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(画像=株式会社パリミキホールディングス)
多根 幹雄(たね みきお)
株式会社パリミキホールディングス代表取締役会長
株式会社パリミキアセットマネジメント代表取締役会長
1959 年生まれ。84年慶応義塾大学商学部修士課程修了。 同年三城(現・パリミキホールディングス)入社。 88年より専務など要職を歴任。1998 年から9年間、スイスにてM&Aとグループ企業の資産運用に従事。帰国後2013 年から投資運用会社の経営にかかわる。2017年より現株式会社パリミキホールディングスの会長に就任。企業の再編と新しい事業展開に取り組む。 著書に『スイス人が教えてくれた「がらくた」ではなく「ヴィンテージ」になれる生き方』(2016年 主婦の友社)、『あいのり投資 』(2018年 集英社)『Japan is back』(2023年 主婦の友社)がある。
「パリミキ」というと「メガネ」をイメージされる方が多いと思います。実はメガネのお仕事は、他の小売店と大きく異なる特徴があります。それは店頭に並んでいる商品をそのままお渡ししても何の価値もないという点です。お客様のご要望お聞きし、視力を測定、そのご要望や視力に合わせてレンズを選び、お顔に合うフレームを提案し、そして快適に掛けられる様にフィッティングする…そうやってはじめてお客様に役立つメガネになるのです。この「お一人おひとりにお合わせする」ことこそが我々の本業といえます。
近年、モノの満足がある程度満たされ、こころの満足を求める時代へ変化してきています。こころはとてもデリケートなもの。「今だけ、ここだけ、あなただけ」にぴったり合ってはじめて満足できるものです。つまり、我々が得意とする「合わせる」ことがとても大事な時代になってきているのです。この歴史的な変化をチャンスとするため、2022年に当社のパーパス(存在意義)を『「トキメキ」と「あんしん」でお一人おひとりをより豊かに』変更しました。今後は、メガネに限らず、生活のさまざまなシーンでの「トキメキ」と「あんしん」を提供する事業を創造し、世界的規模での展開に挑戦しています。

目次

  1. これまでの事業変遷について
  2. 過去にぶつかった壁とブレイクスルー(どう乗り越えたか)
  3. 思い描いている未来構想や目指す世界観
  4. ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言

これまでの事業変遷について

弊社は、現在まで3度の変遷を経験してきました。1つ目は、1930年、93年前の創業です。当社の創業者は元々工場に勤めていましたが、世界大恐慌の影響で退職し、弊社を創業しました。創業時に手がけたのは時計店でした。当時は工業化時代。多くの農家の方々が工場勤務に移行し、時計が必要となる時代でした。そんな人々に当時ではまだ珍しかった分割払いで時計を購入できるサービスを提供し、好評を得ます。

2度目が1960年です。この頃はテレビが普及し始め、それまでのラジオによる聴覚情報から視覚情報へと移り変わる時代でした。そこで、「メガネの三城」を立ち上げメガネ専門店となります。その後、この見通しは的中し、テレビからパソコン、そしてスマホと益々視覚情報が重要な時代となっていきました。国内の出店立地も、SCからいち早く郊外店へと変遷することで多店舗化に成功します。そして1973年にはメガネにファッションの概念を取り入れるためにパリに出店。そして「パリミキ」の屋号で東京進出、これが今の社名の由来になっています。その後、世界展開も着々とすすめ、2023年11月時点、13カ国、93店舗の展開をしています。

3つ目が、2022年で、社名を「パリミキホールディングス」へ変更し、「トキメキ」と「あんしん」をテーマに新しい豊かさを提供する企業へと変貌を遂げようとしています。ここまでが創業から現在までの事業変遷ですが、常に「時代の変化の中で、お客様が何に困り、私どもに何ができるか」を考え、自らを変えてきています。

過去にぶつかった壁とブレイクスルー(どう乗り越えたか)

創業来様々な危機がありましたが、私たちが近年、直面した最も大きな壁は、21世紀に入ってからの低価格帯の市場が急成長したことです。当時、日本はデフレの真っ只中で、消費者は価格を重視するようになり、加えて、中国からの安価な商品が市場に溢れ、眼鏡業界にもその影響が及びました。この変化により、当社は国内外での圧倒的優位な地位を失うことになり、国内でも三位に転落します。この危機に対して、弊社も低価格帯の業態を新たに作り、安売り店に対抗しようとしましたが、なかなかうまくいきませんでした。

