会社員として働いていたつみたてシータさんは、結婚を機に本格的な資産運用を始めた。そして、より多くの日本人が投資に目覚めるために、とブログ「つみたてシータ」で情報発信を開始。2020年1月からはユーチューバーとして活動し、チャンネル登録者数は21万人超に達している。ブログやYouTube動画を通じて伝えたいつみたてシータさんの熱い思いとは?

つみたてシータ
つみたてシータ氏
投資に臆病な日本人にもっと積極的な資産運用に取り組んでもらうため、動画などを通じて意欲的に情報発信を続けるユーチューバー。2016年に結婚したのを機に投資を始めるとともに、ブログで情報発信。2020年1月からYouTubeで動画配信も始める。 愛妻、愛娘、愛猫との4人暮らし。
ブログ:つみたてシータ
YouTube:つみたてシータ

結婚を機に資産運用を開始、過去にはFXで大失敗も

画像=PIXTA


−−つみたてシータさん自身は、どういった経緯で投資を始めたのでしょうか?

僕が投資を始めたのは、結婚が大きなきっかけです。独身時代は毎月の給与を使い切っていましたが、家庭を築いたのを機に運用で増やすことを考えるようになりました。

実は、リーマンショック(2008年9月)の頃に僕はFXで数百万円を溶かしてしまった苦い経験があります。為替相場のことなどをきちんと勉強することなく、感覚的にトレードしていたのにそれなりに資金が増えていったので、ついつい強気になってしまい、ハイレバレッジの集中投資でロスカット(損失拡大防止のための強制決済)を喰らったのです。

本格的に資産運用に取り組むに当たっては、 「ほったらかし投資術 (山崎元・水瀬ケンイチ共著)」や「株式投資の未来(ジェレミー・J.シーゲル著) 」、「ウォール街のランダム・ウォーカー(バートン・マルキール著)」をはじめとする書籍で勉強を重ねました。こうしたインプットともにアウトプットも必要だと思ったのがブログを始めた動機です。

YouTubeの動画配信については、2019年に一身上の都合で勤務先を退職したことが大きく影響していますね。チャレンジしたかったテーマの一つとして2020年1月から配信をスタートしたところ、株式市場でコロナショックが発生したこともあって、多くの人たちに興味を示してもらえました。

実際に配信を初めてみて痛感したのですが、株価の暴落が発生すると、むしろ投資への関心が高まる傾向があるのです。以来、僕は自分でも投資を続けながら、ユーチューバーとして活動しています。

−−ブログやYouTubeでは投資に関する知識とともに、どのようなメッセージを伝えたいと考えていますか?

「投資に臆病な日本人の資産を増やす」というのがブログのコンセプトです。金融庁のデータによると、米国人は全資産の45%が株・投資信託ですが、日本人は18%にすぎません。そのため、過去20年間に世界経済が成長し続けたことで米国人は投資で2.3倍にお金を増やせましたが、日本人は1.15倍でほとんど増えていません。

米国人の投資信託購入は、その80%がプロのアドバイザー(IFA=Independent Financial Advisor)経由です(確定拠出年金は除く)。しかし、日本ではIFAは浸透しておらず、学校の授業でもお金について教えてくれません。

専門家だと思って金融機関に相談をすると、手数料が相場よりもかなり高い毎月分配型の投資信託を買わされてしまいます。しかも、定期的に別の投資信託を勧められ、追加で売買手数料を取られてしまうのです。

こうした現状を知るにつれて、投資に臆病な初心者の力になりたいと強く思うようになりました。投資をしないと「世界経済の成長から取り残される」という機会損失があります。熟練の個人投資家は「投資のリスク」について指摘するものの、「機会損失」のことは教えてくれません。

投資とは生涯を見据えたもの

画像=PIXTA


−−ブログの読者やYouTubeの視聴者からよく寄せられる声としては、どういったものが挙げられますか?

読者や視聴者から特に伝わってくるのは、「やるべきか、やらざるべきか」で迷っているという“モヤモヤ感”ですね。初心者が抱えている不安は、やはり「投資を始める前」に集中しています。

「自分はすでに50代ですが、今からでも大丈夫でしょうか?」などと、投資を始めるタイミングに関する質問もよく寄せられます。定年をゴールとして捉えているのか、投資に費やせる残り時間が短いとカン違いしている人が少なくありません。

しかし、60代、70代になっても運用は続けていくものだと僕は考えています。投資とは生涯を見据えたものであり、リタイア後も生活で余ったお金の運用は続けていくことを前提とすれば、定年を間近に控えた人であっても意外と時間は残されているものです。

初心者の多くはどうしても臆病になりがちで、無意識のうちに「やらない理由」を探しているように思われます。けれども、現実には投資をやらないことのほうが危ないのです。

現金や預貯金のままにしていると、長期的にインフレが進むことで、気づかぬうちにその価値が目減りしてしまいます。けっして投資は特別なことではなく、呼吸するのと同じような感覚で自然な行為だと捉えて、生涯にわたってつきあっていくもの。そして、その結果として金銭的にもハッピーになれるわけです。

