株取引はギャンブルのようなものと表現する人がいるが、これは誤解である。確かに不規則に動く株価に財産をまかせるのだから、株をよく知らない人にとってはそう思えてしまうのも無理はないかもしれない。
しかし株がどう動くかの予想については、金融専門家や海外投資企業を中心にいろいろな研究がされている。知識さえあれば、株取引は決してギャンブルにはならないのだ。今回はこれから株を始めてみたいという人のために、基本用語について解説していこう。
目次
- 株の基礎用語1. 選べる多くの「銘柄」を確認しよう
- 株の基礎用語2. 「約定」のポイントがとても大事
- 株の基礎用語3. PERとは
- 株の基礎用語4. 「損切」の重要性を理解しよう
- 株の基礎用語5. PBRとは
- 株の基礎用語6. 「NISA」で大きな税金対策が可能に
- 株の基礎用語7. 「信用取引」で株取引のチャンスがさらに広がる
- 株の基礎用語8. 投資を業者に委託する「投資信託」という資産運用
- 株の基礎用語9. 国全体の価値評価 「ETF」
- 株の基礎用語10. 「IPO株」には手を出すべきか?
- 株の基礎用語11. 「指値注文」を使いこなそう
- 株の基礎用語12. 指値と逆の「逆指値注文」
- 株の基礎用語13. 単元未満株
- 株の基礎用語14. iDeCo
- 株の基礎用語15. 成行注文
- 株の基礎用語16. 配当金
- 株の基礎用語17. 株主優待
- 株の基礎用語18. PSR
- 株の基礎用語19. ESG投資
- 株の基礎用語20. 相対取引
- 株の基礎用語21. 追証
- 株の基礎用語22. 大株主
- 株の基礎用語23. 大型株
- 株の基礎用語24. 終値
- 株の基礎用語25. 貸し株
- 株の基礎用語26. 空売り
- 株の基礎用語27. 先物取引
- 株の基礎用語28. 塩漬け
- 株の基礎用語29. 時価総額
- 株の基礎用語30. 自社株買い
- 株の基礎用語31. 損切り
- 株の基礎用語32. ナンピン買い
- 株の基礎用語33. 未公開株
- 株の基礎用語34. ローソク足
- 株の基礎用語35. ロールオーバー
- 覚える用語はまだまだ増える
- 証券会社の口座開設方法
- 証券会社や証券口座に関するQ&A
- 実際に株式投資を始めてみる
株の基礎用語1. 選べる多くの「銘柄」を確認しよう
まず基本中の基本、「銘柄」という用語について説明しよう。株の銘柄とはいわゆる商品名のようなもの、と覚えてもらえればいいだろう。
ある会社の株を買う時、その会社名が、株取引における銘柄となる。国内だけでも企業は無数に存在している。その数だけ銘柄も存在しうるのだ。
ただし、株購入を考えている企業があったとしても、その企業が上場していなければ銘柄は存在しない。株式上場の条件としてある一定水準の企業規模が必要となるが、規模を拡大し株式上場を果たしたばかりの銘柄には勢いがあるため、それらの銘柄は注目が集まりやすくなる。
株の基礎用語2. 「約定」のポイントがとても大事
次に「約定」。「やくじょう」と読む。株の売買が成立したことを意味する言葉で「お金を支払って株を買い、その株を売って利益を得る」この一連の流れが終了した状態を指す。
株取引においては、この約定のタイミングを覚えることこそが投資家の極意と言える。一日の中で、ひとつの銘柄の株価が上下する時間を読むのは難しい。当然、購入価格以上になっている時に売りに出さなければ損失につながるため、状況判断力が問われることになる。
約定とは、株式取引などの売買が成立することをいいます。 株式取引の場合、注文をしてもそれに応えてくれる投資家がいないと取引が成立しません。買いたい人と売りたい人の条件が合致して、取引が成立した状態を約定といいます。 株式取引の場合、代金の受渡しは約定日から起算して3営業日目となっています。例えば、木曜日に約定した場合、月曜日が受渡日となります。
引用元:初めてでもわかりやすい用語集|SMBC日興証券
株の基礎用語3. PERとは
PERは株価収益率のこと。企業の株価が高いのか安いかを測る基準である。株を買って利益を出すにはいかに安く購入し高く売るか。PERを知っていれば一株あたりに対して割高なのか割安なのか判断できる。これは起業の大きさに関わらず比較できるので役立つ。現在多くの投資家がPERを基準に株を購入している。PERが高ければ株価が高いことを意味し、反対にPERが低ければ株価は安い。
