ユアマイスター株式会社
(画像=ユアマイスター株式会社)
星野 貴之(ほしの たかゆき)
ユアマイスター株式会社代表取締役社長
1988年埼玉県生まれ、慶應義塾大学卒。新卒入社した楽天株式会社(現:楽天グループ株式会社)にて営業を担当、全国1位の収益を創出し全社の年間MVPを受賞。九州エリア全域の副責任者を務めた後、26歳で幹部育成プログラム1期生に選抜されIRへ異動し、決算・増資・投資家対応を担当。2016年3月MBAを取得後、同年8月にユアマイスター株式会社を設立。第19回グロービス アルムナイ・アワード「創造部門」受賞
ユアマイスター株式会社
多様性ある幸せにあふれ、あらゆる価値観が許容・尊重される持続可能な循環型社会の実現へ向け、SXを推進するサステナブルテック企業です。大切なものを大切にしたい人と職人をつなぐサービスECプラットフォーム「ユアマイスター」、全国のプロのパートナー業者と提携し、エアコン清掃や室内清掃、消毒・除菌など、施設環境にまつわる様々な要望に対応するプラットフォームサービス「ユアマイスター forbiz」、暮らしの不便を解決する“小さな気づき”をわかりやすく正確に伝えるメディア「ユアマイスタースタイル」を提供。

起業の経緯について教えてください。

私は21歳の時に大きな病気になったことで当たり前の生活が当たり前ではないということを体感しました。それをきっかけに自分の人生について考えるようになりました。そこで、当時200冊近くの書籍を読み漁るなかで自分の人生を賭けて何か社会に貢献したいと思うようになりました。その目的を達成するために、まずは自分が成長できる企業に就職しようと思い、就職先を探していました。

そこで、楽天株式会社(以下、楽天)には、どこよりも成長できる環境があると感じ、楽天で働きたいと思ったのですが、採用面接で不合格となってしまいました。その後はしばらく働きたい会社がみつからないながらも様々な社会人の方とお会いしお話しするなかで、楽天の役員の方とお話させていただける機会をいただきました。そこで、自分の素直な考えや想いを伝えたところ、再度採用面接を受けさせてもらうことができました。そのような経緯を経て楽天に入社したため、自分は一番下からのスタートと考え、誰よりも成果を出すために努力しました。新卒1年目のときの経験は、今の経営者としての自分にも大きく影響を与えています。

企業名アイキャッチ
(画像=ユアマイスター株式会社)

その後、一定の成果を出し、社内でも一目置かれるような存在になり次のキャリアを考え始めたときに、とある有名な投資家の方とお話する機会をいただきました。そこで、自分の人となりや今考えていることを話したところ、事業も何も決まっていない中で、自分という一人の人間に対して出資するといっていただきました。それから、自分の強みであるECと、今後注目されると予想されていたESGを組み合わせ、現在のプラットフォーム事業を立ち上げました。

一番感銘を受けた書籍とその理由は?

私が一番感銘を受けた書籍は、デール・カーネギーの『人を動かす』です。この本に出会ったのは、学生時代に部活動でキャプテンを務めてたときでしたが、この本から学んだことは社会人になり部下を持つようになってから特に役に立ちました。マネジメントにおいても、営業においても、人を動かすためのコミュニケーションで重要なことの本質は同じであると学びました。部下が成果を出すためには、その人自身の力だけでなく、上司や周囲の人の関わり方が大きく影響します。部下をどのように指導し、どのように成長させるかのヒントがこの本には書かれています。

読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。

私が多くの本を読む中で学んだことは、あらゆるビジネスや経営において、原理原則は同じであるということです。さらに、私の中で、本質は同じであるということに納得することができたということ自体が重要なことだと思います。ビジネスには、常に原理原則があり、それに従って仕事を進めることが重要であると思えたことで、経営において自分の中に判断軸ができました。なので、社員などから、おすすめの本についてもよく聞かれるのですが、正直に言うと、ある程度どの本でも良いのです。ただ、同じ組織においては、皆が同じ本を読むことで、共通理解が共通言語ができるので、本をそのように活用することは有効だと感じています。

経営者として大事にしていることについて教えてください。

経営において重要だと考えていることは、人間性と能力の融合が成果であるということと、常に変化し続ける必要がある、という2点です。

1点目の人間性と能力の融合は、個々の人間が持つ思考能力や遂行能力などを経験と学習をもとに、向上させていくことに加え、組織・チームを構成・作成していく中で、人と人との信頼の連なりが良い組織へとつながっていくので、人としての信頼性が高くないといけないと考えています。正しいだけでは、人は全力が出せないことも多いです。そこに、「よし、やってみよう」と思わせる力が必要です。これが人間性です。

2点目の、常に変化し続けるということは、市場の状況や経済の状態に合わせて、組織自体が変化し続けることです。私たちのようなベンチャー企業の経営においては最も重要なことです。しかし、組織のトップとしては、変わらない部分を残すことも重要だと考えています。経営者は誰よりも変化に貪欲な存在であるべきだと思いますが、それは社員からすると一貫性がないように感じられてしまうこともあります。どうしても事業や経営方針は変わってしまいますが、日々の行動については一部固定することができます。私も、毎日全社員の日報に返信することや、自分が学んで良かったと思ったことを発信するなどの行動はずっと変えていません。それによって、自分の考え方の根底にあるものを伝えることができ、企業や事業が変化する中でも、一貫性を持ったメッセージを伝えることができます。

最後に、御社の未来構想や従業員への期待について教えてください。

まず前提として、未来の構想は、現在の思惑通りにはいかないということを理解し、思考に柔軟性をもつことを大事にしています。私たちが提供しているプラットフォームの価値は、経済圏を大きくすることでお客様に様々な価値を提供することです。そこで提供する価値自体は、時代や環境によって変わり続けるもので、社員には思考に柔軟性を持ってほしいと思っています。

また、投資家の方々からお金を預かっているベンチャー企業としては、今のための事業を作るのではなく、いかにして未来で価値提供できる企業になるかが求められます。人はライフステージの変化などがあり、今目の前で起きている課題に注目せざるを得ないことも多いですが、目線を上げて未来のために何ができるかを考えられる、プロフェッショナルなスタートアップ人材になってほしいと願っています。