そこで、私たちは原点に立ち返り、自社の強みである「合わせる」ことにこだわることを決意、各地域の店舗を地域のお客様に合わせることに注力しました。例えば、東京の渋谷の店は、以前はチェーン店特有の均一的な店舗でしたが、それをアメリカの50年代の世界観を表現した店舗につくりかえました。音楽をテーマに、店内にはアンティークなギターやジュークボックス、ドラムなどを配し、店員も以前のスーツ姿からカジュアルな服装に変えました。渋谷の「空気」を創り出すような魅力的なお店に生まれ変わったのです。その結果、かつては最大の赤字店舗でしたが、最も収益を上げる店に変わりました。この成功により、他の店舗も地域のお客様に合ったカスタマイズを進め、現在、約半数の店舗のリニューアルを終えたところで、業績も目に見えて向上してきています。

株式会社パリミキホールディングス
(画像=株式会社パリミキホールディングス)

加えて以前から技術面にも力をいれてきましたが、これまでは目にわかる形でレベルの高さを伝えることができませんでした。しかし、2022年に国家検定資格(眼鏡作製技能士)ができ、弊社では994名が合格。全国の合格者が9867名ですから、業界内でも圧倒的な優位を誇っています。

株式会社パリミキホールディングス
(画像=株式会社パリミキホールディングス)

思い描いている未来構想や目指す世界観

未来構想については近い未来と少し遠い未来の2つの視点からお伝えします。

まず、近い未来ですが、現在主力となっている眼鏡事業をとりまく世界環境をお話ししますと、日本をはじめ、中国、東南アジア、ヨーロッパといった地域で高齢化が進んでおり、それに伴い老眼だけでなく目の疾患が増加しています。また、若い世代、特に小さなお子様にはスマートフォンの普及による近視の増加が問題となっています。これは世界的な現象であり、網膜への影響や将来的な失明リスクも考慮しなければなりません。

これらの新しいお客様の課題に対処するためには、良い眼科との連携が不可欠です。そのため、10年前にベトナム・ハノイで眼科病院を開業し、その中にパリミキの店舗をオープンしました。これが現地のお客様に大好評で、事業としても大成功します。国内でも眼科を中心としたメディカルモールにパリミキを出店させるなど、国内外で「よいメガネ店+よい眼科=あんしん」を目指した展開を行っています。この取り組みは、国内外のメガネ店に先駆けた取り組みであり、世界をリードしていると自負しています。

中長期的な未来では、「トキメキ」と「あんしん」を提供する新しいサービスを展開していこうと考えています。今後益々、物質的な充足を超え、こころの満足を追求する時代が来ると考えています。個々人のこころの状態に「合わせた」カスタマイズが重要であり、こころに寄り添うホスピタリティこそが、これからの我々の活動領域だと信じています。 そこで、補聴器やファッショナブルなサングラスやメガネに限らず、メディカルやファイナンス、エンターテインメントなど、多岐にわたる「トキメキ」と「あんしん」の提供を通じて、顧客一人ひとりに合った豊かな人生をサポートし、顧客のニーズに応じた新しいホスピタリティを世界に向けて提供することで、長期的な企業価値を創造していくつもりです。

ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言

ZUU onlineをご覧の皆様にも、我々のお店を是非一度訪れていただきたいですね。その上で我々のクオリティを体感していただけるとうれしいです。デフレ時代は「価格」が全てでしたが、インフレ時代のこれからは「付加価値」が勝負の時です。そういう意味でようやく我々の時代がやって来たこと、そして未来の可能性を確信しています。

株式会社パリミキホールディングス
(画像=株式会社パリミキホールディングス)

ちょっと余談ですが、最近「JAPAN IS BACK」という本を出版しました。日本もこれから非常に面白い国になりますよ。日本は豊かになった世界の人々が求めるソフトパワーの宝庫です。日本の素晴らしさを、世界に向けて発信し、積極的に海外展開を進めるべき時だと思います。我々パリミキHDもこのチャンスを最大限活かすべく、医療やおもてなしなど日本の良いところを世界で積極的に展開する未来を描いています。皆様もこの時代を是非活かしてほしいですね。

氏名
多根 幹雄(たね みきお)
会社名
株式会社パリミキホールディングス
役職
代表取締役会長