PERの計算方法を見てみよう。
PER=株価÷1株あたりの利益(EPS)
ちなみに1株当たりの利益(EPS)の出し方は以下の通り。
1株あたりの利益=純利益÷発行済株式数
式からわかるようにPERは企業の利益に対し株価が何倍なのかを知るもの。株価が上がればPERは上がり、一株あたりの利益が上がればPERは反対に下がる。例として株価が1000円で、一株あたりの利益が40円の場合PERは25倍となる。
またPERは元を取る年数にも当てはまる。もしPER25倍の株に200万円投資をし、そこから200万円を運用で増やすには25年かかるということ。とは言うものの、実際PERは常に変動するため自分の思うようにはなかなかいかないだろう。あくまでも目安だ。
株の基礎用語4. 「損切」の重要性を理解しよう
初心者に特に意識してほしいのが「損切」だ。損切とは、損失が膨らむ前に、早い段階で約定してしまうことを表す。損切することは資産の目減りを意味する。誰でも損はしたくないものだが、上昇の見込みのない銘柄をいつまでも抱え込むと、さらに損失が大きくなる可能性もある。損切の決断は、取引初心者にはとても勇気がいる行為だろう。
価格の下がっている株は早めに見切りをつけて約定すべきだが、損切をした途端に持ち直して株価が急回復するなどということもよくある話だ。もう少し待つべきか。 それともここでダメージを食い止めるべきか。 悩みの種だが、言いかえればこれこそが株取引の醍醐味とも言える。
株の基礎用語5. PBRとは
PBRとは株価純資産倍率のこと。企業の純資産に対して現在の株が割高か割安かの判断基準となる。ちなみに純資産とは会社の資産総額から負債総額を引いた金額のこと。言い換えるなら会社が解散したときに残る金額だ。次の計算方法で算出できるので見てみよう。
PBR=株価÷1株あたりの純資産(BPS)
ちなみに1株あたりの純資産(BPS)の出し方は以下の通り。
1株あたり純資産=純資産÷発行済株式総数
例として純資産1000億円、発行済株式総数が5000万株あるとしたら1株あたりの純資産は2000円となる。株価が3000円ならPBRは1.5倍である。PERは起業の利益に対して株が割高か、割安か判断するものだったのに対し、PBRは企業が所有する現在の資産に対して株が割高か割安なのかを測る物差しとなる。
それぞれ株主は持ち株数によって純資産を受け取る権利を持っている。もしPBRが1倍なら、株を購入した金額分が解散したとき戻ってくることになる。PERと比べPBRはそれほど重要ではない。多くの場合PBRは他の指標と組み合わせて使われることが多い。
株の基礎用語6. 「NISA」で大きな税金対策が可能に
これから株取引を始めるにあたり、「NISA」という言葉を証券会社でよく見かけることになるだろう。NISAとは、枠内の取引で発生した利益が免税されるというお得な制度だ。2014年から2023年まで予定されており、株初心者向きの制度だ。
通常、投資で年間100万円程度の利益を出した場合、税金として約2割の20万円を国に納めることになる。NISAで取引することにより、この20万円が免税されるとあれば、利用しない手はないだろう。ただし適用される利益上限は年間100万円までとなっているので、NISA口座では欲張ってこの枠を超えないようにしたい。
株の基礎用語7. 「信用取引」で株取引のチャンスがさらに広がる
株がいま注目を集めている理由のひとつに「信用取引」がある。少ない資産で本来なら手が出せない価格の銘柄を取引することが可能になる仕組みだ。取引の可能性が増え、大きな利益を上げる可能性も多くなるということだ。
信用取引では「売り注文」という取引方式があり、株価下落時にも利益を出すことができる。株を買い込むのではなく、自分が持っていない株を証券会社から借りて売ることで、株価が下がるほど利益を出すことを可能となる。
この特殊な取引が簡単にできるようになったことで、理論上ではあるが、株式相場がどのように動いても利益を出せるようになった。
株の基礎用語8. 投資を業者に委託する「投資信託」という資産運用
株取引はどうしても抵抗がある。でもお金は増やしたい。そんな人にお勧めしたいのが「投資信託」だ。投資信託とは、取引のプロに自分の資産で投資をしてもらうことで、安心して資産を増やす投資方法だ。
