 浜松町スクエア(受付6F) 
大阪 大阪市中央区北久宝寺町四丁目4の7 VPO本町セントラル 資本金:332,715千円 
URL:https://corp.propertydbk.com/

不動産に関する様々な業務を効率化する「B to Bの不動産テック企業」です。2000年10月の創業以来、不動産・施設等の運用管理等に特化した統合資産管理クラウドサービス「@プロパティ」の提供を主力事業と位置付け、市場を開拓・拡大して参りました。
「@プロパティ」は、不動産・施設の運用管理における業務効率改善、資産価値向上のためのクラウドサービスであり、お客様のリアルタイム経営戦略をサポートします。

目次

  1. 創業の経緯と事業変遷について
  2. 過去にぶつかった壁とブレイクスルー(どう乗り越えたか)
  3. 思い描いている未来構想や目指す世界観
  4. ZUU onlineユーザーと次世代の経営者へのメッセージ

創業の経緯と事業変遷について

当社は清水建設が創業200周年を迎える頃にできた社内ベンチャー制度を利用した第一号企業です。当時、清水建設では、建物をつくるところまで行っていましたが、建物を建てた後の、長期にわたった運営や管理の部分には取り組んではいませんでした。この竣工後のビジネスをやりたいと思い、若手の有志数名で案を練っていたタイミングで、たまたま社内ベンチャーという制度が作られたので、その制度に則ってビジネスを立ち上げたというのが当社の始まりです。

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(画像=プロパティデータバンク株式会社)

不動産管理のソフトウェアを提供するというところまでは、創業前の屋根裏部屋で温めてたアイデアです。海外のファンドでは複数のビルを管理したり、場合によっては世界中の不動産を管理しているという文献をみた際に、複数のビルを一括で管理できるソフトウェアをつくり、現地でも本社でも、あるいは北海道から九州のビルまで、同じソフト使ってデータを一箇所で束ねられるものを提供したいと考えていました。そこを軸に情報収集をしながら様々な人に相談している中でASPという技術をみつけ、その瞬間に現在のデータバンクという構想が浮かびました。ASP事業では、ソフトウェアや情報をサーバーで全て管理して、お客様はネット上で利用する。つまり、サーバーにプロバティのデータが溜まっていくという事業モデルがそのままプロパティデータバンクという社名になっています。

この時期にJ-REITが発足したこともこのビジネスを始める追い風になり、2社のJ-REITが上場したタイミングをめがけて創業しました。ファンドは日本全国からインターネットで情報集約する必要があるうえに関わるプレイヤーも多く、J-REITではASPが絶対に必要になると信じて始めたビジネスなのです。

過去にぶつかった壁とブレイクスルー(どう乗り越えたか)

創業0年目で、まだまだサービスも成熟していない時期に、多くの競合企業に囲まれたことは、我々がぶつかった大きな壁です。社会がこの業界のチャンスに気付き、大手通信会社や大手デベロッパー、大手ゼネコンなど、日本を代表する大企業が参入してきたことで競合が一気に増えました。参入自体は我々が先行したものの、大手ゼネコンは建物の建設から竣工後の管理におけるソフトウェアも一貫してオンプレミスで提供するというスタイルでシェアを拡大していきました。我々も清水建設の傘下とはいえ、別会社として動いていたので、競合他社と比べると、建設側への訴求はビハインドな状況でした。

そのような環境のなかで我々は、パブリッククラウドへの選択と集中により活路を見出しました。クラウドには、大きく分けてプライベートクラウドとパブリッククラウドという2種類があります。前者は、ASPソフトをお客様ごとに作成し、その企業の社内でASPをインターネット上で使えるが、その会社しか使えないというものです。一方、後者は現在メガベンチャーのSaaS企業が提供しているような、何百社、何千社が同時に使えるようなソフトウェアです。

当時は、プライベートクラウドの方が、開発が比較的容易であり、なおかつ個々の案件ごとに得られる利益が大きかったため、競合企業はこぞってこちらに注力しましたが、我々はこのパブリックの方に絞って注力しました。技術面でも利益面でも困難な道でしたが、本当に企業が求めているものを提供するために徹底的に技術を磨きました。その結果、異なる企業が数十社単位で関わりあう不動産業界のお客様のニーズにあったサービスを提供できるようになりました。

また、当時日本で流行りだしていたJ-REITと我々のサービスがマッチしたことで、J-REITの企業に当社のサービスを真っ先にご利用いただくことができました。さらに、大手企業こそ我々のサービスを必要としていると考え、まずは各業界のトップ企業に我々のサービスを提案したところ、まさに求めていたサービスだと言っていただき、全国にグループや支社を展開する大手企業を中心に我々のサービスを導入いただけました。大手企業様を中心に実績を積みながら、その過程で技術やサービスを磨いていくことができました。

思い描いている未来構想や目指す世界観

まずは、日本の古い建物は価値がないという価値観を変えたいです。日本の建物の寿命は50年から60年と言われていますが、海外では100年から200年と言われています。実際、内閣府の調査によると日本の不動産の市場規模の大半は土地です。つまり、建物はほとんど価値がないものとして計算されているのです。これは日本の資産や市場規模が小さく評価されているということで、本当にもったいないことだと思っています。建物の価値も評価されるようになれば、不動産の市場規模は千兆円単位で変わるのです。

また、古い建物が有効に利活用されることで、建物を壊して新しい建物を建てる必要がなくなり、他のことにお金を使えます。建物を長期的に大事に使うことは、古い街区を再生して都市の魅力を増していくことにも繋がり、日本を元気にしていくということにも繋がるのです。

一方、我々のビジネスの面では、現在当社のソフトウェアを使っていただいているユーザー規模は30兆円ほどで、これはまだまだ少ないと感じています。不動産のホールライフを通して幅広いビジネスチャンスがあると思いますので、不動産の管理だけではなく仲介や売買、場合によって不動産の評価など様々な場面で我々のサービスを使ってもらうことで、ユーザー規模を拡大して、近い将来で百兆円規模をターゲットにして運営していきたいと思っています。

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ZUU onlineユーザーと次世代の経営者へのメッセージ

新しいマーケットやビジネスモデルを生み出していくことがベンチャー企業の使命であり、それが経済を活性化させ、日本全体を元気にしていくことになると考えています。 大企業では既存のビジネスとの兼ね合いや、小さいビジネスは評価されにくかったりするので、新たな道を切り開き、新しいビジネスを創造するという役割は、ベンチャー企業が担っていく必要があります。 なので、様々なベンチャー企業が、どんどん誕生して、新たな産業を生み出すために、投資家の方々や経営者の方々と一緒に挑戦していきたいと思っています。ベンチャー企業全体を盛り上げていきたいと思っていただけるような方が増えていったら嬉しいと思っています。

氏名
板谷 敏正(いたや としまさ)
会社名
プロパティデータバンク株式会社
役職
代表取締役会長