個人事業主や経営者の中には、事業用に法人用クレジットカードを持つべきかどうかを検討している人がいるかもしれません。経営者として、どのようなクレジットカードを使用すべきかについて疑問を抱くこともあるでしょう。年会費を抑えつつ使いやすいカードを選ぶのも一つの選択肢ですが、経営者にとってはブランディングにも気を配ることが重要です。
そこで、金融機関での経験を積み、ファイナンシャルプランナーとして活躍している松岡賢治さんに、法人カードとハイステータスなクレジットカードを使用すべき理由についてお聞きしました。
インタビュアー・編集:NET MONEY編集部・小林優果
FPが選択する法人カード「セゾンアメックス」と意外!?な「ドンペンカード」
ー松岡さんはどこの法人カードを使っていらっしゃいますか?
今使っているのは、セゾンが発行している法人用カードで、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エクスプレス(R)・カードです。
ビジネスカードの選択肢はいくつかありましたが、多くは会社規模や決算書の提出が必要でした。
しかし、セゾンプラチナカードは個人の信用情報だけで作れるという点や、会社設立直後でも作れるという点が異なりこちらを選びました。
年会費は22,000円(税込)ですが、事務所の光熱費や各種経費の引き落としに設定していて、ポイントで還元されているので、もとはとれていると思います。
会費 | 22,000円(税込) | 発行 スピード |
最短3営業日 |
---|---|---|---|
ポイント 還元率 |
0.50%~1.00% ※ | 締め日・ 支払日 |
10日締め・翌月4日払い |
ポイント 種類 |
セゾン永久不滅ポイント | 電子 マネー |
QUICPay |
おすすめ 利用 シーン |
・国内/海外出張が多い方 ・経費管理を効率的に行いたい方 |
付帯保険 | 海外旅行:最大1億円 国内旅行:最大5,000万円 ショッピング保険:最大300万円まで |
ー法人立ち上げからすぐに作成可能なカードを選んだということですね。使い続けてどれくらいですか。
約6、7年ですね。最初は使いやすさを重視して選びました。セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エクスプレス(R)・カードは利用できる場所が豊富でポイントの還元率が良いため、このカードを使い続けています。
ー乗り換えを考えたことはありますか。
特に乗り換える予定はありませんが、実は別の法人カードも持っています。ドン・キホーテ発行のドンペンカード※です。これは法人口座を引き落とし口座に指定可能で、ポイントの還元率も高いため、別の選択肢として使っています。
ーなるほど、どちらかというとドンペンカードをメインで使っているんですか?
いえ、ドン・キホーテ系列のスーパーで利用する際に活用しています。ドン・キホーテは、来客用のお茶やお水だけでなく、ビジネス用品も取り揃うので、ポイントは貯まりやすいんです。ドンペンカードを持っていると割引やポイント還元の優遇もあります。特に近くに店舗がある人にとってはとても便利です。あまりビジネスカードでこちらを紹介する人はいないのですが、私はいつもこちらをおすすめしていますね。
ーなるほど。他にも知られていないお得なカードがあるんですか。
はい、例えば三菱地所グループCARDもあります。これは、丸の内の駐車場を1時間半ぐらい無料で利用できたり、アウトレットやランドマークなどで特典があったりします。隠れたお得なカードと言えるでしょう。
ステータスカードは自分をアピールするひとつのビジネスツール
ー次はステータスのカードについてお聞きしたいです。ステータスカードを持つメリットは何ですか。
ステータスカードの一番のメリットは、自分自身の満足感だと思ってます。私は、ステータスカードは主にリアルの場面で自分をアピールするツールだと思います。レストランなどの支払いでカードを出した瞬間がアピールポイントのピークというか……。ちょっと問題点もあって、店員や同行者がステータスカードに無頓着だと効果が薄いこともあります。ステータスをアピールするためのカードなので、独りよがりになるケースもあります(笑)。
コンシェルジュ機能もメリットのひとつではありますが、今はネットの発展によりコンシェルジュの恩恵は少し薄れているかなと思います。
ー便利なサービスが増えた影響ですね。
そうですね。コンシェルジュを通して予約を取る場合、カードユーザーの優先順位が関与しており、一般のユーザーまでにはあまり恩恵は感じられないと思います。
ーそうなんですね。ステータスカードの発行を若い人におすすめしますか。
はい、おすすめします。ステータスをアピールするためには良いカードだと思います。特にゴールドカードは年会費がかかりますが、コスト対効果を考えると、月に400~500円程度のコストでステータスをアピールできるので、チャンスがあれば作ることを検討すべきだと思います。
ー法人カードの活用方法をFPである松岡さんにお伺いしたいです。
法人カードを会計ソフトと連携することで経理の事務作業が圧倒的に効率的になります。
支出を一括でエクセルにDLできたり、仕分けも自動でしてくれたりするので、確定申告の手間が省けることは確実です。
確定申告では消費税が一番複雑なのですが、それ以外の約9割くらいが会計ソフトでできてしまうので、会社の規模によっては税理士を使わないといった選択肢も選べます。税理士の経費を節約できる可能性もありますね。
FPが指南!個人事業主が法人カードを選ぶポイント
ー法人カードの選ぶポイントについてお聞きしたいです。個人事業主が選ぶ際のポイントは何かありますか。
登記簿謄本や決算書の提出が不要な手軽に作れるカードがおすすめです。年会費が安いカードを選ぶことも重要です。
年会費が高いカードのメリットは、先述の通り飲食の際にカードを出すことでステータス感をアピールできる可能性があります。ただ、相手によっては良い印象を与えることもありますが、逆に、単なる見栄っぱりだと思われるおそれもあります。
使い方は相手や状況によって選ぶべきです。
ーステータスカードは、その人のブランディングや身だしなみにも影響しますね。
今はカードのサービス面での差は少なくなってきており、ステータスカードのような要素しか、差別化ができにくくなっています。その部分に魅力を感じて、「年会費が高くても構わない」という人が選んでいるのが現状です。そのため、ステータスカードの人気はかなり限られています。今後、人気が高まるかどうかは、景気次第という側面もあるのではないでしょうか。
ー現状ではステータスカードの人気が限られているものの、将来的に景気が良くなれば、年会費を支払ってでもステータスカードを選ぶ人が増える可能性があるということですね。
ある程度は人気が出ると思います。ただし、ステータスカードに魅力を感じるかどうかは、ユーザーの価値観が影響します。コスパを重視する人が増えている現状では、やはりニーズは限定的でしょう。しかし、裏を返せば、ステータスカードの希少性は維持されることになり、魅力的であり続けられます。ということは、それほど人気が出ていない、今が使い時ということも言えそうです。
シンクタンク、証券会社のリサーチ部門に在籍し、国内マクロ経済と債券市場のマーケットアナリストとして従事。1996年に独立し、1997年ファイナンシャルプランナー資格を取得。以後、ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ビジネス誌や経済誌を中心に日本経済、資産運用、投資をテーマにした記事の執筆を開始。著書に『ロボアドバイザー投資1年目の教科書』『豊富な図解でよくわかる! キャッシュレス決済で絶対得する本 』。AllAboutガイド(クレジットカード)。