メリットとしては、知識が多少浅くても投資ができることや、少額から分散して投資でき、リスクを抑えることができる点が挙げられる。
しかし投資のプロに委託するとはいえ、確実に利益が出せるのかという不安はあるだろう。「損失補償制度」を設けている投資信託商品もあるので、契約書にしっかり目を通してサインするのを忘れないようにしたい。
株の基礎用語9. 国全体の価値評価 「ETF」
株は銘柄が多い。そのためどれを買えばいいのか分からないという人には「ETF」という投資信託商品がある。株より分かりやすく、余計な情報にとらわれずに取引に集中しやすい。
株取引の用語説明についていけないという人でも、ETFなら感覚的に取り組めるかもしれない。
通常の株価の変動は、企業の業績や評価に左右される。よほど購入した銘柄の企業に精通していない限り、この予測は難しい。
対するETFは、日経平均やTOPIXといった、株価全体の値動き、通貨価値の変動、先物取引の平均価格という国全体を一括りとした値動きの金融商品だ。日常のニュースからも動きを知ることができるため、株と比べると取引はしやすいだろう。
株の基礎用語10. 「IPO株」には手を出すべきか?
初心者には難しいかもしれないが、「IPO株」を手に入れるチャンスがもしあったら、挑んでみてもいい。
IPOとは、企業が初めて株式を上場する際に、株式を先行分配させる仕組みのことだ。これを証券会社が一般投資家に売ることで、市場の混乱などを避けることにも繋がる。
IPO株は初値が公開価格を大きく上回ることが多く、利益を狙いたいなら魅力的な商品だ。しかし上場直後は企業実績の薄さから相場が不安定にもなりやすいため、IPO株を購入するなら十分な資金を見ておいたほうがいいだろう。
株の基礎用語11. 「指値注文」を使いこなそう
使い方を覚えておいてほしい注文方法として「指値」というシステムがある。「待ち伏せ自動注文」とでも言うと分かりやすいかもしれないが、これは設定した一定の高さまで株価が変動した時に株注文の予約を入れられるシステムで、取引画面に張り付かなくてもよいというメリットがある。
株式市場では、予想を超える相場の変動が起こることもある。逆に、これは予想外の高値となる株を手にするチャンスとも言える。「ダメで元々」と指値注文を入れておき、気がつくと大儲けしているなどという可能性もゼロではない。
株の基礎用語12. 指値と逆の「逆指値注文」
指値の反対に、「逆指値注文」というものがある。これは現在所持している株に条件設定を加えることで、約定を自動的に行えるシステムだ。利益を上げられるだけ上げて約定したい場合に加え、損切のポイント設定が簡単にできるので、指値とともにマスターしておくことをお勧めする。
損切を自分で行おうとすると、土壇場で迷って損失がさらに膨らんでしまうこともある。逆指値注文を利用すれば機械的に約定されるため、手動よりも行いやすいだろう。損切のタイミングが見切れずに大きく利益を減らした経験がある人は、逆指値注文を活用するといいだろう。
株の基礎用語13. 単元未満株
通常、株の場合は銘柄ごとに最低売買単位(単元)が決められており、その単位(1単元)未満の株数の株を単元株という。
また、「端数株式(端株)」、もしくは「ミニ株」と言われることもある。少額で取引ができるというメリットから、分散投資がしやすく、株取引の初心者に向いている反面、単元未満であることから株主総会での議決権が与えられないことや、株主優待を受けることができないケースがある点がデメリットといえる。
株の基礎用語14. iDeCo
個人型確定拠出年金の愛称で、国民年金基金連合会が主体となって行っている。加入できる対象者は自営業者(第1号被保険者)や厚生年金加入者(第2号被保険者)、そして専業主婦(夫)(第3号被保険者)となっており、それぞれで年間の掛金の限度額が決まっている。加入者は毎月掛金を拠出し、自分が選んだ運用商品で運用を行い、60歳以降に受け取りを開始することができる。また、拠出時、運用時、受取時それぞれで税制の優遇を受けることができる点が特徴となっている。
株の基礎用語15. 成行注文
