現在では「米国株投資といえばたぱぞう」と言われるほど人気を得ている、投資ブロガーのたぱぞうさん。2000年に日本株投資を始めたが、当初は思うように芽が出なかった。ところが、2011年に米国株投資をスタートさせて以降、資産を順調に拡大させることに成功。ここでは、米国株にシフトした理由や米国株投資のメリット、さらには投資ブログを頻繁に更新する背景などを紹介していく。

たぱぞう
たぱぞう
月間100万超のPVを誇る投資ブログ「たぱぞうの米国株投資」を運営。2000年に日本株投資を始めるも資産を大きく伸ばせずにいたが、2010年から米国株投資をスタートすると、その後は順調に資産を拡大。2016年~2017年にかけて資産は1億円を突破し、不動産や太陽光発電への投資を含めた現在の金融資産は4億円を超える。基本的な資産運用術をブログで公開するほか、投資顧問会社のアドバイザーや米国株セミナーなど多方面で活躍中。著書に「図解でよくわかる米国株投資」(きずな出版)ほか。
Twitter:@tapazou29
ブログ:たぱぞうの米国株投資
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逆張り投資から成長株投資へシフト

成長株
(画像=PIXTA)

――米国株投資を中心に紹介しているブログが月間100万PVを超えるなど、いまでは米国株投資のスペシャリストとして知られるたぱぞうさんですが、投資を始めたきっかけを教えてください。

初めて投資をしたのは2000年、ITバブルが弾けた年です。ちょうど働き始めたばかりで、初任給を握りしめて日本株への投資を始めました。もともと祖父や父が株式投資をしていたので、株式投資への抵抗は全くありませんでしたね。

投資を始めたのは、自分の仕事が堅実とされる職種で、「何歳までに年収はこれくらい」「生涯賃金はこれくらい」とおおよその計算ができてしまったため、その枠に縛られるのは嫌だなという気持ちがあったからです。その頃はバリュー(割安)株全盛で、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などで割安と思われる銘柄を買っていました。2003年頃には不動産バブルの負の遺産で痛んでいた金融株に集中投資をして、一部の銘柄が買い値の2倍超になるなど成功したので、当時は「株=逆張り」だと思っていました。もっとも、急激に資産を増やせたとは言えず、米国株投資を始めるまでは勝ったり負けたりという感じでした。

――ブログを始められたのは2016年ですよね。なぜ、始めようと思ったのですか?

米国株投資を始めたのは2011年、民主党政権下でドル/円相場が1ドル=75円つけるなど超円高となった時なのですが、それと前後して病気になった妻の介護や家事育児、仕事を同時にやっていて、心身ともにかなり疲弊していました。その時に支えてくれたのが職場の仲間たち。

彼らへの感謝の気持ちを少しでも形にしたかったので、彼らの資産運用を助ける目的でブログを始めました。彼らは仕事に熱意を持って臨んでいて、仕事もできたのですが、老後に向けた資産運用については全く関心がありませんでした。私がそうであったように、彼らにも人生の選択肢を増やして欲しいと思い、ブログを通して投資を知ってもらおうと思ったんです。当初は、まさかここまで多くの人々に読んでもらえるようになるとは考えていませんでした。

――素敵なお話ですね。いまでは同僚の方々のほかにも、多くの投資家の助けになっていると思います。それにしても、超円高局面で米国株投資を始められたのはなぜですか?

2011年の超円高は、日米の購買力平価(各国の物価によって為替レートが変動するという考え方)から大きく外れていて、長期的にこの水準は続かないと思ったんです。100円台前半程度が“心地よい”水準だろうと考え、金融資産のほぼ全てをドルに転換しました。為替だけで2、3割の値幅が取れるのであれば、トータルで負けることはまずないだろうと。それで、米国株への投資を始めました。その頃は、米国株のほかにインドの自動車最大手であるタタグループ株なども買っていましたね。やはり、インド・ルピーが大きく値を下げていたからです。

――逆張りの考えが残っていたのですね。米国株では成長株投資がメインになっているようですが、逆張り投資から成長株投資への転機になるようなことがあったのでしょうか。

これは日米市場双方に言えることですが、金融株はリセッション(景気後退)が起きたり、あるいは起きそうになったりすると、株価が大きく下にブレる傾向があるんです。その下げ過ぎたタイミングを狙って拾うのが好きだったわけですが、米国市場には長期にわたって順調に成長している企業がたくさんあって、そうした銘柄に投資するほうがラクだし、確実に利益が得られることに気付いたんです。逆張り投資は株価が下がっているところを買うので、精神的にもきつい部分がありますから。

米国株が優れている理由

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(画像=PIXTA)

――米国株のどこが魅力なのか、詳しく教えてください。

投資という観点では、投資する「国」、投資する「時期」、投資する「対象」が重要です。「国」では、日本より米国のほうが有利だと思います。理由は複数あって、まず日本が少子高齢化で人口が減り続けるのに対し、米国の人口はこれからも増え続けることが予測されています。

