ユミルリンク株式会社 アイキャッチ
(画像=ユミルリンク株式会社様)
清水 亘(しみず わたる)
ユミルリンク株式会社代表取締役社長
1971年滋賀県生まれ。別な業態でのサラリーマン生活を経て、1999年当時「勢いのある新しい産業」と感じたIT業界へ転職。「郵便がメールに置き換わっていく」激しい流れの中、メール配信サービスが誕生し、立ち上がっていくその渦中で経験を積む。 その後、縁あって2002年にユミルリンクに入社。メッセージング事業の統括者として活躍するなか、2008年に社長に就任。「日本を代表するSaaS」に成長させることを自らの使命とする。
ユミルリンク株式会社
ユミルリンクは「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指す」という企業理念を掲げ、消費者や社員等とのエンゲージメント向上を目的とした法人のマーケティング、コミュニケーション活動を支援するメッセージングプラットフォーム「Cuenote(キューノート)」をSaaSで提供しています。 主に大規模・高速配信に強みを持つ「Cuenote FC」、SMS配信サービス「Cuenote SMS」を提供し、企業のDXを支援しています。

目次

 

  1. 事業の変遷について
  2. これまでの経営戦略と今後の方向性について
  3. 経営者としての強みについて
  4. 今後の展望について
  5. ZUU onlineユーザーや投資家に向けてのメッセージ

 

事業の変遷について

ー1999年の設立から2021年に新規上場にされるまでの事業変遷についてお聞かせいただけますでしょうか?

清水 亘社長(以下、清水) これまで事業だけでなく資本も変遷しており、それぞれが密接に絡んでいます。まず、創業直後は受託開発事業、特にコミュニティサイトを運用・開発し、ビジネスを成り立たせていました。その後、大手資本のグループの傘下になる選択をし、サイバーエージェントの資本を得て、受託開発事業を拡大するとともに事業の多角化に取り組んでまいりました。

受託開発事業以外に、ネットワークマネジメント、SEO、ポスティングサービス、クライアントPCのWindows用パッケージソフトウェアやデジタルブックといわれるビューワーソフトの制作サービス、そして現在の主力サービスであるメールサービスなど、さまざまな事業を展開してきました。

多角化していく中で、サービスモデルにシフトしたいという考えから、2005年にサイバーエージェントが保有していた株式をサイボウズへ譲渡していただきました。ただ、多角化は進んだものの採算性は上がらず、実質債務超過となったため、財務改善が必要となりました。そこで、2007年から2010年までは多角化したサービスや事業を、現在の主力であるメッセージング事業に集約してきました。

2011年には財務改善の目処が立ち、そこから当時注目されつつあったSaaSサービスを展開していきました。メールからのアンケートサービスやショートメッセージサービスなど、領域を少しずつ広げながら新たな成長軌道に乗ることができ、2017年からIPOの準備を開始し、2021年に株式公開をさせていただきました。

これまでの経営戦略と今後の方向性について

ーサービスの解約率が1%未満であることからお客さまの満足度が非常に高いと思うのですが、事業の強みや他社との競争優位性についてお聞かせいただけますか?

ユミルリンク株式会社 Cuenote
(画像=ユミルリンク株式会社 Cuenote)

清水 私たちのサービスは企業や自治体様などから現在2,200契約以上いただいており、特にエンタープライズのお客さまが多いです。そのなかでも、1日あたりのメール送信数が5,000万通近くであったり、1時間あたりに必ず1,000万通送りたいといったような非常に高い品質やセキュリティを求めるお客様も多くいらっしゃいます。

これは非常に厳しい要件ですが、逆に厳しい目でご導入いただいていることが、高い継続率につながっているのではないかと思います。また、当社もサービスを安定稼働させ、お客さまにコミットメントしたサービスの品質や性能をお約束することに力を入れており、その結果、解約率が低くなっていると考えています。

ー続いて事業を発展させる上で上場というエクイティを活用したのはどのような思いや背景があったのかお聞かせいただけますでしょうか。

清水 エクイティによって得た資金は人材や設備投資に有効活用しましたが、IPOをおこなった最大の目的は、知名度と社会的信用力の向上でした。当社のような企業は、法人企業が保有する消費者の個人情報をお預かりするサービスを提供しているため、セキュリティ管理体制に合わせてガバナンスやコンプライアンス管理体制がしっかりしていることが求められます。そのため株式上場しそういった体制を作っていることを多くの人に示すことが、事業展開や成長に非常に有利に働くと判断し、IPOの準備を進めました。

経営者としての強みについて

ー事業運営において経営判断のスピードも重要かと思いますが、判断をする上で大切にしていることや重視していることについて教えていただけますか。

清水 今はスピードよりは、足元を見て自分たちがやるべきことをしっかりやることを重要視して判断しています。既存のお客さまからどのような評価をいただいていて、どの道に進めば既存の顧客や新規の顧客に満足いただけるのかという視点で物事を考えています。

今後の展望について

ー今後の事業戦略や未来構想について教えていただけますか?

清水 現在はメールやショートメッセージにおいて、高性能で処理が早い点を評価いただいております。しかし、昨今企業と消費者のコミュニケーション手段は多様化しており、企業はマーケティングにおいて多くのリソースをかけなければいけない状況になっています。そこで今後は、我々がコミュニケーションの接点を統合管理できるような環境を提供することで、企業のマーケティング活動の合理化や高度化に寄与していきたいと考えています。

ZUU onlineユーザーや投資家に向けてのメッセージ

ーユーザーの視点を重要視しているのですね。最後の質問ですが、ZUU onlineのユーザーや投資家の方々に対して、清水代表から一言お願いできますか。

清水 私たちの事業はメールやショートメッセージなど比較的ニッチで目立たない市場ですが、実はD2Cとよばれる手段の広がりやマーケティング活動のデジタルシフトによって、メールやメッセージの配信数は非常に増えており、市場が着実に拡大しています。当社は高い技術・専門性の運用経験が、多くのエンタープライズ企業に評価されて成長を続けています。比較的地味な分野ではありますが、着実に力強く成長していく企業であると自負しておりますので、ぜひ当社について注目していただければと思います。