株の売買方法には2種類あり、そのうちの1つを成行注文という。また、もう一つの取引方法として指値注文がある。指値注文とは、自分の希望する売買価格を指定して発注する方法で、反対に成行注文とは売買価格を指定せずに発注する方法である。したがって、成行方法で買いの注文を行うと、その日の最低額で購入することができるが、指値で買い注文を行った場合、指定価格によってはその日に約定しない場合がある点に注意しておこう。
株の基礎用語16. 配当金
市場に出回っている株の中には、配当を行っているものもある。配当の仕組みは、その「企業が得た利益を株主に還元する」もので、企業の業績によって配当金も変動する。ただし、配当金を受け取るには、受け取る権利を得る日までその株を保有していなければならず、その日のことを「権利付き最終日」という。一般的に、配当を実施している企業の平均的な配当利回りは2~3%と言われているが、最近では銀行や輸送業界などの株の配当利回りが高く、注目されている。
株の基礎用語17. 株主優待
企業が自社の株の保有者に対して、自社の製品やサービスを提供するもので、配当金とは別の意味を持つ。株主優待の内容については、現物支給やクーポン券などの自社製品の消費を推進するものが多い。また、保有している株数が多いほど手厚い優待を受けることができる企業もあるため、株主優待を受けたいのであれば、その企業の株主優待の内容をしっかりとチェックしておく必要がある。そして、株主優待を受けるためには、配当金と同様に受け取る権利を得る日までその株式を保有しておかなければならない点も合わせて注意しておこう。
株の基礎用語18. PSR
株式の指標の一つで、「株価売上高倍率」と言われるものである。その計算は、企業の時価総額を年間の売上高で割ったものとなり、この値が高いほどその株は割高ということになる。一般的には売上高が増加することで、株主の価値が増加する可能性があるという意味で、これから発展する企業の株価の水準が妥当であるかどうかを判断する指標として使われることが多い。ただし、株価の水準が妥当かどうかはこの値だけで判断するのではなく、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)も合わせて判断することが大切といえる。
株の基礎用語19. ESG投資
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(ガバナンス:Governance)に配慮している企業に対して投資することで、欧米を中心に広く浸透している。日本でも投資にESGの視点を組み入れることなどを原則として掲げる国連責任投資原則に、年金積立金管理運用独立行政法人が署名したことを受け、ESG投資が拡大している。また、企業としてもESG投資の対象先となることで、社会的な評価が高まるとして、ESGの取り組みに力を入れており、今後の重要度の高まりが期待されている。
株の基礎用語20. 相対取引
金融商品取引所のような場所を介さずに、売り手と買い手が直接に、価格、数量などを合意する取引方法を相対取引という。一般的な市場取引と異なり、当事者間で価格が決定できる点が特徴となっており、市場の影響を受けることなく取引ができる点がメリットといえる。実際にM&Aでもよく利用されているが、交渉次第では時間がかかることや、交渉の結果が当初の予想通りとならないなどデメリットがある点にも注意しておきたい。
株の基礎用語21. 追証
信用取引の際に使われる言葉で、決められた保証金の割合である最低保証金率を維持するために、取引銘柄に大幅な値下がりが発生した際には追加分として保証金を納める必要がある。このこと追加の保証金を追証という。一般的に証券会社では、最低保証金率を20%~30%と定めているケースが多く、それを下回った場合は期日までに追加の保証金を納めることとされている。信用取引の場合は株価の値動きにより、保証金額が日々変動することに注意が必要である。
株の基礎用語22. 大株主
その企業の株式保有率(持ち株比率)が高い株主のこと。具体的な比率は定義されていないが、大株主の中で最も持ち株比率が高い株主は筆頭株主といい、発行済み株式数の10%以上を保有する株主については主要株主といわれる。なお、発行済み株式数の5%を超えて保有数する株主はその超えた日から5日以内に内閣総理大臣に対して「大量保有報告書」の提出が義務づけられている。さらに、上場企業に対しては、筆頭株主や主要株主に変更が生じた際には開示義務が設けられている点もおさえておこう。