人口が増えれば労働人口を確保できますし、日本のように若い人たちが多くの高齢者を支える構図になりません。次に、経済成長。米国経済は、2008年のリーマンショックによって大きく落ち込みましたが、すぐに持ち直しました。今回のコロナショックでも、やはり米国経済は急ピッチで回復しています。今後、新興国のような高成長はないにしても、高い水準で成長していく可能性が高いでしょう。

――確かに、米国では経済成長を裏付けにした株高が長期に渡って続いていますね。

ほかにも、米国株が投資に適している理由があります。それは「法整備」です。これには、企業の成長を後押しするような税制や、企業の情報開示なども含まれます。人口が増えていたり、経済が急成長している国はほかにもありますが、それだけで投資する国を選ぶのはリスクが高い。政治的に不安定だったり、株主の権利がきちんと保護されていなかったりするからです。その点、米国市場は法整備がきちんとされているので、長期で安心して投資することができます。新興国の経済成長は確かに魅力的ですが、政治の安定や法整備の面で劣る分、長期投資ではリスクが高いと言わざるを得ません。

――近年は日本でも株主重視が唱えられ、大企業では株主を意識した施策が行われるようになりつつありますが、中小企業では突発的な増資で株価が急落するといったケースがよく見受けられます。

さらに言うと、米国市場には世界の産業をリードするプラットフォーマーが多いのも大きな魅力です。“ビッグファイブ”と呼ばれるGAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)をはじめ、世界中の誰もが知っているような企業がたくさんありますよね。ほかにも、イノベーティブな企業が続々と誕生しています。これは、他国の市場よりこうした成長企業を捕まえられる可能性が高いということです。

もうひとつ付け加えると、米ドルは世界の基軸通貨なので、世界中で使えたり、再投資もスムーズにできるなど使い勝手が抜群です。ドル以外の通貨だと、配当金を日本円に両替する際に高い手数料がかかったり、ほかにもいろいろと余計な手間がかかったりします。この点も意外と重要ですね。

常にアンテナを広く張っておくことが大切

投資,ニュース
(画像=PIXTA)

――ただ、決算書やレポートが英語なので、米国の個別企業に投資するにはどうしても英語に堪能でないと厳しいというイメージがあります。

株式投資では細かい数字にこだわるのも大事ですが、ビジネスモデルの評価も大切ですよね。ビジネスモデルがしっかりしていて売上高が順調に拡大していれば、投資の入り口としてはOK。売上高に対する営業利益率が高く、営業キャッシュフローが伸びていれば期待度はさらに上がりますが、これらの基本的な英単語から入り、必要に応じて広げていけばいい話なので、むしろ日本株の細かい分析よりラクかもしれません。

それに、無理して個別株に投資する必要はないんです。米国の代表的な株価指数であるS&P500に連動するETF(上場投資信託)や、ヘルスケア、半導体、一般消費財・サービスなど、今後安定して成長が期待できるセクターのETFを買えば問題ありません。実際、私自身もこれらのETFで十分成長の恩恵に浴することができています。

――利益確定や損切りについてはどうお考えですか?

実は、米国株投資を始めて以来、ほとんど大きな損切りを経験していないんですよ。短期的な米国相場の急落はあっても、すぐにまた上昇相場に復帰しますから。コロナショック後もすぐに米国相場は急上昇して、史上最高値の更新を続けていますからね。それに、長期で成長が期待できるセクターに投資していることも、損切りを避けられている理由のひとつだと思います。

あと、長期目的と短期目的で資金を分けていて、長期目的の資金はこまめな利益確定、損切りはせず、基本的には“持ちっぱなし”にしています。短期目的の資金では、相場の暴落時に買い増したり、株高がやや過熱していると判断した時に売ったりはします。

――いま、証券会社はどこを使っていますか?その理由も教えてください。

20年以上のお付き合いになるSBI証券、楽天証券、マネックス証券、サクソバンク証券、IB証券にそれぞれ口座を持っています。私は法人でも取引をしているので、個人口座と法人口座を使い分けたり、大手3社では取り扱いのない銘柄を他の証券会社で買ったりして、その時々の状況に合わせた使い方をしていますね。

――最後に、投資ビギナーに対してアドバイスをお願いします。

まず、投資をする際には、短期的な利益を狙いたいのか、老後のための資産運用をするのかなど、投資の目的を考えるのが入り口です。その目的によって、投資の仕方が大きく変わってくるからです。老後のための資産運用であれば、インデックス投資で十分でしょう。

あとは、常にアンテナを広く張っておくことだと思います。この10年を見ても、民泊や暗号資産がはやったり、以前とは比較にならないほど投資のチャンスが広がっています。私も不動産や太陽光発電への投資をしていますが、そうした投資案件に対して、ひとつひとつ検証を重ねていくことが大事だと思います。短期的な儲けを重視するのであれば、少なくとも資産が1000万円を超えるくらいまでは、ある程度リスクを取っていかないと、人生を変えるようなインパクトは得られないでしょう。

インデックス投資など人と同じ投資をして、ゆっくり老後に備えて資産運用をしていくのか。それともFIRE(早期リタイア)を狙って大きく収益を上げていくのか。FIRE自体が人と違うことですから、やはりリスクを取り、幾分かは人と違う投資をしていく必要が出てきます。資産運用の狙いに応じたリスクの取り方があるということです。

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