−−投資の必要性は感じながらも、どこへどうやって投資すればいいのかがピンとこないという初心者も多そうですね。

確かに、「何にどんな方法で投資すべきかがわからない」という質問もよく受けます。その問いに対し、最初はインデックス(市場の平均的な推移を示す指数)への積立投資から始めるのが堅実であると僕は答えています。インデックスファンドと呼ばれるタイプの投資信託で、市場の平均的なリターンを着実に享受するわけです。

そして、長期的により大きなリターンを期待できることを踏まえれば、債券市場などではなく株式市場に連動するインデックスを選びたいところです。株式で最も注目を集めがちなのは米国市場ですが、初心者にとって無難な選択肢は、グローバルな経済成長を反映する「全世界株式インデックス」でしょう。

目の前の株式市場は上がったり下がったりを繰り返しますが、そういった動きに耐えられる(翻弄されない)なら、こつこつと積立投資を続けることで時間を味方につけ、10年後、20年後に大きな利益を期待できます。

どうしても初心者は、日々のニュースに過剰な反応を示しがちでしょう。今後も世界経済が成長し続けることを前提とすれば、たとえ目先の1~2年間は株式市場が低迷したとしても、10年、20年といった長いスパンでは上昇傾向が続くはずですし、現に今まではその通りの推移を辿ってきました。

−−様々な運用会社が「全世界株式インデックス」に連動する投資信託を設定していますが、どういった着眼点からターゲットを絞り込めばいいのでしょうか?

購入時にかかる販売手数料や、投資信託を保有中にかかる信託報酬といったコストは、低いのに越したことがありません(注:販売手数料ゼロのものをノーロード型と呼ぶ。信託報酬は手数料率で提示される)。ただし、コストの低さだけに目を奪われて、安直に新規設定されたばかりの商品を購入するのは考えものです。

投資家を集めるために競合よりも低めの手数料を設定したものの、無理がたたって引き上げに踏み切る可能性も考えられます。インデックス投資は長期保有が大前提なので、もっと手数料が安いところが出てきたからといって容易に乗り換えるわけにはいきません。

僕のイチオシは三菱UFJ国際投信が運用している「eMAXIS Slim」シリーズで、信託報酬が競合商品と比べて最も低い設定になっており、選択肢が豊富で様々な資産クラスへの投資が可能です。他者の競合商品がもっと低い手数料を打ち出すと、同じ水準まで引き下げるという姿勢がスゴイと思います。

また、ニッセイアセットマネジメントの「ニッセイ<購入・換金手数料なし>」シリーズ」シリーズや、楽天投信投資顧問の「楽天・バンガード・ファンド」シリーズも低コストて定評があります。

つみたてNISAは大いに活用すべし

画像=PIXTA


−−得られた利益などに対し、税制上の優遇が受けられるつみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった制度は活用すべきでしょうか?

そうですね。iDeCoは原則として60歳になるまで換金できないことがネックですが、つみたてNISAのほうは資金面でピンチに陥った際にいつでも現金化できる安心感もあるので、大いに活用したほうがいいでしょう。つみたてNISAは毎年40万円まで、最長20年間にわたる積立投資で得られた利益が非課税となります(非課税対象の投資総額は800万円)。

個人的には、資金的にまだ余力があるなら、つみたてNISAと並行してiDeCoでもインデックスへの積立投資を続けるのが効果的だと思っています。年間の積立額がすべて「所得控除」の対象となって所得税・住民税を節税できますし、運用で得られた利益も非課税となり、老後に受け取る際には「公的年金等控除」や「退職所得控除」といった税制優遇を受けられるからです。

−−最後に、投資を始めたばかりの人や、これから始めることを検討している人へメッセージをお願いいたします。

まず、コロナショック後に投資を始めた人たちは、上昇相場しか経験していないので、先々で大きな下げがあった場合にショックを受けるかもしれません。だから、僕が動画でよく訴えかけているのは、「今は成功していても、けっして有頂天になってはいけない」ということです。このままのペースで増え続けることに期待を膨らませがちでしょうが、相場の山谷を乗り越えていくうちに平均的なリターンは5%前後に収斂していくものです。

未経験の人に強く訴えかけたいのは、知識を詰め込んでから大金を投じるのではなく、少額からとにかく始めてみるのが大事なことです。実際に投資を経験してみると、そこまで怖いものではないということがわかります。そのように感じ始めたら、少しずつ投入資金を増やしていけばいいのです。

そのうえで、長期的に続けることを大前提とし、けっして途中では止めないというルールを守るようにしましょう。とはいえ、まだ経験が浅いうちは相場が急変した局面などで怖くなってしまうでしょう。

だから、気を紛らわせる意味でも、運用以外の趣味も持っておいたほうがよさそうです。ちなみに、僕自身は投資自体が趣味になっていますが(笑)。いろいろな手法を学んで実践してみるのが好きなのです。僕の場合、インデックスは1つの投資スタイルにすぎず、複数の手法を組み合わせた運用を実践しています。