株の基礎用語23. 大型株
時価総額(1株あたりの株価×発行済株式総数)が大きい株のことを大型株といい、東京証券取引所では、TOPIXにおける規模別株価指数において、時価総額と流動性の高い上位100銘柄を大型株として位置づけている。ちなみに、大型株に次いで上位400銘柄に位置するものを中型株、それ以外の銘柄については小型株として位置づけられる。また、時価総額および流動性については日々変化することから、東京証券取引所では毎月銘柄の入れ替えを行っている。
株の基礎用語24. 終値
一定期間における最終価格のことを終値といい、期間としては1日や1週間、1カ月間、半年間などさまざまな期間が用いられる。逆に取引が始まって初めて付いた値段のことを始値というが、必ずしも前営業日の終値が翌営業日の始値と一致するとは限らない。なぜなら、その日の取引終了後から翌営業日の取引開始までの間に企業や政治、さらには海外のニュースの影響を受けることがあり、その結果、翌営業日の始値に影響を与えるからである。
株の基礎用語25. 貸し株
投資家が保有している株券などを証券会社に貸し出し、証券会社からこれに見合う貸株金利を受け取るサービスのことを指す。貸し株については、その株式を自由に売却することができ、さらに貸し出すことによって貸株金利としての利益を得られることがメリットであるが、株主優待を受ける際や株主総会における議決権行使を行うにあたっては、権利日に自分の手元に株を戻しておかなければならない点に注意が必要である。
株の基礎用語26. 空売り
現時点で保有していない株を証券会社から借り、それを売って後々買い戻した後、証券会社に株を返す方法を空売りという。買い戻し時の株価が売値よりも下がっていれば、その差額が利益となるが、逆に買い戻し時の株価が上がっている場合は損失を生むこととなる。空売りにおいては、通常の取引で行うことはできず、証券会社にて信用口座を開設し、信用取引で行う必要がある。また、空売りができる銘柄は証券会社によって異なる点も覚えておこう。
株の基礎用語27. 先物取引
将来の売買価格などを現時点で決めておく取引のこと。現時点で決めておくのは、売買価格や数量となり、実際の取引は後日(約束した日)に行う。この際の取引は現物取引ではなく、売買価格との差額となる。先物取引を行うメリットは、現時点で売買価格などの条件を決めておくことから、将来約束した日に何らかの理由で価格変動要因があったとしてもその影響を受けないことから、安心して取引ができる点といえる。ただし、実際の取引時の価格が市場価格と異なる場合はその差額が利益もしくは損失となる点には注意が必要である。
株の基礎用語28. 塩漬け
株の取引の際に、現在保有している株価が予想以上に下がり、売りたくても売れない状態に陥ることを塩漬けの状態という。損失額や保有期間について具体的な定義はないが、近いうちに株価上昇が期待できずに保有しておくことは、その期間におけるほかの銘柄への投資に対する値上がり益を受ける機会を失うことにもつながる。ただ、実際に売却していないことから損失は確定しておらず、塩漬け株における損失は含み損と呼ばれている。
株の基礎用語29. 時価総額
その時の株価に発行済株式数を乗じたものを時価総額といい、その企業の価値を示す指標となる。したがって、時価総額が高い企業ほど価値が高い企業といえる。株の取引において、株価が高いというだけでは企業の評価が高いとはいえず、時価総額を用いて企業の価値を判断することが重要である。また、時価総額が高い企業は今後の成長がそこまで期待できないことから、今後の成長を期待するのであれば、時価総額の低い企業からさまざまな指標を用いて選別することも有効といえる。
株の基礎用語30. 自社株買い
株式は企業が発行するものであるが、その発行体である企業が発行した株を市場で買い戻すことを自社株買いという。企業が自社株買いを行う理由としては、発行した株式を買戻した後に消滅させ、発行済株式数を減らすことによりEPS(1株当たりの利益)やその資産価値を向上させることを目的としていることにある。そして、結果的に株高の状態を生み出すことにつながる点も注目されている。ただし、将来の成長が見込めないことを理由に自社株買いを行う企業もある点に注意が必要である。
株の基礎用語31. 損切り
保有している株の株価が下がった際に、これ以上損失が拡大することを恐れて売却し、その時点で損失を確定することを損切りという。投資初心者は損失が出た時点でパニック状態に陥り、損切りという行動に出やすい傾向があるが、市場の状況によっては保有し続けることで株価が回復し、結果的には利益を生むこともある。したがって、今後株価が回復する見込みがあるのであれば、塩漬けにしておくことが望ましいが、今後回復の見込がないと判断する場合においてはそれ以上の損失を防ぐ方法として損切りも有効な手段となり得る。
株の基礎用語32. ナンピン買い
保有している株の価格が下がった際に、取得価格を平均化する目的で買い増しをすること。ナンピン買いを行い、平均取得価格を下げることによって、損失を減少させることができるばかりか、利益を生む結果に繋げることもできる。ただし、値下がりが続いた場合は、損失がさらに拡大してしまう点に注意する必要がある、ナンピン買いは株価の下落が一時的なものであり、今後値上がりが期待できるものに対してのみ行うことを心がけておこう。
株の基礎用語33. 未公開株
まだ市場に上場していない株のこと。上場していないことから、証券取引所では取引することはできないが、企業の創業者や経営者などの株主と直接交渉することによって入手することは可能。最近では、株式投資型のクラウドファンディングを利用し、そのクラウドファンディングの運営者を通じて未公開株を購入できるシステムも出来上がっている。従来、未公開株の直接交渉においては詐欺案件が多く、問題視されていたが、クラウドファンディングの登場によってその問題が払拭されることとなり、今後の規模の拡大が期待されている。
株の基礎用語34. ローソク足
チャートの表示方法の一つで、「始値」「高値」「安値」「終値」の4つの価格を表示し、今後の値動きを推測する手段として用いられている。表示方法としては、始値よりも売値の方が高い「陽線」、逆の「陰線」の大きく2つに分けられ、さらに上下に伸びている「ヒゲ」の状態から価格の幅を読み取ることができる。また、始値と終値が同じであった場合は「十字線」で表示される。これらのローソク足の特徴を知っておくことで、今後の市場が上がるのか、もしくは下がるのかを見極めることができるほか、流れが大きく変わる局面を知ることもできる。
株の基礎用語35. ロールオーバー
信用取引などにおいて、未決済のまま約定していない取引を一度取引最終日までに決済し、さらに次の期限まで決済を持ち越すことを指す。また、NISA(一般NISA)においては、非課税期間である5年を迎える前にロールオーバーすることで、非課税のまま保有し続けるという意味で使われる。ロールオーバーを行うことで、持っている資産をそのまま翌月以降に持ち越すことができ、継続的に保有できるという意味で、よく利用されている。
覚える用語はまだまだ増える
これらの取引用語は、投資のいろいろな分野でも使われることがある。ただし大まかな意味合いは変わらないため、ゆくゆくはいろいろな投資を試したいと思っているのなら、今回取り上げた用語を含めて十分理解し、取引に望んでいただきたい。
投資のジャンルは現在進行形で増加の傾向にあり、株取引用語の新語が生まれる頻度もそれに伴って増えていく。乗り遅れて取引のチャンスを逃がさないためにも、新用語を耳にするたびその意味を確認する習慣をつけておく姿勢も大切だ。
証券会社の口座開設方法
ここでは代表例として楽天証券の口座開設方法を紹介する。
ステップ1:メールアドレス登録
赤枠内にメールアドレスを入力し、「同意のうえ、送信する」をクリック。
\初心者も経験者も満足の取引ツールが使える/
ステップ2:本人確認書類を撮影
画面のステップ1から3に沿って、本人書類の撮影と顔写真の撮影を進める。
ステップ3:規約を確認した後、重要書類に同意
「規約等を確認する」をクリックし、確認した後、チェックボックスにチェックを入れる。次にお客様情報を入力する。
ステップ4:口座手続き完了後、書類郵送を待つ
個人情報入力で口座手続きは完了する。1週間程度で、初回ログイン情報が手元に届く。その前に「初期設定のご案内」から設定手順を確認しておくと良いだろう。
証券会社や証券口座に関するQ&A
Q.株を売買するまでの流れは?
売買を始めるまでは大きく次の5つのステップを踏むことになります。
売買を始めるまでの5ステップ
- ①資金を用意する
- ②証券会社を選ぶ
- ③口座を開設する
- ④銘柄を決める
- ⑤売買する
銘柄選びももちろんですが、最近は証券会社ごとに手数料や利用できるサポートが異なります。
Q.口座開設の費用と口座維持手数料はいくらかかりますか?
本記事で紹介しているネット証券は、基本的に口座開設費、口座維持手数料は、かかりません。
※SBIネオモバイル証券除く
Q.総合口座は「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」のどれにすればいいの?
初心者は、「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぶのが無難です。
特定口座と一般口座の違いは「確定申告に必要な書類(年間取引報告書)を誰が作るのか」です。特定口座なら、これを証券会社が作成してくれます。
また、「源泉徴収あり」の場合、証券会社・銀行が投資家本人に代わって税金を納めてくれるので、確定申告は必要ありません。
Q.ネット証券の口座開設までどれくらいの日数がかかりますか?
最短で翌日~1週間程度で口座開設が完了します。
ただし、最短での口座開設、取引スタートができるのはマイナンバー書類や本人確認書類をWebアップロードした場合に限ります。書面での郵送を選ぶと、必要書類のやり取りで1週間以上余分にかかってしまうこともあるので注意が必要です。
Q.異なる複数の証券会社で口座を作ることはできますか?
はい、可能です。ただし、1つの証券会社で複数の口座を開設することはできないので注意しましょう。
Q.日経平均は買えますか?
日経平均は市場全体の状況を判断するための指標です。したがって、日経平均自体を購入するということはできませんが、日経平均に連動したETF(上場投資信託)があります。このETFを購入することで、日経平均を買うのとほとんど同様の効果があります。
Q.セキュリティ破られて不正出金されない?
ネット証券では、セキュリティを高めるために、通常SSL/TLSという暗号化技術を用いています。また、証券ごとに最新技術を用いた独自の対策がとられています。
Q.ネット証券が倒産したら預けたお金や株や投資信託はなくならない?
証券口座のお金や株、投資信託はいずれも証券会社ではなく、証券保管振替機構や信託銀行が管理しています。そのため証券会社が倒産した場合も投資家の資産は保護されます。
Q.ネット証券で買えない株はありますか?
どのネット証券を選択しても、すべての株を購入することができます。
Q.株式投資は副業になるの?
副業の法律的な定義は曖昧ですが、本業に支障がでる場合を除き、問題にならないケースがほとんどです。
Q.株式投資が会社に見つかることはありますか?
株式投資が会社に見つかる可能性があるのが、確定申告の時です。住民税を自分で納付する、または、確定申告が不要な「特定口座(源泉徴収あり)」で口座開設をすれば会社に見つかることはありません。
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■公式ブログ:Be a pioneer
■公式Twitter:@hibiki_koshi
個人投資家 Q.利用している証券会社と選んだ理由、評価しているポイントについて教えてください。
もっぱら利用しているのは楽天証券です。その理由は、貸株サービスが便利だから。貸株サービスとは、保有中の株式を証券会社へ貸し出し、その見返りに貸株金利を得られるというものです。 ほかのネット証券にも同様のサービスがありますが、100株単位で自分が貸したい株数を選択できるというのは楽天証券だけですね。それに、確定申告の際に必要な貸株で得た利益の証明書も作成してもらえるのも助かります。いろいろな証券会社の口座を試してみたうえで、現在は楽天証券がメインの証券会社になっていますね。
響煇嚆矢さんのインタビュー記事はこちら